認知症の便秘対策:認知症に伴う便秘の予防と治し方


「便秘の解消法:女性の便秘解消対策、便秘・慢性便秘の予防と治し方」 高齢化が急激に進行している日本で問題となっているのが認知症です。現在、認知症の人は300万人と推定され、65歳以上の人の10人に1人は認知症であるとされています。女性の平均寿命は男性に比べて長いため、これに伴い女性の認知症が男性に比べて多くなっています。認知症は、介護を必要とする病気です。物忘れなどの記憶障害、失語、失認、失行などの中核症状や幻覚、妄想、徘徊、異常な食行動、睡眠障害などの周辺症状に対する介護も大変なのですが、認知症で最も留意すべき点は、尿路感染を原因とする敗血症と嚥下性肺炎です。認知症による死因の多くは、排尿や排便の管理ができなくなることに原因する全身性の感染症と唾液や食事がうまく飲み込めずにそれらが気管や気管支に入り、それによって細菌感染が生じて肺炎が起こり死亡に至るケースです。また、認知症における便秘対策も非常に重要となります。入院している認知症の人で便秘薬を飲んでいない人はいないといわれるくらい、認知症の便秘は、非常に多いとされています。また、認知症の周辺症状は、便秘が原因で発症するかあるいはその症状が悪化するともいわれています。さらに、便秘は、認知症の死因の原因である尿路感染を引き起こすリスクを高めます。特に、女性の認知症では、肛門と尿道口が接近しているために尿路感染が起こりやすくなります。認知症の人は、便秘であっても、それをうまく介護者に伝えることができません。このように、認知症における便秘対策は、特に、介護者にとって、とても大切なポイントとなります。ここでは、認知症の便秘対策:認知症に伴う便秘の予防と治し方についてお話します。


日本は、他国に類を見ない高齢化が急激に進行している国で、これに伴い、認知症の人も急増しています。厚生労働省の推計によりますと、認知症の高齢者がここ10年間で倍増し、2012年における認知症の人は300万人を超え、305万人に達したとのことです。これは、65歳以上の高齢者10人に1人は認知症であるとの計算になります。2002年度の認知症の人は、149万人でしたので、この10年間で認知症の人は倍増したことになります。さらに、2020年には、認知症の人は400万人を超えると推計されています。ただし、この推計は、2010年度時点で要介護認定を受けた人のデータを基に算出したものですので、介護認定を受けていない認知症の人を含めますと、実際の認知症の人は、もっと多いかもしれません。また、認知症には介護が必要となりますので、認知症の人1人に介護者が1人の場合は、併せて600万人の人が、介護者が2人の場合には、900万人の人が、何らかの形で認知症に係わっている計算となります。すなわち、現時点におきまして、国民全体の5~10%の人が、認知症に向き合っているということになります。


認知症は、脳細胞の壊死と脱落が発端となって、さまざまな症状が現れます。脳細胞の壊死と脱落が直接原因となって現れる症状が、認知症の中核症状とよばれる症状です。さらに、その中核症状が原因となり、性格、素質、環境や心理的状態が重なって、周囲で起こっている現実を正しく認識することができなくなるような症状も現れることもあり、これを認知症の周辺症状または行動・心理的症状といいます。このように、認知症の症状には、中核症状と周辺症状の大きく2種類の症状が存在することになります。中核症状は、認知症の人全員にみられる症状ですが、周辺症状は、全ての認知症に必ず現れる症状ではなく、人によって現れたり、現れなかったりします。


認知症の中核症状は、認知機能の障害であり、記憶障害、実行機能障害、見当識障害、失行、失認および失語の6種類があります。認知機能とは、見たり、聞いたりすることによって、外部から入ってきた情報を記憶したり、考えたり、判断したり、あるいは人とコミュニケーションをとったりするといった日常生活に欠くことのできない能力のことをいいます。


記憶には、「記憶する過程」「記憶の内容」「記憶の保持時間」の3つの要素が存在します。記憶する過程では、情報を覚える(記銘)、情報を覚え続ける(把握)、情報を思い出す(想起)の3段階があります。また、記憶の内容には、出来事の記憶(エピソード記憶)、一般常識や歴史的事実などの記憶(意味記憶)、体で覚えた記憶(手続き記憶)の3種類があります。さらに、記憶の保持時間では、瞬間的な記憶(即時記憶)、数分から数ヶ月保持される記憶(近時記憶)、数ヶ月以上保持される記憶(遠隔記憶)の3つがあります。認知症の記憶障害では、これらの記憶機能に障害が現れます。認知症の記憶障害は、単なる物忘れではなく、誰でも起こることではありません。例えば、ご飯を食べた直後に、「まだご飯を食べていない」と言ったりするケースです。このように、認知症の記憶障害は、加齢による単なる物忘れとは全く別のものになります。実行機能障害とは、物事を順序だてて考えることができない、抽象的な考えができない状態のことをいい、買物や料理などができなくなります。見当識障害は、今がいつか分からなくなったり、人が誰か分からなくなったり、場所や空間での位置が認識できない状態をいいます。失行とは、身体的機能に問題が無いのに、目的に応じた動作ができない状態のことをいいます。服を着ることができないなどが、その例となります。失認とは、見えていてもそれが何か分からない状態のことをいいます。失語とは、うまく話すことができない、相手の言うことが理解できない状態のことをいいます。認知症の人が、便秘を起こしても、それを介護者に伝えることができなくなります。


認知症の周辺症状は、中核症状が原因となって現れる症状で、精神状態の異常や行動異常を伴います。認知症の介護で問題となるのは、中核症状よりも、むしろ、周辺症状となります。徘徊、暴言、暴力、行方不明、妄想などの症状が、介護を困難なものとする主な症状となります。その他に、幻視、寝ぼけ症状や万引きなどの反社会的行動を起こすこともあります。


認知症の症状は、急に発症するのではなく、時間の経過とともに症状は重くなります。認知症の初期は、記憶に限定した認知障害のみが現れます。言いたい言葉がうまく出てこなかったり、無気力感や倦怠感といった症状が現れます。その後次第に、記憶障害が明確となり、過去の記憶は残っているのに、新たに何かを覚えることができなくなります。他人の言うことを理解することも難しくなります。この記憶障害とともに、次第に精神症状も併せて現れてきます。妄想、焦燥感、不穏感、うつ状態などの症状も徐々に現れてきます。車の運転、買物、食事の支度などの日常生活にも影響が出てきます。また、過去の記憶も思い出せなくなります。認知症の後期では、痩せ細り、運動機能にも支障をきたすようになり、いつも失禁するようになります。認知症の後期では、体が衰弱化するために、唾液や食事の食べ物が、気管や気管支に入りやすくなり、それによって、嚥下性の肺炎で死亡に至ることもあります。また、排便や排尿処理のコントロールが困難となるために、膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染が起こりやすくなり、これが原因で全身性の敗血症を起こして死亡に至ることもあります。


認知症には、その原因となる病気の違いによって、さまざまな種類があります。主な認知症の種類としては、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、甲状腺機能低下症による認知症、慢性硬膜下血腫による認知症、正常圧水頭症による認知症などです。日本で多くみられる認知症は、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症の3種類で、3大認知症といわれています。そのうち、アルツハイマー型認知症が最も多く、認知症全体の63%を占めていて、次いで、血管性認知症が19%となっています。レビー小体型認知症や前頭側頭型認知症などのその他の認知症の割合は19%となっています。


アルツハイマー型認知症は、アミロイドβというタンパク質が脳に蓄積するために、神経細胞が減少し、脳が萎縮することによって起こる認知症です。血管性認知症は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの脳卒中が原因で神経細胞が壊死・脱落することによって生じる認知症です。レビー小体型認知症は、レビー小体とよばれるタンパク質が脳に蓄積することによって生じる認知症です。甲状腺機能低下症による認知症は、甲状腺ホルモンの分泌量が不足し、全身の新陳代謝が低下するために起こる認知症です。慢性硬膜下血腫による認知症は、頭を強打した後で、頭蓋骨と脳の間に血の塊(血腫)が生じて、血腫が脳を圧迫することによって起こる認知症です。正常圧水頭症による認知症は、脳脊髄液が脳室にたまり、脳室が拡大して周囲の脳が圧迫されて起こる認知症です。このように、認知症には、さまざまな種類がありますが、最も多くみられるアルツハイマー型認知症の対策が最重要課題となっています。


医療機関において、認知症の人のほとんどは便秘症も合併しているとされていて、便秘薬を飲んでいない人はいないともいわれています。また、認知症の人の80%は、便秘薬に加えて座薬または3日に1度の頻度で浣腸しているともいわれています。このように、認知症で便秘の人は、非常に多ということになります。


便秘と認知症とは、非常に関連しているとされています。認知症の周辺症状である徘徊は、便秘のため睡眠が浅くなるために生じるといわれています。また、不安、焦燥感、パニック症としての不穏や攻撃的行動などの周辺症状は、便秘が根本的な原因であるともいわれています。特に、便秘になりやすい女性の認知症には注意が必要であるとされています。便秘が認知症の周辺症状を発症させたり、あるいは症状を重くする理由は、認知症のために、便秘による身体の不調を体の異常として理解することができないためと考えられています。認知症ではない人が、長い間、排便がないと、何らかの便秘対策を講じますが、認知症では、排便がないことを便秘であると認識することができず、むしろ、便秘によるお腹の痛みや不快感が、自らの体の危機感と感じてしまい、その危機感から抜け出そうとして、徘徊やパニック、暴言、暴力的行為に向かうとされています。また、認知症の中核症状である失語のため、便秘であることを介護者に伝えることができないため、便秘が放置されてしまい、それによって、周辺症状が悪化するとも考えられています。大切なことは、介護者が、認知症の人の混乱原因が便秘であることを、早く気付いて上げることです。周辺症状が生じる、あるいは悪化する前に、便秘を解消させることが、認知症の対策にとても重要となります。


便秘では、便が長時間にわたり、大腸内に滞留することになりますが、これによって、大腸菌などの悪玉菌による腐敗発酵がすすみ、悪玉菌が優勢な腸内環境となります。大腸菌などの悪玉菌は、排便とともに体外にへ排泄されます。しかし、認知症では、排便処理が適切に行われずに、便に含まれる悪玉菌が尿道に入り込み、膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染を引き起こすことがあります。尿路感染を引き起こす起炎菌のほとんどは大腸菌です。認知症の人のほとんどは高齢者ですので、免疫抵抗力の低下した認知症の人は、尿路感染を原因として全身性の感染症である敗血症を起こすリスクが高まります。認知症による死亡の原因は、脳神経細胞の壊死・脱落や脳の萎縮によるものではなく、その多くは、敗血症や嚥下性肺炎です。このような観点からも、認知症の便秘対策は、とても重要となります。特に、女性においては、肛門と尿道口が接近しているために、尿路感染が生じやすくなりますので、女性の認知症におきまして、便秘対策は、優先的な課題となります。


認知症の便秘対策に、便秘薬や下剤がよく用いられています。しかし、便秘薬や下剤は、激しい腹痛を伴うこともあります。この激しい腹痛は、認知症の人にとっては、反って、自己の危機感を強くすることもあり、周辺症状が、むしろ悪化することもあります。また、便秘薬や下剤を常用しますと、次第に、それらの効果が減弱化するという欠点もあります。さらに、便秘薬や下剤には、敗血症の原因となる大腸内に生息する大腸菌などの悪玉菌を除菌する作用はありません。このように、認知症の便秘対策に、便秘薬や下剤の使用は最適であるとはいえないことになります。


認知症の便秘対策には、便秘の解消のみならず、便秘の予防効果や大腸菌などの悪玉菌を減らし、腸内環境を整えることが求められます。また、長期に使用することができるという点も重要となります。イヌリン食物繊維は、これら認知症の便秘対策で求められる全ての要件を満たす最適な便秘対策のツールとなります。イヌリン食物繊維は、ニンニク、ゴボウ、アスパラなどに含まれる水溶性の食物繊維で、他の食物繊維とは異なり、膨じゅん化(ゲル化)しない特徴を有する食物繊維です。イヌリン食物繊維は、水によく溶け、大腸に生息するビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌の栄養源となって、それら善玉菌を効果的に増やします。腸内に生息する腸内細菌の数は一定ですので、ビフィズス菌などの善玉菌が増えれば、相対的に大腸菌などの悪玉菌は減少し、腸内環境は改善され、膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染のリスクが低下します。すなわち、イヌリン食物繊維は、認知症の死亡原因となる尿路感染による敗血症の予防対策につながることになります。また、ビフィズス菌や乳酸菌は、イヌリン食物繊維を代謝させた時に副産物として、酢酸、乳酸、酪酸などの有機酸を分泌させますが、これらの有機酸には、便を軟らかくする効果があり、それにより、便秘が解消されます。また、イヌリン食物繊維は、膨じゅん化しない食物繊維ですので、腹部膨満感や腹痛を伴わない特徴があり、認知症の人に違和感を与えない利点からも、認知症の便秘対策には最適であるといえます。今では、スティムフローラのように、不純物を含まない極めて高純度のイヌリン食物繊維が、健康補助食品として市販されています。認知症に伴う便秘の予防と改善に、このような健康補助食品を活用することも有用です。


認知症を根治させるお薬や治療法は、未だ確立されておりません。しかし、有効な便秘対策を講じることによって、介護の障害となる認知症の周辺症状を軽減させことができます。認知症の介護で大切なことは、認知症の人から自らの恐怖感や危機感を取り除いてやることです。便秘は、認知症の人の危機感や恐怖感を与える重要な要因となっています。


便秘の解消法:女性の便秘解消対策

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