美味しいワインが飲める今 その3 | ろくでなしチャンのブログ

美味しいワインが飲める今 その3

        美味しいワインが飲める今 その3

 

 1940年代のフランス・ワインは、現代の我々が飲むと果実味が薄く、酸味が強く、若干の腐敗臭を感じるだろうと言われています。それでは、何故ワインが美味しくなったのでしょうか。 


 前回は、薬剤散布、剪定、摘葉、整枝、果実に負担を与えない、低温マセレーション、逆浸透膜法、真空蒸留法、瓶詰め期間の短縮と管理、樽使用比率の増加等について簡単に述べました。今回は、

 

 エルヴァージュ(熟成)について。澱挽きについて、確かに澱挽きの回数は減少しているようであり、酸化を防ぐ意味から不活性ガスを使用して行う等の配慮がなされてきているようです。

 さらには、健全な或いは善玉でない澱は除くと言う前提条件の元、ワインと澱を意図的に長期間接触させることにより、芳醇さや良好な舌触りを得られると主張する方々も現れて来ている様です。

 

 昨今の流行りはなんといってもミクロ・ビュラージュ(微量酸素注入)でしょう。

発祥は、アペラシオン、マディラと言われ、サンテミリオンでの利用率も高いようです。タンニンをやわらかく、甘くすると言われています。

従前はエルヴァージュ期間は出来るだけ酸素に触れさせない、つまり酸化を防がなければならないとの考え方でしたから、180度の方向転換となります。

 確認できていないのですが樽熟成期間の限度についても恐らく酸素との接触問題があるのだと思っています。樽も僅かながら空気を通すようですので、酸化を防ぐ意味で瓶熟成に変えていると思っています。さらに、樽内のワインの目減り分(エンジェル・シェア)の補充も酸化対策のようです。

 話は戻って、勿論、熱帯魚の水槽に使われるエア・ポンプとは訳が違いますので、微量の酸素をチューブで吹き込む手法で、樽内でミクロ・ヴィラージュを行う場合、クリカージュと呼称を変える場合もあるようです。


         ※拙稿2010.12.10ステラージュ こちらへ

 

 プレスワインの適正使用。プレスワインの添加に対しては従前より慎重に行われるようになってきているようです。一部の論評では、プレスワインを添加しないフリーランのみによるワインが高級などと喧伝されていますが、如何なものでしょうか。私には自然なワインの製法だと思えるのですが。ワインの絶対量を増やす為に行うとか、無理な圧搾により種子まで潰して得たプレスワインは別として、一番果皮に接したワインであり、エキス分が濃いワインだと思うのですが、考えが単純すぎるのかも知れません。実際のプレスワインの添加は、各ヴィンテージにより判断され、不添加の場合もあるようで、近年やっと公表されつつあるようです。

 

        ※拙稿2010.11.17葡萄の圧搾(醗酵後)解説 こちらへ

 

 清澄と濾過。従前のワインは濾過することは稀であり、清澄作業のみ行うのが一般的だったようです。葡萄が完熟していなかったり、除梗しないままの醗酵も行われていたようであり、タンニンも粗く、強く抽出され、野菜の匂いが付いてしまうこともあったようです。この様な時には清澄により渋みを和らげる効果があるようです。現在は意外な事に清澄は不要とする考えもあるようです。清澄の意味合いは商品として、浮遊物があった場合好ましくないので行っているというのが実情の様です。清澄や濾過は、ワインの舌触りを悪くし、香りを奪い、肉付きをそぎ落としてしまう恐れがある為、グラン・クリュ・クラスで行わないことが増えているようです。これらの点が品質の向上に強く影響していると主張される方々も多いようです。現実は、清澄・濾過はヴィンテージごとに判断しているようです。


         ※拙稿2010.12.11コラージュ こちらへ

 

 評論家の活躍。従前の評論は歴史的背景からかイギリス中心の批評が多かったようであり、『悪い事は書かない。』というのがあったらしい。いわゆる業界人としての生活もあったのでしょう。対して、ロバート・パーカーのように一切のスポンサー広告を廃して、辛口批評を展開し注目を集めている方もおります。 

 その影響力は大きく、プリムールの時期もパーカーの試飲時期に合わせて変更されたほどの影響力だと言われています。同氏に対する批判も多いようですが、氏に対応するだけの批評家が存在しないのも事実と思われます。パーカー氏に関しては別稿でと考えています。


 以上、大雑把にワインが美味しくなったと思われる原因について述べてみました。1970年2月14日、日本に於いてワイン輸入自由化が行われています。ちょうど、ワインの品質向上がなされた時期と重なります。

 我々は世界最高峰のボルドー・ワイン(おもいっきり偏見が入っていますが、ご容赦を。)を飲む機会に恵まれているのです。

 

 誰も、不味いワインは飲みたくない筈です。ですが、知識や情報がないばっかりに、誇大広告や宣伝文句に踊らされて不味いワインを買ってしまうことがあり、悪徳業者をのさばらせてしまいます。

 通販は「顔の見えない」商取引です。評判が悪くなれば簡単に「看板を変えれ」ば済む事なのです。

 責任の一端は購買者である我々にもあると思うのです。必要なことは「知識の共有」と考えます。誰もがワインのプロではあり得ません。知りたい事が簡単に判る、そんな情報が必要なのではないでしょうか。

 

 偉そうな話をして恐縮ですが、良いものが売れる。生産者も良いものを造らなければ売れない。このプロセスが必要と考えます。

 

 上から目線のついでに、ブルジョワ・クラスで熟成感のあるワインをと望むのは無謀です。早飲みタイプのワインですから。オールド・ヴィンテージのブルジョワ・クラスのご購入は控えた方が賢明です。

 熟成感を味わいたければ、最低3級以上のグッド・ヴィンテージでなければ無理です。独断と偏見に満ちた勝手な意見ですが。

 さらに言わせていただければ、7,000円から8,000円クラスのボルドー・ワインでは新世界のワインに太刀打ちできません。理想を言えば20,000円以上のワインで初めてボルドー・ワインなのですから。


 これまた、私の勝手な意見ですが1,500円クラスのワインには1,500円クラスの楽しみ方があり、2,000円を超えると1,500円クラスとはちょっと違った高級感があり、味わいが異なって来ます。
 さらに、3,000円を超えると別世界が広がって来ます。ワインの奥深さが伝わってくるのです。そんな世界を味わえるワインってほんとうに素敵ですね。

 それぞれのクラスでのホワイト・ナイトを見付けたいものです。

 

 私自身、このブログを書いていて改めて考えさせられた点がいくつかありました。そして、インターネツトで面白いものを見つけました。ごくごく普通の記述なのですが改めて読んでみると、またまたワインが判らなくなると思うのです。

 

Q2.ワインは寝かせれば寝かせるほどおいしくなるのですか?


A.必ずしもそうとは限りません。ワインのタイプや個性は、多種さまざま。なかにはあまり寝かさずに飲んでもおいしいものが有ります。かと思えば、じっくり寝かせて初めて真価を発揮するものもあります。前者のタイプは、原料ぶどうの香り(アロマ)とフレッシュな風味が魅力です。後者のタイプは、貯蔵の過程でうまれた香り(ブケー)とまろやかな風味が楽しめます。ワインの世界は広く、ワインごとに熟成の必要度や期間、効果は異なります。したがって一概には「古いワインほどうまい」とは断定できません。

 


Q3.ワインの飲み頃を教えて下さい。


A.一部の高級ワインをのぞいてほとんどのワインは十分に楽しめる状態で出荷されています。ワインは非常にデリケートなお酒ですから、高温や温度変化の激しいところに置くと風味が低下します。できるだけ、ふた夏は越さないうちにお飲みになることをおすすめします。特にヌーヴォーワイン(新種)などのフレッシュさを楽しむタイプのワインはお早めにどうぞ。


Q4.年号(ヴィンテージ)の入ったワインが有りますが、どういう意味ですか?


A.ヴィンテージ(VINTAGE)とは「そのワインに用いたぶどうの収穫年」のことです。ぶどうの熟成度は、気象条件によって大きく左右されます。毎年いつも作柄が良好だとは限らないのです。収穫年の表示は確かに便利です。これを見れば、そのワインのイメージがつかめます。しかし、ヴィンテージだけでボトルの中の全てを即断してはいけません。ぶどうの作柄とワインの品質は必ずしも一致しないのです。作柄の良かった年でも、できの悪いワインがあります。逆にまた、作柄の思わしくなかった年でも、おいしいワインがあります。だから、ヴィンテージはあくまでもワインの個性を知るための参考要素・・・そんなふうにお考え下さい。ヴィンテージつきのボトルが、そのまま高級ワインというわけではないのです。

 

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