昨年夏の…恋する日本語 ~あえか~涵養~洒々落々~恋水~忘れ種~ | テレビ番組 時事ネタなど書いていきます。はい。

昨年夏の…恋する日本語 ~あえか~涵養~洒々落々~恋水~忘れ種~

現在、木曜深夜、日付変わって24時15分から、
NHK総合で放送中の「恋する日本語」は
小山薫堂さんの同名の書籍からの番組化です。
(この記事作成中にも放送中)



この「恋する日本語」が最初に放送されたのは昨年夏。
この時に放送された「恋する日本語」(パイロット版)が再放送されていましたので、
再び見るために録画しておきました。
あらためまして、記事にしたいと思います。

余貴美子さんはそのままですが、
ゲストは北乃きいさんでしたね。
今の番組よりも、
もう少しプロローグ部分がドラマっぽいです。
店も全く違いますね。
余貴美子さんは

ふることば屋

だとご説明。



あえか

あえ‐か
かよわく、なよなよとしたさま。たよりないさま。源氏物語(帚木)「艶に―なるすきずきしさのみこそをかしくおぼさるらめ」。「―な花」

広辞苑 第六版 (C)2008 株式会社岩波書店

番組中紹介されたのは、

冬枯れの木立あえかになまめかし
  後に朝の歩み寄る時


若い女性に多く用いられる「あえか」を、
冬の木立に使用している与謝野晶子の歌。

はなやかならぬ姿、いとらうたげにあえかなる心ちして

「源氏物語」夕顔より

目立たない服装は、とても可愛らしくか弱く華奢な感じがして~

あえかなるモノを美しいと感じるの日本の文化。
それは女性に対してだけではなく、
四季の移り変わり、また移ろう恋の儚さについても。



涵養

かん‐よう【▼涵養】─ヤウ[名・他サ変]
徐々に養い育てること。「徳性[忍耐力]を─する」「水源─林」◇「涵」はうるおすの意。

明鏡国語辞典 (C) Taishukan, 2002-2008

「ホンマでっか」でやっていましたねえ。
サプライズよりも、毎日の優しさ、
何気ない時のプレゼントなどの積み重ねのほうが、
関係を長続きさせる、と。
「からくりTV」なんかで時々見かける海外のサプライズプロポーズ。
とんでもない大仕掛けだったりするんですが、
こういう派手なものほど離婚しがちだとか?
特に付き合いが長くなって、
結婚という形になりますと、
愛情は生活の中に示されるものになるのでしょうか。
非日常もアリでしょうけれど、
そうそう非日常では地に足が着きません。

植物に水を与えるにしても、
一気に大量の水を与えても、
それはその植物を枯らすことになるでしょう。


洒洒落落

しゃしゃ‐らくらく【洒洒落落】
(「洒落(しゃらく)を強調した語」)性質・言動などがさっぱりとして、こだわる所のないさま。「―たる生き方」

広辞苑 第六版 (C)2008 株式会社岩波書店

竹を割ったような性格なんて慣用句(?)がありますけれど、
むしろ男のほうがネチネチしているなんていったりしますね。

だから「女々しい」という言葉は、
男にしか使わへんねん
男のほうが「女々しい」やろ


そう仰ったのは、詭弁を吐かせれば天下一の上岡龍太郎さん。

近ごろは「男前女子」なんていわれる女性もいたりして、
基本的には誉め言葉なんでしょうけれど、
ただし「男前女子」に擬態している女性には気をつけましょう。


「洒」、この文字には訓として「そそぐ」とか「あらう」とかがあります。
「洒落(しゃらく)」という漢語は

しゃ‐らく【洒落・灑落】
物事に頓着せず、さっぱりとしてわだかまりのないこと。「―な人」「―に生きる」

広辞苑 第六版 (C)2008 株式会社岩波書店

という意味があって、
また、それとは別に和語で「しゃれ」がありました。

しゃれ【洒落】
(「戯(さ)れ」から。「洒落」は当て字)
(1)気のきいたさま。いきなこと。黄表紙、高漫斉行脚日記「諸事―を好み」
(2)気のきいた身なりをすること。おしゃれ。金々先生栄花夢「あらゆる当世の―をつくせば」
(3)座興にいう気のきいた文句。ことばの同音をいかしていう地口(じぐち)。黄表紙、世上洒落見絵図「これはどうだ秀郷(ひでさと)と悪い―をいつたら」。「―が通じない」「駄―」
(4)たわむれに軽くふざけてする事。冗談事。「―にならない」

広辞苑 第六版 (C)2008 株式会社岩波書店

「洒落」と「しゃれ」は別の言葉でしたが、
音が似ていて、意味に重なる部分があったことから、
江戸時代頃から当て字されるようになったとか。



恋水

こい‐みず【恋水】 コヒミヅ
(万葉集「変水(おちみず)」の誤写より)恋のために流す涙。

広辞苑 第六版 (C)2008 株式会社岩波書店

変水は若返りの水。

白髪生ふる ことは思はず 変水は
 かにもかくにも 求めて行かむ


万葉集から佐伯宿禰赤麻呂の歌。
白髪ごときは大した事ではない。
とにかく変若水を探し求めよう。
と、そんな歌。

これは相聞歌で、彼が思いを寄せる若い娘に歌で言い寄ったところ

我が手元 まかむと思はむ ますらおは
  変水求め 白髪生ひにたり


とそっけなく、しかしこのおっちゃんは諦めず返したのが、

白髪生ふる ことは思はず 変水は
  かにもかくにも 求めて行かむ


この歌。

広辞苑にあるように「変水」の誤記から生まれた言葉だといわれています。
「変水」は「変若水」とも書き、
月にある若返りの水だと信じられていました。

「変水」の書き誤りから「恋水」が生まれ、
それが"恋のために流す涙"という意味に。
恋することが、若さを保つ秘訣であるならば、
「変」と「恋」、意外と遠くない文字なのかもしれません。



忘れ種

わすれ‐ぐさ【忘れ種】
心配を忘れるたね。忘れ草。
広辞苑 第六版 (C)2008 株式会社岩波書店

心配や心の憂さを吹き払うもの。

ワスレグサは実在していて、

萱草

萱草、金針とも。

忘れ草 垣も繁みに植えたれど 醜の醜草なお恋にけり

なんて歌が万葉集にあります。
これを身につけると悲しみを忘れられると考えられていたことから、
ワスレグサの名を持ちます。
ただし、この歌では、たくさん植えているにもかかわらず、
その効果は得られていないようですね。

一度、恋が花を咲かせてしまいますと、
しぶとく根深いようです。





ねてしてタペ