待ってました。
予告編制作会社バカ・ザ・バッカ代表の池ノ辺直子が映画大好きな業界の人たちと語り合う『映画は愛よ!』、今回は、『蛇の道』の黒沢清監督に、本作品や映画への思いなどを伺いました。
なぜこの映画をもう一度撮ることになったのでしょうか。
自分から動き出したわけではないんですよ。
フランスのプロデューサーから、
「君の作品の中で何かフランスでリメイクしたいものはあるか」
と聞かれたんです。
「『蛇の道』をやりたい」と即答していました。
なぜ『蛇の道』を?
復讐するという物語自体は普遍的でいつの時代でもどんな国であっても、おそらく成立するんだろうと思っていましたから、自分で自分の作品をリメイクしないかと言われたときに、すっとこの作品が出てきたんです。
本作とオリジナル版と両方拝見したんですが、同じところは本当に同じでしたね。それも面白かった。
自分の作品のリメイクなど初めてですから、どれだけ前作と似せるか、その塩梅は適当で、はっきりしたプランはなかったんです。
セリフもアクションも同じところがあるんですよね。
何が正解なのかはわかりませんが、変える必要のないところを全く変えずに同じにしたらどうなるのかと、一つの楽しい実験のようではありました。
なぜ柴咲さんにされたんですか。
恐る恐る声をかけさせていただいたんです。そしたら「やります」と言ってくれて。
恐る恐るですか(笑)。
いやあ、だって「嫌です」って言われたら、「ですよね」と引き下がらざるを得ないなと。ほとんどがフランス語のセリフですから、誰だって尻込みするでしょう。
今回の作品で、ほかに監督がこだわったところはどこですか。
先ほども言いましたけど、オリジナル版と、同じところは同じでいい、違うところは全く違う、というように、どこか割り切ってはいましたね。
監督にとって、映画ってなんですか。
魅力的な謎、ですね。
これほどまでに人を魅了するんですけど、これだけ観て、撮ってもいるのに、いまだにその正体がわからない、謎です。
インタビュー / 池ノ辺直子 文・構成 / 佐々木尚絵