<総合案内>

いつも大賑わいの研究所第一弾リレーが、ついにマックまで回ってきました~!
いつもめろきゅんが溢れてて砂糖よりも甘いこのリレー、前回翆蓮様がキョーコ目線でショーをお書きになられたので、マックは蓮目線で行ってみました。
よって若干きゅん不足…?
不足分は今までの話を読んで補ってくださいませー!

第一話 風月様
第二話 ピコ様
第三話 ケロちゃん様
第四話 美花様
第五話 sei様
第六話 チカ様
第七話 明太山葵様
第八話 ひかり様
第九話 翠蓮悠璃様


最近不調のわたくし、何度も書き直してやっとこさ自分の中の及第点をクリアできました。
(なかなかアップ出来る程の出来にならなくて…悪戦苦闘><)
次のいりる様へのつなぎ程度にはなれるといいなぁ。

ではどうぞです☆

゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚第10話 ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚


「あ、キョーコちゃんだ。」

戻ってきたばかりの控え室にあるテレビを点けた社さんが、小さく声を上げた。
目線をテレビに移すと、ショーの中継が流れていた。

画面の中の最上さんは、俺の教えた通りの美しいウォーキングを披露し、華やかな笑顔を振りまいている。
脚線美をより強調するピンヒール、華奢な彼女を彩り艶やかに演出しているドレス、プロにより施された舞台に映えるヘアメイク。
…だが何よりも、最上さんの舞台上でのポージングとくるくる変わる表情が、俺の目を惹き付けて離さない。
最初ナツのように大人っぽく艶やかな表情で登場したかと思えば、突然愛らしい華のような笑顔を見せる。
かと思えば、くるりとターンをした瞬間に不敵な笑みを口元に湛え、ドレスに深みを与える。
ランウェイを歩く間、着用している衣裳は当然変わることはないはずなのに、彼女のその表情が、その動作が、たった一着のドレスに次々と新しい命と表情を与えていく。

その素晴らしい舞台を一瞬でも見逃したくなくて、瞬きすら惜しい。
俺ですらこうなんだ…他の観客や、この中継を見ている者達はもっと心を魅了されている事だろう。

(しかし…何度見ても素晴らしいな。)

昨夜見た、俺だけのための舞台を思い出す。
あの時もやはり、衣裳を引き立たせ、尚且つ自らの才能を一気に花開かせた最上さんに目を奪われた。
花開く瞬間を俺だけが目の前で見ることができた…その事に満足感を覚える。
そしてこの3週間の生活に終わりが来る事を、非常に淋しく思った。

最高のウォーキングや立ち振舞い、これらを全て自らのものとした最上さん。
「教える」と言う立場と口実を使って彼女の隣と触れる権利を手にしていたが、今夜でそれが終わってしまう。
そうすると明日からはどうなる…?
このショーを見たライバル達が、最上さんを本格的に口説きにかかるだろう。
彼女の恋愛拒否症は相変わらずだが、俺がその男達を許せるのか?
…否、近付く事すら許せないな。
いつだって彼女の隣にいられる権利は、俺だけのものであってほしい…
昨夜彼女の小指にこめた小さな願いを、永遠にしたい。

少し長めになった休憩中、そんなぐるぐるとした思考にずっと囚われていると、ふいに携帯が鳴った。
ディスプレイには最上さんの名前…。

『あのっ、お疲れ様です敦賀さん!』
「やあ、お疲れ様。ショーの中継見たよ…素晴らしかった。」
『本当ですか?やだどうしよう、嬉しいです…っ』

電話なのに、その柔らかい声が恥じらいと喜びに溢れていて、まるで目の前ではにかんでいるような、そんな気がしてくる。

『これから事務所に戻って報告した後、敦賀さんにお会いできないかと思いまして…お仕事はいかがですか?』
「俺はあと少しで終わると思うよ?もし良かったら、ショーの成功を俺に御祝いさせてもらえないかな?」
『えっ!?御祝いだなんてそんな…』
「いいんだよ、俺がしたいからするんだ。最上さんは気にしないで…ね?」
『…わかりました。でも、畏まっちゃうような事は困りますからね…?』

約束を取付ける事に成功した俺は、気持ちを切り替えて仕事に臨み、終了時間を早く切り上げることにした。



「ご連絡いただきありがとうございました、敦賀様。お部屋へ御案内するまでの間、どうか庭にてお待ち下さいませ。」

以前撮影で来たことのある邸宅風のレストラン。
ここはウェディングも扱っており、普段はレストランとして開いている1階のバンケット、3階に式場がある。
俺がお願いしておいたのは2階の個室。
連絡したのも突然だったし時間より随分早くに着いているから、待たされる事については特に何も感じない。
それに、ここの庭は彼女の好みに当てはまるから、二人でのんびり待てるのなら好都合だ。

「わぁ…っ、バラが綺麗ですねぇ!あんな可愛いガゼボが飾られてるって事は、こちらはウェディングもできるお店なんですか?」

俺の思った通り、 最上さんは静かにライトアップされた美しい庭にはしゃいでいる。
南仏風のプロヴァンスガーデンに、ミスマッチになることなく馴染む色とりどりのバラ。
そしてバラに囲まれた、丸い屋根が可愛らしい真っ白な小さいガゼボ。
ガゼボの中心に立ち、見上げる最上さんの隣にそっと立つ。

「そうだよ、この庭で人前式を挙げる夫婦も多いらしいよ?」
「へえ~…こんな素敵なお庭で挙式…憧れます…!」

今の最上さんの服は、淡いピンクのエアリーなエンパイアワンピース。
勿論俺がプレゼントした服のうちの一着だ。
ふんわりと揺れるシフォンが彼女にぴったりだと思って贈った。
ライトに照らされるとワンピースの色は白にも見えて…あぁ、ウェディングドレスを着ているみたいだなどと思ってしまう。

「敦賀さんのおかげでショーも無事に終われましたし、こんな素敵な場所にまで連れてきていただいて…本当にありがとうございます。」
「いえいえ…あ、じゃあ、お礼くれる…?」

にっこり微笑む最上さんに、俺はおねだりをすることにした。
少し背を屈めて、自分の唇を指でトンと指差す。

「えっ…!お礼って…それじゃないとダメなんですか?」
「出来ればここがいいな…ダメ?」

少し眉を寄せて、困ったような寂しがるような顔をする。
最上さんはこの表情に弱いから…

「~~~っじゃあ敦賀さん、目を閉じてくださいっ!」

迷った彼女がそっと俺の肩に手を掛けてきたので、俺は素直に目を閉じる。
すると唇のすぐ横に、温かくて柔らかい感触が押しつけられ、すぐに離れていった。

「…すっごく感謝してますから、お礼はこれで許してください……」

目を開けると、目の前には顔を真っ赤にさせた最上さんがいた。
よっぽど恥ずかしかったのか、目線を忙しなく左右に動かし、両手で口元を隠してしまっている。
本当にお礼が欲しい場所はここではなかったけど、こんなに可愛い最上さんを独占できているのだから、今夜はこれでいい事にしよう。

「敦賀様、お待たせいたしました。お部屋へ御案内いたします。」

いつの間にか戻ってきたスタッフに声をかけられ、まだ恥ずかしがる彼女の背に手を添えてエスコートする。
翌日からも、俺が彼女の一番側にいられるように願いながら………



いりる様へと続きます。〉

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昔何かで見たショーのモデルさんで、表情が変わる度に衣裳の雰囲気が変わる人がいたんですよ。
それがすごく素敵だなぁ…と思っていたので、ついやってしまいました。
二人でお祝いのレストランも、一度は行ってみたいなぁと思ってる場所を引用。
でもガーデンは私のお気に入りの場所のを拝借w

普段の3倍以上の文字数書いているのですが、それでも表現力不足で失礼しました。