NES BAND -懐かしいゲーム音楽のライブ映像- | れぽれろのブログ

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先週は久しぶりにひどい風邪をひき、38度を超える熱が約3日間続くという大変な状態でした。病院で検査した結果、インフルエンザではないとのことでしたが、インフルエンザ並みの発熱と体の痛み、咳・鼻水などの諸症状も重なって、かなりキツい風邪でした。
3日間仕事を休み、おかげさまで懸案であった(?)年間有給取得義務日数も無事クリア(笑)し、どうしてもやらなければならない仕事上の事務手続き作業を除き、3日間はひたすら家でぼんやりして過ごしておりました。現在は熱は下がり、元通り元気を取り戻しております。

以前に昔懐かしいゲーム音楽の記事を書いたことがあります。
[懐かしいゲームと音楽について]
自分は1978年の早生まれ、任天堂のファミリーコンピュータが発売されたのが1983年で、自分はその翌年に小学校に入学、86年には我が家にもファミコンがやってきて、小学校の頃はたくさんファミコンで遊んだ世代です。このため、古いファミコンの音楽は非常に懐かしい。

この体調不良の3日間、YouTubeやニコニコ動画にアップされている昔のゲーム音楽をひたすら聴いていました。
高熱があると読書なども無理、かと言ってずっと横になっていても体が痛くてしんどい、できることと言えば音楽鑑賞くらいです。

過去も発熱時は音楽を聴いてやり過ごすことが多かったですが、今回気付いたのは「ボケっと音を聴きながら時間をやり過ごす」という行為と、古いゲーム音楽との相性の良さ。昔のファミコンの音楽などはとくにデュナーミクが小さく、全般的に音が平板なので聴きやすく、小さい音量でボケっと聴き続けるのに最適、歌詞もないので脳が休まる、例えば交響曲のように「なんとなく聴き始めたら最後まで聴かないとおさまらない」という呪縛感もない、子供の頃を思い出しながら懐かしい気持ちになれるなどのメリットもあり。発熱に関わらず、病気=ゲーム音楽というのも意外とよい組み合わせなのかもしれません。

その中で面白かったのが、NES BANDという、ファミコンの音楽をライブで演奏するバンドの存在です。(NES=Nintendo Entertainment System、ファミコンは海外ではこの名称で販売されていたようです。)

だいぶ以前から活動してるバンドらしく、YouTubeにはたくさんの動画が上がっています。上記の「懐かしいゲームと音楽について」の記事の中で、ドラクエ4のデスピサロの曲は12音技法でできているということを書きましたが、これを指摘しておられたのがこのNES BANDのリーダーの方。

発熱中にNES BANDの演奏もいくつか鑑賞し、これが面白かったので感想などを記事にしておこうと思います。

以下、4つのライブ映像を並べ、昔のことを思い出しつつコメントしてみます。
ご興味のある方は聴いてみても面白いかもしれません。


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・スーパマリオブラザーズ3メドレー

 


こちらは2014年のライブ映像。
原曲は1988年のファミコンソフト、スパーマリオブラザーズ3です。
1988年の秋に発売されたソフトで、自分は当時とくに好きだったゲーム、この年の冬休みにずっとこのゲームをやっており、昭和→平成に変わった瞬間もこのゲームをやっていました。

ファミコンの音楽は3音+リズムの計4チャンネル、この映像の通り、キーボード1人が各1チャンネルを担当、計4人の編成になっています。
映像の中央下部に小さく見えるのがおそらく本物のファミコンで、これに何らかのハードウェアをかませて、キーボードを接続していることが分かります。
これによりファミコンオリジナルの音色で、そのままライブで演奏できるということのようです。(詳しいことは分かりませんがハードウェアをオリジナルで開発しているのかも。一番左のリズム担当のキーボードも特殊なものなのかもしれません。)

この映像は会場の反応も楽しい。自分も会場の人と同じく「おーっ!」とう反応をしてしまいます 笑。音楽だけでなく効果音の再現も楽しい。一番左のリズム担当の方の音にも注目。
地上ステージとアスレチックステージを経て、キノコの家へ。
2分あたりからは「絵合わせ」のボーナスゲーム、フラワーがそろって3アップ獲得、懐かしい絵合わせの動きが目に浮かびます。
2分25秒からは、アイテム「笛」を2本連続で使って一気にワールド8にワープするという技を音楽で再現しています。これは懐かしい&自分も当時よくやりました。
敵の戦車隊を乗り越え、魔王クッパのお城へ。クッパをやっつけておしまい。
ゲームの様子が目に浮かぶ、楽しい曲構成になっているように思います。



・ドラゴンクエスト3メドレー

 

 

続いては2012年のライブ映像。
原曲は1988年のファミコンソフト、ドラゴンクエスト3です。
ドラゴンクエスト3は大流行したロールプレイングゲーム(RPG)で、自分も88年の夏ごろに集中的に遊んでいました。

冒頭はいきなりセーブデータが消えた音楽から始まります。これは怖い 笑。
その次の7秒からの音色!、ゲーム開始時に1つボタンを押すと確かにこんな音になりました。これはリアル。会場からも笑いが起こっています。
街、お城、フィールド、村と続く音楽。会話の音、階段の昇降音、宿屋のメロディも再現。
3分15秒からが洞窟の音楽。ファミコンは上にも書いた通り3音+リズムであり、各チャンネルは1音しか出せない、つまり和音が出せないという制約があります。ここで登場するのが分散和音。この洞窟の音楽のように連続する32分音符を用いて和音感・壮大感を出すということがよく行われます。このあたりも忠実に再現。

3分57秒からがラスボスの曲で、ここが一番の聴かせどころ(これは上記の過去記事でも取り上げました)。
分散和音のアルペジオと変拍子の上に信号音が載る、ある種の原始主義音楽のような楽しい楽曲。キーボードで演奏するのはかなり大変だと思います。
4分50秒あたりからはバトルの効果音付きで再現、5分24秒の「凍てつく波動」の再現で客席からも歓声が。
ラスボスをやっつけて世界に平和が訪れ、6分7秒からがエンディング。ファンファーレのあと、本メロディが登場するまでのパウゼの再現に感激。(実際のゲーム上、この無音の間に主人公4人が1人ずつ振り向くという演出が入ります。ここまで再現する忠実ぶりに楽しくなります。)
このエンディング曲も分散和音大活躍(とくに8分29秒当たりの16分音符の3連符の連続などがお気に入り)で、楽しくおしまい。
この演奏では上のマリオ3と違って、左のリズム担当の方があまり活躍しません。
ファミコンソフトによってリズムが活躍するかどうかの差があることが分かります。



・迷宮組曲メドレー

 


こちらは2015年のライブ映像。
原曲は1986年のファミコンソフト、迷宮組曲です。
自分はこのソフトは持っておらず、友達から借りたり友達の家でプレイしたりしていました。(86年当時の都市郊外の住宅地密集地に住んでいた人ならお分かりかと思いますが、ファミコンは友達の家に集まってみんなでプレイしたり、ソフトを貸し借りしたりするのが普通でした。)

迷宮組曲はやや難易度の高いアクションゲーム。
このゲームのポイントは何といってもボーナスステージです。各ゲームステージに1ヶ所ずつボーナスステージが隠されており、ボーナスステージを見つけるとそこで遊ぶことができます。
このボーナスステージ、クリアするごとに楽器が1つずつ増えていき、最後は壮大な組曲が完成するという仕組みになっています。ボーナスステージの音楽がこのゲームの全てと言ってもいいくらい、ボーナスステージが重要なゲームです。自分はボーナスステージ以外、このゲームのことはほとんど覚えていません 笑。

このライブ映像ではこのボーナスステージの音楽も再現されています。
 3分25秒~ スネアとシンバル
 4分10秒~ チューバ追加
 4分55秒~ オカリナ追加
 5分40秒~ ハープ追加
 6分25秒~ トランペット追加(曲の後半にて)
 7分10秒~ バイオリン追加
このゲームは難易度が高いので最後までのクリアは難しく、自分は過去にハープの部分までしか聴けていません。
今回最後のバイオリンの部分を聴いて、自分は熱で朦朧とする意識の中、真剣に泣きました。(同世代の都市郊外住宅地で、似たような生活環境でこのゲームをプレイした人ならおそらく理解してくれるのではないかと思いますが、これは絶対に泣けます。)
あらためて聴くと、この音楽はチューバとオカリナ、ハープとトランペットが同チャンネルで演奏されていることが分かります。とくにチューバとオカリナに注目、1チャンネル=1音になるように、低音と高音で音が重ならないように工夫されていることが分かります。
打楽器含む7重奏をファミコンの4chの制約で実現するという工夫は、音を聴くだけだと分かりにくいことですが、こうやって演奏を見ることによりその様子が分かる、これだけでもこのNES BANDの演奏動画の価値は高いです。



・ファミコン有名曲メドレー

 


2012年のライブ映像。登場するソフトは以下の通り。
 ・スーパーマリオブラザーズ3  ・バイナリィランド 
 ・チャレンジャー  ・忍者ハットリくん  ・テトリス 
 ・ゼビウス  ・イーアルカンフー  ・ゼルダの伝説 
 ・マザー  ・ロックマン2  ・ファイナルファンタジー3 

自分は「マザー」以外はすべて分かりました。(「マザー」のみ調べて記載。)
しかし、我が家にあったソフトは「スーパーマリオブラザーズ3」と「ファイナルファンタジー3」のみ。それ以外でプレイしたのもたぶん「バイナリィランド」と「テトリス」と「イーアルカンフー」のみ。それでも曲はなぜかほとんど知っているというのが面白いです。
上にも少し書いた通り、80年代当時の小学生のゲーム環境で「友達の家に集まる」というのがおそらく非常に重要。友達の家で友達がプレイしてるのを見ながら、曲だけは覚えているという経験がたくさんあったのだと思います。(当時は友達宅の1つの部屋にに5人~10人くらいの子供が集まり、数人がゲームをプレイして残りの人はギャラリーになるというパターンも多かったです。自分はゲームを真剣にやる方ではなかったので、ギャラリーになることも多かった。)

こうやって並べて聴いてみると、クラシック音楽の採用率の高さが分かります(そういう曲をNES BANDが好んでメドレーに取り入れているということもあるのかもしれませんが。)
「バイナリィランド」はベートーヴェンの第九(いわゆるクラシックとはずれますがメインはサティの「ジュ・トゥ・ヴー」)、「チャレンジャー」はシューベルトの軍隊行進曲、「忍者ハットリくん」はビゼー「アルルの女」のメヌエットとオッフェンバック「天国と地獄」のカンカンをハットリくんのアニメ音楽とミックスさせるという楽しい編曲になっています。
「テトリス」はこの動画ではロシア民謡の「コロブチカ」と「トロイカ」が演奏されていますが、ゲームボーイ版ではチャイコフスキー「くるみ割り人形」のトレパーク、バッハの「フランス組曲」3番のメヌエットが採用されていたはず。この他にもたくさんクラシック音楽が採用されていたソフトはあったことだと思います。
ゲームとクラシック音楽について考えてみるのも面白いかもしれませんね。


ということで、NES BANDの楽しい演奏と、昔懐かしいゲームと音楽についてのコメントでした。
ここに登場した楽曲の後、時代は80年代~90年代へ、ハードはファミコンからスーパーファミコンへ、自分も小学生から中高生になり、時代は出版メディアミックスとJRPG最盛期の時代に移っていきます。(このあたりは上の以前の記事で触れた通り。)
自分は90年代が印象深く感じる世代ですが、80年代の幼いころの思い出もまたあれこれ思い出してみると楽しいものです。このあたりの記事もあれこれ考えてみようかなと思っていたりもします。