乞食blog -9ページ目

ラーメン大好き

寒い時はラーメンが本当に美味い。
湯を多めに入れて、5分待ってから食べると
麺が良く伸びていい感じに腹にたまる。

麺が終わった後も、汁を湯で薄めながら
ゆっくりと味わう。体も温まり一石二鳥だ。

明日は早く起きて、山ちゃんの
アルミ缶集めに付き合おうかなぁ。

がんばるノリさん

ノリさんがにこにこしながら
「今号はすごい、今号はいいよ」と
ビックイシューを一冊見せてくれた。
表紙には、また知らない黒人の女性。
ノリさんも知らなかったそうだ。

ところが昨日、ダンスを習っているという
若い女の子の二人連れがラジカセ持参でやってきて
「このアーチスト、私たち大好きなんですよ、
横で踊ってもいいですか?」
といって、表紙のアンジー・ストーンという歌手の音楽で、
20分ほど踊っていったらしい。

そうすると若い子たちが
「これアンジー・ストーンですよね、
インタビューが載っているんですか?」
といって、女の子たちのダンスを見物がてら、

手を伸ばし、あっというまに売れてしまったとのこと。
「夜もまた来ます。夜はイルミネーションのあるところに移動しませんか?」といわれたけれど、
「売る場所が決まっているから」
といって、断ったそうだ。
ルールを守りきちんとしているノリさんらしい返事だな。

でも今日の午後から、またラジカセを持って
踊ってくれるというので、
また少し仕入れてがんばってみよう、ということらしい。

「それでね、売れたのもうれしいんだけど、
今日はずいぶんいろんな人に声をかけてもらったのよ。
だからね、1冊だけ残してちょっと読んで勉強しようかと思ってさ」

売り子を始めた頃は、雨の日が多く、
たいへんだなあと思っていたけれど、
天気のいい日は師走気分も手伝って、
おちついたペースで売れているらしい。

ノリさん年末年始は、
その金であったかい旅館にでも泊まるんだろう。
うらやましい。

自分もとにかくなにかしてみようかなと思うけれど、
やはりあまり何もおもいつかない。

ノラ猫

昨日のパーティーの時、皆が持ち寄った
食材のおすそ分けを食べながら、
1日ボーっと過ごしてしまった。

動かなければ始まらない事は解っているのだが、
気持ちがまだ前に向いていかない。
今までに無い妙な感覚。

公園に知った顔がいない。
遠くで見ない顔のノラ猫が寝転んでいるだけだ。
皆に置いてきぼりにされている気がする。

何だかあのノラ猫になったような気分だ。

女専用

朝、役所からケースワーカーだという女がやってきて、
ずっとカズ姉と話込んでいる。
女だけが入れるという施設に空きができて、
そこに申し込まないかということらしい。

健康診断で問題なければ、ホームの寮母など、
適性に合わせて仕事の訓練や斡旋もしてもらえるということだ。

いい話ではないかと思うのだが、
「うちのと一緒ではダメなんですか」
とカズ姉は当然受け入れない。

それを聞き入れるということは、
キンさんと離れるということになるからだ。

一度、自分がしっかり自立して、
部屋を借りてそこにキンさんを呼び寄せてということで、
その手の施設に入ろうとしたことがあるらしい。

そのとき、キンさんがきちがいみたいに暴れて
カズ姉を殴る蹴るでひどいことになり、
大騒ぎになったことがあった。

「2度とわたしがここに戻ってこれないように、
すっきりと新しい暮らしができるように、
わざとそんなことしたんだ。そんな人を置いて出て行けない」

カズ姉は、そういって施設行きをやめてしまった。

「目先のさみしさにとらわれて、
ちょっと先のことが辛抱できない」
自分とキンさんは、そんな似た者同士なんだと、
カズ姉が話していたことがある。

カズ姉のところに、ケースワーカーが来ていることは
キンさんには黙っていようと思った。
そんな話を聞いたら、今度こそキンさんは、
この冬を暖かい施設で過ごせるように
カズ姉を半殺しの目にあわせるかもしれない。

ケースワーカーの女が、

「暴力をふるわれたり、ひどい扱いをうけている場合は、
定員の関係ない一時預かり施設がありますからね」

と、周辺の人間にそれとなく、
カズ姉が殴られたりなんだりしていないかを聞き込んだりが、
キンさんの耳に入らないように、注意していくしかないだろう。

続・パンパーティー

少しずつ体を動かして暖めつつ、
ゆっくりと目を覚ましながら起き上がり外に出る。

山ちゃんは、相変わらず上機嫌で、
あちこちにパンパーティー!と声をかけて回っているようだ。
立場を忘れて少し浮かれ気分の自分に戸惑いながらも、
今日くらいは、と割り切って楽しむ事に。

キンさん、カズ姉、山さん、ノリさん、
こうりゃん先生、ナベさん、センさん、ヨっさん・・・
知った顔が続々と、何かを手に集まってきた。

ジャム、マーガリン、はちみつ、カレー、水あめ・・・
皆いろいろと溜め込んでいるなぁと関心しながら、
様々なものを塗ってパンを楽しむ。
なかなかに優雅な昼飯である。

「パンパーティーか!なんかパンティーみてぇだな!」

センさんの下品な駄洒落も絶好調だ。
ある程度満腹になった後は、
その場で皆と話し込む。たわいの無い話や、
これからの話、そしていなくなった仲間の話。

日が暮れ、腹もこなれた頃、
ヨシさんがフライパンとガスコンロを手にやってきた。
そのまま夜のパンパーティーが始まる。

ヨシさんは、まず手始めにと、
余ったパンをバターとにんにくでカリっと焼いてくれた。
なかなかシャレた味で美味い。

どこからか酒が入る。
日本酒、焼酎からワイン、気は抜けているが
シャンパンのようなものまである。
皆本当に色々拾って溜め込んでいるんだなぁと、改めて驚く。

最後にヨシさんは、こうりゃん先生が持ってきた
リンゴを甘く焼いて出してくれた。
酒も入り上機嫌のカズ姉は

「あぁ、なんか外国のあそこにでも行った気分だよ!」

とうっとりした様子でキンさんにしなだれかかっている。
キンさんも「ベタベタすんなよ!」と言いながらも
まんざらでもない様子だ。

少し離れたところから楽しそうな皆を眺めていると、
いつの間にか隣に座っていたこうりゃん先生が

「楽しいですねぇ。本当に楽しいです。
でも現状に満足しては決していけませんよ。
今日は特別なんですから。」

と、優しくもはっきりとした口調でつぶやいた。
そうですね、と返事をしてふと我に返った。
今日は特別なのだ。こんな日は本当に特別だ。

今年の冬も何人か仲間を失うだろう。
明日だって食べ物にありつけるか解らない。
そして自分も皆もこんな生活をいつまでも続ける訳には行かないのだ。

乞食は3日やったらやめられない。
そんな言葉を思い出した。