魂のチャレンジャー・4 |  ZEPHYR

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ゼファー 
― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

<魂のチャレンジャー・1>
<魂のチャレンジャー・2>
<魂のチャレンジャー・3>
の続編です。

L子 「わたしと彼はその互換空亡なんですね」

私 「はい。あなたは離婚相を強くお持ちです。そして彼との関係は、別れる確率が非常に高い互換空亡です。しかも彼の方ですが、彼のホロスコープも拝見すると、かなり『変化』『変動』の多い人生に見受けられます」

L子 「あの、彼は仕事をもう何度も変わっています」

私 「そうでしょうね。そして、やはりそういった運気が、結婚でも出ないとは限らない。彼の場合は、出生時間のデータが不明なので、それによっては変わってきますが……」

L子 「出生時間によって、運勢は違っているんですか」

私 「はい。かなり大きく違う場合もあります」

彼に尋ねて、調べてみます、とL子さんはメールを送ります。
私はL子さんを見つめた。
ちょっとまだ未完成ではあるけれど、芯の強い女性だ。

私 「L子さん」

L子 「はい?」

私 「彼のことを愛しておられますか」

L子 「は、はいっ」

彼女の必死な想いが伝わってくる。
この二人をどうにかして別れの運命から変えてやりたい……。

私 「では、ここで別れの運命が強くあると知っても、彼との結婚をやめたりしませんね」

L子 「はい」

私 「では、はっきり申し上げます。このままでは、あなた方は結婚しても、八割九割の確率で離婚します」

L子 「…………」

私がいつか来るだろうと恐れていたもの。
それがこれだったのです。

私は過去に互換空亡の関係の男女を何組も占ったことがあります。
しかし、その多くが「すでに別れていた後で、どういう関係だったのか見てほしい」といった依頼であったり、「ちょっと心引かれているのだが、彼との相性はどうだろうか」というような依頼でした。
つまりすでに終了しているか、これから始まる段階のものだったのです。
すでに終わっている関係は、互換空亡がいかに別れやすいかの証明に過ぎませんし、これからのものについては「互換空亡で別れやすいからやめておいた方が無難ですよ」というアドバイスが可能です。

しかし、L子さんのようにもうこれから結婚しようというようなケースで、この互換空亡を持ち込んでくる組み合わせが、いつかかならずあるだろうと、私は思っていたのです。
そのとき私は、二人にどのような未来を告げればいいのか。
これが恐れていたことだったのです。

私 「だから、まずそのような運勢とお互いの関係であるということを理解してください。そして、なぜ互換空亡は別れやすいのか、これから説明しますから理解してください」

L子 「なぜ……?」

私 「そうです。普通の鑑定家はここまでのことを説明せず、ただ別れるからやめておいた方が良いというだけのケースが多いと思いますが、なぜ別れるのかという根本的な原理を理解しておけば、この未来を変えられるはずです」

皆さんも、よくお聞き下さい(お読み下さい)。
これは実際には互換空亡だけに当てはまるわけではないからです。

私 「互換空亡とまったく真逆のものに同一空亡というものがあります。これは私で言えば、同じ午未の空亡グループの中の生まれ日の干支のことを言います。

たとえば乙酉とか、丁亥などです。

そういった同一空亡の生まれ日同士でお付き合いした場合、長続きする、別れにくいと言われています。これはなぜか?

いいですか? 空亡が同じということは、運気が悪くなるときも同じということです。二人揃って同じ年回りに調子が狂う。これは結局、その二人が『同じことを経験しやすい』『同じ運気を共有している』ということを意味します。

一緒に暮らして行く夫婦なら、運命共同体なわけですから、夫に何か不調が生じるときには妻となっている女性の運気にもそのようなことが表示されていて普通です。

そういった一種のバイオリズムの同一性が、同一空亡なのです。ということは、互換空亡はその逆ということになります。

互換空亡の関係においては、自分の調子が良いときには相手が悪い、相手が絶好調のとき、自分がへこんでいるということがおきやすくなってくると考えられます。

これが日常の中でどういう働きをするか、考えてみてください。

自分が元気はつらつで、どこかへ出かけたいとか、非常にポジティブに何かをやって行きたいというときに、相手は落ち込んで消極的になっているわけです。

そうしたら、あなたは『男のくせになにぐじぐじしてるのよ』とつい言いたくなってしまいます。

逆にあなたが落ち込んでいるとき、彼がポジティブいっぱいで、あなたが悩みを聞いて同情や共感をしてほしかったりするのに、彼があまり落ち込んだ雰囲気に反応しない状態だと、『理解がない』『冷たい』『器量が小さい』などの悪い印象を相手に抱くようになります。

これが互換空亡の機能です。

だから、あなたは彼とまったくそういうリズムが合わない、合わなくて当然なのだと理解してください。

それを理解することが、この互換空亡を変えるもっとも有効な手段です」

L子さん、固まったように聞いています。
衝撃も大きかったでしょう。
彼との結婚が目前なのに、「このままでは別れる」と指摘され、「まったく合わない」と言われているのですから。

私 「ただ、相性はよいのです。相性とは別に、男女関係で重要なのは縁です。縁というのは、私の考えでは、同じときに同じような運気を共有していることを言います。しかし、あなた方はリズムが真逆なので、この縁が切れやすいのです」

L子さんは思い当たることがあるようでした。

L子 「じゃあ、たとえばわたしがこれまで今の会社に入って落ち込んでいたときに、彼が好調だったのに、今は逆に私の方が良い調子で彼が落ち込んでいるのも、そういうことなんでしょうか」

私 「そうです。運気のバイオリズムが、違っているからです。とすると、この先の夫婦生活でも、あなたがたの運気は一致しないことが多いと考えられます。

だから、あなたが彼に合わせる必要があります。彼がここへ来て、同じ話を聞いてくれたら、彼にも協力してもらえるかも知れませんが、状況的にそうも行きません。よって、あなたが全面的に彼の方に合わせるぐらいの覚悟をしておいてください」


ある意味、L子さんにとっては非常に大きな譲歩です。
全部、彼に合わせろと言われているようなものです。
しかし、これは彼のわがままに合わせろ、自分を捨てろ、というのとは異なります。

自らの意志で、彼との未来をつかみ取るために、「思いやり」を持てということなのです。

そして、互換空亡のような極端な例でなくとも、私たちはこういった思いやりを必要とする場面に日常的に遭遇し続けているはずです。
実際には、もっと軽いリズムの不一致で、離婚する人もいます。
同一空亡でも別れるカップルがいます。

同一空亡も互換空亡も、二人の運気を示す一つの目印に過ぎません。
現実には鑑定上、もっと突っ込んだことをしなければ、二人の縁が強いものか弱いものか、分からないのです。

が。

それでもなお、互換空亡の組み合わせでずっと続いていますという例に、私は今まで目にかかったことがないのです。

これが私が相性などを鑑定するときに、四柱推命を併用している大きな理由です。
西洋占星術でも縁の深さを判定する方法はありますが、四柱推命の方がこういった運気のリズムを端的に表現していることが多いのです。

これをL子さんたちは、覆すことができるだろうか?

彼の出生時間が判明するまで、家業のことなど、別な鑑定を行い、彼からの連絡を待ちます。

そすると、やがて彼からメールが入ってきて、だいたいの時間ですが出生時間が判明しました。

彼のホロスコープを修正し、私はチャートを見つめました。

そして……。

そこから新たな光が見えてきたのです。

二人がなぜ結婚しようとしているのか。
なぜこれほど離婚しそうな二人なのか。

その答えがチャートへの洞察から光となって私の脳裏を打ったのです。

次回、最終回。

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