7月の車検に向けてボチボチ整備を進めているところです
が、どうも最近嫌な症状に悩まされています。
・ 1~3速まではレッド手前まで全く問題なく吹け上がる
・ 5~6速で高回転域まで回そうとすると、6,000rpm あたりで回転が頭打ちになる
・ そこからスロットルを回すと回転が落ちていく
調べてみると、ジェットニードルなどの磨耗に起因している可能性がありそうです。
他にも幾つか可能性がありましたが、共通しているのはキャブ関係のトラブルの可能性が濃厚だということ。
というわけで、久々にキャブのオーバーホールを行うことにしました。
以前の記事ではざっくりとした流れだけ残していたので、今回は写真付きで手順を記録したいと思います
ただ、相当長くなるので、何回かに分けて書いていきます。
初回はオーバーホールの準備とキャブの取り外しまで。
【今回のOHメニュー】
・ キャブの分解掃除
・ LLCチューブ交換
・ 各種ガスケットの交換
・ フロートの高さ点検と油面調整
・ 磨耗箇所(交換箇所)のチェック
・ 同調作業
【用意するもの】
①工具
・ ドライバー各種と、30cmくらいの長めのプラスドライバー
・ ソケットレンチ各種サイズ (8mm/10mm/12mm)
・ 六角レンチ (今回使うのは 2mmのみ)
・ ノギス
・ ラジオペンチ
・ ニッパー(あれば便利)
・ カッター(あれば便利)
・ 車載工具(あれば便利)
②その他
・ LEDライト (4灯以上の明るいもの)
・ 2リットルのペットボトル (洗浄して完全に水気を切ったもの)
・ ガソリンサブタンク (2リットル用)
・ サブタンクを引っ掛けるもの(必要に応じて)
・ ビニールチューブ : 7.5mm/フューエルコック用
・ ビニールチューブ : 5mm/キャブドレン用
・ シリコングリス
・ 液体ガスケット (ガスケット全交換する場合は必須ではないです)
・ 整備マニュアルもしくは詳細が書かれているブログの印刷物(笑)
・ キッチンペーパー1巻き
・ 輪ゴム10個くらい(必須ではありません)
③純正パーツ(ガスケット類)
Parts No. 92055-1426 (キャブのフロートチャンバー室のガスケット)
Parts No. 92093-1346 (エアクリーナーとキャブ接合部分のガスケット)
Parts No. 92055-1515 (キャブとエアクリーナーの接合部分のガスケット)
Parts No. 92005-1254 (LLCのチューブ(角))
Parts No. 92005-1214 (LLCのチューブ(T-Type))
Parts No. 92055-1427 (LLCチューブ用のガスケット)
Parts No. 92055-1002 (パイロットスクリューのOリング)
Parts No. 92144-1349 (パイロットスクリューのスプリング)
Parts No. 92055-1425 (バルブシートのOリング)
さて。
だいぶ前置きが長くなりましたが。
ここからが本題です。
■キャブ取り外し方法
<準備段階: カウル~エアクリーナー取り外し>
キャブの取リ外し前に、まずは以下のものを外しておく必要があります。
・ シートカウル
・ フューエルタンク
・ エアクリーナー
各パーツの脱着方法は手順に応じて順次URLを載せていくので、よろしければ参考にしてください。
【ZZR-400 シートカウル脱着】
キャブ調整の際にはフューエルタンク取り外しの前に、ガソリンを 1リットルほど抜く作業があります。
まずはフューエルコックを「OFF」にして、ガソリンの供給を止めます。
次に、フューエルチューブのクランプを外して、チューブを矢印の方向に引き抜きます。
このとき、チューブ内に残ったガソリンが漏れるので注意して下さい。
漏れるガソリンは、ペットボトルに移してやりましょう。
フューエルチューブを外したら、ビニールチューブ(7.5mm)をフューエルコックに接続します。
ビニールチューブの先はもちろんペットボトルへ。
ちょっと画面の上が切れちゃってますが、ビニールチューブがフューエルコックへ接続されています。
この状態になったら、フューエルコックを再び「ON」にして、ペットボトルへガソリンを移します。
およそ 1リットルほど溜まったら、再びフューエルコックを「OFF」にします。
ここまで済んだら一旦ペットボトルは蓋をして、フューエルタンクを外しちゃって下さい。
【ZZR-400 フューエルタンク脱着】
【ZZR-400 エアクリーナーエレメント点検】
エアクリーナーまで外したところ。
次に、スロットルの分解を行います。
これは行わなくてもキャブ取り外しできる人もいると思いますが、スロットルワイヤーのテンションがかかった状態でのキャブ脱着は非常にやりにくいので、外しておくことをお勧めします。
(慣れればそんな大した手間でもないです)
まず、赤丸のバーエンドを外します。
これはドライバー1本で楽勝で外せます。
(楽勝で外せない人はインパクトドライバーとか使ってみましょう)
次に、ハンドルの裏側に回ります。
赤丸の2箇所にネジ穴があるので、外します。
下のネジはブレーキレバーが邪魔してうまく外せないので、長いドライバーを使いましょう。
上下のネジは長さが異なります。
戻すときに間違えてつけると、上のネジは貫通してしまうので気をつけましょう。
ネジを外すとパックリ割れます。
赤丸の2箇所で、スロットルワイヤーがタイコ留めされているので外します。
このとき、どっちかわからなくならないように・・・・
明らかに長さが違うので、あまり迷うことは無いと思いますが、不安な人はスロットルワイヤーに「上」「下」と書いたビニールテープなどで目印を貼っておきましょう。
(俺は貼ってあります)
タイコ留め部分を拡大。
このくらいの距離で見るとわかりやすいですね。
ハンドルグリップを外したところ。
スロットルワイヤーを外すとするっと抜けます。
キャブ側のスロットルワイヤーはまた後で手を出すとして。
次はガソリン抜きの作業です。
キャブに接続されている、フューエルポンプから伸びているチューブを抜きます。
これを抜いたらガソリンが吹き出しますが、エンジンかかっていないのでポンプは動いていないから、軽く溢れる程度です。
これくらいなら多少溢れても問題ありません。
後できちんと拭き取ってあげましょう。
ちなみに、フューエルポンプとチューブ内には、まだガソリンがたっぷり残っています。
そのままだと始動テストの際にガソリンが吹き出します。
とりあえずチューブ内のガソリンをペットボトルに移します。
次に、写真のようにペットボトルにチューブを突っ込んでエンジン始動してやります。
少しスロットル回してやるとポンプ内のガソリンが全てペットボトルに入っていきます。
ガソリンが出なくなったら処理完了です。
これ忘れると始動テストの時にガソリン吹き出して結構慌てますよ
次に、キャブ内に溜まったガソリンを抜きます。
キャブの下部にドレンコックとガソリンを抜くためのチューブを接続する箇所があります。
写真赤丸にビニールチューブ(5mm)を接続して、青丸のコックを緩めます。
(ドレンコックは 2mmの六角レンチで回せます。)
ビニールチューブの先はペットボトルです。
意外なくらいの量が出ますので、暫くこの体勢で待ちましょう。
出きったら一旦この作業は終わりです。
が、実際にはまだフロート室内にはガソリンが少量残っています。
キャブ取り外しの際にこぼさないように、一旦ドレンコックは手締めで締めておきましょう。
まずは、これでガソリン抜きは一段落です。
(キャブ外したときにもうひと手間あります)
サブタンクはアストロ工具などで買えます。
キャブ調整の途中で始動テストや同調作業など、エンジンを動かして行う作業があります。
その都度フューエルタンクを載せて、ポンプを繋いで・・・
とやっていたら作業効率が非常に悪いので、サブタンクを使ってやると凄く便利です。
点滴の要領でキャブに直接ガソリンを送り込んでやります。
サブタンクは高い場所に吊るしてあげる必要があるので、作業場所に応じて吊るすための道具を用意しましょう。
(写真の場合はマンションのEPS室扉に吊るすため、磁石を用意しました)
ここまでは準備作業です。
さて、ここからがいよいよキャブの取り外し。
ドレンからガソリンを抜いたら、いよいよキャブ取り外しに入ります。
まずは青丸(右端)のホースを抜き、赤丸のネジを外します。
(イグニッションコイルは取り急ぎエンジンヘッドに置いておきます)
次に、インテークマニホールドの接合部分を外します。
これは、1番~4番まで、あわせて4つのネジで留まっています。
1番のネジ。
赤丸のネジを緩めます。
2番のネジ。
ちょっとアクセスしにくい場所にあります。
3番のネジ。
これまたわかりにくいですが、実物を覗き込むとわかります。
ラスト。
4番のネジ。
どれも、アクセスしにくい場所にあります。
しかも非常に重要なネジなのでなめないように注意しましょう。
30cm くらいの長いドライバーがお勧めです。
(というか、それくらい長いドライバーじゃないと無理です)
あと暗いので、LEDライトがあった方が良いです。
ドライバーが入っている感じ。
これは2番を緩めています。(外しちゃダメですよ)
4本のネジを緩めたら、下に向けて倒しながら引っ張る感じに外します。
上から撮ったところ。
インテークマニホールドから開放されたら、次の難関。
LLCのチューブを抜きます。(左右)
これがまた非常に硬いです。
怪我しないように注意しましょう。
コツは、少しずつ回して捻ってを繰り返して徐々に抜いていくことです。
地味~な作業ですが、これを抜かないと先に進められないので頑張って外しましょう。
と、その前に、シートカウル裏にあるLLCの予備タンクの蓋を外しておきましょう。
特にエンジンを少し回した後だと圧がかかっているので、そのままLLCのチューブを抜くとLLCが噴出してきます。
走行後のエンジン熱いときにキャブを外すと、かなりの量のLLCが噴出してきます。
予備タンクの蓋を外しておくと、この噴出しを予防できますよ
あ、そうそう。
LLCのチューブを抜くところから、キャブ分離完了までキャブは手持ちになります。
その間、キャブの角度には気をつけて下さい。
あまり傾けると内部に残ったガソリンが漏れるので、なるべく取り外した時の角度を維持するように意識した方が綺麗に作業できると思います。
LLCのチューブを抜いたら、次はスロットルワイヤーを抜きます。
スロットルワイヤーは2本が赤丸のところでタイコ留めされていますので外して下さい。
後で同じように接続しますので、位置関係はわかるようにしておきましょう。
(ビニールテープ貼って、「上」「下」と書いておくだけでも違いますよ。)
スロットルワイヤーを抜いたら、次にチョークワイヤーを抜きます。
右の赤丸のネジを外して、左の赤丸のタイコ留めされたチョークワイヤーを外します。
ちなみに右のネジは3番キャブのトップを留めているネジを兼ねています。
ここには位置決め用の小さな金属チューブが入っているので、無くさないように注意しましょう。
キャブが外れました
シリンダー内にゴミが入らないように、4つの穴には蓋をしておきましょう。
キッチンペーパーを被せて、輪ゴムで留める程度で充分です。
外したキャブには、先ほどドレンから抜ききれなかったガソリンがまだ入っています。
このガソリンを手作業で抜いてやる必要があります。
外したキャブを片手で持ち、ドレンにビニールチューブを接続して、先ほど手締めで締めたドレンボルトを緩めてペットボトルへガソリンを送ってやります。
このとき、手持ちキャブの角度を変えるなどして完全に出し切って下さい。
外したキャブとエアクリーナーケース。
キャブ外すだけでもエラい手間ですね
ただ、吸気系のトラブルでキャブ調整を行う際には何度も何度もキャブを降ろすことになるので、慣れるとここまで 1時間もかからずに出来るようになります。
つづく