【障害児園ドタバタ奮闘記】天使達に囲まれて……

このブログを始めるにあたり、取材・情報提供・またその他様々なご協力をして頂きました

個人様、ならびに団体様に厚く御礼申し上げます。


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この物語はフィクションです。
団体名・個人名は全て架空のものです。

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また、このページはリンクフリーです。


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天囲からの読者さんへ


読まなくても充分に楽しめますが、

【実録】ネコ裁判【続】ネコ裁判 を先にお読み頂きますと、山田家の背景などが判り、より一層楽しめます。


かなりの文章量なので、お暇な時にどうぞ。


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100:初日の緊張

「おはようございまーす。」


いつもの小鯵園。

いつもの挨拶。


でも今日からワタシはエビ組担当。


半分は、よく知らない親。

よく知らない子供。


結構、緊張するし

気も使う。



え?

でも、裏を返せば「半分は知ってる顔」でしょって?


いやいや。

そりゃ、見た顔のお母さんも、約半分くらいいるけれど……

その顔を見れば、少しホンワカ気が休まると、今朝の今朝まで思ってたけど……


真逆だった。


だって、旧カニ組のお母さん達にしてみれば……

カニ組からエビ組になったという事は……


この半年間で、旧エビ組の子供達に


「抜かれた」


って事。




つまり


「成長を抜かれた=重度と判断された」


って事。




だから

そんなお母さん達の表情は、一様に暗い。

そこにかける言葉を探しても、一向に見つからない。


ワタシの半年間の責任?

そこまで問い出すとそこはホントに……


うん。

まさに針のむしろ。


さっき帰ったヒロキママなんか……ワタシの顔を見る目が……


うん。

特にだ。




かなりつらかった。




なんと表現していいか。


旧カニ組のお母さん達にも

旧エビ組のお母さん達にも


違った意味で気を使う。


気苦労の大バーゲン。




えび組初日のワタシの朝の1時間は……

ホントに長々と感じた。


「ふぅ……。」


そんな時だった。


「おっはよーっ!!ユミコ先生ーっ!!」


茶髪でヤンキー丸出しで

ジャージ姿で、お尻をポリポリカキカキ……。

眠そうな顔で(でもメイクバッチリで)……。


いつものように現れた、ケントママ(&ケント君)。



カニからエビになった?


は?

なにそれ?


ケントママは、そんな事なんか気にする素振りも見せず……

適当に「昨晩から今朝まで」を話し……


「今日も1日、お願いしまっす!!」


軽い感じでそう言うと

手を振りながら、振り向かずに帰っていった。




ほ……っ。


なんだかワタシは救われた気がした。

ワタシと小鯵園の存在意義を再確認出来た気がした。




自分にやれる事を、一生懸命。




それは職員も子供達も……それから親も。

毎日がそれの繰り返しじゃないか。


結果なんかは


あと!!あと!!あと!!


と……。




と。

そんなケントママに5分遅れて登園して来た、今日初めての「織田 リュウヤ」君。


お母さんは、随分と緊張した様子で、今朝の様子を話し……別れ際に


「帰りは主人が迎えに来ますので。」


と残していった。




「あ……はい。」


そう気軽に言ったワタシだったが……

この時、それが青井先生と織田パパとの……

あんな物語になるなんて、想像もしていなかった。




---つづく---








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099:クラス替え

運動会の興奮も冷め遣らぬ頃……小鯵園はクラス替えをした。


え?

クラス替えって、幼稚園・保育園なら年一回じゃないの?


って?


いやいや。

小鯵園は、皆さんご存知のように「知的障害児自立支援施設」。


通園児の皆が皆、自閉症・学習障害・ダウン症などなど……。

それぞれに障害を持っている。


同じ歳で

似たような環境でも


重度・軽度


その違いによって、成長速度もそれぞれ。


順応性。

そして「どこまで伸びる事ができるのか」。


それも、それぞれなのだ。




前にも書いたと思うが……カニ組・エビ組は、単純に年齢で分けているワケではない。

主にその


度合い


で分けている。


カニ組は軽度

エビ組は重度


だ。




でも……その重度・軽度も、日々変わる。


たった半年で


抜いちゃったり

抜かれちゃったり


しちゃうのだ。




そのクラス替え。

ワタシはエビ組へ配属となった。


元・エビ組でベテランの犬井先生(推定40後半)と、勤続4年で24歳の若井先生(共に女性)。

そして元・カニ組の青井先生。


あと、時々ボランティアの神野さん(推定40前後)。


頼りにしていたおかん先生こと岡野先生だが……残念ながらカニ組に残留。


「ユミコ先生なら、大丈夫よーっ!!

 だってワタシのイチオシなんだからっ!!」


と、エールを頂いた。




むぅ……。

どうやら小鯵園歴たった半年で、重度のエビ組へと配属になったのは……きっと


保育士免許もさる事ながら


おかん先生の太鼓判


も効いたようだ。




さてさて、そんな新・エビ組。

さてさて、そんなワタシの新・エビ組。


このクラス替えを機に、新しい子がホントは定員オーバーなのに無理無理やって来る。


名前を「織田 リュウヤ」君。


今まで通っていた保育園からの転園だった。




---つづく---








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098:お返事(その3)

確かに今回の「兄弟いる?いらない?」は、実に実に深い問題だと思います。


ワタシが垣間見た親御さんの「何も考えていない風」。

それも表面的な一部かもしれません。


でも、だからといって当事者以外が……


何も語っちゃいけない・何も考えちゃいけない


というのも、ちょっとヘンだと思うんですよ。




正直ワタシは、小鯵園で、障害児(者)と関わるようになって

失礼な言い方だけど……今回の問題も考えるようになって


そう。

答えがどうであれ、まずは「考える」って事が大事なんじゃないかと……。


そこから始めないと、いつまでたっても「健常者と障害者の溝」は埋まらないと思うんですよ。




確かにM.Tさんのように、実際障害児を抱えていらっしゃるお母さんにとっては、

ワタシの考えは浅はかかもしれません。


でも


語り合う


それを始めるのって、とても大事だと思うんですよ。



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うーさん。


確かに障害の度合いにも拠ると思います。


運動障害・知的障害


同じ障害でも、随分違いますからね。



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ちっちさん。


今回ワタシが挙げた例は……大雑把に言えば「全般・障害児(者)」の話です。


ちっちさんのように運動障害についても……

小鯵園の大半の子供達のように知的障害についても……


ワタシは今回、同じ「議題」として並べました。

でもそれは微妙に……そして全然、違うのかもしれません。


ええ。

ちっちさんに


「親は先に死ぬのだから、自分で生きる術を学びなさい」


この言葉をもらって、ワタシはグイっと心に刺さったのです。


だって……小鯵園の子供達。


その上の小中学生。

そして時々園で会う成人。


「親は先に死ぬのだから、自分で生きる術を学びなさい」


と言い聞かせたって……その言葉の意味も彼らは、理解できないのですから。




さて。

ちっちさんが、障害の方だという事で……ブログのリンクもありましたので、少し読ませて頂きました。


で……今回の「問題提起」。


アナタの仰る


車いす少女の中学入学を拒否…奈良・下市町、財政難理由に・・・


行政か個人(家庭)かの違いは有れど……経済効率や危険性において、生まない判断もアリなのではないかと。

そう思うのですよ。


悲観的・楽観的。


行き当たりばったりで、幸せに暮らす人もいれば

綿密に計画を立てても、その通りに行かず不幸な人もいる。

(計画通りに行く事の方が、人生少ないんだけどね)


けっして「障害のせい」にしたくはないんだけど……

今の世の中は「障害のせい」になるのも現実なワケで……。


そう考えると、ワタシはね。

こう思っちゃったワケなんですよね。



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さて。

今回で「お返事」は終わりにし、テーマ(07)兄弟いる?いらない?も終了したいと思います。


何度も何度も言いますが……今回の問題は


人それぞれ考え方も答えも違う

大切なのは話し合う事


だとワタシは思っています。




このブログがキッカケで……


「もしさー。生まれた子供がさ。」

「もしねー。アナタのお兄ちゃんがね。」


そんな会話が家族の中で……例え笑っても、真剣でも。

話題に上がってくれれば、それだけでも取り上げた価値があったと思います。




---次回新章---







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097:お返事(その2)

えー。

こんにちは。


すいません。

新学期で我が家の方も、小鯵園の方もバタバタしておりまして……なかなか更新できませんでした。




さて。

お返事の続きです。


詳しくは前回に引き続きコチラhttp://ameblo.jp/yamada-yumiko/entry-10226583706.html#cbox )を

読んで頂くとして……。



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「兄弟に自閉症がいるから、自分は子供を持ちたくない」

そしてそれを理解してくれる伴侶。


うん。

きっとワタシの考え方と、随分近いように思います。


もちろん「兄弟にいる」っていう重圧は、ワタシには体験した事のないモノですし……

そこに至った経緯も、ワタシとは比べ物にならないほどの実体験に基づくモノだと思いますが……

そんな人が、ワタシと同じように思うようになったって結果に、ちょっと安心してるかなぁ。




ちょっと話がズレちゃうのかもしれませんが……

「人のせい」「他人のせい」にして生きる生き方って、楽しくないよね。


隣の芝生と見比べて、自分がどうのって……言い出したらキリがないよね。


家の事情。

父母の性格。

そして家族全体のバランス。


自閉症の兄弟。

でもそれだけのせいにするワケでなく……たくさんの環境・たくさんの要因。

もちろん自分の考え方も。


その全てを受け入れて……


「だからこうなったんだなぁ」

「だからこう思う」


って言えるのって、ステキだなぁと思う。




「前向き、前向き」


って……どんな人にも、すごく大切な事だけど……我が小鯵園でも、お母さん達にでも


「そういう姿勢で我が子に向かって欲しい」


っていつも話してるんだよね。




でもね。

「今」を生きてる人に、「今思えば」って話は……なかなか伝わらないんだなぁ……。




「妹」さんの「今思えば」。

今の小鯵園のお母さん達が……10年後20年後。


そう思ってくれるように、ワタシは今、頑張ってます。



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えー。

今は既に「死語」になっちゃってるのかなぁ……


明るい家族計画


いやね。

別に「できちゃったらできちゃったで」って考え方を否定するツモリも無いんですけどね。

それで結婚に至るなら、それもアリの潔さだと思うんですけどね。


それと、今回の問題提起は随分レベルも悩み具合も違うと思うんです。


例えば百歩譲って……障害児を持つ夫婦が「できちゃったらできちゃったで」という結論に至ったとしても……

そこに至るまでに、随分随分、悩みまくると思うんです。


で……今回。

そこに至る過程・そこに至る葛藤が重要なのであって、結論はまた別の話なんですよね。




「人を傷つけてまで……」


riyさん。

ホントにそうでしょうか?


傷ついても、考えなきゃならない問題ってあると思いますよ。


「傷つくからやめよう」


って体質じゃ、なにも生まれないと思いますよ。


ワタシも面白半分で書いてるワケじゃ、ありません。

面白半分なら……初めからこんな重くて難しいテーマで、ブログを書こうなんて思いませんから。



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人間、年を取ればみんな障碍者になるんです。
耳が聞こえなくなる。目が見えにくくなる。足腰が弱くなり歩行が困難になる。


確かにそうだと思います。


そしてそれを「早いうちに」で飲み込めちゃうshunkouさんは、小鯵園で言うトコロの……


「吹っ切れたママさん」

「気が付いたママさん」

ですね。


5章 でヒロキママとケントママの話を、前に書いたと思うんだけど……80話 あたりのケントママ言い分。

判ってもらえると思います。


「家族で支え合う」って、すごく大事な事です。

「1人で出来る事」なんて、たかがしれています。


健常の子供であっても、そうなんですから……ましてや自閉症の子供だったら……。

それこそ24時間なんて、絶対に無理ですから。


今は核家族化が進んでて……昔のように「おじいちゃんおばあちゃんにお願い」なんてのも随分減って。

だからこそワタシ達のような園があり……ワタシ達も頑張る意義があるんだと思っています。



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次回でお返事を一旦終わりたいと思います。


また。

ご意見ご感想がありましたら……どんな方でもなんなりと。




---つづく---








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096:お返事(その1)

1週間の間に、皆様の真剣な御意見・御感想、ありがとうございます。


どんな意見?


ってのは、コチラhttp://ameblo.jp/yamada-yumiko/entry-10226583706.html#cbox )を読んで頂くとして……

これから数回は、ワタシなりの「まとめ」「お返事」をば。




えー。

前にも書きましたが……この話って「絶対」という回答がある問題じゃありません。

人それぞれの立場によって、見方も考え方も変わってくるでしょうから。




例えば、ワタシ(山田ユミコ)の場合。


幸いにも2人の子供は、若干のアレルギーがあったりするけれど……健康に、すくすくと育っております。

正直、小鯵園で仕事をしなければ……これほどまでに「障害児」について、深く考えなかったかもしれません。




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確かに、健常である兄弟にしたって……


出来の良し悪し

フィーリング

性別の違い

上か下か


などなど


時に平等で、時に偏って……。

ワタシだって、その点については、よく反省しているので……


それが例えば「兄が障害児」だからとて……

兄に偏るか・弟に偏るかは別としても、往々にしてある事だと思います。


でも……


「平等にせねば!平等にせねば!!」


そもそもそう思って、そう意識して、子供と接しなければならない時点で……「平等」じゃないんだよね。

と思う事もしばしばです。(まるで禅問答のようですが)


ちなみにワタシは……楽観的・悲観的と言われてもピンと来ませんが……

それでもやっぱり「石橋は叩く」タイプかなぁと。


上の子が障害だったら、下の子は作らない。


こう言えるのも……正直、今現在のワタシの思うトコロなので、

例えばまだ結婚する前や、1人目を生む前だったら……また違った考えだったかもしれません。


Noricさん。

いかがですか?




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1つ、取り方を間違えて欲しくないと思う点を。

決して「障害児の兄弟は、親に愛されない」と、思っているワケじゃありません。


お腹を痛めた母親も、そしてそれを支える父親も……我が子に障害が有る無いに関わらず

子供は皆、可愛いものです。


それは小鯵園の親子を見ていれば十分過ぎるほど実感できますし……

その一部だけでも携わっているワタシだって、園児は皆、可愛いのですから。


でもね。

今回大事なのは……当事者(親・兄弟)じゃなくて、他人がどう見るかって事なの。


兄弟が障害児で可愛そうに


そう。

その言葉を受けて……受けなくちゃならなくって……そんな今の世の中で


じゃあ、どうしたらいいのか?


って事なの。




老々介護


それだって、きっと同じ問題。

良くなって欲しい、福祉や介護。


誰もが……。

障害の有る無いに関わらず、偏見持たれない世界。


それは理想。


でもね。

それは現状、あくまで理想であって……現実とのギャップがどうしてもつきまとっちゃうの。


それは……


親が見る障害児



世間が見る障害児


とのギャップと同じで。


ママさん。

貴重な意見、ありがとうございました。




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とりあえず今回は2つ。


考えながら書くっていうのは……いつも以上に労力を使います。

ハイ。



Noricさん

ママさん


いえいえその他の方でも……


「ワタシこう思う!」


ってご意見がありましたら、どうぞ遠慮なく。




---つづく---








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