『鴨居上のアポーツ』
(キャンヴァス:油彩:F12:1993年)
つい先日、友人とメールのやりとりをしていたんですが、
『未解決事件』についての意見を色々と述べ合っていました。
で、その友人から『狭山事件』について知っているかどうか訊かれ、
それなら『鴨居上の万年筆問題』のみをクローズアップして取り上げた
シュールレアリスム風油絵を21歳の時に描いたと述べたところ、それを是非見たい!!
と言われたので、急遽Blogに出す事にしました。
この作品、1993年の大半を掛けた入魂作だったんですが、
後に自己評価を低く見てしまいました。
というのも、思いっきり『ダリ』のパクリっぽいから。
でも、今改めて見てみると、不当に低く貶めていたんじゃないか?と
我ながら思いました。
空間に割れ目が発生し、そこから強烈な光を発しながらヌッと突き出てくる万年筆。
正直言って有り得ない光景ですが、我ながら、よく立体感を出せたなあと思いました。
立体感を出すにあたっては、全くの想像で描きました。
その上、21歳で狭山事件を題材にした油絵を描いたわけです。
もう、イカレタ21歳でしょ、イヤな21歳でしょ(自分で言ってはいけないが)?
若干17歳で、ドキュメント映画『山谷(ヤマ)やられたらやりかえせ 』を
プランBで鑑賞した私ですから。
学校じゃ、思いっきり『変人』扱いされてました。
二十歳前後の私は、ダリとかマグリットの影響を受けていて、
立体感のある有り得ない絵(騙し絵っぽい絵)を描いていました。
それを『手描きCG』と呼んでいました。
殆ど他の画家からの影響を受けない私ですが、ダリとマグリットは、
私が影響を受けた数少ない画家です。
というか、実質この2人からしか影響を受けていません(画家のみ、漫画家は除く)。
私は、当時独学で油絵を描いていたので、
素早く油絵を描く要領というものを身につけておらず、例えば、
色を塗ったその隣に別の絵の具を塗る時、
既に塗ってある場所が乾くまでわざわざ待つという時間の無駄をしていました。
また、近くから見ても本物の写真の様に浮き出て見えないと気が済まないので、
レオナルド・ダ・ヴィンチの『スフマート』(薄い絵の具の重ね塗り技法)もやっていたので、
尚更日数が掛かりました。
ちょっとでもムラがあると、病的なまでに修正していました。
結局10~11ヶ月かかりました。
大きさはF12号とそんなに大きくは無いのですが、私は大きな絵を描くのが苦手な上、
あの当時はF12号でもとても大きく見えました。
描かれている鴨居や人物などは、狭山事件を題材にした劇画を参考にしました。
現在は、その漫画本は手許にありません。
ネットで調べてみたところ、幾つか狭山事件を題材にした漫画が出ているんですが、
確か作者は平口広美だったと記憶しているので、
『劇画無実の叫び 差別と冤罪』だったんじゃないかと思うんですが、でも、
題名は『劇画 差別が奪った青春』だった様な気もして、はっきりとは憶えていません。
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『鴨居の上の万年筆』問題とは何か?
それは、石川氏宅の勝手口附近を徹底的に調べ上げ、
そこに何も無い事を確認したにも拘らず、鴨居の上から万年筆が発見されたというもの。
しかも、被害者の万年筆に詰められていたインクは水色(ライトブルー)の筈であった
にも拘らず、発見された万年筆には、藍色(ブルーブラック)のインクが詰められていた!!
実際の鴨居の写真です!!
私が描いた絵と見比べてみるのもいいかと思います↓
http://www.bll.gr.jp/sayama/s-sayam-kamoi.html
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私の他にも、狭山事件を題材にした絵を描いている画家がいるとか何とかいう話を
聞いた様な聞かない様な感じですが、取り敢えずネットで調べても見つかりませんでした。
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私が『狭山事件』を題材に絵を描こうと思った一番のきっかけは、
義憤に駆られていたからというのも勿論あったのですが、
『世界の七不思議』みたいな話が大好きだったので、『不可解な関係者の死』や
『鴨居の上の万年筆』等、ミステリアスでオカルティックな要素を多々含んでいた事に
ありました。
「誰かがコッソリ置いたんじゃなければ、
アポーツ(物品のテレポーテーション)でもしたんかい!!?」ということです。
この作品は、『こたつ派』展(1997)で発表しました。
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この事件の背景に横たわっているという差別問題。
『部落差別』の話というのは、高校生の時に本で読んで知りました。
「未だにこんな差別があったのか許せんな!!」と思ったんですが、私は、
こういった差別体験というのを身近に全く経験した事が無いんですよ。
『奇人変人』だとバカにされるという意味での差別をされる事はよくありましたが。
最近では、利権をずっと守っていたいがために、こういった差別に消滅されては
逆に困るからマッチポンプしてるんじゃないか?みたいな話も聞きます。
奈良の給与不正受給事件もありましたよね。
もしかしたら、本当に差別されていて可哀想な状態に置かれている人も
いるかもしれません。
でも、上記の様な、差別を食い物にしている一部の悪党(エセ同和とか)のせいで、
本当に救われなくてはならない人がトバッチリを食らってしまう危険性も考えられます。
いずれにしても、こういったドロドロした話は嫌です。
なんか、「差別してるヤツは差別なんてくだらないからやめなよ!!」とか、
「逆に、差別されたと騒げば何でも通ると思うなよ!!」等と叫びたい心境です。
【追記:2009.8.10】
段々、この絵を描いた当時の記憶が蘇ってまいりました。
私が狭山事件絡みで平口広美氏の名前を憶えていた理由というのは、
現代書館の『フォービギナーズシリーズ』の『狭山事件』のイラストを担当していたのが
平口広美氏だったという事を、今思い出しました。
それで憶えていただけです。
『俺は善枝ちゃんを殺していない』というサブタイトルもはっきりと憶えていたので、
木山茂氏による劇画『差別が奪った青春』を参考にしたのは間違いないと思います。
てか、確かに『差別が奪った青春』だったという記憶も蘇ってまいりました。
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