マザー・テレサ その愛と運命・4 |  ZEPHYR

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<マザー・テレサ その愛と運命・1><2><3>の続編です。

前記事で書ききれなかったことがあります(時間がなくてあせる)。
まずグランド・トラインですが、これはかなり特殊なアスペクトです。このブログをお読みの方は、ヨッドというY字型の複合アスペクトについて目にされたことがあると思います。
ヨッド(ヨード)は神の座相とも言われ、逃れがたい宿命的なことを暗示する傾向があります。また非常に甚大な災害時などにも、ヨッドはよく確認されることがあります。
グランド・トラインはヨッドと非常に似た作用がある、と私は考えています。これには論理的な根拠があるのですが、それはまた別な機会に譲ります。
マザー・テレサはこの天王星に関わるグランド・トラインが、非常に大きなポイントになっていることが、歴史を振り返ると確認できます。

前記事にあった「啓示」を受けた1946年。天王星・月のノードに対して金星が参加する形のグランド・トラインがありました(+天王星・月のノード・木星のグランド・トライン)。
しかし、それ以前、1930年にも天王星・月のノードに太陽が参加するグランド・トラインを起こしています。これはマザー・テレサがダージリンで修道生活を始め、テレサの名を与えられた1929年の次の年です。実際には29年頃には、太陽は天王星へのトラインを形成していて、グランド・トラインの効果が現れていたと考えられます。
つまり?
マザー・テレサは天王星に導きを受けていた、と考えられるのです。
そしてこの星が強力に刺激を受けたとき、彼女の身の上に大きな変化が起こっているのです。

そういう観点で、ネイタルを振り返ると、はたと気づくことがあります。
マザー・テレサのチャートを見ると、ほとんどの星が牡牛座から双子、蟹、獅子、乙女、天秤という半球に分布しています。
たった一つの例外を除いて。
そのたった一つの例外が、天王星です。天王星は山羊座に位置し、反対側の半球の星々を、まるでたった1人で見下ろしているような印象があります。
こういうタイプの配置を、バケット型というのですが、このタイプのチャートを持つ人の最重要ポイントは、この一つだけぽつんと離れている星(シングルトン)なのです。
その星が人生の鍵を握っている。もっとも大きな力を発揮する。
そのように考えられます。

マザー・テレサの場合、天王星がそのポイントで、だからこそ天王星との間に重要なアスペクトが生じたときに、人生上の大事が起きているのです。
そこまで解読できたなら、この後は楽です。
逆に言えば、チャート上で天王星との間に重要アスペクトが生じたときを見つけていけばいいのです。
そこでなにが起きているか?
起きていなければ、この解読は揺らぎますし、間違っているかも知れません。

では、どうなのか?

その後、天王星が大きく関わる年は、1950、51年です。
このとき天王星は、マザー・テレサの出生太陽の反対側に来て、オポジションというハードアスペクトを形成しています。
このとき、何が……。
あれ?
これは……。Σ(・ω・ノ)ノ!

1950年 「神の愛の宣教者会」設立の許可を受けるとあります。(<2>を参照下さい)。

これはマザー・テレサの人生の中でも、おそらくもっとも重要な出来事です。おそらく彼女が生きていて、彼女自身に尋ねてみたとしても、もっとも重要な出来事として語るのではないかと思われる項目です。
なぜならこの「神の愛の宣教者会」こそが、テレサの活動の基礎であり、根幹となっていくからです。
「飢えた人、裸の人、家のない人、体の不自由な人、病気の人、必要とされることのないすべての人、愛されていない人、誰からも世話されない人のために働く」ことを目的とする会であり、60年代までにその活動は全インドに及び、65年以降は教皇の許可のもと、インド国外でも活動。世界55カ国に211の修道院を開設し、全世界規模で貧しい人々のために活躍するようになるという、その起点となった年が1950年なのです。

…………………。

これは驚くべきことです。
たしかに太陽と天王星のオポジションには、自分にしかできない生き方や方法を強く打ち出すことで、社会に影響を与えたり、大きな活躍をする可能性はあります。
しかし、このハードアスペクトは、普通なら非常に危険なものです。

たとえば、この時期に起業しようとか、結婚しようとかいう相談を持ちかけられたら、私は「ええ、大丈夫ですよ。心配いりません」などと安直には決して言えません。その人のネイタルの状況によっても解読は変わってきますが、むしろ非常に不安になってきます。
占星術の本を持っていたなら開いてみて下さい。太陽と天王星のハードアスペクトの説明には、かならず「突然の離反やトラブル。独裁的な態度や頑固さ、エキセントリックさなどが原因となる人間関係の問題」といったことが、多少、表現は違っているかも知れませんが、書かれていると思います。
この時期、普通の人間なら「失敗」します。
起業すれば、その当初は良くてもある時期に思いがけないトラブルや分裂に見舞われ、最悪、事業からの撤退、倒産といったこともあり得ます。結婚すれば、先に重大な危機が起きる可能性があります。
たびたび引き合いに出して申し訳ないのですが、藤原紀香さんが陣内智則さんと結婚したとき、土星や海王星とハードアスペクトでした。この効果は速やかに現れました。
結婚時の状況というのは、かなり重大で、その時点でソフトアスペクト(調和座相)に取り囲まれている方が無難です。先々もそのソフトアスペクトたちの調和の力が支援してくれるからです。しかし、ハードアスペクトが多いと、その星々の内容がその時点か、その先の未来に起きてくると考えられます。
結婚時や何かを始めたときの星位は、その案件に関わるネイタル(出生)チャートのようなものなのです。

マザー・テレサにとって、「神の愛の宣教者会」の認可と設立は、自分と少数の身の回りにいた協力者たちがやって来たこと、貧しい人達を支援していく活動を、より大きなものに広げるために、どうしても必要なことだったはずで、悲願でもあったはずです。
この認可が太陽と天王星のオポジションで起きているなど、私にはちょっと信じがたい発見でした。
普通なら分離や離別、思いがけないトラブルが起きるはずだし、自分のやろうとしていることが周囲に理解されず、孤立を招くような星位です。
しかし、現実を見ると、「神の愛の宣教者会」はその後インド全域に広がり、さらに世界中へと活動を広げていくのです。

これは通常では考えられないことです。
ほとんど、あり得ないと言っても過言ではないです。

たしかに太陽と天王星のオポジションは、カリスマ的宗教指導者などにもよく見られる星位で、こういったジャンルにだけ特別な作用をするという見方もできるでしょう。
また当時のマザー・テレサのチャートでは、海王星が太陽と合になっていて、そのとき天王星は魚座に位置していたので、その支配星である海王星を通じて、太陽にすべてスピリチュアルなエネルギーとなって還元された、というようなアクロバットな見方も可能です(とてもマニアックで専門的な解読ですが)。
しかし、かりにそうだとしても、普通の人間では、これは実現できません。
100人いたら、100人、失敗するかも知れません。1000人いたら、その中で1人だけは成功させるかも知れません。
感覚的には、それくらい希な出来事です。
実際にはもっと難しいかも知れないのです。

「マザー・テレサは、この時点でもしかすると占星術法則など超えていた?」
私の脳裏に、この希望が灯った瞬間です。
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