メゾンエルメスで「市井の山居:細川護煕展」を観た! | とんとん・にっき

メゾンエルメスで「市井の山居:細川護煕展」を観た!

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東京・銀座のメゾンエルメスで、「市井の山居:細川護煕展」を観てきました。元首相ながら今は美術制作に精進している細川護煕、「10年ほど前に政界を引退し、神奈川県湯河原での山居暮らしのなかで、陶芸を始めました。その窯傷を、漆を使って補修する金継ぎで直すうちに、漆で絵を描き始め、油絵にも広がっていきました。全部つながっているんです」と、細川はインタビューに答えています。メゾンエルメスの建築は、レンゾ・ピアノ設計の大きなガラスブロックが特徴です。

最上階は2層吹き抜けの空間になっていて、会場に作られた茶室「亜美庵杜(あびあんと)」は、藤森輝信の設計です。この茶室にかけられている障子のようなものには、細川の手になる「色即是空」の文字が見えます。湯河原の住居「不東庵」には「一夜亭」という名の茶室もありますが、ともに藤森の設計です。「市井の山居」展は、茶碗や陶仏、そしてハスの池や熊本城を描いた油絵が展示されていました。なかでも目を引くのが油絵の「達磨図」でしょう。これは永青文庫にある白隠の「達磨図」がモチーフで、油絵を描き始めた最初の作品のひとつだそうです。


「油彩を描くにあたっては、セザンヌやモネ、佐伯祐三、須田剋太、梅原龍三郎、安井曽太郎などの絵には好きなものがいくつもあります。ゴッホ、ルオー、ルノアール、ブラマンク、里見勝蔵など内外の多くの画家の画集も、折に触れ見ることがあります。参考になるのは特にタッチです。例えば盛り上がった筋肉などを筆使いで塊ごと描いていくというようなところですね。構図はもちろん参考になりますが、見るのはやはりタッチです。日本画は平面的な感じがして、私はいまのところ、油絵しか描きません」と、油絵を描き始めてまだ1年ほどの細川は言います。









メゾンエルメス8階フォーラムは2001年6月の開館以来、今年で10年目を迎えます。様々な創造性の交流を促してきたフォーラムでは、現代美術の枠に囚われない表現活動の交差点となることを目指します。細川護熙は1938年東京生まれ。1993年から1994年にかけて第79代内閣総理大臣を務めたあと、60歳を機に政界から退いてからは、神奈川県湯河原町の自邸「不東庵」で陶芸をはじめ、書、水墨、漆芸といった多岐に渡る制作活動を続けています。多忙を極める生活にピリオドを打ち、全く未経験の状態から始めた陶芸は発表以来、高く評価され、日本各地で数々の個展を開催しています。「市井の山居」と題された本展覧会では、近年精力的に制作している絵画作品を中心とし、それをランドスケープの一部に見立てたようなしつらえのなかで、茶碗、陶仏など数々の作品を展示いたします。「不東庵」には公私ともに交流の深い建築史家の藤森照信氏が設計した工房と茶室「一夜亭」がありますが、今回フォーラムの空間でも同じく藤森氏設計の茶室「亜美庵杜(あびあんと)」が皆様をお迎えします。新聞記者として、政治家として特殊でかつ厳しい時の流れのなかに身を置きつつも培ってきた細川の芸術への造詣は、閑居生活に入った現在も尚一層生き生きと輝いています。日々、表現者として研鑽を積み重ねる姿は、現代社会を生きるすべての人々が表現活動への扉を開ける鍵を持っているということを気づかせてくれるでしょう。


「メゾンエルメス」ホームページ


細川護煕「市井の山居」展がメゾンエルメスにて開催中:excite.ism


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