「武庫川女子大学 甲子園会館」 | とんとん・にっき

「武庫川女子大学 甲子園会館」


武庫川女子大学東京センターが主催する講演会「わが国の近代建築の保存と再生」、第2回は10月1日「明治の近代建築」、第3回は12月3日「大正の近代建築」、ともに日本工業倶楽部会館で開催されます。その案内が来たのでとりあえず申し込みました。そこで思い出したのが、第1回の講演会のときにいただいた「武庫川女子大学・甲子園会館」のパンフレットです。


この建物は、フランク・ロイド・ライトの弟子である遠藤新の設計によるもので、昭和5年「甲子園ホテル」として建てられました。「東の帝国ホテル、西の甲子園ホテル」と並び称され、皇族や政財界人、上級軍人などの社交場としてにぎわったという。実際にホテルとして使用されたのはおよそ15年ぐらいだったようです。その後、海軍病院、進駐軍宿舎を経て、武庫川学院の施設となりました。平成21年には国登録有形文化財の登録されます。同時に兵庫県景観形成重要建造物の指定も受けています。


日本に残る数少ないライト式の建築です。凄いのはその執拗なディテールにあります。打出の小槌を主題にしたオーナメントや緑釉瓦、浮き彫り状のレリーフテラコッタ、褐色のタイル、アール・デコ文様の壁面彫刻など、観るべき箇所は山ほどあります。一度は訪れてみたかった建築でしたが、未だに訪れる機会がないままに過ぎてしまっています。


同じ兵庫にある旧山邑邸は、随分前に観に行っているのですが、先日、その画像をブログに載せておきました。ライトの代表作である帝国ホテルは、東京・日比谷にあったときに何度か訪れました。その後移築した犬山の明治村でも観ることができました。目白駅近くにある自由学園の建物は、外側から何度か観ていますが、なかにはまだ入っていません。


遠藤新(1889~1951)は、福島県新地町出身。東京帝国大学建築学科卒業。1917年フランク・ロイド・ライトと出会い、タリアセンで学ぶために渡米します。1918年帝国ホテルの建築補佐のため帰国。また自由学園講堂(東京)をライトと共同設計、ライトが設計した旧山邑太左衛門邸(兵庫)建築の指揮を執ります。1922年ライトの帰国後、遠藤新建築創作所を設立。ライト建築の正統な継承者として多くの作品を残します。主な作品は、旧甲子園ホテル(兵庫)、目白ケ丘教会(東京)、自由学園の東久留米キャンパスの一連の作品(東京)などがあげられます。遠藤新の次男が遠藤楽、遠藤新の三男が遠藤陶です。


以下、画像は「武庫川女子大学・甲子園会館」パンフレットより










「武庫川女子大学 甲子園会館」ホームページ


過去の関連記事:

講演会シリーズ第1回「わが国の近代建築の保存と再生 明治の近代建築」を聞いた!
「日本工業倶楽部会館」を観た!


旧・山邑太左衛門邸(現・ヨドコウ迎賓館)を観た!
「自由学園明日館」を観る!
明治村の「帝国ホテル中央玄関」は素晴らしい!

とんとん・にっき-muko3 第2回「明治の近代建築」

日時:10月1日(土)13:00~
場所:日本工業倶楽部会館


とんとん・にっき-muko2第3回「大正の近代建築」

日時:12月3日(土)13:00~

場所:日本工業倶楽部会館