畠山記念館で「春を祝う―仁清・乾山・光琳―」を観た! | とんとん・にっき

畠山記念館で「春を祝う―仁清・乾山・光琳―」を観た!


「畠山記念館」入口

今回の畠山記念館の展覧会、目を引いたのは尾形光琳筆の重要美術品「白梅模様小袖貼付屏風」でした。過去のブログを見直してみると出てきませんが、どこかで観た記憶があります。この二曲一双の屏風、もとは萩地文の白倫子の着尺地に墨梅を描いて小袖に仕立てられたものを後世解いて一双の金地屏風に貼付け調度として用いたもので、「誰が袖屏風」の趣も看取される、と図録で解説しています。


光琳が実際に小袖に絵筆をふるった例として、深川の豪商冬木家に伝来し秋草文様を彩色したものが「冬木小袖」(東京国立博物館 重要文化財)と称されて著名である、と図録では続けています。


絵画では、酒井抱一の「乙御前図」と、鈴木基一の「曲水宴図」がある。乙御前(おとごぜ)とは、狂言などに使われる不器量な女の面のことで、額、鼻、あごが平で頬の出た三平二満の顔のことで、またそのような女性のことをいい、お多福やお亀とも言われます。抱一の「乙御前図」はふくよかに全身を描き、つま先をちらりと見せ、顔を袖で少し隠しつつ愛橋のある微笑を浮かべています。着物には松竹、帯に梅といった吉祥の模様が描かれています。


基一の「曲水宴図」、曲水宴は中国古代周時代に始まったとされ、日本では宮中の五節句の行事の一つとして3月3日に催された詩歌の遊びです。御苑の庭に御溝水(みかわみず)を引き、川上から觴(盃)を流して各々眼の前に流れてきた時これを取り、歌を詠むという、宮中らしい雅な趣をよく表しています。桃の花がほころぶ中、宮人が筆と紙を手に歌を考える姿が色彩豊かに描かれています。春の訪れの喜び、暖かさが伝わってきます。


今回は京焼の大成者・野々村仁清から、その弟子の尾形乾山へと伝わったやきものが、主の展覧会です。茶道具ややきものは、やはり畠山記念館だけのことはあります。畠山記念館といえば、今回は出ていませんが、古田織部が所持していたと伝えられる「割高台茶碗」がよく知られています。高台を4つに割る十文字の削り込みが特徴のものです。それはさておき、今回は本阿弥光悦の「赤樂茶碗 銘李白」が、また尾形乾山の作、尾形光琳の絵による「銹絵染付火入 銘赫々」が存在感を放っていました。


よくわからなかったのは野々村仁清の「銹絵富士山香炉」、これはけっこう大きいのですが、使い道がよくわかりません。他にも名品がたくさん出ていましたが、茶道具ややきものは奥が深く、よくわからないことだらけです。まあ、何度か観ているうちに、少しずつわかってくるものなのでしょう。


「春を祝う―仁清・乾山・光琳―」









「春を祝う―仁清・乾山・光琳―」

京焼の大成者といわれる野々村仁清とその弟子尾形乾山のやきものに加え、日本美術のなかでも人気の高い尾形光琳ら琳派の絵画を交えながら、吉祥や慶賀の意味が込められた作品を中心に館蔵の優品をご紹介いたします。なかでも尾形光琳筆の重要美術品「白梅模様小袖貼付屏風」は平成19年に開催した「琳派展」以来6年ぶりの公開となります。また今回は、本阿弥光悦作の「赤楽茶碗 銘 李白」を中心に、小堀遠州作の「共筒茶杓 銘 一つ松」や尾形乾山作の「結鉾香合」、野々村仁清作の「竹節蓋置」など、春の到来を祝う趣向で茶道具類を取り合わせます。清新かつ華やかな雰囲気を、茶室と茶庭のある空間でどうぞお楽しみください。なお、今年も会期後半の2月16日(土)から3月20日(水・祝)の間に「次郎左衛門雛」を展示いたします。愛らしいお雛様とともに春を祝いにいらしてください。


「畠山記念館」ホームページ


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「與衆愛玩 琳派」

発行日:平成19年4月3日

編集・発行:財団法人畠山記念館

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入場券

画像は

重文金銀泥四季草花下絵和歌巻(部分)









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