今日は労災保険法の、出題傾向や学習上のポイントについてお送りします。


<出題傾向>

近年の社労士試験における労災保険法は、明らかに問題の難易度が上がっています

特に、テキストに記載されていないような通達からの出題が目立ちます。
たとえば以下のような通達から出題されています。

・脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準
・心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針
・社会復帰促進等事業としてのアフターケア実施要領の制定
・C型肝炎、エイズ及びMRSA感染症に係る労災保険における取扱い

中には、労災保険法の基本的な知識で対応できる出題もありますが、
ほとんどは、その具体的な規定の中身について問うものが多く、
社労士としての基本的知識を問う、という趣旨から逸脱したものもあります。
(そういった趣旨で本試験が行われているのかどうかは不明ですが・・・。)

23年度の選択式では、外貌醜状の具体的な程度に関する出題もありました。

これらは、ほとんどの予備校が予想していなかった部分からの出題であり、
多くの受験生にとって未知の出題であったと思います。

一方、出題形式についても他の科目とは異なる特徴が見られます。

他の科目は、5肢択一で、それぞれ「異なる論点」からの出題が多いのですが、
労災保険法は、「1つの設問につき1つの論点」が掲げられており、
5つの選択肢の中から正しいものを選ばせる、という出題が目立ちます。

つまり、正しい知識があれば瞬時に判断可能ですが、消去法が使えないため
あやふやな知識では正解肢を選べない」ということがいえます。


<学習上のポイント>

1.学習全般について

労災保険法は、他の社会保険科目と共通する部分も多く、
保険法の基礎」を作る科目でもあります。

特に「保険給付」をしっかり学習することで、後の科目が楽になります。
ポイントとしては、いきなり細部に立ち入るのではなく、
先ずは「給付の全体像」をしっかり理解するようにしましょう。

また「通則」は、国民年金法や厚生年金保険法と「ほぼ同様」の規定が多く、
理解も容易であり、非常においしいテーマなので完璧に仕上げましょう。

2.得点戦略

出題の予想が難しい「難易度の高いテーマ」を学習するよりも、
繰り返し出題されている「基本事項=重要論点」を完璧に仕上げましょう
何度もお伝えしているとおり、難易度の高い設問で勝負がつくことはありません。

また、<出題傾向>でお伝えしたとおり、択一式では正確な知識を求められる
出題形式が目立ち、選択式の難易度も上がっているため、なおさら基本事項が重要です。

なお、難易度の高い出題で失点しても、基本事項で得点できますし、
択一式では3問が「労働保険徴収法」から出題されますので心配無用です。

3.その他

年金2法まで学習が進むと、遺族の範囲や障害など、混同する部分がでてきます。
直前期には、給付を中心に年金2法との「横断学習」を行いましょう。

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~本日の論トレ(論点トレーニング)~

以下の設問について、「誤っている箇所」を指摘してみましょう!

<平成20年度 労災保険法 第1問A>

試みの使用期間中で雇入れ後14日未満の者には、労災保険法は適用されない。

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では、誤っている箇所を赤字で示します。

試みの使用期間中で雇入れ後14日未満の者には、労災保険法は適用されない。

一行なので、指摘も何もありませんが。。。

過去問を解く際には、正解肢の抽出や、誤っている箇所の指摘だけではなく、
何故、誤りなのか?」「正しくはどうなのか?
ということを意識しながら取り組んでくださいね!

試用期間中の者であっても労基法上の労働者に該当するため、
適用事業に使用される場合には、当然に労災保険法の適用を受けます。

なお、有期労働契約者や短時間労働者であっても、上記の定義に該当すれば
当然に労災保険の適用を受けます。



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