東京国立博物館本館「総合文化展」編! | とんとん・にっき

東京国立博物館本館「総合文化展」編!


東京国立博物館の「総合文化展」ってなに?「平成館」の特別展には行くけど、本館や法隆寺宝物館、表慶館でも展示はやっているんです。今まで僕も双ですが、平成館で特別展を観た後、本館の展示を観るときは「常設展」を観ると言ってました。


2011年新春、東京国立博物館・本館のリニューアルを機に、展示の名称もリニューアル、「平常展」は「総合文化展」と呼ぶことになりました。たしかにちゃんと観れば特別展に匹敵する、あるいはそれ以上のレベルの高い作品が観られます。東京国立博物館は、所蔵11万件以上、国宝87建、重要文化財616件というから凄い。日本文化を体系的にとらえることのできる世界唯一の博物館なので、けっこう外人さんもたくさん見かけます。


そんなわけで、「博物館に初もうで」に行った際に本館の、今までの「常設展」、今年からは「総合文化展」を観てきました。一通り見たのですが、ここでは主として「禅と水墨画」や「屏風と襖絵」を下に載せておきます。キャプションは、展示されていたものをそのまま書いておきます。



伝狩野元信「囲棋観瀑図屏風」

元信は、正信の跡を継ぎ、大規模な制作をこなす画家集団としての狩野派と作画システムを作り上げ、狩野派発展の基礎を確立した画家。狩野派は、周文や雪舟といった画僧(禅宗寺院所属の僧侶画家)にかわり、15世紀末には水墨画制作の担い手として台頭した。




土佐光起「源氏物語図屏風(初音、若菜上)」

室町時代以来、宮廷の絵画制作の中心となった土佐派の系譜に繋がる光起の代表的作品。当時、衰徴していた土佐派に、光起は写生的な描法などの表現も取り入れて、新たな画風を作り出した。緑青で細かくあらわした御簾越しに室内を見るという趣向である。



伊藤若冲「松梅群鶏図屏風」

若冲は「鶏の画家」と知られ、多くの鶏図を描いている。正面向きや後ろを描いたもの、雄々しく立つ姿や座る姿など、雄雌の鶏と雛のさまざまな姿態を克明に描き分けている。石灯籠は、大小無数の点で描かれていて、御影石の表面が真に迫ってあらわされている。



沈銓「鹿鶴図屏風」

沈銓(号は南蘋)は中国・清時代の花鳥画家。享保16年(1731)に来日し、数年滞在した。その画風は、江戸時代の画家に大きな影響を与えた。本図は沈銓の代表作の1つ。多壽を願う吉祥図で、不老長寿を寓意する鹿、鶴、松、柏、桃、霊芝などが描かれている。



下村観山「弱法師」

再興第2回院展の出品作。盲目の弱法師俊徳丸が、梅の花の咲く四天王寺の庭で、彼岸の落日に向かって拝む謡曲「弱法師」の一場面。観山は三渓園内の臥龍梅の木に着想を得てこの絵を描いた。能面を思わせる面貌とともに能楽的情緒を漂わせている。




島崎柳鵜「美音」

箱火鉢を囲み、琴の美音に耳を傾けている老若男女の群像。各々の表情やしぐさにごく自然な動きが表現されている。東京勧業博覧会に出品された。柳鵜は川端玉章門の逸材で、明治33年に結城素明、平福百穂らと結成した自然主義の団体・无声会で重きをなした。


岩佐又兵衛「羅浮仙図」

隋の趙師雄が梅の名所羅浮山で、羅を纏った芳しい美女と出会う。誘われるまま酒を酌み交わし、師雄が酔い伏して気づくと女の姿はなく、身は林中の梅樹の下にあった。師雄を惑わせた美女は実はこの梅の精(仙女)だったという伝説。美女は羅浮山と呼ばれた。
安田靫彦「項羽」

靫彦は有職故実と古典を研究して、中国、日本の歴史や神話に取材した古代をテーマとした歴史画を数多く制作した。本作は中国・秦時代末期の楚の武将である項羽(項籍)を描く。項羽は秦を滅ぼし、天下を劉邦と争った。


横山大観「松並木」

巨大な松樹の大きさをよりいっそう強調して演出するために、画面左下隅に小さく旅人を描く。その対比は極めて鮮やかである。大観は、明治期には朦朧体を提唱し、大正期には琳派を探求し、昭和期には水墨画を数多く描くなど、常に日本画の新しい表現を追求した。
大智勝観「聴幽」

勝観は、日本美術院の再興に参加し、小林古径らとともに同人に推挙され、のちに経営に加わるなど、美術院の発展のために尽くした。本作の樹葉の描き方をみると、横山大観の岩絵の具の使い方や、今村紫紅の点描法を租借し、自らの表現と成したことを指摘できる。


小林古径「阿弥陀堂」

早朝の薄明に立つ阿弥陀堂(京都宇治の平等院鳳凰堂)が描かれている。当時、建築物だけを主題として扱ったこの作品は斬新なものと評価された。大正期の古径作品は、本作のように、色彩豊かでおおらかな画風を示している。


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