仙台市博物館で「若冲が来てくれました」を観た! | とんとん・にっき

仙台市博物館で「若冲が来てくれました」を観た!




仙台市博物館で東日本大震災復興支援「若冲が来てくれました―プライスコレクション 江戸絵画の美と生命」を観てきました。観に行ったのは3月5日(火)、新幹線で仙台へ行って、博物館で「若冲」を観て、駅ビル地下で「牛タンシチュー」を食べて、新幹線で帰ってきたという、ただ“それだけ”の旅でした。“それだけ”といっても、それ相応の収穫はありました。なにしろ相手は「若冲」でしたから・・・。


今回の「若冲が来てくれました」は、東日本大震災の報に接したジョー・プライス氏と悦子夫人の「東北の人々に美しいものをお見せしたい」という思いによって実現したもので、選りすぐりの絵画100店があまり火から海を越えてやってきました。伊藤若冲の作品を集めた個人コレクションとしては、世界で最高の質と量を誇るプライスコレクション。ほかにも曾我簫白や長沢芦雪、酒井抱一など江戸絵画を代表する画家の優品が目白押しです。


2008年夏に東京国立博物館で開催された「対決―巨匠たちの日本美術」、なにごともこの展覧会に戻って考えるという習性が身についています。僕の場合ですけど・・・。若冲は曾我簫白と「対決」していました。


伊藤若冲は、京都錦小路の青物問屋の長男に生まれ、家督を継いだが、絵を描くことに熱中、40歳で隠退してから85歳で亡くなるまで、画業に専念しました。はじめ狩野派の手ほどきを受けたが、親交のあった相国寺の僧大典の助言で、中国花鳥画の理念である写生に目覚め、自宅の庭に鶏を飼って観察、写生に努め、また寺院に伝わる元明の花鳥画を模写、新しく伝わった沈南蘋の花鳥画画風にも学んで、独自の花 鳥画風をつくりあげたのが30歳代のが30歳代の末です。家督を弟に譲って10年ほどかけて、絹地着色の「動植綵絵」30幅を完成させ、相国寺に寄進しました。この作品は現在、宮内庁三の丸尚蔵館にあり、写実と華麗な装飾性に、彼独自のアニミスティックな視覚が加わった類のないもので、若冲のみならず、江戸時代絵画の代表作として最近評価を高めています。(対決―巨匠たちの日本美術より引用)


「動植綵絵」30幅は「皇室の名宝―日本美の華」で観ました。「旭日鳳凰図」、「雪中遊禽図」、「石灯籠図襖風」は、「対決巨匠たちの江戸絵画」で観ました。他に、静岡、千葉美術館、細見美術館などで、若冲の作品は観てきました。今回の目玉は何といっても「鳥獣花木図屏風」でしょう。約1センチメートル四方の方眼からなるタイルを貼り付けたようにも織物のようにも見える、「桝目描」といわれる手法で描かれた作品です。若冲のこの「桝目描」という不思議な作品は、「白象群獣図」(個人蔵)、「樹花鳥獣図屏風」(静岡県立美術館)、そしてプライスコレクションの「鳥獣花木図屏風」の3点が残されるだけだという。現在の所、僕はこの3点を観たことになります。この他にもう1点、八曲一隻屏風「釈迦十六羅漢図図屏風」があるようだが、現在は所在がわからないという。


そういえば、静岡県立美術館で開催された「アナザーワールド」の際に、小林忠さんの講演を聞きに行きました。小林さんは「プライス本」についてどういう見解を持っているのか図録で確認したところ、以下のように述べていました。その丹念で緻密な色点の充填による独創的な作画の執拗なほどの持続力、異国や想像上の鳥獣を数多く動員するたくましい好奇心、子供のような無邪気であどけないユーモア精神などなど、作品のすぐれた美質にこころを揺すられるからである。現在の若冲ブームを巻き起こした原動力の一半は、このプライス本「鳥獣花木図屏風」の衝撃的な造形美に帰せられるといっても良かろう、と。


展覧会の構成は、以下の通りです。チラシには「子供たちに江戸絵画の楽しさを知ってもらうため、展示では、わかりやすい作品名称と開設で作品の魅力を紹介します」とありました。

1.ようこそプライスワールドへ

 (1)目がものをいう

 (2)数がものをいう

 (3)○と△

2.はる・なつ・あき・ふゆ

3.プライス動物園

4.美人大好き

5.お話きかせて

6.若冲の広場

7.生命のパラダイス



1.ようこそプライスワールドへ

 (1)目がものをいう


 (2)数がものをいう


 (3)○と△



2.はる・なつ・あき・ふゆ


3.プライス動物園


4.美人大好き


5.お話きかせて


6.若冲の広場



7.生命のパラダイス




東日本大震災復興支援 「若冲が来てくれました」

プライスコレクション 江戸絵画の美と生命

プライスコレクションは、優れた江戸絵画のコレクションとして世界的に知られています。本展覧会は、東日本大震災の報に接したジョー・プライス氏と悦子夫人の江戸時代の楽しく美しい絵画が、東北地方の人々を少しでも勇気づけられれば、という願いによって実現するものです。展示では、子供たちも楽しく鑑賞できるように、感じの多い作品名称をわかりやすい名称に、解説も親しみのもてるものにします。人気の高い伊藤若冲をはじめ、円山応挙や長沢芦雪、酒井抱一など様々な画家たちによる美しく、ときにユーモラスな江戸絵画の世界をどうぞお楽しみください。


「仙台市博物館」ホームページ


とんとん・にっき-jya1 東日本大震災復興支援

「若冲が来てくれました」

プライスコレクション

江戸絵画の美と生命

展覧会図録

2013年3月1日初版第1刷発行

監修:辻惟雄

編集:仙台市博物館

    岩手県立美術館

    福島県立美術館

    日本経済新聞社文化事業部

発行:日本経済新聞社


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