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「ショウくん?」
眩しくて……ぎゅっとつぶっていた目を恐る恐る開ける。
目のすぐ前には、サトシのふにゃっとした笑顔。
あまりにも近すぎて、わっ!っと飛びのこうとして……。
手を引っ張られて、つないでることを思い出す。
ここ……どこ……?
なんとなく雲の中っていう感じの白い柔らかい光に満ちた…空間。
そこにいろんな時計が浮かんでる。
ボォーン、ボォーン。
カチッ、クルッ、ピヨッ、ピヨッ。
ポーン、ポーン。
カチャ、チッチ、カチャ。
カーン、カーン。
広い……のかな?
店の中で聴いていたときよりも、恐ろしい騒がしさはなくって。
遠くで鳴っているだけ。
「ショウくん、どこに探しに行く?」
「え?」
「早くしないと、入れなくなっちゃう。」
入る?入る……って??
よく見ると、浮かんでいる時計は徐々に遠ざかっているようで……。
「早く選ばないと。」
のんびりしてたサトシがなんとなく焦ったような顔をして。
繋いだ手をクイって動かす。
俺はグルっと周りを見た。
……すごい遠くに見えてるんだけど……すごい気になるのが、一つ…あった。
「あれ!あれにする!」
直感だった。
衝動的直感的にあれだ!って思ったんだもん。
普段の俺ならそんな風には動いたりしない。
でも……わけわかんないことなら、わかんない風に動くのが…いい気がする。
サトシの手をグイって引っ張るようにして、駆け出す。
「うん!」
サトシも頷いて、一緒に駆け出した。
遠くに見えるから、すごい一生懸命走らないと追いつけなさそう…って思ったのに……。
その時計にはすぐに着いた。
「ここには距離がないからね。」
ちょっとだけ息を切らしたサトシがまた、ふにゃって笑う。
その時計は大きい振り子時計。
仔ヤギがオオカミから隠れようと逃げ込んだような……。
カチっカチっとゆっくりと鈍った金色の振り子が揺れてる。
「ショウくん、入るよ。」
カチっ!短針と長針が重なった。
ボーーン。
優しく12時の時を告げる音。
ボーーン。
数えている間にサトシは時計の前でドアを開けるような仕草をした。
時計……が扉となって、開いた。
ボーーン。
ボーーン。
ボーーン。
「鳴り終わる前に…入って。」
時計の扉を見つめた。
つないだままの手は緊張で汗ばんでた。
何なの?これ?一体…何が起こってるの??
ボーーン。
ボーーン。
ボーーン。
ボーーン。
「はやくしないと!」
イライラした口調になったサトシが俺の顔を見つめる。
ボーーン。
「ショウ……。」
これまで、ずっと嬉しそう楽しそうなサトシだったのに…。
寂しそうな声で自分の名前が呼ばれた。
諦めたかのように、つないでいるサトシの手が緩む。
離れそうになる寸前。
俺はもう一回その手をぎゅっと握りしめて。
時計の扉の中に飛び込んだ!
ボーーン。
ボーーン。
12回鳴り終わる直前。
俺とサトシは扉を潜り抜けた。
パーッと光に包まれた…ような気がして…。
何もかも見ていたいと思っていたのに…目を開けていられなかった。
目の前に手をかざすようにして、ちょとずつ目を開ける。
俺の目の前に広がっていたのは……。
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また、怒られそうなところで・・・(笑)
お願いします〜!!
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