現在、生活保護の受給者数が急増していることが社会問題化しています。
急に職を失ったなど、やむを得ない事情がある人にとって最後の砦ともいえます。
給付を受けたら、当然に生活のために利用されるべきです。

しかし現実は、家賃の滞納などの問題が山積しているようです。
衣食住のうちの1つである「住」は、絶対に欠かせないものです。
他を切り詰めてでも、先ずは家賃に充てるというのが常識的な考えだと思います。
滞納を繰り返して追い出されては、その後の生活が成り立たなくなります。

これに関して、北海道で給付の際に家賃を家主に直接支払う方法が試験導入されます。
これは、生活保護者と家主の双方について、よい試みではないかと思われます。
ところが、これに難癖をつけてくる方もいらっしゃる訳なんですね。

参考↓『生活保護者の家賃滞納対策 札幌市、家主に直接払い』
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/150680.html

(以下、記事を引用...)
民間の賃貸住宅に住む生活保護受給者の家賃に充てられる「住宅扶助費」について、札幌市は三日、受給者を通さず家主に直接支払う「代理納付」制度を、道内で初めて四月から試験導入する方針を固めた。家賃滞納が相次いでいるためで、対象は滞納を続ける受給者となるが、個々の事情が考慮されなかったり、プライバシーが侵害されたりする恐れを指摘する声もある。
道によると、代理納付は公営住宅では札幌市営住宅で導入されているが、民間賃貸住宅では初めて。対象は、家主ら八百六十人が加盟する札幌市アパート業協同組合の賃貸住宅などに入居し、家賃を滞納している生活保護受給者で、将来は全賃貸住宅に拡大する考え。
札幌市によると、市内の生活保護費の受給は約三万七千世帯で、このうち民間住宅の入居者は約三万三千世帯。世帯主には生活保護費の中で住宅扶助費が支給されている。上限は単身で三万六千円で、家族二-六人で四万六千円。札幌市に家賃滞納の統計はないが、不動産関係者によると、市内の滞納者は一カ月に五百世帯以上に上るという。
生活保護問題に詳しい花園大(京都市)の吉永純教授は「家賃滞納は、急な出費があったかなど受給者の事情を調べてから解決すべきで、代理納付が必要かの判断を家主の意向で決めるのは疑問だ。また、手続きで、生活保護受給者であることが家主らに継続的に把握されることもおかしい」と問題点を指摘している。

私には、このプライバシー侵害に繋がる理由がどうにも理解できません。
生活保護の中には、住宅扶助の目的で支給される部分が含まれているのです。
それが住宅のために適正に使用されるのなら、何ら問題がない筈です。
生活保護者でなくても、住宅のための支出は生活の基本にあることです。
しかも「対象は滞納を続ける受給者」ということになっています。
こういう悪質なケースにまで、何でもプライバシー侵害とは如何なものかと思います。

いつも思うことですが、そもそもまとまったお金を渡すことに問題があります。
目的に応じて現物支給するなど、制度のあり方そのものを考え直すべきでしょう。
毎月の家計簿提出を義務付けるなど、浪費のチェックもするべきです。
真面目に働いている低所得者より、生活保護者の方が豊かな生活だとも聞き及びます。
今の制度のままでは、勤労意欲を失わせるばかりだと思いますね。

関連する過去記事↓
『必要な人に支給されない生活保護』
『生活保護の実態について考えるべきこと』
『生活保護の不正受給者に厳しい措置を』
『小手先の年金制度改革では焼け石に水』
『生活保護受給者に対する管理体制を考える』
『生活保護受給者の増加を食い止める措置が必要』