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日経ビジネスの特集記事(58)
新・通信覇者
アプリVSキャリア、乱戦の行方
2014.05.26
今週の特集記事のテーマは
通信業界で、世界的規模の覇権交代が進んでいる。
LINEなどメッセージアプリを開発する新興事業者が
一気に主導権を握リ始めた。
「産業の主役」が変わる時、何が起き、企業の明暗
はどこで分かれるのか
ということです。
前回は、通信業界で覇権交代が急激に進んでいる
実態の一部をお伝えしました。
今回は、メッセージアプリの新覇者候補はどこで、
そのうちのどのサービス提供業者が勝ち残るのか、
などの推察を交えて日経ビジネスのホットな情報を
お伝えしていきます。
PART2 新覇者候補はどこか
前回、韓国ではメッセージアプリと言ったら、
「カカオトーク(以下、カカオ)」である、
とお伝えしました。
韓国では敵なしのカカオですが、海外に目を
転じると、はるかに規模の大きな業者が複数
あります。
(P.036)
カカオの現在の利用者数は1億4000万人。
だが、世界の競合相手の中には、事業を
グローバルに展開し、既に3億人以上の
月間利用者数を抱える業者が複数いる。
こうした状況に、カカオの経営者は憂鬱な日々を
送っています。
では、なぜ海外展開に出遅れたのでしょうか?
日経ビジネスは、「資金力の無さだ」と指摘して
います。
その根拠を次のように解説しています。
(P.036)
同社は独立系企業のため他の事業からの
収益がない。
他社から出資を受け入れているとは言え、
金額的には微々たるもので、海外へ打って
出られるほどに財務体質を強化できるもの
ではありません。
それどころか、本丸である韓国内のメッセージ
アプリ市場をLINEが虎視眈々と狙っているのです。
LINEが韓国のメッセージアプリ市場を侵食し
始めたら、カカオは海外展開どころではなくなり、
国内の市場で防戦一方となるおそれがあります。
覇権を狙うプレーヤーたち
下の画像をご覧ください。
画像全体が小さいので見難いかもしれません。
そこで、日本から見て西方に本社があるメッセージ
アプリ業者を書き出します。

覇権を狙うプレーヤーたち
(『日経ビジネス』 2014.05.26号 PP.036-037)
10社です。
名称 国 登録者数 月間利用者数
Viber (楽天) キプロス 3.5億人 1億人
Telegram ドイツ 非公開 3500万人
WeChat (テンセント) 中国 6億人 3.6億人
Kakao Talk (ヤフー) 韓国 非公開 1.4億人
Between 韓国 700万人 非公開
LINE 日本 4億人 非公開
Kik Messenger カナダ 1億人 非公開
WhatsApp (フェイスブック) 米国 非公開 5億人
Blackberry カナダ 1.1億人 8500万人
Messenger
Tango 米国 2億人 7000万人
この表を見ると、「非公開」が非常に多いので、単純に
比較することはできませんが、 WeChat (テンセント)、
LINE、WhatsApp (フェイスブック)が3強と言える
でしょう。
新覇者候補① LINE
今年2月に韓国でテレビドラマ「星から来たあなた」
が放映されたそうです。どんな内容なのでしょうか?
(P.030)
異星人とトップスターの恋愛を描いた異色の
コメディー。韓国での最高視聴率33.2%と
大ヒットを記録した。
ポイントは、「このドラマで頻繁に登場するのがLINEだ」
ということです。
視聴率が上がれば、必然的にLINEの画面が映し出される
ことになります。
その結果、LINEにとって好循環が生まれました。
(P.037)
「高視聴率を背景に、LINEは韓国国内でも数%の
シェアを伸ばした」と、ある韓国メッセージアプリ
企業の幹部は推測する。
話はこれだけで終わりません。
中国でも、先のドラマがインターネットサイト経由で
視聴する人が増加し、社会現象を起こしたそうです。
その結果、
(P.037)
米アップルが中国で提供するアプリ販売ストア
「AppStore(アップストア)」の「SNS」ジャンルで、
LINEは1位を記録した。
快進撃を続けるLINEですが、死角はないのでしょうか?
今後海外展開は、強力なライバルとの消耗戦に突入
することになります。
(P.038)
カカオ同様、LINEの世界戦略もまた、全くの
順風満帆には進みそうにない。今後、進出を
本格化する中国、欧米市場のいずれにも、
より強力なライバルが存在するからだ。
中国でのライバルは「WeChat(ウィーチャット)」を
運営するテンセントです。
新覇者候補② テンセント
テンセントについて、日経ビジネスの解説を見て
みましょう。
(P.038)
2004年には香港証券市場に上場し、時価総額は
13兆円を超える。5月6日に米国証券取引所に
上場申請したアリババ・グループとともに中国
を代表する企業にのし上がった。
テンセントは巨大企業だったのですね。
「このテンセントが提供するメッセージアプリが
ウィーチャット」(P.038)です。LINEにとっては
手強い相手です。
ウィーチャットは、競合するメッセージアプリ同様
の機能を備えているのは当然です。
ウィーチャットの特徴は、
(P.039)
商品ごとに表示されているQRコードをウィー
チャットのバーコードリーダーで読み取ると、
瞬時に決済が完了
するところにあります。
テンセントはさらに先を目指しています。
(P.039)
「テンセントが今、目指しているのはO2O
(オンライン・トゥー・オフライン)とEC
(電子商取引)だ」。
ネットスターズの李社長はこう解説する。
この話を読んで、思い出したのは、以前、
日経ビジネスの特集記事で取り上げた、
米スクエアの「Squareリーダー」のことです。
覚えていますか?
詳細はこちらのページをご覧ください。
スクエア・インパクト 「ポスト・ジョブズ」が起こす決済革命
2013.9.9<2> 日経ビジネスの特集記事(22)
新覇者候補③ ワッツアップ
中国市場ででんと構えているのがテンセントなら、
欧米市場で圧倒的な存在感を示してるのは、
フェイスブックが買収したワッツアップです。
ワッツアップについて確認しておきましょう。
(P.039)
フェイスブックが1.9兆円で買収した企業で
ある。同社はサービス開始から5年目となる
今年2月の段階で月間利用者数が4億5000万人
を超えていた。
フェイスブックの傘下入りが決まった後の
4月には、利用者数は5億人を突破。
LINEやテンセントとの違いはどこにあるのかが、
気になります。
(P.039)
LINEやテンセントにないワッツアップの特徴
について、フェイスブックのハビエル・
オリバン副社長は「シンプルさと信頼性」
と分析する。
ワッツアップにとって大きなことは、何と言っても
潤沢な資金を保有し、莫大な広告収入を稼ぐ
フェイスブックの傘下に入ったことで、
「資金面に不安がなくなった」ことです。
いずれにせよ、「LINEにとっては、テンセントに
負けず劣らず厄介な存在になることは間違いない」
(P.040)ことです。
では、LINE、テンセント、ワッツアップの3社で
覇者となる可能性が高いのはどこでしょうか?
この点について、日経ビジネスはこう考えています。
(P.041)
歴史を振り返れば、文化の壁を乗り越えて
覇権を握った商品・サービスは、分野を
問わずいずれも「設計思想がシンプル」
だった。
その理屈がもしもこの分野にも言える
ならば、通信産業の新覇者に最も近いのは、
フェイスブックの買収によって
「シンプルであり続けること」が可能に
なったワッツアップだ。
だが、人と人のコミュニケーションの
あり方はその時代や文化に深く依存し、
突如として新たな形が生まれることも
ある。3強の優勝劣敗が決まりかけた頃に、
別の勢力が勃興し、覇権争いが繰り返さ
れる可能性も決して少なくない。
結局、断定することはできない、ということに
なります。
日経ビジネスは、「2つの教訓」を示しています。
(P.042)
通信産業で進む覇権交代が示す教訓を挙げると
すれば、少なくとも2つある。
1つは「本当に覇権交代が起き始めた時は、
新勢力と戦ってはいけない。会社や事業ごと
買収せよ」だ。
加えて、「覇権交代の際には、過去の強みへの
こだわりは致命傷になる」も重要な教えとなる。
強みが弱みになることもある、という教訓は私たちも
自覚しておく必要があります。
SWOT分析で、自己分析することが前提です。
Strengths(強み)
Weaknesses(弱み)
Opprtunities(機会)
Threats(脅威)
自社(自分)の強みと弱みを客観的に把握し、
異業種(他業界)への参入(転職)が機会はあるか、
また異業種から参入される脅威(ライバルの増加)
はないか、と分析する時間を取ることは、
決してムダなことではありません。
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