イギリスのEU離脱に関する国民投票の開票から、ずっとイギリス国内外で混乱したような状態が続いています。もうあんまりにも混乱がすごくて、それだけをみていても今回の国民投票では不正はなかったのではないかと思えるほどです。
前回の記事に続いて、簡単にイギリスのEU離脱関連で気になったニュースをまとめました。情報が多くてごちゃごちゃしていているかもしれません。すいません m(_ _;)m
★EU離脱派議員の相次ぐ辞職★
まず「ユアン・マクレガーのボリス・ジョンソンへの爽快な毒舌」で軽く触れたように、EU離脱の国民投票の際には離脱派に立ち、次期首相候補と言われていた元ロンドン市長のボリス・ジョンソン氏(労働党)が不出馬を表明します。これは保守党内のマイケル・ゴーブ氏が労働党党首(つまり総選挙がなければ自動的に首相になる)レースに出馬する意向を表明した直後になされました。
しかも今日、同じくEU離脱派で、ずっとEU離脱だけを公約にしてきていたUKIP(イギリス独立党)の党首ナイジェル・ファラージュまでもが、党首としての座を降りるという声明を発表しました。「(EU離脱という)政治家としての野望を果たした」ことがその理由だということです(BBC)。
(画像 コメディ「リトル・ブリテン」 風に加工されたEU離脱派のナイジェル・ファラージュ(左)とボリス・ジョンソン(右))
・・・これでEU離脱側についていた主要な政治家がいなくなったようですが、誰が 後片付け 歴史に名を残すリスボン条約50条の発動をすることになるのでしょうか?今さらイギリス側が 「ごめん、やっぱり離脱とかなしね」と言っても、EUはとても聞き入れてくれるような状態でもないようですが。
★他のEU諸国のEU離脱の可能性★
そしてすでに、他の国でもEU離脱の機運が高まっているということも多くのニュースで伝えられています。当方の先日の記事でご紹介していない、他のEU諸国の政治家によるEU離脱に関する表明の一部は次の通りです( EXPRESS紙 より)。
【ハンガリー】
政府広報・外交担当者「EUが移民問題を解決しない場合は、ハンガリーもEU離脱の国民投票を行う予定」(、7月2日)
【オランダ】
88%の国民がEU離脱の国民投票を希望
【オーストリア】
右派政治家「一年以内のEU離脱に関する国民投票を」
【ポーランド】
司法相「結論は明白だ。新たなるヨーロッパ内の協定が必要」
【スウェーデン】
EU議員「(EU離脱投票前に)スウェーデンとデンマークはEU離脱の一歩手前」
「イギリス主導のスカンジナビア経済圏が生まれる可能性」
【デンマーク】
昨年12月に国民投票を行い、これ以上EUに権限を譲渡しない意向を明らかにした
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★アメリカ国内の独立運動★
そしてこの動きはヨーロッパに留まらず、アメリカにまで波及しているようです。
以前にも何度かお伝えしたアメリカ国内での独立運動が、イギリスのEU離脱投票を受けて再燃している様子。
次はテキサスか、カリフォルニアか?イギリスのEU離脱投票でアメリカ国内で長年忘れられていた独立運動が再燃
#Texit #Calexit? Brexit vote inspires long-forgotten movements for independence in US
https://www.rt.com/usa/349436-texit-calexit-independence-movements/
Texas is bigger than you think, it deserves it's independence. #Texit pic.twitter.com/KJNMyetoGD
— Jared (@Flintlox) 2016年6月25日
ツイートの地図は、アメリカのテキサス州を欧州の地図上に置いたもので、これだけの広さがあるのだから独立してもおかしくないだろう、と表現している様子です。
Please @GregAbbott_TX get out of the USA! #texit pic.twitter.com/Xi0ks9aBnu
— Revolution MacInnes (@From_Nothing) 2016年6月25日
テキサスの独立を求める団体TMNにはすでに26万人を超えるサポーターが登録しており、16億ドル規模の経済の裏付けもあって独立してもおかしくない、ということです。
#Calexit or #Caleavefornia? #Brexit lifts Golden State independence campaign https://t.co/cEp77rEuiM pic.twitter.com/3ukH8teYp2
— George Orwell (@Consigliere_888) 2016年6月25日
こちらは「カリフォルニア共和国」の旗でしょう。
カリフォルニア州の住民に、同州は独立するべきかと質問したところ、41%が賛成していたとのこと。
【関連記事】
★グローバルエリートが統制力を失いつつあることを示す10の兆候より一部引用
8. 世界各地で本格的な分離運動が活発に
大きな政治単位(国家など)からの脱退はかつては超過激派的な考え方であったが、現在はそうでもないようだ。
アメリカのコロラド州やカリフォルニア州の一部では、分離運動が優勢になりつつある。
ヨーロッパでは、スペインやスコットランドなどで本格的な分離運動が活発になり、EU加盟国の中でもEUからの脱退を考え始めた国もいくつかある。
権力の分散化=無秩序!
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★スコットランド独立の動き★
再びイギリスに戻ります。
スコットランドでも、EU離脱投票後から再び独立機運が盛り上がり始めていましたが、独立とその後のEU加盟に躍起なスコットランドに対してEU本部からはあまり暖かい反応もありませんでしたが、その後さらに計画が煮詰まってきているようです。
イギリスEU離脱投票後からスコットランド独立のための国民投票が予定され、独立の場合には独自の通貨を用いることが検討
Scotland expected to vote for independence and introduce its own currency after Brexit, JPMorgan says
6月30日http://www.independent.co.uk/
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★「バイキング経済圏」とは?★
そしてユーロ2016で安い予算でもイギリスを破ったアイスランドが、EU離脱という結果の出たイギリスに対して「バイキング連合」に参加しないかと持ちかけています。
アイスランドがイギリスに対し、EU非加盟のスカンジナビア系連合への加盟を呼びかける
Iceland wants UK to join Nordic alliance of non-EU countries
https://www.rt.com/business/349008-iceland-uk-northern-union/
(画像 © Kai Pfaffenbach / Reuters )
Iceland, Norway and UK. Lets reestablish the old viking trade routes #BREXIT pic.twitter.com/6xG1xsDIlw
— Trond Sorensen (@trondsor) 2016年6月24日
(ツイートの画像:昔のバイキングの交易ルート)
イギリスは昔からいろいろな民族がやってきては住み着いてできた国です(だから移民に反対する動きも余計ばかげているとも思うのですが)。ローマ人もそうですが、ゲルマン系(アングロ・サクソン)、ケルト系やバイキングなども入植していて、今でも地名や人などにその名残をみることもできます。
なのでこの「バイキング連合」とも呼ばれる経済圏もおもしろいのではないか、と注目も集まっているようです。
アイスランドの オラフル・ラグナル・グリムソン大統領:「イギリスがEUを離脱したら、世界の中でも大きな面積を占める三角関係が見えてくるでしょう。つまりグリーンランド、アイスランド、フェロー諸島、ノルウェー、そして今、新たにイギリスを加わることになります」
【関連記事】
★アイスランドで銀行家らを投獄させた一人の元警官の話(2015年)
★アイスランドで銀行家に対し懲役刑が言い渡される(2013年)
イギリスも王室制度を廃止し、アイスランドと同様に銀行家を追放して「バイキング連合」に加わったらいいのでは、と私とまったく同じ考えの人も多くコメントなどを寄せています。