決着なるか。。明日より、第56期王位戦7番勝負/第5局開幕
5連覇を目指す羽生善治王位に
広瀬章人八段が挑戦する、第56期王位戦7番勝負。
ここまで4局を消化し、羽生王位が3勝1敗とリード。
タイトル防衛に王手をかけて迎える注目の第5局が
明日より、徳島県徳島市「渭水苑」にて開幕。。
羽生王位の今期ここまでの成績は
19戦13勝6敗(.684)。
今期も開幕から4タイトル戦連続出場となり
王位戦も防衛に王手をかけ、気勢が上がります。
春先から絶好調で突っ走った羽生王位でしたが、今月は
「永世七冠」達成に残された最後の関門・第28期竜王戦は
準決勝でオンリーワンの新鋭・永瀬拓矢六段の前に敗れ
決勝トーナメントで姿を消す憂き目も。。
竜王戦敗退のショックから中1日に臨んだ
王位戦/第3局も終盤で逆転を許し、今シリーズ初黒星 。
手痛い連敗を喫し、不調説も囁かれました。。
しかし、第3局から12日のインターバルで行われた
王位戦/第4局を完勝で飾り、周囲の不安を一蹴すると
関西の新若大将・斎藤慎太郎六段に貫禄勝ち をおさめ
きっちりと連勝で、明日の大一番を迎えます。。
対します、広瀬八段の今期ここまでの成績は
17戦8勝9敗(.471)。順位戦はA級で開幕2連敗。
羽生王位と対照的に、今一つ波に乗り切れない
苦しいシーズン前半戦を過ごします。。
【 王位戦/第1局 】
7月7日(火)-8日(水)
愛知県蒲郡市「旬景浪漫 銀波荘」にて。
15手目▲3四飛。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 歩3
△羽生王位: 歩2
7七夕に開幕を迎えた今期の王位戦。
振り駒の結果、先手となった広瀬八段の初手
▲7六歩に対して、羽生王位も同じく2手目に
角道を開ける△3四歩と返し、番勝負はスタート。。
次に両者は飛車先を決め合い
羽生王位が誘導する形で「横歩取り」へと進行。。
53手目▲6六角。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 歩
△羽生王位: 歩4
後手番ながらも
積極的に仕掛けを探る羽生王位に対して
広瀬八段は押さえ込みを計る展開となりましたが。。
【 投了図・122手目△4七金 】
投了図での持ち駒
▲広瀬八段: 角、銀2
△羽生王位: 歩6
広瀬八段の作戦は消極策となり裏目に。。
逆に序盤からアグレッシブな指し回しを貫いた
羽生王位が開幕戦を完勝で飾りました。
【 第2局 】
7月21日(火)‐22日(水)
兵庫県神戸市「中の坊瑞苑」にて。
10手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△広瀬八段: 角
第2局の戦型は「角換わり」。
定跡手順の進行から、上図の局面で
広瀬八段が手損のない角交換を敢行しました。
47手目▲4五歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: 角
△広瀬八段: 角
角交換成立後も
前例を踏襲しながら駒組みを進めた両者は
右の銀を中央5筋に構えて「相腰掛銀」に。。
駒が組みあがっても手を渡し
1筋の香車を上げて「穴熊」を示唆するなど
徹底して受身の姿勢を貫く広瀬八段に対して
羽生王位が4筋から仕掛けると。。。
【 投了図・117手目▲3四銀 】
投了図での持ち駒
▲羽生王位: 飛、金、香、歩7
△広瀬八段: 角、銀、香、歩
開戦後は羽生王位の一方的なペースとなり
上図117手目の局面までで、大勝を飾りました。
【 第3局 】
8月5日(水)-6日(木)
北海道釧路市「六園荘」にて。
32手目△6五桂。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 歩2
△羽生王位: 歩2
第3局の戦型は
同じ手番で行われた開幕戦と同じ「横歩取り」。
ここまでの2局では元気のなさが目に付いた
広瀬八段が地元・北海道に凱旋してどのような
戦いぶりを見せるのかにも注目が集まりました。
しかし、羽生王位が角交換をけしかけた
上図から次に、広瀬八段は威勢よく交換には出ず
角を6六の地点に繰り上げ、自らのペースを貫きます。
(33手目▲6六角)
120手目△7八角。
上図での持ち駒
▲広瀬八段: 飛、角、金、歩2
△羽生王位: 金、銀、桂、歩4
ならば、と自ら角交換を敢行した
羽生王位が今シリーズの流れそのままに
攻防の主導権を握り、勝利まで後一歩と
思われましたが。。
【 投了図・147手目▲8四桂 】
投了図での持ち駒
▲広瀬八段: 金2、銀、歩
△羽生王位: 飛2、角、金、銀、桂、歩5
土壇場で広瀬八段の粘りが功を奏し、最後は
長手順を正確に指し切り羽生玉を仕留め上げた
広瀬八段が逆転で今シリーズ嬉しい初白星を
地元で飾りました。。
【 第4局 】
8月18日(火)-19日(水)
福岡県福岡市「ホテル日航福岡」にて。
24手目△9二香。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△広瀬八段: なし
第3局を制し意気あがる
広瀬八段は後手番で迎えた第4局でついに
伝家宝刀「四間飛車穴熊」を投入。。
44手目△3五歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位: なし
△広瀬八段: なし
挑戦者の切り札投入をみて
羽生王位は「居飛車穴熊」を投入。。
ともに固くて遠い「相穴熊」を完成させ
上図の局面で広瀬八段が3筋の歩を突き合わせ
仕掛けを開始しました。。
「穴熊」独特の駒を切ったり貼ったりする
しつこい終盤戦が期待されましたが。。。しかし
【 投了図・83手目▲5二金 】
投了図での持ち駒
▲羽生王位: 銀
△広瀬八段: 飛、角、歩3
広瀬八段の新構想に誤算が生じて終盤はポッキリ。
羽生王位があっけなく、そしてまたしても圧勝を飾り
王位5連覇に悠々と王手をかけました。。
そして迎える明日からの第5局。
先手はカド番でもう後のない広瀬八段。。
ここまでは熱戦というよりも、両者の呼吸や視線が
ことごとくかみ合っていない印象ばかりを受けますが
タイトルの懸かった大一番は果たしてどのような展開
そして結末をみせるのでしょうか。。
気になる両者の対戦成績は
ここまで17戦して、羽生王位が12勝5敗と圧倒。。
苦手意識がはっきりとみて取れる広瀬八段ですが
開き直って我武者羅に白星のみを狙って欲しい。。
戦型予想は相居飛車が濃厚。
個人的は「矢倉」が見たいですが、最近は出だしから
駆け引きが活発なだけに、予断を許しません。。
羽生王位が防衛を決めるのか
はたまた広瀬八段が意地をみせるのか。。
クライマックスを迎えた
王位戦/第5局をぜひ、お見逃しなく。
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実りの秋への糧として。。