私は2007年4月から8月までの抗癌剤治療によって寛解判定を受けた。治療後のPETでは、
原発部にFDGmax~2程度の集積があったが充分に活性度が下がっている事も確認された。
しかしながら追加の7コース目を重ねたにも関わらず再発した。
結局、癌は「何」が「どの様に」作用し、あるいは作用せず、治癒しないのだろうか?
勿論、この問いに対する解答は誰も持ち合わせていない。MDアンダーソンやがんセンターの
ホームページを見たり、ブログや掲示板を検索する事で「治し方」が判る様なら誰も苦労しない。
「奇跡の水」とか「○○治療法」「癌に効く食品」等の公告やウソ体験談に至っては論外である。
本ブログでも恐らく「解答」を示すことは出来ないと考えている。ただ、より効率良く、
より安全に、寛解に近づくルートを開拓する事を目指すだけである。私の目標である寛解
の定義は「判らない事は幾つかあるが、何故だか再発せずに長期生存している状態」である。
Goldie JH, Coldman AJ, et al Cancer Treat Rep66: 439~449, 1982. の仮説では、
「腫瘍細胞は時間がたつと薬剤耐性を持ち増殖する」という立場を取っている。
化学療法の考え方には諸説あるが、殆どの標準治療はこの仮説を基礎としている。
すなわち、
・単剤で作用が期待されるものを組み合わせ多剤投与する
・異なる作用機序、副作用を持つものを選ぶ
・できるだけ短い間隔で投与する
私が投与した白金製剤+タキサン系の組み合わせも、この20年以上も昔の原理に基づいている。
卵巣癌、乳がん、小細胞肺癌(など、反応が期待される疾患)に対し短期間・大量抗癌剤投与
が試みられ高い奏効率が得られることが判った。が、結局生存率には寄与せずブームは去った。
結果、90年代後半に「どんなに奏効しても抗癌剤単独では治癒しない」という理解が定着した。
しかしながら80年代はシスプラチンとシクロフォスファミドくらいしか「効く」とされる薬剤は
無かったハズである。Goldie-Coldmanの仮説はその頃に得られたモノである。
その後、ありとあらゆる物質について研究がなされ、90年代後半になり、やっとパクリタキセル
が出回る様になった程度である。薬物耐性に関する「常識」はそれ程多くの「可能性のある」
組み合わせによってフォローされているとは思えない。
また、昨今の状況を見るとカルボプラチン+パクリタキセルの初回治療後、second lineとして
ドセタキセルを用いる事も珍しくない。私と主治医との議論でも「前回あれだけ効いたのだから
同じ作用機序を持つドセタキセルで?」という話にもなり1つの候補となっている。
もしGoldie-Coldmanの仮説に従うならば、すっかり「耐性のある」私の再発癌にドセタキセルは
効果は期待できない事になる。が、少なくとも我々はそうは考えていない。
この古い仮説は確かに標準治療の原則的な基盤になっている。「薬剤耐性」説は再発や治癒しない
ことを説明する際に最も簡単で便利な考え方である。しかし私にはかなり定性的で脆弱に思える。
原発部にFDGmax~2程度の集積があったが充分に活性度が下がっている事も確認された。
しかしながら追加の7コース目を重ねたにも関わらず再発した。
結局、癌は「何」が「どの様に」作用し、あるいは作用せず、治癒しないのだろうか?
勿論、この問いに対する解答は誰も持ち合わせていない。MDアンダーソンやがんセンターの
ホームページを見たり、ブログや掲示板を検索する事で「治し方」が判る様なら誰も苦労しない。
「奇跡の水」とか「○○治療法」「癌に効く食品」等の公告やウソ体験談に至っては論外である。
本ブログでも恐らく「解答」を示すことは出来ないと考えている。ただ、より効率良く、
より安全に、寛解に近づくルートを開拓する事を目指すだけである。私の目標である寛解
の定義は「判らない事は幾つかあるが、何故だか再発せずに長期生存している状態」である。
Goldie JH, Coldman AJ, et al Cancer Treat Rep66: 439~449, 1982. の仮説では、
「腫瘍細胞は時間がたつと薬剤耐性を持ち増殖する」という立場を取っている。
化学療法の考え方には諸説あるが、殆どの標準治療はこの仮説を基礎としている。
すなわち、
・単剤で作用が期待されるものを組み合わせ多剤投与する
・異なる作用機序、副作用を持つものを選ぶ
・できるだけ短い間隔で投与する
私が投与した白金製剤+タキサン系の組み合わせも、この20年以上も昔の原理に基づいている。
卵巣癌、乳がん、小細胞肺癌(など、反応が期待される疾患)に対し短期間・大量抗癌剤投与
が試みられ高い奏効率が得られることが判った。が、結局生存率には寄与せずブームは去った。
結果、90年代後半に「どんなに奏効しても抗癌剤単独では治癒しない」という理解が定着した。
しかしながら80年代はシスプラチンとシクロフォスファミドくらいしか「効く」とされる薬剤は
無かったハズである。Goldie-Coldmanの仮説はその頃に得られたモノである。
その後、ありとあらゆる物質について研究がなされ、90年代後半になり、やっとパクリタキセル
が出回る様になった程度である。薬物耐性に関する「常識」はそれ程多くの「可能性のある」
組み合わせによってフォローされているとは思えない。
また、昨今の状況を見るとカルボプラチン+パクリタキセルの初回治療後、second lineとして
ドセタキセルを用いる事も珍しくない。私と主治医との議論でも「前回あれだけ効いたのだから
同じ作用機序を持つドセタキセルで?」という話にもなり1つの候補となっている。
もしGoldie-Coldmanの仮説に従うならば、すっかり「耐性のある」私の再発癌にドセタキセルは
効果は期待できない事になる。が、少なくとも我々はそうは考えていない。
この古い仮説は確かに標準治療の原則的な基盤になっている。「薬剤耐性」説は再発や治癒しない
ことを説明する際に最も簡単で便利な考え方である。しかし私にはかなり定性的で脆弱に思える。