アメンバ様700人突破・7万ヒット御礼・ブログ開設2周年を記念しまして…。
細やかながら、自分お祝い祭りです。
ガラケーユーザさまには、ちょっとだけ不親切なお話です。
申し訳ありません。
注!! このお話は単独ではわかりません!!
スタートは、ココ になります。
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蓮が見立ててくれたのは、妖精の様なグリーンのミニドレス。
複雑な形に切られた裾が、幾重にも重なって…。
キョーコの元気な可愛らしさを引き立てている。
背中には、小さな羽。
カジュアルになりすぎないよう、上品さを添えるように濃い紫の花が所々にあしらわれていた。
「ダンスなんて、踊れませんよ?」
キョーコをエスコートする蓮も、光沢のあるシルバーのスーツを身に纏っている。
キョーコのドレスと同じ色合いの、綺麗なチーフを胸に挿して…。
シャンデリアの下で、優雅に踊りに誘う男の姿はまさに王子様だ
「大丈夫、雰囲気だから。ワルツじゃないから、平気だよ」
躊躇う指先を捉えて、フロアの真ん中に連れて行かれる。
体を寄せ合い、音楽に任せてくるくると回る。
「ね? 簡単だろ?」
ステップもめちゃくたで、リズムもきっと変だ。
でも…
「楽しいですね!!」
繋いだ指先が、支えてくれる腕が、輝く笑顔が…。
楽しさを倍増させてくれる。
弾ける笑顔に、蓮も益々笑みが深まる。
くるくると回り、ぎゅうっと抱きしめあう。
やがて変わった音楽は、元気が出る様なものではなく…。
しっとりと大人の雰囲気が漂っていた。
蓮とキョーコもそれに合わせて、しっとりと抱き合い体をゆすり合う。
「……幸せ…」
背中に回していた腕を、蓮の首に移動させて…。
キョーコは、吐息を多分に含んだ言葉を漏らした。
「おれも。でも、こんなの入口だよ?」
綺麗に結い上げた髪に、ぎゅうっと押し付けられるのは彼の唇に違いない。
「いりぐち…?」
「うん。まだ、半分も行ってない。ゴールなんか、まだまだ見えたりしない」
「どこがゴールなんでしょう? クーパパとジュリママみたいになれたら、ゴール?」
「あれも、途中じゃないかな? あの人たちもゴールを探してるんだと思うよ」
「…どんなゴールになるんでしょうね?」
「さぁ…。でも、俺たちの形とはちがうんじゃないかな?」
ゆらゆらと揺れながら、二人の未来を思い描く。
「そうでしょうか?」
「うん。だって、俺は父じゃないし…。キョーコは、母じゃない。だから、全部違う。付き合うようになった過程も違うだろう?」
「ふふっ…。最初嫌われてるんだと思ってました」
嬉しそうに言うのは、今好かれている自信がきちんとキョーコの中にあるからだ。
「それは俺も同じ。見事にすれ違ってたもんね」
むちゅっと頬に触れた唇は、横に滑ってキョーコのグロスを拾った。
「私の方が、先に好きになったんですよ?」
「いいや。俺だね」
こんな会話を、何回しただろう。
どちらが先に好きになったかを、互いに譲らない。
何度も口論して、何度も議論して…。
それでも、結論がつかないこの問題。
互いに譲る気がないから、決着がつかないのだけれど…。
「…もう」
「ほんとに…」
ゆらゆらと体を擦れ合せながら、ぷんっと膨れたのは二人同時。
それがおかしくて、言い合っていたのも忘れてくすくすと笑いだす。
くっ付き合ったおでこ。
触れ合う鼻先。
啄む唇には、ただ愛だけがある。
「大好きだよ?」
「私だって…」
静かな音楽に合わせて、静かに愛を交わして…。
キョーコの初めてのダンスパーティは終わった。
それから幾日も船上で過ごし、幾つもの島によって…。
中でも、思い出に残る島は…