政界では、大臣の失言などで何かとバタバタしています。
一部には単なる揚げ足取りでは?と思うようなものも見受けられます。
言葉狩りに意識を向けられて、肝心なことを見落とさないようにしないといけません。

厚生労働省が、年金制度改革に関する具体的選択肢を提示しました。
これらが本当に抜本的な改革になるのか、それは非常に重要なことです。

参考↓『厚労省、年金制度改革の具体的選択肢を提示』
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080929/plc0809292114027-n1.htm
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080929-00000603-san-soci

(以下、記事を引用...)
厚生労働省は29日、社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の年金部会に、新たな年金制度改革の具体的な選択肢を提示した。基礎年金(国民年金)保険料を全額払えず低年金となっている人への対応として、所得に応じて保険料の一部を軽減し、税金で補助することで老後の年金額が少なくならないようにする案も選択肢として盛り込んだ。部会は11月上旬をめどの意見集約に向けて議論を進める。
基礎年金の給付額は現在、40年納付して満額を受け取れても月額約6万6000円。滞納などで未納期間が長いと、老後の受給額がさらに少なくなる。保険料の税金補助案は、こうした課題の具体的解消策の1つとして提示された。厚労省は同時に、自営業者の所得補足が難しい上、多額な費用が必要などといった同案の課題も提示した。
厚労省はこれ以外の選択肢として(1)年金給付時に、低年金者に対して一定額を保障する「最低保障年金」の創設(2)年金額にかかわらず、著しく所得の低い単身高齢者などへの給付額の加算(3)基礎年金財源をすべて税金でまかなう全額税方式の導入-も示した。
一方、現在25年の基礎年金の受給資格期間の見直しについては、20年に短縮▽受給資格期間そのものをなくす▽5~10年-との選択肢を提示した。期間を短縮したり撤廃することについては、保険料の納付意欲がなくなり、未納がより深刻になる恐れがあるとの問題点も示した。
さらに、現在20~60歳となっている国民年金の適用年齢については、25~65歳▽20(または18)~65歳の間で40年納付すればよいことにする▽20~65歳とし、うち20~25歳は一律納付猶予期間に位置づけ、この間は任意納付できるようにする-との案を示した。

そもそも、国民年金の給付が満額で月額66,000円という低水準という問題があります。
年金だけで、老後をやっていけると誰もが考えている訳ではありません。
しかしながら、最低限の生活が営める水準にはすべきではないかという気がします。
ましてや未納があると、そこから更に程度に応じて減額されていきます。
満額であっても、生活保護と実質的に水準が逆転してしまっています。
そのような状況下で、ちゃんと年金保険料を払えと言われても無理があります。

引用記事の各方法は、何れも多額の財源確保が必要となる内容です。
挙句の果てには、全額税方式というところにまで言及しています。
結局のところは税方式にして、消費税から賄いたいのが本音なのでしょう。
抜本的な改革は、この税方式だけといった感がありますね。

改革案を示すのは結構ですが、今の年金の財務状況はどうなっているのでしょう?
アイデアを出すためには、まず現状分析をするのが普通の考え方です。
将来の給付を見越した年金の資産と負債は、どういったバランスなのでしょうか。
会計的手法で、将来キャッシュ・フローを見積もってみるのもいいと思います。

そういった情報開示をすることで、選択肢に関する判断を問うべきでしょう。
とにかく、目に見える情報が少な過ぎるという印象があります。
年金改革は待ったなしですから、情報の透明性確保を是非ともお願いしたいです。
既に、小手先だけの改革では「焼け石に水」状態かも知れませんからね。

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