「メゾン四畳半・藤森照信展」を観る! | とんとん・にっき

「メゾン四畳半・藤森照信展」を観る!

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先日、東京オペラシティアートギャラリーで「藤森照信と路上観察展」を見てきましたが、またまた藤森照信関連の話題です。東京は銀座、ソニービル横の「メゾンエルメス」の8階フォーラムで開催されている「メゾン四畳半 藤森照信展」を観てきました。とはいえ、エルメスの関係者が三つのチームに別れて、「四畳半」というスペースにそれぞれテーマを掲げていわば「小屋」をつくるというもの。それぞれのテーマとは、「火があること」「人を招くことができる」などで、小屋の制作過程から公開していたようです。展覧会の会期は、2007年3月17日(土)~ 6月10日(日)ですから、まだまだ間に合います。銀座にお出かけの節は、「メゾンエルメス」にぜひ立ち寄り下さい。



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ただし、格調高いエルメスの、黒のスーツに身を包んだ店員さんがたくさんいる1階のお店を、平気で通り抜けて、小さなエレベーターに乗らないと展覧会場には行き着きませんが。しかも、8階に辿り着くと、その場で靴を脱がなければなりません。くれぐれも穴のあいた靴下にはご注意下さい。なんて、この展覧会は半分冗談の、お遊びのような催しです。と言っては失礼ですが、デザイン学校で原寸のスケールや建築材料を体験するのに、よくやる演習課題です。どういう関係で天下の「エルメス」が、このような企画にのったのかは僕にはまったく判りませんが。でも、お金がかかっているし、さすがは指導教官がいいので、それぞれの作品は、観られるものに仕上がっています。その他にあのボッティチェッリの「ヴィーナスの誕生」の、ヴィーナスの乗っている大きな貝と同じようなものが展示してありました。それぞれこの貝の上に乗って写真を撮ってくれというものです。自信のある方はぜひ試みてみるのもいいかと思います。




朝日新聞の「見たことないのに懐かしい 藤森流『建築の楽しみ』」(2007.5.2)という記事の中で藤森は、「日本の近代建築(上下)」(岩波新書)と「丹下健三」(新建築社)を書いたことで、「一応建築史の学者としての責務を果たした」と話しています。今はもう、すっかり「つくる側」にまわりました。屋根にタンポポを植えた自邸「タンポポハウス」や、地上6mの高さの樹の上に建てた「高過庵」など、土や木など自然素材を使った「藤森建築」は、どのような発展を遂げるのか、今後が楽しみです。なにしろ15年前、「タンポポ咲く超高層ビル設計依頼待つ」と、朝日新聞に原稿を寄せた藤森です。さすがに注文はまだないそうですが。





自分の家は自分で作ろう。
本格的な家はむずかしいにしても、友を呼んでご飯を食べ、寝泊まりできる程度の仮設的な家なら誰にでも出来る、はずである。かつて人類はそのようにして最初の住まいを作り、今も、子供たちは“基地づくりを楽しむ。さいわい日本には、自分でも作ることのできる程度の大きさの“住まいの原型”というものがある。四畳半である。畳を敷いても敷かなくてもいいが、2.7m四方の中で、日本人は最小限の住生活を送れる、と考えてきた。縄文住居もほぼこんな広さだったし、中世の鴨長明や兼好法師が結んだ庵(いおり)も四畳半。庵を基に成立した茶室も四畳半をベースとする。2.7m四方の面積を囲んで、壁を立て、屋根を架け、入り口と窓を開け、中に、炉を切り、ベッド(布団)を置き、本を読み文を書くための机を置き、花屋大切な物を飾る棚を付け、友が座るためのスペースを設ける。このようなテーマにエルメスの3組が取り組み、会期中を通して、工事を進める。指導は私、藤森照信。使う材料は木質パネル、漆喰、焼杉、アコヤ貝、金箔、銅販などなど。漆喰塗りやアコヤ貝張り、金箔張りなどは、来館者も工事に参加できます。はたして、どんな自分の家ができあがるのか、楽しみである。
藤森照信


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