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本稿の内容とはやや異なりますが、現実的には、景気ウォッチャー調査の結果から見ても、岡田党首の姿勢を見ても、政権が大敗するほどの状況にはなっていません。野党の現状として、纏まりがなく最大野党の党首が国民的に不人気であるという状況を考えたなら、通常に考えて自民党が勝利し、野党が敗北という形になるだろうということは認識しておかなければ次の手を打てません。

私のように日本に移民を多く受け入れようとするなど、グローバル化を進める政策に反対する者は、安倍政権が、どのような結果になるのが一番やりにくいのかということを逆算的に考える必要があります。最善は、衆議院でも参議院でも安倍政権を支えようとする人が過半数を割ることですが、現状として、それが望めないなら、参院選後に野党が合致して強力な党首を対抗馬として据えてくることと与党が内部で諍いを始めるという状況ができたなら、それでも大きな成果と言えます。

今回、天祐であったのは衆院の解散を安倍総理ができなかった事です。仮に衆院が解散されていたなら、間違いなく、上記のような「野党が合致して強力な党首を対抗馬として据えてくることと与党が内部で諍いを始めるという状況」を作り出すことは出来ませんでした。なぜなら、次の選挙までの丸まる3年間、野党が少ない議席で金銭的にも追い詰められ、対抗するモチベーションを維持することは不可能に近く、また、より強力な権力構造を作り上げた安倍総理とその周辺に対して与党内で諍いが起きる可能性もありませんでした。

仮に参院選で難なく自民党が勝利すると安倍総理としては解散に同意しなかった人達のことを快く思わないでしょう。最大野党の党首がより国民受けのする若手の党首に変わったなら、千載一遇の好機を逃したと安倍総理は思い始めることでしょう。この思いが公明党との距離を少し開くことになりますし、選挙が2年後にあるという状況がある中では、議員生命が失われるかもしれないという恐怖を自民党の衆議院議員の中に着実に広げていくこともできるでしょう。

一番困るのは、自民党も民進党も勝利宣言するような中途半端な状況です。
そうならないようにするためには、公示前に岡田党首を追い込むというのが一番でしょう。「2/3をとらせない」などというポスターを激しく非難してあげることこそ、民進党にも日本にとって良いのです。「2/3をとらせない」などというポスターを掲示して喜ぶのは安倍総理だけですから。

以下、本文です。


本日は、参院選の展望と景気ウォッチャー調査について取り上げたく思います。
今度の参院選の論点は、現在のところ憲法改正問題=安全保障問題になっております。安倍総理としては、当然、望むところでしょうが、これに民進党の岡田党首が付き合っております。この現状が続くと、間違いなく岡田民進党は敗北することになるでしょう。その理由としては、安全保障問題は、政権与党が安全保障に関するニュースはある程度コントロールできるために与党が不利になることが少ないという点が、第1点目にあげられます。

昨日の未明にありました中国の接続海域への艦船の侵入問題でもそうですし、自衛隊機のスクランブルを定期的にニュースリリースしていくだけで、自民党は選挙で有利になるでしょう。また、南シナ海の問題があり、この裁定が下されるという状況が近づいていますから、中国が大人しくしている筈がありません。2点目の理由として、安全保障反対に対する関心の低さです。マスメディアが流すニュースのリードで憲法改正に賛成反対の両方が拮抗しているという伝え方をしていますが、よく見ると面白いことが分かります。

NHKがRDDで5月に実施した調査ですが、「改正する必要があると思う」は27%、「改正する必要はないと思う」が31%でした。これを見て、民進党が「安保で戦えば過半数の人から支持を得ることができる」と思ってしまったのだとしたら、浅はかとしか言いようがありません。なぜなら、憲法改正に反対することで得ることのできる票数は、約3割に過ぎず、残る7割の人のうち3割弱が、保守派の固定層で、残る4割の人は憲法問題には大きな関心がないのです。

さらに、この「改正する必要はないと思う」の31%のなかには公明党支持層で、与党に投票する人がいることを考えますと、民進党が安全保障と憲法改正に付き合っても、既に固めている得票源への働きかけになり、新たな集票という意味での効果はありません。問題は、約4割の有権者のどれくらい取り込むことができるかなのです。

勘違いしている人も多いのですが、政権与党が得票の過半数を取れるかというのは、実は微妙な状況です。前回、自民党が圧勝した衆院選でも自民党の得票率は小選挙区で49.54%、比例では46.82%に過ぎません。得票では野党が多かったのですが、与党が議席としては約7割を握りました。前回の参院選でも小選挙区で47.87%、比例で48.90%であり、やはり野党の方が得票率は高いのです。それでもやはり62.8%の議席を与党が押さえ、民主党は17議席しか取れない大惨敗になったのです。

このことを考えたなら、憲法改正反対を前面に出し、「改正する必要はないと思う」と答える31%の既に野党側の支持となっている層にアピールするよりも、他の政策で頑張らないと勝負ができないことは明白なのです。1番影響力の大きい政策は国民生活に直結する経済です。9条のことを朝から晩まで考えて訴えている人には申し訳ありませんが、憲法のことなど多くの国民にとっては、自分の生活とさほど影響があるとは考えていないのです。

経済政策として、色々と影響力の大きい指数である景気ウォッチャー調査が6月8日に公表されました。
私は、景気ウォッチャー調査は経済的な数字としては勿論ですが、それ以上に政治的な指数として注目をしています。なぜなら、投票権を持つ者の多くが実感する経済状況を最も色濃く反映する指数がこの景気ウオッチャーであり、この数字が40ポイントを切ると政権としては黄色信号が点灯すると私が考えているためです。

民主党政権が政権を明け渡した平成24年の12月ですが、この前の月、前々月は38.4、39.2という数字でした。この10月の数字を出した時のDIでは、「良くなっている」と答えた率は僅かに0.4%、「やや良くなっている」が9.9%、「やや悪くなっている」が35.5%、「悪くなっている」が9.5%でしたから、民主党政権に対して経済的に合格点を出せた10.3%の4倍もの45%もの人が落第点をつけていた訳です。

今回の調査では、家計動向の数字が41.9と悪いながらも40代をキープしております。個別の数字で見ると、「良くなっている」と答えた率が1.1%、「やや良くなっている」が11.9%、「やや悪くなっている」が29.2%、「悪くなっている」が6.5%でした。この結果は、政権交代した平成24年の秋ごろの水準にだいぶ近づいてきてはいるものの、まだ若干数字には差があるという状況です。しかし、経済問題で当時の民主党政権と差別化してきた安倍政権にとっては、この数字は致命的な数字になりつつあります。

7月に公表される数字が、もう2ポイントほど落ちれば、野党に問題があるという状況があったとしても、野党が正面から経済問題で勝負したなら、安倍政権が参院選で経済問題での得票は難しくなるでしょう。ただ、現状では、経済問題だけで勝負できるという状況でもありません。

野党が勝利するためには、経済問題に加えて、もう一つ論点を作る必要があります。経済問題での安倍政権の追及と、目玉になる政策があって初めて、野党は自分のフィールドで戦うことができるようになります。仮に経済問題だけでも、安全保障問題だけでも、安倍総理のフィールドでの戦いになりますから、そうではない政策が、当然、必要になります。以前に、高速無料化などで痛い目にあっている国民は、反発しかねないと危惧するかもしれませんが、実現可能性があるものと国民を納得させることのできるテーマであれば、そのようなことはありません。

では、実現可能性があるものと国民が納得するテーマとはと言いますと、私がお勧めできるものが2つあります。一つは政治資金規正法の改正です。政治団体に対する寄附の全面禁止や政党助成金の撤廃などを公約とし、自民党の甘利議員が辞職しなかったことや舛添氏を応援してきた事実を追求することができますから、比較的手軽です。ただ、民進党内を纏めることができるのかという問題はありますが、検討するなどという濁した表現ではなく、きちんとした形で打ち出せたなら効果的でしょう。

もう一つは参院改革です。参院の選挙制度は以前に伝えたようなものでもいいでしょうし、この場合は憲法改正が必要となりますので、憲法改正まで踏み込まないのであれば、選挙権を18歳から、一気に0歳にまで引き下げるという政策も面白いでしょう。無論、0歳児には投票能力がありませんから、後見人たる両親が代位して投票する。12歳以上になれば後見人とともに投票先を考えるというものなら、若い人の声が政治に反映されやすくなるというメリットがあります。また政治の話を親子でしないまま、成人するという現状にも変化が起きるでしょう。(個人的に、私の住む佐賀県が子どもの数の比率が全国の都道府県で3番目に多く、地方の声をより反映しやすくして欲しいと思っていたために、こんな案がでているという背景もありますが。)

こういった政策を組み合わせ、前回の衆院選でも言いましたが、得票数の過半数を勝敗ラインとして、安倍総理と岡田党首の党首辞任を懸けて勝負を迫れば、そこそこ戦えるのではないかと思います。しかし、恐らくは岡田党首にそこまでの力量はありませんし、参院選での結果ですから、岡田氏が覚醒したかのように頑張り、自民党が大敗したとしても、自民党が政権与党から転落することはあり得ません。また、その結果としてTPPなどの各条約を参院選の結果だけで覆せるという甘いものでもありません。

ただ、自民党が勝利できないという結果であれば、安倍政権にとっては、今後の足枷として大きな意味を持ちます。日本国民の所得を向上させなければ、票を入れることはないという当たり前のことを再認識させ、それに沿った政策を行わせるということは地味ですが重要な事です。安倍政権が株価ボードを執務室においているというのは有名な噂(派閥の長たる町村氏が過去(平成26年)に発言していたので本当のことだと思いますが。)ですが、『株価が上がっても政治献金は増えるかもしれませんが、票にはつながらない。』『選挙に落ちたら、ただのおっちゃん、おばちゃん。』という事実を改めて、しっかりと認識させることが重要なのです。