月曜と火曜にそれぞれクイルバックショールバス を釣り、二日間で二魚種という、ここ最近では見られなかった理想的なペースで駒を進め、とうとうアメリカ百目に大手がかかった。

栄えある百種目に選んだのは、99年に北米にやって来て以来最も身近であるにもかかわらず最も釣ることが難しかった魚種である、ギザードシャッド だった。

そこで、ジョージア州のフリントリバーでショールバスを釣ったその足で前日に初クイルバックを釣ったイリノイ州のポイントに、土砂降りの雨の中なんとか戻り、翌朝雨のやむのを待って釣り始めた。

使ったのは、アイオワ州のあるダムで実績 のある、七面鳥の羽で巻いたニンフフライで、ホリデー小継のウキフカセ仕掛にシーガーグランドマックス0.4号をリーダーにして結んだ。

初クイルバックを狙っていた際に多くのギザードシャッドを目視で確認していたので、いることは間違いがなかった。だが半日探ってもアタリはなく、フライをプランクトンフライの紫外カラーやこげ茶に替えてみてもダメだった。ウサギ用ペレットでマキエをしても変わらず、代わりにビッグマウスバッファロー が来たりして驚いた。

そこでとうとう誘惑に負け、ブラックバッファロー かリバーカープサッカー狙いに切り替えてタックルを初クイルバックを釣ったものに持ち替えた。

マキエ効果でたくさん寄っている中、小さな引き込みのアタリで乗ったのは白っぽい体側に黒く伸びた背ビレが印象的な個体で、カープサッカーであることは間違いなかった。

背ビレ温存のため背中の目の細かいランディングネットですくい、シルバーシートに横たえらせてから下唇を見た。

わずかだがはっきりと、中央がぷっくり膨れていて乳頭状になっていた。ということは、クイルバックではなくリバーカープサッカーだった。この瞬間、ついにアメリカ百目が達成された!
 


初めて釣ったリバーカープサッカー。本種が記念すべきアメリカ第百種目を飾ることになった。アメリカ固有種でもある。

 


初リバーカープサッカーの口。下唇の中央が乳頭状に膨れており、ニップルと呼ばれて近似種のクイルバックと見分ける重要なポイントとなっている。

 


クイルバックと同様に、背ビレの前端は高く伸びてクールな外観を与えている。

 


初リバーカープサッカーの俯瞰

 


初リバーカープサッカーの腹側
 

初リバーカープサッカーの近影

 


初リバーカープサッカー別影。クイルバックと比べて、目がやや吻に近く、また吻がより丸みを帯びているのでずんぐりとした印象を受ける。

 


クイルバック


コイ目サッカー科カルピオデス属。クイルバックと同属。学名 Carpiodes carpio。最大全長64センチ。クイルバックによく似るが、目がより吻に近いこと、下唇に乳頭状の突起があることで区別できる。ミシシッピー川水系と以西のメキシコ湾に注ぎ込む河川に分布しているが、カナダには分布していない。クリークや河川のプールやバックウォーター、湖などに棲む。無脊椎動物およびデトリタス食性。

 

リバーカープサッカーのハビタット
 

結果的には情報通りにクイルバックとリバーカープサッカーを同じ場所で手にすることができた。情報提供者には感謝に堪えない。この後ブラックバッファロー を狙って釣りを続けたが、釣れたのはスモールマウスバッファローコイ ばかりだった。やはりブラックバッファローはホイチョイで旅行者に釣られる魚種ではなかった。

この旅の残りの二日半は、ブルーギル が含まれるレポミス属の最後の一種であるバンタムサンフィッシュを求めてミズーリ州南部を探索したが、実績のあるポイントにはたどり着けなかった。また別の場所でレイクチャブサッカーに再チャレンジし、偶然ヤーン製の目印に反応することを発見したのでハリ先のごく小さい新虹鱗タナゴバリの先に付けてみたところ、確かに触ったがフッキングには至らずに終わった。最終日の半日はイリノイリバー水系でこのヤーン製目印でギザードシャッドを、またルアーでマスケランジェ(マスキー)を狙ったが、いずれも不発に終わり、アメリカ百目+のテーマは生まれずに遠征は終わった。