ZZR400 キャブOH その③/キャブレター分解掃除 part2 | むらのブログ

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ここまでのあらすじ

 ZZR-400 キャブOH その①/キャブレター取り外し

というわけで、キャブ分解掃除パート2です。
ジェット類の分解掃除に入ります


<ジェット類の分解清掃>

キャブOHの花形
キャブの分解掃除といえば、ジェット類の分解清掃でしょう。

と、その前に。
これからメンテナンスするキャブの主要パーツは真鍮製で非常に柔らかいため、金属工具で無理な力をかけると簡単に破損します。
また、ミリ単位の穴でバイクの回転数を制御している非常にデリケートなパーツなので、小さな傷がバイクの調子に大きな影響を与えることもあります。

なので、気を使って優しく作業しましょう。

特に、工具のサイズと力の入れ具合は注意が必要です。
マイナスドライバーは小さいサイズは使わず、ちょうど良いサイズを使いましょう。
とかいって、必ずしも高額な工具である必要はありません。

いつも使用しているのは、

ファミドラです(爆笑)
ジェット関係をバラすのには、4mmを使います。




まずはここ。
キャブOHを試みる人なら誰もが知ってる「メインジェット」
マイナスドライバーで外してあげます。

外したら詰まりがないことを目視で確認しつつ、パーツクリーナー吹きます。

4つ全部吹いて、同じ抜け方していることを確認しましょう。
(同じように抜けていなければ、抜けが悪いジェットの汚れを再確認します)


次にニードルジェット。
通称「NJ」
なんか格好いいですねw



上から見たところ。
これは 8mmのレンチで外してあげます。
ソケットレンチがお勧めです。




笛みたいに本体ところどころ穴が空いています。
これも、上下からパーツクリーナー吹いて細かい穴が全部通っているか確認します。
あと、目視でも確認してみましょう。


Befoer - After な写真。
左はパークリ吹く前の2番のNJ。
右はパークリ吹いた後の3番のNJ。

こうやって光の通りを目視確認しつつ、綺麗にした後に再度パークリ吹いて、4つ全てが同じように噴射するか比較確認します。


メインジェットの後はパイロットジェット。
これは 4mmのマイナスドライバーで外れます。


こいつ。
ニードルジェットを小さくしたようなパーツです。

これもNJと同様にパークリ吹きまくって綺麗にしてから4つ全部を比較確認しましょう。

ちなみに、時間があれば(キャブをバラした状態で1日離れられる環境なら)、ジェット類はキャブクリーナー漬けにして 1日放置がベストです。
うちは集合住宅で駐輪場所とメンテできる場所が離れているので、ちょっとキャブ降ろした状態で 1日放置が難しい環境なので、パークリに頑張ってもらっています。


パイロットつながりということで(?)、次はパイロットスクリュー。

赤丸の部分から抜きます。
4mmのマイナスドライバーで外れます。
Oリング入っているので少し回しにくいです。

パイロットスクリュー
本体→スプリング→ワッシャー→Oリングという順に繋がっています。

バラしたところ。
パイロットスクリューを外したらOリングは交換しましょう。

今回は、Oリングだけではなくスプリングも交換しました。
バラしたタイミングでパーツクリーナーで綺麗にしてあげましょう。
(これはパーツ本体に穴は無いので外側の洗浄だけです)


最後は、バルブシート。
ここもフィルタの汚れやOリングの劣化などがあると不調の原因になります。

まず、赤丸のネジを外します。

このパーツは真鍮製なので非常に柔らかいですが、Oリングで機密性を保っているため、指で摘んで引っこ抜くのはかなり難しいです。

なので、俺はラジオペンチを使用しました。
上の写真のように摘んで、反時計回りに回します。
摘むのも、回すのも、優しく作業しましょう。
(ラジオペンチは摘み面がギザギザしているので、力を入れるとすぐに傷が付きます)


回すと緩んでくるので、回しながら軽く抜きます。


取り出したバルブシート
フロートチャンバーに送り込まれるガソリンは、まず上の網状になっているフィルタを通ります。
ガソリンタンク~燃料ポンプ間でもフィルターを通っているので、ここに錆びがくることは殆どありませんが、汚れているといけないので念入りにパーツクリーナーで洗浄しましょう。


フロートチャンバー内のガソリン流入量が一定以上になるとフロートが浮き、フロートバルブがバルブシート内を塞ぐことによってガソリンの流入が止まります。
これでフロートチャンバー内のガソリンの量(油面)が一定に保たれるのですが、Oリングが劣化していると、そこからガソリンが漏れるため流入が止まらずにオーバーフローします。

なので、シートバルブを外したらOリングは必ず交換しましょう。



<キャブ本体洗浄>

やはり、本体も完全にバラしてキャブクリ漬けがベストなのですが、環境と時間が無いので、しかたなく穴という穴をパークリで吹きまくってチェックします。
赤丸の部分は全部パークリ吹いてチェックしましょう。

初めてキャブOHに挑戦する人は、その際に「ここから吹いたら何処から抜けるのか?」など、穴の位置関係についてもチェックしておくと良いです。



<パイロットスクリュー組み上げ/調整>
内部洗浄が終わったら、いよいよ組み上げです。
やり残しはありませんか?(どきどき)

ニードルジェット、メインジェット、パイロットジェット、バルブシートを外した時と同じように組み込んだら、次にパイロットスクリューの調整に入ります。

元々の場所に戻します。
締め付けの際は親指と人差し指だけ使って回し、止まったらそこで一旦ストップ。
ネジの溝の位置にあわせてキャブ側にマジックでマーキングします。

再度、4mmのマイナスドライバーを入れて反時計回り(緩める方)に 2回転戻します。
「0.5・・・1・・・1.5・・・2回転!」と、声に出して作業した方が間違えなくて良いです。

ちなみに 2回転戻しは規定値です。
薄くしたい場合は戻す量を少なく、濃くしたい場合は戻す量を多くしてやります。
(燃費重視なら規定量がベストだと思いますが)



<フロート高さ調整>
次に、フロートの高さ点検&調整を行います。
これによって、燃調が変わりますので大事です。

というか、初めて調整した時には、キャブってこんな高い精度でローテク使ってんの?
と、かなりビビりましたw

フロートを取り付けたら少しぶらぶら動かして、4個全てが同じように動くか確認します。

次に、少し浮かせてから戻して、フロートが「沈み込んでいない状態」を作ります。
この状態が測定の基準になります。

まずは目視しますが、写真では2番が少し飛び出ているような気が・・・


測定にはノギスを使います。
規定は 13mm±2mm とのことですが、誤差は小さいほど良いです。
なので、せっかくなので誤差 1mm以下に抑えることを目標に調整します。


こんな感じに、全てのフロートの高さをノギスで測定します。
この時点では、2番がやはり 1mmほど高くなっていました。

なので、手で調整して沈めてやります。

フロートを外して、このベロを手曲げします。
1mm沈めたいので、赤矢印の方向に 1mm程度押し込みます。

ここは指の力加減が全てです。

今回は運良く、一発で 13mmジャストに決まりました
4発全てが 13mm±1mm以下の範囲に収まった(と感じたら)、再度目視で比較します。

今度は綺麗に並びました。
といっても、測定も比較も全て目視なので、別の方法でも誤差 1mm以内に収まっているか確認する必要があります。
(これは、後ほど油面調整という作業で書きます)


フロートの調整が終わったら組み上げです。


ここまで終わったら反転して、前回の記事で外したバキュームバルブを組み上げます。

元の順に組み上げます。

こんな感じで組み込みます。

あ、先にスロットルバルブ入れてからニードルとか戻してもOKです。
注意するのは、ニードルがちゃんとNJに刺さっていること。

こんな感じです。

ダイヤフラムがきちんと溝にはまっているか確認します。
指で押してちゃんとはまっていることが確認できたら、キャップを閉じて完了です。



<油面調整>
キャブの組み立てが完了したら、早速動作確認・・・
と言いたいところですが、その前に。

まずは、フロートの動作やガソリンの流入量などがきちんとセッティングした通りになっているかを確認します。


まずは仮組み。

LLCはまだ接続しません。
ガソリンはサブタンクから供給を受けます。
インテークマニホールドのネジは仮留めなので1番・4番だけ締めます。

この状態で、サブタンクからガソリン供給開始。

まずは1番のドレンにビニールチューブを挿して、ドレンコックを緩めます。
すると赤矢印のようにガソリンが上がってきます。

このとき、青丸のところに気泡が溜まっている場合がありますので、チューブを上下させて気泡を解消してください。(この気泡があると正常に測れません)


チューブの位置を一定にするため、目印となる場所にチューブを置いて、マジックでマーキングします。(上の赤丸)

そして、ガソリンの上がってきた量が規定内の高さであることを確認します。(青線)
これは、キャブ本体に規定線があるので探してみましょう。

最後に、チューブのガソリンが上がってきた位置にマジックでマーキングします。(下の赤丸)


これで、ドレンコックを締めてチューブ内のガソリンをペットボトルに退避したら、このチューブを使用して2~4番も同様に測定します。


2番

3番

4番

全て、問題なしでした


油面調整が終わったら再度キャブを外して、今度はちゃんと接続します。

①LLCチューブ接続(左右)
②スロットルワイヤー接続(2本)
③チョークワイヤー接続(1本)
④インテークマニホールドに接続(ネジ4本)

この時点で、一旦スロットルの動きをチェックします。

・インマニに接続したネジが干渉していないか?
・ワイヤーはスムーズに動いているか?

などなど。


<同調作業>
油面調整が終わったら、始動前の最終調整。
同調を行います。

「同調」とは、エンジンの回転数を 4発で同期を取る作業で、この作業の実施有無で大きく調子が変わります。

まずはキャブを組んだ状態。
赤丸のあたりに溜まっている漏れたガソリンやLLCはふき取ります。
この後の作業で何かが漏れることはありませんので、この周辺は綺麗にしておきましょう。

何気に注意なのは、これ。
燃料ポンプから延びているホースですが、案外ガソリンが残っています。
(ガソリンフィルタに残っている分や、ポンプ内にある分など)

なので、せめてホース内のガソリンはペットボトルに移して、キッチンペーパーなど吸い込むもので蓋をしておきましょう。

これをやらないと、エンジン始動の際にガソリンが吹き出してきますw


同調作業にはバキュームゲージというものを使います。
バキュームゲージは7000~8000円くらいで購入できます。
バイク屋で同調作業を頼んだ場合、2回くらいで元が取れるのでキャブを自分で弄るなら買っておいた方が良いです。

そのバキュームゲージの接続先は、インテークマニホールドにゴムキャップがあり、そのキャップを外すとホースを接続できます。

1番のキャップ(赤丸)
ラジオペンチで摘んで引っ張ると抜けます。

こんな感じ。

引き抜いたところ。
赤丸のところにチューブを接続します。
チューブのもう一方はバキュームゲージに接続します。

バキュームゲージの少し下に、白いツマミがあります。

エンジン始動時はこの針が暴れていますが、ツマミを回して針の動きを落ち着かせます。
回し過ぎると針が動かなくなるので、ちょうど良い場所に微調整して、同調作業開始です。



キャブの、赤丸のところにあるネジを回して、ゲージのメモリが合うように調整していきます。

左のネジを回して、1番・2番のゲージの目盛りを合わせます。
右のネジを回して、3番・4番のゲージの目盛りを合わせます。
中央のネジを回して全体の目盛りを合わせます

なので、作業順序は左→右→中央ですが、中央のネジを回したところでどれか1発がズレたりする場合があるので、その場合は再度ズレたところのネジを回して、中央で合わせるといった作業を繰り返します。

最終的に、4つの目盛りが全く同じ動きをすれば同調作業完了です。



<スロットル組み立て>
スロットルの組み立ては、慣れていないと手間取るかもしれません。

この状態からスタート。
慣れるとここは楽勝で終わります。

まず、戻し(長く延びる方)のワイヤーをイグニッションスイッチにあるワイヤーの通り道に通します。

次に、引き(写真のワイヤー)を手元に引き寄せます。

先に戻し側のワイヤーをグリップのタイコに留めてから、引きのワイヤーをタイコに留めます。
慣れるまでは、これが結構大変でした

ここまで組めたら手を離してもバラバラにはならないので、裏に回って蓋を止めます。
あとはバーエンドをつけたら完了です。



エアクリーナーフューエルタンクシートカウルの取り付けはリンク先の記事を参考にして下さい。






作業完了




今回の作業で出たゴミ達。



で、トラブルの件がどうなったかというと。

まだ治ってません(てへ)


ジェットニードルの磨耗が少し怪しかった以外は概ね解消できたと思うんですが・・・
まだまだ作業は終わらないようです


夏のツーリング(その前に車検)に間に合うかしら・・・