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日経ビジネスの特集記事(58)
新・通信覇者
アプリVSキャリア、乱戦の行方
2014.05.26
今週の特集記事のテーマは
通信業界で、世界的規模の覇権交代が進んでいる。
LINEなどメッセージアプリを開発する新興事業者が
一気に主導権を握リ始めた。
「産業の主役」が変わる時、何が起き、企業の明暗
はどこで分かれるのか
ということです。
街なかを歩いていると、道のそこかしこでスマホを
片手に、やや前屈みになって歩いている人をよく
見かけます。
たいがい、LINEかツイッターで「友だち」と連絡し
あっているか、「パズドラ」などのオンライン
ゲームをしているのでしょう。
周囲の様子は目に入らず、音も耳に入らないようで、
スマホに目を落とし、一心不乱に指を動かしています。
スマホをしながら向かい側を歩いてくる人には、
自転車同様に注意を払っています。相手の動きをよく
見ていないと、正面衝突するおそれがあるからです。
余計なお世話かもしれませんが、猫背とストレート
ネックにならないことを祈ります。
ちなみに、私はいまだにガラケー(従来の携帯電話)
を使っています。
通話がメインですが、それ以外に、思いついたことを
忘れないうちに、自分の携帯とPCにメール送信して
おくこと、メルマガを受信すること、外出時にGoogle
検索することが、ほとんど全てだからです。
序章 フェイスブックが抱える「恐怖」の正体
ハーバード大学出身のマーク・ザッカーバーグが創業し、
瞬く間に世界中に利用者が広まったフェイスブックが、
危機感を抱えている、と日経ビジネス最新号(2014.05.26)
は伝えています。
フェイスブックの危機感は、どこから生まれたの
でしょうか?
日経ビジネスは、「スマートフォン(スマホ)向け
メッセンジャーアプリ『WhatsApp』を提供する米ワッツ
アップを190億ドル(1.9兆円)で買収する、と2014年2月に
発表した」(P.030)ことにある、としています。
そもそも『WhatsApp』とは具体的にどのようなアプリで、
LINEとどう違うのか、知りたいですよね?
順に見ていくことにしましょう。
日経ビジネスの解説を見てみましょう。
(P.030)
WhatsAppはスマホで文字や画像、動画などを
簡単にやり取りできる、日本ではおなじみの
「LINE」のようなサービスで、買収発表時点で
の利用者は月間4億5000万人に上る。
これだけでは、買収する理由ははっきりしません。
「ソニーや東芝、任天堂すら買える巨額資金」(P.030)
であるからです。それだけの価値があるのか、という
疑問が投資家や専門家から提起されています。
この疑問に対する、ザッカーバーグの答えは、
「買収したのは、190億ドル以上の価値があるからだ」
(P.030)とシンプルなものでした。
この答えだけでは、買収の本質は見えてきません。
(P.030)
英調査会社グローバルウェブインデックスに
よれば、16~19歳の米国人におけるフェイス
ブックの利用者は、2012年第4四半期の79%
をピークに2013年第3四半期では63%に減少。
米国以外の32カ国でも2013年第1四半期の
76%をピークに2013年第3四半期では56%に
減少している。
つまり、米国でも、米国以外でも若者たちのフェイス
ブック離れが進行しているということです。
日経ビジネスの見方はこのようなものでした。
(P.030)
ここ最近、同社(フェイスブック)の成長性に
対して、一部の投資家から憂慮の声が上がって
いるのは、事実だ。
では、いったい若者たちはどこへ向かっているの
でしょうか?
(P.030)
その行き先こそ、ワッツアップをはじめとする
通信新勢力が提供するメッセージアプリだ。
今、通信業界では熾烈な覇権争いが起きています。
今まで圧倒的な勢力を誇ってきたキャリアと呼ばれる
大手通信事業者に取って代わり、新勢力が台頭し、
既存勢力の存続をも揺るがしかねない状況になって
きています。
こうした動きも、利用者にプラスに働けば大歓迎なの
ですが、時に、利用者をないがしろにした事業者間
だけの争いに終始することがあります。それだけは
避けてもらいたいですね! そう思いませんか?
(P.030)
「LINEやWhatsAppなどスマホ専用アプリの登場
で利便性が劇的に向上。キャリアや既存の通信
サービス業者はこの瞬間も、事業領域を侵食
され続けている。
フェイスブックが突如、踏み切った巨額買収。
それは、通信産業の覇権交代を前に、同社が
ひそかに抱え込む「恐怖」の裏返しでもある。
PART1 加速する覇権交代
世界のキャリア 戦々恐々
韓国では、スマホの普及率は9割近いそうです。
サムスン電子やLG電子のAndroid携帯が圧倒的な
シェアを占めていると思われます。
ただ、スマホのアプリは日本で普及している、
「LINE」ではなく、「Kakao Talk(カカオトーク、
以下カカオ)」が席巻しています。
カカオは「国民の誰しもが知っている韓国を代表
するスマホ向けアプリ」(P.032)ということです。
カカオは韓国内では「敵なし」の地位を築いて
います。
ライバルも出てきましたが、すべて撥ね退けています。
それは「メッセージアプリは、圧倒的に先行者有利の
市場だ」(P.033)からです。
「先行すれば、市場からのフィードバックで使い勝手
にも磨きがかかっていく」(P.033)という経験則が
働くからです。
「先行者有利」で思い出しましたが、コンビニエンス
ストア業界でも先行者有利が働いています。
セブン-イレブンが業界を先駆けてPOSレジや関連機器、
システムを導入しています。POSレジなどのメーカーは
セブン-イレブンに納入すると、2年経過しないと
同業他社(ローソン、ファミリーマート、サークルK・
サンクスなど)に販売できないことになっています。
別の言い方をすれば、セブン-イレブン以外のコンビニは
2年遅れでシステム等を導入することになります。
この2年の遅れは取り戻せません。
2年経った時には、セブン-イレブンはさらに先行して
いるのです。この状況では、国内においては他社コンビニ
に勝ち目はありません。
セブン-イレブンの一人勝ちです。
他社コンビニが「商機と勝機」を得るためには、
国内に留まらず、海外、特にインドネシアやタイなどの
成長が見込まれる国や地域に進出し、新市場を開拓する
ことです。
話を戻します。
韓国の携帯電話会社が危機に瀕しています。
(P.033)
2012年6月、携帯電話事業者が最も懸念していた
事態が起こる。カカオが無料音声通話「Voice Talk
(ボイストーク)」の試験サービスを開始したのだ。
これが普及し、文字のやり取りのみならず通話まで
カカオ経由になれば、携帯電話会社は通信インフラ
を提供するだけの存在、業界で言うところの「土管」
に成り果ててしまう。
では、日本ではどうでしょうか?
NTTドコモ、KDDI(AU)、ソフトバンクの3社の寡占状態
が続いています。これまで月毎の純増契約数で競ってきま
したが、すでに数字の公表を取りやめています。
短期契約し、キャリアを何度も乗り換える利用者がいて、
長期契約者の利益を損ねるという弊害が生じているから
です。
iPhone導入で出遅れたNTTドコモは、巻き返しに躍起に
なっています。iPhoneを含めた、巻き返し策を6月から
導入します。
(P.033)
NTTドコモが6月、新サービスの「カケホーダイ」を
開始する。スマホでは月額2700円で、国内の携帯
電話や固定電話への通話が無制限で可能になる、
という日本では初の完全定額の音声通話サービスだ。
表向きは、KDDIやソフトバンクへの対策のように
見えますが、真意は別のところにある、と指摘している
専門家がいます。
(P.030)
野村総合研究所の桑津浩太郎・主席コンサルタントは
「最大の狙いはメッセージアプリ対策」と断言する。
さて、ではLINEは今後どのような戦略を採っていくの
でしょうか?
現行の事業と今後の見通しを概観してみましょう。
(P.034)
LINEは今年3月、メッセージアプリだけでなく、
「LINE電話」と呼ぶ無料の通話サービスを開始
した。長らく携帯電話会社の金城湯池だった
「通話」にまで、メッセージアプリ事業者が
侵食してくるのは韓国と同じ状況だ。
NTTドコモは、このLINEの新サービスへの対策を打ち出し
ました。日経ビジネスは、その対策に疑問を投げかけて
います。
(P.034)
6月下旬からは国内初となる「VoLTE(ボルテ)」
と呼ぶ新技術を使った音声通話サービスを
開始する。接続時間が従来の2分の1以下になり、
高音域が聞き取りやすいのが特徴という。
通話サービスの定額化と品質向上によりLINEの
勢いを抑えにかかるドコモ。だがその戦略もまた、
どこまで功を奏するかは未知数だ。
米国の事情はどうなっているでしょうか?
(P.035)
米携帯市場の2強、ベライゾン・ワイヤレスと
AT&Tは2010年から2011年にかけデータ
通信料金の定額プランの新規加入を停止。以降、
従量課金プランしか提供していない。
たとえ「土管」になっても、利益は確保できる、
と考えているからです。
他の地域ではどうでしょうか。
メッセージアプリを規制している国もあるそうです。
例えば、ベトナムがそうです。
その理由は、「国の歳入減につながるという懸念に
よる措置であることは疑いない」(P.035)からです。
サウジアラビアでも同様な措置をとっているそうです。
裏返せば、「それだけメッセージアプリが猛威を
振るっている証拠と言える」(P.035)のです。
次回は、「PART2 変わるのか業界の秩序
新覇者候補はどこか」をお伝えします。
世界の主なメッセージアプリを知ることができますよ。
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