マザー・テレサ その愛と運命・3 |  ZEPHYR

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 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

<マザー・テレサ その愛と運命・1><2>の続編です。

さて、いよいよ重大な局面になってきました。
12才ごろには人生の大目標を見出していたテレサ(アグネス)。
彼女は1928年には故郷を離れ、インドへと赴いています。このときのチャートをチェックしてみましょう。
どのような人間でも、住居の移動はかなり大きなイベントです。チャートにそれらしい影が出ているのが普通ですし、ましてや彼女のそれは隣町へ引っ越し、東京へ出て行くという程度のものではありません。

当時、彼女のチャートの中では金星と天王星がオポジションになっていました。180度のハードアスペクト。これは愛着あるもの(金星)=故郷からの離別(天王星)そのものです。
自らが決めたこととはいえ、このインド行きが、肉親らとの別れなど、非常に辛い出来事だったことが伺えます。
翌年、彼女は修道名テレサを与えられ、ダージリンで修練を始めます。そしてそこで十数年の時を過ごします。教師として地理を教え、44年には校長に任じられています。
もしかすると、彼女の人生はごく普通の(?)修道女として終わる可能性もあったのかも知れません。
しかし、46年9月10日、運命の日がやってきます。

彼女は移動中の汽車の中で、啓示を受けます。
「もっとも貧しい人のために人生を捧げなさい」
「もっとも貧しい人の間で働くように」
「もっとも貧しい人々と共にあるキリストに尽くしなさい」
さまざまな意訳が伝わっていますが、つねに意識されているのは「貧しい人達」のことです。
この「啓示」がいかなるものであったのか。
そして、そのような出来事は占星術チャートには表示されうるものなのか?

私は驚異的な星位を、チャートに発見してしまいました。
「こんなことがあるのか?」
思わずそう呟きました。
※私が使用したのは、火星より内側の惑星は通常のプログレッション法、木星以遠の惑星についてはソーラーアーク法を当てはめるものです。
マザー・テレサのネイタル・チャートにはもともと天王星と月のノードがトラインで存在します。上記の手法だと、このトラインは持続したまま移動するのですが、ここへトランシットの木星が参加、チャートの中でグランド・トラインがこのときできていたのです。
正三角形型の配置になるこの星位は、占星術上、もっとも幸運なものと言われています。
三角形を形成しているすべての星が完全調和し、その星の良い部分だけを強調するとも言われています。
しかし、非常に運命的な配置であるために、一種の「拘束力」「強制力」のようなものが働くとも。

しかもこのグランド・トラインがマザー・テレサのチャートの中で結ばれるのは、同年の9月6日から9月24日までの間しかないのです。
もちろん、長く生きた彼女の人生の中で、同じ三つの星でグランド・トラインができた時期はほかにもあります。しかし、9月10日と伝えられているまさにそのときに、現にチャート上には確認できるという事実に、私は頭を何かでどつかれたような衝撃を受けました。
木星は宗教、そして組織、社会にも関わる星です。天王星は変革。月のノードは宿命、人とのつながり。

そして、こればかりではないのです。
同年、彼女のチャートにはもう一つ、出生の天王星、月のノードのトラインに対して、金星が参加する形で、グランド・トラインが発生しているのです。
これは全体的な印象を、彼女の人生の関わりで読み取れば、「これまでの枠組みを超えた人とのつながり、あらたな宿縁を形成する愛」のグランド・トラインです。

ダブルのグランド・トライン。
それも天王星と月のノードが主体の。

「あり得ない……でも、現にチャート上にはあったんだ」
私はこれを見つけたとき、マザー・テレサが汽車の中で啓示を受けたという話を、まったく別な側面から信じる気になりました。
これは本当にあった出来事かも知れない。
でないと、このチャートは出来過ぎている。
たとえばジャンヌ・ダルク。「フランスを救え」という天使の啓示によって、100年戦争を終わりに導いた彼女。
遠い過去のものともなると、「どうせ後年創作された逸話だろう」とか「伝説化・神聖化によるおひれさ」とか、そんな現実的な見方も、つい私たち現代人はしてしまいます。
しかし、マザー・テレサが受けた啓示がもし本当にあったのなら、過去のそれらも本当にあった可能性があります。テレサにだけその可能性を認め、他を否定する理由がないからです。

もちろん、妄想に取り憑かれている場合もあるでしょうから、なんでもかんでも信じるのは良くないと思います。
これについては、いずれまた別な記事にしたいと思います。棚上げしている「シンクロニシティのダークサイド」の記事とも関連していますし。

ともかくこの啓示は、彼女の人生を決定づけました。
ああ、もう時間がないので、続きはまた明日。
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