東京オペラシティアートギャラリーで「ドミニク・ペロー」展を観た! | とんとん・にっき

東京オペラシティアートギャラリーで「ドミニク・ペロー」展を観た!

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東京オペラシティアートギャラリーで「ドミニク・ペロー 都市というランドスケープ」展を観てきました。ドミニク・ペローという建築家について、僕はほとんど何も知りませんでした。かろうじて、ベルリンの「自転車競技場/オリンピック・プール」は、写真を見て「ああ、これか!」と思い出しました。十日町の「能舞台」も、その形は写真で見て知っては今したが、ドミニク・ペローの作品だったことは知りませんでした。そして、コンペだったようですが、大阪・梅田の「大阪富国生命ビル」についても、今回初めて知りました。


「ドミニク・ペロー 都市というランドスケープ」展は、どちらかというと、今までの建築の展示の仕方を踏襲しています。映像、模型、図面、が相まって、ペローの建築の全体像を示しています。今回、ドミニク・ペローの代表的な作品を観て、フランスだけではなく、いわば世界を股にかけて仕事をしている建築家だと言うことがよくわかりました。しかし、一目見てドミニク・ペローの作品だとわかる建築がないように思います。一つ一つがまったく異なります。言い換えれば、ドミニク・ペローのスタイル、様式がない、ということです。対応がその場その場で行われ、一貫したものがないといえます。それは、世界的に建築の状況が流動的なのか、一つのスタイルだけでは解決できない、ということなのかもしれません。


その中で最も問題作だと思ったのは、やはり「梨花女子大学キャンパス」でしょう。規模も大きいので、建築の中の都市や、自然に対する考え方など、コンセプトが、素直に現されているように思います。「大阪富国生命ビル」は、規模も小さく、オフィスビルという制約もあり、結局はカーテンウォールの操作だけに終始しています。



ドミニク・ペローは、「都市というランドスケープ」として以下のように述べています。


建築の設計は、長らく歴史の分析と不可分でした。1980年代以降、建築家は歴史の分析から自らを解き放ち、地形(ジオグラフィ)を読むことへと前進しました。今日の建築において、私は歴史よりも地形が優位にあると感じています。私の興味は、自然の風景が人工物に対して優れているかどうかを判断するのではなく、私たちを結びつけ喜びを与えてくれるこの地球という地で、人びとがどのように生き得るかという点にあります。心地良い場所とは、多くの割合で人の手が入っていることに気付くでしょう。手つかずの自然が必ずしも望ましいわけではないのです。


敷地における自然と人工の関係は、まるでゲーム空間のように緊張状態を有しています。私は敷地の物理的な状態、地形を探ります。農業を営むかのようなアプローチ、視点といえるでしょう。私の物事との関わりは、少し原始的です。敷地や空気、水、光、温度などとの感覚的な関係に信頼をおいているのです。土地とは、その状態を探る対象であり、強く、そして偉大であるがゆえに服従する相手でもありますが、土地との感覚的な関係は私にとって根源的なものです。人間を凌駕する自然の中に人は存在すると認識することは、人間のありようを定義することではないでしょうか。


今回の展示で、ギャラリーに置かれているテーブルが5つ、それは以下のように分けられていました。

TABLE 1 都市の地形
TABLE 2 自然への接地
TABLE 3 場の発見
TABLE 4 ランドスケープとしてのスカイライン
TABLE 5 地形の変容



イントロダクション


映像と素材でペロー建築を体感


都市というランドスケープ


ディテイルの実践、アーカイヴ


「ドミニク・ペロー 都市というランドスケープ」展

フランスの建築家ドミニク・ペローは、80年代後半、フランス国立図書館の国際コンペティションを36歳の若さで勝ち取ったことにより、世界中の注目を集める存在となりました。ちょうど本を開いたかのような形の4つの高層棟が中庭を取り囲み、同時に都市に開いて建つこの建物は、そのミニマルな力強さで当時世界を席巻していたポストモダンに幕を引き、建築界に新しい風を起こしました。以来、さまざまなプロジェクトを世界各地で進行させています。ペローの作品の特徴とは、新しい建築をいかに文化的、地理的な背景と結びつけ、現在進行形の歴史の一部とするか、という視点です。とはいえ、その建築は周辺と安易に迎合するものではありません。強い造形性を帯びた、あるいはこれ以上ないほどシンプルなそのたたずまいは、人びとの意識が土地の文脈を再確認するきっかけを創出します。本展では、フランス国立図書館に始まり、自転車競技場&オリンピック・プール(ベルリン)、梨花女子大学(ソウル)など、都市や自然とのつながりが熟考された作品を映像や模型によって検証しつつ、進行中のプロジェクトの設計過程をたどります。2010年秋には大阪でオフィスビルが竣工するなど、日本でも活躍の場を広げるペローの思想をご覧頂きます。


「東京オペラシティアートギャラリー」ホームページ


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