ミラノ市からのプレゼント 2023 ~ ペルジーノ 『主の洗礼』  | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

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毎年12月になると、ミラノ市からミラノ市民へのプレゼントとして芸術作品が市庁舎であるマリーノ宮で無料展示される。

 

今年は、没後500年を迎えた盛期ルネサンスのイタリアの巨匠Pergino/ペルジーノ(本名Pietro Vannucci/ピエトロ・ヴァンヌッチ)による作品、『キリストの洗礼』が、 12月5日から1月14日まで、展示されることとなった。

 

 

 

この作品はウンブリア州にあるフォリーニョの貴族ジョヴァンニ・バッティスタ・モルガンティの発注で、同地のヌンツィアテッラ礼拝堂の洗礼者聖ヨハネの祭壇のために描かれたもの(1507-1513年)。福音書にも言及されているが、イエスがヨルダン川において、いとこである洗礼者ヨハネによって洗礼を受けたことが主題となっている。

 

フレスコ画は何世紀にもわたって湿気によって傷んでおり、19世紀から20世紀にかけてひび割れの修復が行われているのだそうだ。

 

余談だが、ペルジーノは彼の出身地にあるチッタ・デッラ・ピエーヴェ大聖堂に同タイトルの作品も1510年に奉納している。(両作品同時に作成したのか?)


この二作品では、イエスと洗礼者ヨハネの両脇の天使達の優雅な姿勢、雰囲気が個人的には興味深い。

 

ところで、ここ数年、クリスマスの市庁舎での展示会は、聖母子、または聖母がテーマになっていることが多かったので、改めて「主の洗礼」は嬉しいテーマ。


降誕節を締めくくるのは「主の洗礼」の祝日。イエスがヨルダン川で洗礼を受けたのは、イエスが誕生してから30年も経った後の出来事で、そこには「イエスの神の子としての現れ」という降誕節のテーマが続いていると考えられている。同時にこの出来事はイエスの活動の出発点でもある。

 

あなたはわたしの愛する子、わたしの心に適う者(マルコ1ː11)

 
受洗の恵みを改めて回顧し、神の子として、またいつも共にいてくださるイエスのことを意識させて戴く展覧会に間違いない。