001:プロローグ
「男の子かなー?女の子かなー?」
オメデタの報告を聞いたダンナは、そっとワタシのお腹をさすりながら満面の笑みで尋ねた。
「うーん……ワタシはやっぱ女の子かな?」
「オレは男がいいな男。」
でも、胎動を感じ、我が身の中で日に日に大きくなる我が子を感じるようになってくると、
男でも女でも……そんな話はどうでも良くなった。
ただ、五体満足で生まれてくれればいい。
ただ、元気な子供が生まれてくれればいい。
そう願うようになっていたから。
時が経ち……今、ワタシには2人の子供達がいる。
11歳の息子と5歳の娘。
神様は機嫌よくワタシの願いを聞き入れてくれたのか……2人とも五体満足。
今日まで大きな病気もケガもせず、元気に無事に育ってくれている。
でも、人間とは勝手なもの。
そう……本当に勝手なものだ。
叶わなかった願いには、徒然長々と文句を言うのに……
叶った願いは数年経たずに忘れてしまうのだから。
ワタシは今、こんな事を思い返しながら毎日を過ごしている。
それは、ワタシが「そうじゃない子供達」と接する事になったから。
話は1年前……。
そう、桜の木々が青々と茂った5月のはじめに遡って……。
---つづく---
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