ねぇ、メガネ、かけない? -4- はコチラ → ★
「し、試験……?」
俺はぎょっとして目を丸くする。
「なぁに、そう難しいことはない。」
男はサトシの頭を撫でながら、やっぱり俺をじろじろ見てる。
「な、何?……肝試しとかなら、俺、無理だから!」
男は、口をへの字に曲げ、大げさに肩を竦める。
「お前の相棒は、どうやら臆病者らしいぞ。」
「んふふふ。」
サトシは声を上げて笑ってる。
「お、臆病なんじゃなくて!
か、科学で証明できないことは、し、信じてないだけだよ。」
ビビリなのは自分でもわかってる!
でも、サトシにはちょっと……強がってみたいじゃん。
友達になったばっかりだし!
「……本当にこいつでいいのか?」
男は片方の眉だけ上げて首を傾げる。
「うん、うん。」
サトシは大きくうなずいて、やっぱり楽しそうにふにゃりと笑う。
「ショウくんがいい!」
「そうか……。」
男は横目で俺を見て、小さく溜め息をつく。
なんだよ。俺じゃ、物足りないって、そういうのかよ!
「頼りなさそうだが、まぁ、決めるのはお前だからなぁ。」
男は、また俺ををじろじろ見る。
失礼なやつ!
サトシのお父さんじゃなかったら……。
あれ?サトシのお父さん……なのかな?
「俺は父みたいなもんだが、正確には父ではない。」
なんか……複雑そう……。
これ、きっと聞いちゃいけないことだよね?
「し、試験ってなんだよ。」
俺なりに気を使ってみると、
男はクスクス笑って、サトシの頭をポンポン叩く。
「なぁに、大したことはない。
ちょっと……サトシの落とし物を探しに行くだけだ。」
「落とし物?」
男はニヤッと笑って、サトシの頭を撫でる。
「なぁんだ。」
俺はホッと胸をなで下ろし、サトシの側による。
「どこで無くしたの?早く見つけて、おやつ食べよ。」
「うん。」
サトシはニコニコ笑って、大きくうなずく。
八重歯……はみ出てるよ。
俺も一緒になってニコニコ笑う。
「まぁ、待て。時間になったら、嫌でも行かなきゃならなくなる。」
男は、机に片肘をつき、近くの大きな振り子時計を見る。
俺も、改めてこの部屋を見回す。
薄暗がりの中の時計たちは、みんな違う時刻を差していて。
これで本当に時計の意味ある?
あ……修理中なのかな?
なんて考える。
でも、今、何時なんだかわかんないじゃん。
俺、暗くなる前に帰んなきゃいけないのに……。
ここにいたら、帰れないんじゃない?
「なぁに、心配する必要はない。」
俺がびっくりして振り返ると、男が肘を付いたまま言う。
「終わったら、ここに帰ってくる。」
……なんか、噛み合ってるのか合ってないのか……。
そりゃ、当たり前じゃない?
落とし物が見つかったら帰って来るの。
俺が心配してるのは、暗くなる前に家に帰れるかってことなのに。
でも、俺が心配してるのはわかった?
てか、さっきから、俺の考えてること、わかってる?
「あの……。」
俺が言い掛けた時、それを遮るように男が言った。
「何があっても、サトシから離れるんじゃないぞ。」
男がそう言ったとたん、
ボォーン、ボォーンと、大きな時計の音が響いた。
それを合図のように、他の時計も一斉に鳴り出す。
ボォーン、ボォーン。
カチッ、クルッ、ピヨッ、ピヨッ。
ポーン、ポーン。
カチャ、チッチ、カチャ。
カーン、カーン。
ざわざわと騒がしくなる店の中。
俺は当然、ビビって……。
サトシの腕を両手で掴む。
「あぁ、もう時間だ。」
男は部屋の中を見渡して、最後にサトシを見つめる。
「うん。」
サトシはうなずいて、嬉しそうに八重歯を見せる。
「じ、時間?」
首を傾げる俺に向かって、サトシが手を差し出す。
俺はそれを反射的に握る。
サトシがぎゅっと握り返して……。
「え?何?」
突然、目の前が真っ白になった。
☆★☆★☆
私も怒られそうな所で託してみた(笑)
でも、これで方向性は明確?(笑)
さぁ、どうなるのか……私も楽しみ~♪
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