▼オチではなく過程を楽しむべし。映画「シャッターアイランド」
（C）2008 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
No reproduction or publication of these images permitted.
マーティン・スコセッシ監督×レオナルド・ディカプリオのタッグも今作で早4度目。
前作「ディパーテッド」で念願のオスカーを受賞した後に
どんな作品を送り出してくるのかと思いきや、これが意外にもミステリー。
原作は「ミスティック・リバー」の著者であるデニス・ルヘインの同名小説。
賞穫りへの呪縛から解放されたスコセッシと、
役者として成熟してきたディカプリオならばそこそこ見せてくれるだろうと期待したのだが…
精神病を患っている患者だけを収容する孤島「シャッターアイランド」に
やってくる連邦保安官のディカプリオが、島内で発生した事件の解決に挑む。
…という二行を読んだ段階で予想していた通りの結末に着地してしまった。
「パラノーマル・アクティビティ」の紹介記事でも同じことを書いたのだが、
この手の映画で、「衝撃の結末」「予測不可能」だのとやたらに煽るのは
逆効果でしかないと思う。まして、煽り文句からは程遠い、サイコサスペンスとしては
ベタ過ぎるほど安直な結末の場合は、特に避けた方がいい。
全体的にはそれほど悪い出来ではないのに、「結末が簡単に読めてしまう」ことが
作品の価値を下げてしまったのは、結末が全てであるかのように宣伝展開した
配給元に全責任がある。
スコセッシの狙いが結末ではなく結末に辿り着くまでの過程であることは
映画を観ていれば明らかで、ディカプリオを始めとする役者陣も、
意図的にネタバレしながら芝居をしているようなフシがある。
序盤のうちにオチを見切った上で、現実世界と妄想世界の境目を
ひとつずつ発見していくことに楽しみを見出すことが出来れば
マーク・ラファロのたどたどしさやベン・キングズレーの怪しさを満喫出来るはず。
スコセッシの作品に共通するテンポの悪さは本作も健在で、この内容で138分は長過ぎ。
現実と空想の境目を曖昧にして観客を惑わす手法はデパルマの十八番だし、
異常者の犇めく空間を描かせたらリンチには到底敵わない。
結局のところ、何故この作品をスコセッシが映画化しようと思ったのか
私的にはそこが最大の謎であった。この内容ならデパルマかリンチで観たかった。
■DVD：「ファム・ファタール」
■DVD：「マルホランド・ドライブ」
▼映画ランキング。新作3本がトップ3を独占
1位（-）：シャッターアイランド（1週目）
2位（-）：第9地区（1週目）
3位（-）：ダーリンは外国人（1週目）
4位（1）：映画ドラえもん のび太の人魚大海戦（6週目）
5位（2）：シャーロック・ホームズ（5週目）
6位（5）：アバター（16週目）
7位（3）：映画 プリキュアオールスターズDX2（4週目）
8位（-）：のだめカンタービレ 最終楽章 前編
9位（6）：ソラニン（2週目）
10位（4）：ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ（6週目）
トップを獲得したのは「シャッターアイランド」。
全国442スクリーンという大規模での展開が功を奏し
土日2日間で動員208,247人、興収 273,533,500円を記録。
超吹き替え版を用意するなど、字幕が苦手な映画ファンを取り込むための施策を
仕掛けているだけあり、字幕版が259スクリーン、吹き替え版が183スクリーンと
ファミリー層向けの洋画並みに吹き替え比率が高くなっているのも特徴。
2位は、本年度オスカーのダークホースとして注目されていた「第9地区」。
こちらは全国204スクリーンと「シャッターアイランド」の半分以下だが、
2日間で動員125,335人、興収 165,436,100円とかなりの好成績。
先週末公開の新作なら「シャッターアイランド」よりも断然お勧め。
8位には、「後編」の公開が来週に迫った
「のだめカンタービレ 最終楽章」の前編が再度ランクイン。
鑑賞料金を一律1000円に設定するだけでなく、「後編」の前売りチケットを
提示すればワンコイン（500円）で鑑賞出来るサービスぶりが好調の要因ではないか。
★公開中の作品紹介一覧
【紹介記事】さまぁ～ずらしいユルさが心地良い。映画「かずら」
【紹介記事】笑ってさえいれば破綻しない空間。映画「パレード」
【紹介記事】身の丈に合った劇場版。映画「ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ」
【紹介記事】心を通わせる二人の母親。映画「フローズン・リバー」
【紹介記事】世界一ピュアな犯罪者。映画「フィリップ、きみを愛してる！」
【紹介記事】CG全盛の今だからこそ新しい。映画「プリンセスと魔法のキス」
【紹介記事】真犯人が気になる。映画「すべて彼女のために」
【紹介記事】昭和のジュブナイルを上手く再現。映画「時をかける少女」
【紹介記事】世界観と演出がちぐはぐな気が。映画「ダレン・シャン」
【紹介記事】咲き乱れる7色のフェロモン。映画「NINE / ナイン」
【紹介記事】こんなホームズ、大アリ。映画「シャーロック・ホームズ」
【紹介記事】夢のタイムリミット。映画「ソラニン」
【紹介記事】善意の在り方。映画「しあわせの隠れ場所」
【紹介記事】オチではなく過程を楽しむべし。映画「シャッターアイランド」
▼Blu-ray版「風の谷のナウシカ」商品仕様が発表
07月14日発売■BD：「風の谷のナウシカ」
原画を担当していた庵野秀明氏と、演出助手を担当していた
片山一良氏の2名によるオーディオコメンタリを収録。
昨年12月に収録した鈴木敏夫氏と庵野秀明氏の
対談「ナウシカとエヴァンゲリオン！巨神兵の行方は？」もあわせて収録されている。
映像特典はPinP再生が可能な絵コンテ集、台本、劇場予告編5種類など。
84年に製作された「風の谷のナウシカ GUIDE BOOK」をミニサイズで復刻し同梱する。
▼映画「マイケル・ジャクソン ムーンウォーカー」がBlu-ray化
06月02日発売■BD：「ムーンウォーカー 特別ブックレット付」
■BD：「マイケル・ジャクソン THIS IS IT 特製ブックレット付」
「THIS IS IT」が驚異的な売り上げを続けている
マイケル・ジャクソン主演の映画「ムーンウォーカー」が初BD化。
20ページの特製ブックレットを同梱し、価格も2500円とリーズナブル。
初回限定生産商品。
▼今週発売の主な新作
今週は全てのカテゴリーにおいて新作が少なめなのでまとめて紹介。
04月14日発売■DVD：「アンヴィル！夢を諦めきれない男たち」
映画は1本。
1978年に結成、1980年代にはボン・ジョヴィなどと肩を並べて
活躍していたメタルバンド「アンヴィル」。
後続のバンドに影響を与えながらも、いつしか人気は下降線を辿り、
表舞台からは遠ざかっていった彼等の今を追った音楽ドキュメンタリー。
2010年の現在、給食の宅配や建築作業員で日銭を稼ぎながら、
それでも夢を諦めない彼等を動かしているものは何なのか。
監督は、自身も熱烈なアンヴィルファンであるサーシャ・ガヴァシ。
メタリカ、モーターヘッド、ガンズ＆ローゼズなど
多数のミュージシャンがコメントを寄せている。
「ソラニン」の甘さとは対照的に、とことん苦い大人向けの青春映画だ。
04月15日発売■360：「ノーモア★ヒーローズ 英雄たちの楽園 特典付き」
04月15日発売■PS3：「ノーモア★ヒーローズ 英雄たちの楽園 特典付き
ゲームも1本。
Wiiで発売された同名タイトルを、Xbox360/PS3向けにリメイク移植した
「ノーモア★ヒーローズ 英雄たちの楽園」が発売。
Wii版やシリーズ最新作のWii「ノーモア★ヒーローズ 2 デスパレード・ストラグル」は
尖ったセンスでお馴染みのグラスホッパー・マニファクチュア開発だが
こちらはXbox360「ロストオデッセイ」やWii「恐怖体感 呪怨」を手掛けた
フィールプラスが開発を担当している。
04月16日発売■COMIC：「新 仮面ライダーSPIRITS 2 / 村枝 賢一・石ノ森章太郎」
04月16日発売■COMIC：「クロスゲーム 17 / あだち充」
04月16日発売■COMIC：「ハヤテのごとく! 23 / 畑健二郎」
04月16日発売■COMIC：「ハヤテのごとく! 24 / 畑健二郎」
04月16日発売■COMIC：「絶対可憐チルドレン 21 / 椎名高志」
04月16日発売■COMIC：「神のみぞ知るセカイ 8 / 若木民喜」
04月16日発売■COMIC：「エア・ギア 28 / 大暮維人」
04月16日発売■COMIC：「あひるの空 27 / 日向武史」
04月16日発売■COMIC：「君のいる町 9 / 瀬尾公治」
▼先週予約が開始された主な新作
「マリオギャラクシー2」を上回る人気の「ゼノブレイド」、
指名買い率が高そうな「HOSPITAL」の3本が絶好調の滑り出し。
「ゼノブレイド」の人気は予想以上で、
サントラ付きの在庫がどこまで持つか不安になるほど。
「戦国BASARA 3」は案の定PS3版が圧倒的で、Wii版は1/10にも満たない状態。
05月27日発売■Wii：「スーパーマリオギャラクシー 2」
05月27日発売■DS：「スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神 特典付き」
06月10日発売■Wii：「XENOBLADE / ゼノブレイド サントラCD付き」
06月10日発売■DS：「ロックマン ゼロ コレクション」
06月10日発売■PS3：「グランド・セフト・オート:エピソード・フロム・リバティーシティ」（Z指定）
06月10日発売■360：「グランド・セフト・オート:エピソード・フロム・リバティーシティ」（Z指定）
06月17日発売■Wii：「HOSPITAL / ホスピタル 6人の医師」
06月24日発売■DS：「ゴースト トリック」
06月26日発売■BD：「バグダッド・カフェ ニュー・ディレクターズ・カット版」
06月30日発売■BD：「けいおん! ライブ レッツゴー!」
07月09日発売■BD：「オーシャンズ コレクターズ・エディション」
07月29日発売■PS3：「戦国BASARA 3」
07月29日発売■Wii：「戦国BASARA 3」
07月30日発売■BD：「けいおん!! 第2期 1 初回限定生産」
08月27日発売■DVD：「ゲームセンターCX 24 課長はレミングスを救う 2009夏」
【4/9更新】最近予約が開始された主な新作の発売日リストはこちら。