茅野市美術館で「藤森照信展」を観た! | とんとん・にっき

茅野市美術館で「藤森照信展」を観た!

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茅野市美術館で開催されている「藤森照信展 諏訪の記憶とフジモリ建築」を観てきました。8時ちょうどの「特急あずさ5号」で、茅野着は10時7分、降りるとすぐ横、線路と平行に茅野市美術館があります。これがなかなかの名建築、設計は古谷誠章、2007年日本建築学会賞を受賞した建築です。藤森照信の建築の全貌は、過去にオペラシティギャラリーで開催された「ヴェネチア・ビエンナーレ建築展・帰国展」であらかた出しつくされていますが、それに加えて新作の紹介や、藤森が育った諏訪の地で開催されるということが今回の「藤森照信展」の大きな特徴です。


今回の目玉は、なんと言っても「空飛ぶ泥舟」でしょう。建築の展覧会と言うと、どうしても図面や写真、模型などで見せる以外に手はありませんが、実物が観られます。しかも(事前申込制で、10分交代ですが)宙に浮いた泥舟の中へ入れます。中は茶室になっているようです。やはり実物は迫力があります。会場では「空飛ぶ泥舟」の制作過程、ワークショップの模様がビデオで流されていました。地域の人たちを巻き込む、これが成功したようです。足を延ばせば、藤森の処女作「神長官守矢史料館」や、藤森家の畑に作られた茶室「高過庵」も観ることができます。僕はレンタカーを借りて、このふたつの建築を観てきました。今回の「藤森照信展」は、なかなか刺激的な建築の展覧会でした。



「空飛ぶ泥舟」:


ワークショップの記録

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初期の作品:

最新作、海外の作品:

藤森照信展 諏訪の記憶とフジモリ建築

2010年に開館30周年を迎える茅野市美術館では、当市出身の藤森照信の展覧会を開催します。藤森照信は1946年生まれ。高校卒業まで茅野市で過ごし、東北大学、東京大学大学院に進学。その後、近代建築史・都市史研究の第一人者として多くの業績を残し、1998年には日本建築学会賞(論文)を受賞しています。2010年3月まで東京大学生産技術研究所教授を務め、同年4月より工学院大学建築学科教授を務めています。一方、藤森照信は、茅野市で神長官守矢史料館(1991年)を設計し建築家としてデビュー。自然素材や植物を用いて、これまでに20作品以上の独創的な建築を創り続けています。また、藤森、友人、施主からなる「縄文建築団」が建築施工に参加し手作りすることも特徴となっています。そして≪ニラハウス≫で1997年に第29回日本芸術大賞、≪熊本県立農業大学校学生寮≫で2001年に日本建築学会賞(作品)を受賞。2006年の第10回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展では日本館のコミッショナー(兼出品者)に就任、自身の建築と、路上から観察できる森羅万象を対象とし、本来の意図とは異なる無用の「美」を採集する路上観察を紹介、「フジモリ」の名を世界に知らしめました。本展では、建築写真、建築模型、プロジェクト模型《東京計画2107》、スケッチ、屋根・壁・左官の材料見本、家具に加え、藤森照信自身が撮影した茅野市での幼少期に、影響を受けた風景や素材の写真、ワークショップの一般参加者と地元の職人が地域の素材を用いて制作した藤森照信設計の茶室《空飛ぶ泥舟》を展示します。また、路上観察学会メンバー(赤瀬川原平、藤森照信、南伸坊、松田哲夫、林丈二)が茅野で採集した物件(写真)の展示や品評会、路上観察のレクチャー、一般公募による「諏訪の路上観察」物件の選定・品評をおこないます。さらに会期中、フロッタージュの手法を用いて「都市の記憶」や「歴史の痕跡」を擦りとり、作品制作を行う美術家・岡部昌生や、藤森照信と同じ諏訪地域の下諏訪町で育った現代を代表する建築家・伊東豊雄を招き、トークセッションをおこないます。展覧会に加え、これらの関連企画とともに、藤森照信の中にある諏訪の記憶、人々の中にある地域の記憶、そして地域の中に潜む記憶をみつめながら、藤森照信とその建築の全貌に迫ります。


「茅野市美術館」ホームページ


とんとん・にっき-do6 「藤森照信展 諏訪の記憶とフジモリ建築」

図録

編集:前田忠史(茅野市美術館)

    上畑史(茅野市民館)

発行日:2010年7月24日

発行:茅野市美術館





藤森照信の本
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