アメンバ様700人突破・7万ヒット御礼・ブログ開設2周年を記念しまして…。
細やかながら、自分お祝い祭りです。
ガラケーユーザさまには、ちょっとだけ不親切なお話です。
申し訳ありません。
注!! このお話は単独ではわかりません!!
スタートは、ココ になります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
少しずつ傾く日を追う様に、下船した蓮とキョーコ。
その背中に、船員たちが日が落ちたら出航だから急いでと声をかけてくる。
その声に大きく頷いて、絶景だというその丘を目指した。
家の間を縫うようにして伸びる道は細くて、本当に合っているのか心細くなる。
階段を上り、坂を上り…。
辿り着いた丘は、オリーブの木が沢山あって…。
その葉の隙間から、強烈なオレンジが零れ落ちていた。
「きれい…」
とても美しいと。
とても感動したと。
胸に溢れるこの気持ちを、言葉にするとどうしてこんなに陳腐になるんだろう…。
己の貧弱な語彙が、恨めしくなるけれど…。
日本の夕日とは、また色が違うこの夕日。
強烈なオレンジが、この国特有の白い壁に反射して…。
深いコントラストを地面に描く。
「のまれちゃいそう…」
その圧倒的な美しさに、攫われそうな気分になって…。
淡く繋いでいた蓮の手を、しっかり握りしめた。
自分をこの地に縫いとめてくれるのは、蓮だけであるかのように…。
「うん…」
キラキラした髪を、更に神々しい色に染めながら蓮もそのオレンジに瞳を染めていた。
魂を攫われたかのように、蓮も荘厳な太陽から目を離さない。
透明度の高い海が、どんどん日差しを飲み込んで…。
昼が夜に塗り替わる瞬間。
「悲しい恋の物語みたいだね…」
とぷんっと太陽が海に消えた後も、太陽はその存在を主張するかのように強いオレンジ色を空に投げていた。
蓮とキョーコはその光を背中に受けて、夕日の丘を後にした。
ふわふわと夢見心地な足元は、あまりにも美しい光景を見たからだろう。
「海と太陽の?」
「キョーコはそう思った? 俺は、空と太陽のが恋人だと思った…」
「蓮さんはそう思ったんですね…」
同じものを見ても、こんなにも感じ方が違う。
それが面白くて、話の続きを強請る。
「皆から必要とされる、輝く恋人。それを独り占めできる時間が、夜だけなんだよ…」
「私は、それが海だと思いました。ゆっくり休めるベッドみたいに、太陽を抱きしめてるように見えたの…」
「そっか…。太陽にキョーコを重ねてたんだよ?」
「私も、蓮さんを太陽だと思ってますよ?」
そこだけは一緒でしたね、と笑いあいながら夜の気配に包まれた海に浮かぶ城の様な船に戻ったのだった。
その日の夜は、ダンスパーティがあるというのでドレスを着て参加した。