第５６期王位戦７番勝負/第２局「挑戦者に元気なし。。羽生王位、大勝」
羽生善治王位に
広瀬章人八段が挑戦する、第５６期王位戦７番勝負。
開幕戦を羽生王位が制して 迎えた注目の第２局が
昨日、兵庫県神戸市「中の坊瑞苑」にて開幕。。
第２局の先手・羽生王位の初手は▲２六歩。
対します、広瀬八段も２手目に同じく飛車先を突く
△３四歩と返して対局はスタート。。
４手目△３二金。
上図での持ち駒
▲羽生王位： なし
△広瀬八段： なし
次の３手目に
飛車先を突き越せば「相掛かり」となるところで
羽生王位は角道を開けて、後手に手番を渡します。。
（３手目▲７六歩）
戦型の選択権を委ねられた
広瀬八段は上図４手目△３二金として
「角換わり」を指向しました。。
１０手目△７七角成。
上図での持ち駒
▲羽生王位： なし
△広瀬八段： 角
羽生王位も後手に追随。
そのまま定跡手順の進行となり、上図１０手目に
広瀬八段から手損のない角交換を敢行。。
２５手目▲４七銀。
上図での持ち駒
▲羽生王位： 角
△広瀬八段： 角
角交換成立後
両者は細かな駆け引きを繰り広げながらも
前例を踏襲し、右銀の中央進出を目指します。。
３８手目△２二玉。
上図での持ち駒
▲羽生王位： 角
△広瀬八段： 角
広瀬八段に続き（２８手目△５四銀）
羽生王位も銀を５筋へと繰り出し（３１手目▲５六銀）
戦型はノーマル角換わりの常套手段である
「角換わり相腰掛銀」となりました。
さらに双方、玉の入城も完了。
駒がほぼ組み上がり、開戦への機運が高まります。。
４２手目△１二香。
上図での持ち駒
▲羽生王位： 角
△広瀬八段： 角
６筋の位を確保し（３２手目△６五歩）
事前に専守防衛の姿勢を明示した広瀬八段は
１筋の香車を一段上げて「穴熊」を示唆。。
先手からの仕掛けを待ちます。。
この後手の方針に対して、羽生王位は。。
４７手目▲４五歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位： 角
△広瀬八段： 角
飛車を左右に振って間合いを計ってから
４筋の歩を突き合わせ、仕掛けを開始しました。。
【 一日目終了図・６０手目△５二飛 】
上図での持ち駒
▲羽生王位： なし
△広瀬八段： 角、歩
羽生王位の仕掛けに対しても
消極的に見えるほど駒を前に出さずに
受けに徹する広瀬八段。。
その間に
羽生王位はアクセルを強く踏み込み
４筋に拠点を作ってから、手持ちの角投入し
形を決めます（５９手目▲６四角）。。
広瀬八段が飛車を振り
狙われた５三の地点を受けた上図の局面で
羽生王位の考慮中に終了時刻（午後６時）となり
そのまま次の手を封じて、一日目は終了となりました。
一夜が明けて
迎えた本日、決着の二日目。。
６１手目▲５三桂成。
上図での持ち駒
▲羽生王位： 歩
△広瀬八段： 角、歩
羽生王位の「封じ手」は▲５三桂成。
桂馬をいきなり後手陣に飛び込ませる
激しい一手から二日目はスタートとなりました。
広瀬八段は慎重に３６分を費やし
金でこの桂馬を払うと（６２手目△同金）。。
６３手目▲５三角成。
上図での持ち駒
▲羽生王位： 角、歩
△広瀬八段： 角、桂、歩
羽生王位はわずか２分の考慮で
角をも飛び込ませて金を食いちぎりました。。
広瀬八段が△同飛（６４手目）で払って、以下
▲６四金～△５一飛～▲５四金～△４二歩に
下図６９手目▲６四金と激しく進行。。
６９手目▲４三銀。
上図での持ち駒
▲羽生王位： 歩
△広瀬八段： 角２、桂
羽生王位は問答無用の踏み込みで
後手陣に襲い掛かり、「広瀬穴熊」へと迫り
二日目開始直後から、早くも終盤戦模様に。。。
７６手目△９五歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位： 歩３
△広瀬八段： 角２、銀、桂
広瀬八段と言えば
距離感と速度計算力は将棋界ナンバー１と言っても
過言ではない、「穴熊」のスペシャリスト。
羽生王位の猛攻にさらされながらも
機を見て反撃に転じ、８筋で歩を突き捨てたのに続き
９筋の端歩を突き合わせます。。
この局面で
午前の対局は終了となり、お昼休憩に突入。。
【 お昼のメニュー 】
羽生王位： 白身魚の唐揚げ膳
広瀬八段： うな重膳
７８手目△１三銀打。
上図での持ち駒
▲羽生王位： 歩４
△広瀬八段： 角２、桂
しかし、午後開始の一手で
羽生王位が９筋の歩には手をつけずに
グイッと金を３筋に寄せると（７７手目▲３四金）
広瀬八段は手持ちの銀を受け駒に投入。。
いかにも苦しげな一手をみて
羽生王位は流れをさらに自らに引き寄せるべく
次に。。
７９手目▲２四歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位： 歩４
△広瀬八段： 角２、桂
飛車先２筋の歩を突き合わせ
再び「広瀬穴熊」への攻勢を強めます。。
広瀬八段が△同銀（８０手目）と応じて、以下
▲同金～△同歩～▲３二銀～△同金～▲同「と」金に
△２三銀打～下図８７手目▲４二金と進行。
８７手目▲４二金。
上図での持ち駒
▲羽生王位： 歩４
△広瀬八段： 角２、金、桂、歩
羽生王位の猛攻の前に
広瀬八段は防戦一方、ひたすら受け続ける
展開となりました。。
９３手目▲３四銀。
上図での持ち駒
▲羽生王位： 歩４
△広瀬八段： 角２、金、桂、歩２
羽生王位の一方的な攻撃は止まらず。。
反撃の切り札たるべき飛車を追い込まれた上に
ついには玉をも「穴熊」から引っ張り出された
広瀬八段はもはや受け切りは無理とみて。。
９４手目△８七歩。
上図での持ち駒
▲羽生王位： 歩４
△広瀬八段： 角２、金、桂、歩
歩の叩きの王手で反撃開始。。
遅まきながら、攻め合いに活路を求めますが。。
しかし。。
【 投了図・１１７手目▲３四銀 】
投了図での持ち駒
▲羽生王位： 飛、金、香、歩７
△広瀬八段： 角、銀、香、歩
消極策の代償はあまりにも大きく
捨て身の反撃も先手陣には全く響かず。。
羽生王位が最後まで一方的に押し切り
上図１１７手までで、大勝を飾りました。
この結果
番勝負成績は羽生王位の開幕２連勝。。
広瀬八段の奮起が望まれます。
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