家人がいつも録画しているNHKの「こころの時代~宗教・人生~」のなかに、遠藤周作の「沈黙」に関する番組があったことに気がつき、観てみました。
遠藤周作の「沈黙」は僕は50年前に読み、もちろん感動し、それ以後遠藤周作の新刊が出るたびに購入し、ほとんどの小説は(たぶん)読んでいます。とはいえ、だいぶ昔のことなので、細かいことは覚えていないのが実情です。この放送を見て、それではならじと「沈黙」を読み返しました。
放映された番組の一部を、以下に載せておきます。
遠藤周作の「沈黙」を解説する絶好の番組でした。
こころの時代~宗教・人生~
「母なる神への旅~遠藤周作「沈黙」から50年~」
11/27(日) 5:00AM (1H00M) 1ch
ノートルダム清心女子大学教授 山根道公
番組の案内には、以下のようにあります。
作家・遠藤周作が、長崎を舞台に、キリスト教弾圧時代の信仰を描いた小説『沈黙』。刊行から50年、海外にも多大な影響を与え、この冬ハリウッドでの映画化も話題となっている。宗教の対立が世界を揺るがす現代、神の存在や信仰の在り方とは…。『沈黙』が描く日本特有の信仰の姿、潜伏キリシタンの祈りは、いま静かにやさしく語りかける。
小説「沈黙」より
その踏絵に私も足をかけた。あの時、この足は凹んだあの人の顔の上にあった。私が幾百回となく思い出した顔の上に、山中で、放浪の時、牢舎でそれを考えださぬことのなかった顔の上に、人間が生きている限り、善く美しいものの顔の上に。そして生涯愛そうと思ったものの顔の上に。その顔は今、踏絵の期のなかに摩滅し凹み、悲しそうな眼をしてこちらを向いている。(踏むがいい)と哀しそうな眼差しは私に言った。
(踏むがいい。お前の足は今、痛いだろう。今日まで私の顔を踏んだ人間たちと同じように痛むだろう。だがその足の痛さだけで充分だ。私はお前たちのその痛さと苦しみをわかちあう。そのために私はいるのだから)
マーティン・スコセッシ「沈黙」より
こころの時代~宗教・人生~「母なる神への旅~遠藤周作“沈黙”から50年~」
「沈黙」
篠田正浩監督
1971年