「サローネ」の記録も毎月つけていましたがついに(9)になりました。
来年は少しペースを落としたいと思います。それにともなってブログも少々縮小していくかもしれません。
そろそろ気力がつきてきた…と書くのはへばっている証拠ですね。
「SALONE 2007(サローネ ドゥエミッレセッテ)」(☆☆☆彡)
http://www.salone2007.com/
極上中の極上。
ここは間違いなく横浜随一のリストランテ。密度が濃いとぼくがうらやましがる東京まで含めてもトップクラスに値します。
二人のシェフが織り成す極上の料理、ソムリエによる手頃でありながら味わったこともないようなワインの選択、居心地の良い接客と空間…良きパートナーと一緒であれば、きっと時間を忘れられる場所です。
住所:横浜市中区山下町82-3シタラビル1F
電話:045-651-0113
定休:日曜/第1・3月曜
営業:12時~14時/18時~21時
09年12月の来訪。
今回は18時からのスタート。樋口シェフはグランシェフとなりコック帽にもっこりした服。
テーブルの上には平シェフ手作りだという銘入りのプレート。
いただいた紅茶はこの日3種類。
最初はキャッスルトン茶園のオータムナル。紅茶の苦味と香りのバランスがよいので好みの味。
2杯目はサングマ茶園のセカンドラッシュ。やや苦味が強く紅茶の発行の香りが強く程好い熟成感。
3杯目はバラ、ブルーマロー、シナモン、クローヴを効かせた紅茶。スパイスの香りがきつく、ちょっと苦手でした。
CENA Corso di 8 piatti 12月のディナーメニュー
クリスマスコースがあったのかといえばなかったそうです。今月は2ヶ月熟考した上でのメニュー。相かわらず素晴らしい。
Inizio)山形牛サーロインのスピエディーノ
今回は北海道産のジャガイモのペーストもとろりとし、白トリュフオイルの香りも強すぎず弱すぎずバランスが良い。この白トリュフオイルが今回から変わっているそうです。オーガニックなものへと微妙に変えているのですね~。お肉は山形牛A5ランクの肉といつもとかわらないのですがしっかり目の噛み応え。やや火の通しすぎかと思うが、部位ごとにやはりちょっとずつ肉質が違うためかもしれません。
プレートの上に乗せることでさらにガラス板の料理が映えます。
Piatto golozo)ホロホロ鳥のテッリーナ
ニンニクとはハーブのオイルに漬け込んだホロホロ鳥を挽く肉ではなく、骨からはずして皮目からオーブンに焼いて型にはめてつくったテリーヌです。骨はもちろんローストしてから出汁をとりゼラチンにしてあります。周囲にバルサミコであえて甘みをつけたフォアグラのジェラート。この甘みもとても好ましい。
周辺のクラッシュアーモンド、ピンクペッパーで食感と辛味のアクセントを効かすことができます。
さらに面白かったのはセルフィーユを添えてある生クリーム。ホースラディッシュが入っているので辛味があります。
この日一番良かったのはぼく的にはこれかな。
Vapore)鮮魚のヴァポーレ
今日のヴァポーレのメインは石川の天然鯛。オレンジオイルはアブルッツォ州のものだといわれていました。蛤の出汁も十分出ていて美味しい。
Pasta farcita)ラヴィオリ ポレンタとタレッジョを詰めて
実は写真を撮り忘れました。
3枚のラヴィオリです。中にはトウモロコシの粉のポレンタとウォッシュ系チーズのタレッジョチーズ。
ソースはパルミジャーノにバターを加えてパスタの茹で湯で伸ばしたもの。上にはマジョラム。下にはミラノのアーティチョークをソテーして蒸し焼いたもの。アーティチョークにしては野菜的な食感が残っていたのが印象的でした。
タレッジョチーズの香りがもっと強いと好みなのかもしれませんが、全体的にはインパクトが弱めの皿でした。
Cucchiaio)オマール海老と鴨のクッキアイオ
ローストした鴨肉でブラッドオレンジのジュレを巻いたもの、サクサクしたカダイフで包んだオマール海老、バジリコとマスタードのシャーベットをワンスプーンに盛り合わせて。
サクサクと美味しいカダイフとその奥のオマール海老の旨味を感じ、バジリコの冷たさが加わり、鴨肉のジューシーな美味しさとブラッドオレンジの酸味が最後に続く。
余韻と変化を一番楽しめました。
Crema)パッパアルポルチーニ
ポルチーニ茸のパン粥です。
粥と入ってもほぼペーストかスープのようでした。この香りと旨味が凄かったです。
添えられているのはミント。本当は犬薄荷というものを使うらしいのですが日本にはないそうで。
Pasta lunga)キタッラ コーダ エ スティンコのラグー
仔牛の尻尾と白金豚のスネ肉をほぐし、ラディッキオプレコージェをパキーノトマトとともに和えたキタッラ。粒状のチーズがペコリーノコンヴィナッチェ、棒状のがペコリーノロマーノです。
キタッラの噛み応えはそこそこで良いし、ラグーもサローネらしい旨味あるものでよい一皿。ラディッキオがかなり強い苦味でしたね。
Carne)鹿のカプネット
ピエモンテ州アルバ県の料理がベースだそうです。
仔鹿にフェンネルシードや塩胡椒でサルシッチャとし茹でたチリメンキャベツで巻いてオーブンで焼いたメイン。コロンナータのラルドの角切りや放れん草を混ぜ込んでいます。
下に敷かれているソースはトスカーナのボロッティ豆のペースト.
かけられていたのは甘みのあるバルサミコ酢で、横に添えられているのはリンゴの王林をマリネしてモスタルダにしたピュレ。この甘さが面白かったです。
Dolce o Formaggio)パネットーネとリコッタチーズのティンバッロ または、本日のチーズ
まずチーズから…あれ?これも写真を撮り忘れています。
右から30ヶ月熟成のパルミジャーノレッジャーノ。水分がなくなっている分、そのコクが素晴らしい。真ん中は上にローストしたピスタチオを乗せたロンバルディアのシムディン。牛と山羊の乳から作られた白カビチーズでねっとりとした食感に味わいは好み。左は葡萄の香りも強いアオカビチーズのブルーデルティローロ。これもアオカビらしく爽快な味わい。上に乗っているのは大振りの干し葡萄。栗の花のハチミツとコロンナ家のオリーブ。
デザートはイタリアの伝統的な菓子パンのパネットーネがメイン。これにリコッタチーズを重ねたものです。上にはクラッシュしたフランボワーズ、洋風せんべい的なコーヒーのチュールとミントの葉。
周辺にはアーモンドとカラメルで作ったサブレを細かくしたガナッシュとベリーのソース。
ところでここでサービスでいただきました。2009年のポール・ジローの炭酸リンゴジュースです。
そういえば、昔ここに持ってきたっけ。
やはり生産数が少なく手に入りにくいみたいです。
うれしいサービスですね~。
Caffe o Te)カフェまたはティー
小菓子も置く皿が進化しました。
オレンジのコンフィチュール、パローネ、胡桃のケーキ、ヴィニエ、生チョコ、キャラメルとオレンジのゼリーにスポンジを合わせたもの、一口サイズのパンナコッタです。
飲み物はぼくの好きなカプチーノを。
10年3月に久々に訪問。
3ヶ月ぶりですが、サローネです。20時半からの開始。
本日は平シェフ、樋口シェフ、澤藤シェフ、高見シェフのそろい踏みという豪華メンバーで。
珍しく1卓二人分あいていましたが、ほぼ満席です。
CENA Corso di 8 piatti 3月のディナーメニュー 10000円
毎回ですがメニューをいただけるのはうれしい。
飲み物はアイスティーシリーズ。西島君が勉強して提供してくれます。
本日最初はアールグレイ。フラワリーオレンジペコをベースにし、シチリアのベルガモットで鮮烈な印象のアールグレイを作り上げていました。
ところで、ネットでアールグレイの由来を見つけました。「昔、松の薫香を付けたラプサンスーチョンが大人気を博したことから、当時ラプサンスーチョンの香りをイメージさせる 果物(竜眼)が入手できず、代わりに茶商に再現させたのがシチリア島産のベルガモット(柑橘系の植物)だったのです。 この紅茶がグレイ伯爵にちなんで名付けられ『アール(伯爵の意味)グレイ』となったのです。」
なるほど~。
Inizio)山形牛サーロインのスピエディーノ
いつものA5ランクの山形牛サーロインのひと串。じっくり熱を通した焦げ目のない赤めのとろける牛肉に、いつもよりガッと感じるほどジャガイモ感あるペースト。牛肉の旨味はさすがに濃い。白トリュフオイルは控えめですが、後味に黒胡椒とともに残りました。
Golozo)フォアグラのブディーノ
挑戦的な一皿に仕上がっています。今回の皿はどれも秀逸でしたが、これがその序章になります。
ココットに入っているのは、下半分が低温調理したフォアグラを裏ごしして作ったフォアグラのプリンで、上に乾燥ポルチーニを粉末にして牛乳とあわせてエスプレッソマシンで泡立てて注いであります。香りよいポルチーニに甘さを感じるフォアグラのプリンはそれだけで美味。
これをいただくのは3つのスプーンで。
右はノチーノという胡桃のリキュールを加えた生クリームに生ミントの葉、真ん中は以前にもいただいているザクザクとした砂糖感のあるビターなシチリアのチョコレートと黒トリュフに漬け込んだ塩、左はバルサミコ・コンディメントのゼリーです。苦味があるというノチーノの生クリームは意外にマイルドに、少量でも驚くほどトリュフが香る塩と甘いチョコはフォアグラと合い、単体ではきつく感じる濃縮バルサミコのゼリーは合わさることで好ましい味わいへとフォアグラのプリンをかえていました。
これらを用意し、変化をつけつつ、どれもきちんと成立しているところがすごい。
Vapore)鮮魚のヴァポーレ
サローネのスペシャリテ。本日は茨城は鹿島産の大きな蛤、千葉県のホウボウ、明石のタコにポロ葱です。ホウボウは皮がピンク色できれい。明石のタコもしっかりした弾力です。大きな蛤も丸々1個。その旨味はすべて白濁したスープに出ており、オレンジ風味のオリーブオイルや刻んだイタリアンパセリも好ましい。
Cucchiaio)鰻のクッキアイオ
本日のワンスプーンはサローネ初の鰻。イタリアでは赤ワイン煮などにされてこのような提供はないのですが、白ワイン、ローリエ、オリーブオイルでマリネして90度10分真空調理。上にコロンナータのラルドを乗せてバーナーで炙り脂を飛ばしています。添えてあるのはエミリアロマーニャのサラミとホワイトバルサミコのゼリーです。上にはザクザクした食感の揚げて砂糖をまぶしたレモンの皮とマジョラムの葉。淡白で上品な鰻にサラミの強力な旨味とバルサミコの酸味。最後に甘みが残ります。鰻自体の力強さはあまり感じませんが、白身魚とはやはり違う良さがあります。
2杯目の紅茶はとってもスベシャル。
サングマのダージリンで、桜のつぼみと紫蘇で味と香りをつけています。
グラスの中にその香りがたまるのでとても素晴らしい。
Pasta corta)ピサレイ ムール貝とボルロッティのサルサ
ピサレイはエミリアロマーニャのショートパスタ。ニョッキのようで、親指でクリンとカールさせて作るもののようです。これがまたガッツリいける好ましい食感。
ボルロッティはトスカーナ産のうずら豆。小豆のような味わいのする大きな赤黒い豆。これに青森産のムール貝。そろそろ旬に入るようで、旨味と塩気がしっかりしています。パキーノトマトを使って和えてあるのはいつものサローネらしい。上の緑の葉はマジョラムです。
下の白いペーストもこれまた美味。アーティチョークのペーストなのです。
今回、ロングパスタなしのコースもはじめてだと言うこと。こういうパスタは大歓迎ですね♪
Bollito)白金豚のボッリート
茹でた豚というのでどんなだと思っていたら面白い形で出てきました。岩手の白金豚のロース肉を塊でハーブととともに鶏のスープで茹で、冷やしてからスライスして冷たい皿に乗せています。
上を飾っているのはディル、ローストアーモンド、赤玉葱のソットアチュート、それにキューブ状のパルミジャーノ・レッジャーノのアイスと先ほどの茹で汁のパンナコッタです。パンナコッタは口でとろけてラーメンのスープのように美味しい味わいを口に残します。砕いた黒胡椒も振ってあるのディルとともに味を引き締めてくれます。
Brodo)ロートロ リピエーノ イン ブロード
これでもエミリアロマーニャのパスタ。詰め物を巻くと言う意味のロートロリピエーノ。平たい板状のパスタ生地でロールケーキのように具を包んで切っています。これをブロードに浮かべています。
ブロードは牛と丸鶏と香味野菜の出汁、そして魔法のエクストラバージンオイルであるフラントイアです。旨味はあるがあっさり目のブロードであるためフラントイアの良い香りがとても際立っています。このスープ、意外にスパイシーでした。
ロートリロリピエーノにはフェンネルで香り付けした豚肉のサルシッチャとほうれん草、ソテーしたマッシュルーム、リコッタとパルミジャーノのチーズ。サルシッチャとほうれん草は地力がある味わいで美味しい。
3杯目のアイスティーは春のプリマヴェーラ使用。ダージリンに薔薇、エルダーフラワー、ジャスミン、オレンジピールの香り。これは通常のハーブティーに近く、それほど好みではありませんでした。
Pietanza)短角牛とコテキーノのインヴォルティーノ
これが本日は一番気に入った品。
コテキーノはイタリアで16世紀以前から食されている伝統料理。豚の頭部や頬肉などの腸詰で、日本で言うサラミとソーセージの中間の様なコラーゲン豊富で柔らかく豚の旨みたっぷりの滋味豊かなお肉料理とのこと。
ここでは茹でて細切りにした短角牛の腿肉でコテキーノとニンニク、ジュニパーベリー、レモンの皮をあわせて巻き粉をはたいてソテーした後オーブンで焼く。上にはヘーゼルナッツとエストラゴンをはじめとしたハーブミスト。これがまたサローネらしい。下には揚げた茄子を敷き、お肉の茹で汁のスーゴにマルサラ酒のソースと旨味の濃いパプリカのソースです。
とにかくこれは食べないと素晴らしさはわかりませんね~。それら食材すべてが主張しながらも一体となるのです。
ちなみに時期的に乳飲み仔羊の時期なのだそうですが、予約しておいたのに仔羊が生まれなかったという話です。
Dolce o Formaggio)ラッテ ディ マンドレのババレーゼ または、本日のチーズ
チーズから。
スプーンには2週間前から出荷が再開されたルーラルカプラル牧場のフロマージュブランにシチリアのオレンジの花の蜂蜜。手前左は灰を貼り付けて熟成させたペコリーノチーズとサボテンの花の蜂蜜。黒いのはその灰をつけた周りの皮の部分だそうです。右はロビオラディロッカベラとプルーンのジャム。
デザートは毎回質が上がっていく気がします。見た目がよくなったのは西島君デザインだだからだそうで。
南イタリアではアーモンドエキスを牛乳で割ってババロアにするとのことで、それを薄焼きのクッキーでミルフィーユに。上にはアーモンドとチョコ。横のキューブはパッションフルーツのゼリーにペパーミントとオレンジの皮のコンフィチュール。それにキャラメリゼしたパイナップルが並んでいます。
今思い出しても爽快な酸っぱさが鮮烈でした。
Caffe o Te)カフェまたはティー
最後のお茶はカプチーノを。
お茶菓子に今回はヨーグルトムースを栗の粉のクレープで巻いた小さなロールケーキが。
久しぶりもありますが、今回は今まででも最高ではないかと思うほどに一皿一皿の印象が深い。伝統的な料理と革新的な料理が緩急つけて繰り出されるのでメロメロです。
そういえば、ベビーママさんが2月は今まで出もっとも最高!と書かれていましたし、サローネは一番新しいものが一番素晴らしいのかもしれません。つまり、毎月行かねばならないのです(笑)。
10年5月25日に訪問。
本日はお誘いをうけて会食となった。
19時半からで2テーブルの空きがあるのは珍しい。1卓は連絡つかずとのこと。勘違いだとしたら困りますし、意図的ならやっかいですか。
「イル テアトリーノ ダ サローネ」に樋口シェフが移ったということで、二人のシェフは40歳の澤藤シェフと30歳の高見シェフの体制に入りました。グランドメニューを樋口シェフが監修しているのかと思っていましたが、きちんとこの二人のシェフ+藤巻ディレクターのプロデュースとのことです。
こんな日が来るとは思っていませんでした。
その初月にいつものメンバー以外と訪れることになったのは不思議な偶然ですね。
最初のアイスティーはキャッスルトン農園のムーンライトという新芽だけの紅茶。
癖がないけど柔らかな口当たりで美味しい。
次はスリランカのウバ。ダージリン、キーマンと並ぶ三大銘茶のひとつ。タンニンの苦みがほどよくしっかりしつつ、すっきりと美味しい。確かに後半戦の肉料理に合いそうです。
CENA Corso di 8 piatti 5月のディナーメニュー 10000円
Inizio) 山形牛サーロインのスピエディーノ
いつもながらのひと串。山形牛A5ランクのお肉を両面炙り、北海道産メークインのペーストに白トリュフオイルをきかせたものを巻いています。今日のは白トリュフの香りがきっちり好ましく、肉の旨味に至っては今までで一番ではないかと思うほどに強い。さらりと消えていくジャガイモが対比として成功しているのだろうと感心しました。
Insalata)ホタテとインサラータリーゾのサフラン風味
一見すると帆立のカルパッチョですが違います。
独特の香りが強い魚醤であるガルムにソテーしたホタテ貝をなじませ、蜂蜜、オレガノ、フェンネルシード、オリブオイルでマリネしたものです。上にはセルフィーユ。
添えられているのはサフラン風味でオレンジ色をしたお米のサラダ。コリコリ食感がよいのですが、黄色い人参やセロリを混ぜ込んであるようです。説明ではクルトンやナツメヤシ、香味野菜と言われていました。
さらに大きなケッパーです。シチリアの酢漬けのケッパーで、切れ目を入れてデザートワインに漬け込み酸味をまろやかにしています。
回りには赤っぽいルバーブのソース。
Vapore)鮮魚のヴァポーレ
本日のヴァポーレは石川県金沢の真鯛に、鹿島の蛤、明石の蛸。
濃い。スープが確かに濃い。この味がしっかり継承されていることには感動を覚えます。
その日の出来は毎回作り方であるこのスペシャリテでわかりますが、しっかり美味しいし、味も濃い目であることがわかり安心しました。
Pasta)ニョッキ 本田鰈のアッフミカート
卵を使わずパルミジャーノをつなぎとして作ったとろけるような柔らかさのニョッキ。それに九州の赤茄子とパキーノトマトです。これらをまとめているソースが秀逸。対馬の本田鰈のソース。身を桜チップで燻しソースにしたのだそうです。燻製の香りが絶妙に顔を出し絡み合う。激うまだなぁ。
上には塩気がしっかりしたチーズであるリコッタサラータディペコラに、手でちぎって乗せたバジリコ、ローストしたヘーゼルナッツ。どれも香りあるものですが、これらが美味く調和するのですからサローネ的なマジックは健在です。
周囲にはマッコディファーベ。空豆にカレイのアラなどの出汁を加えオリブオイルでペーストにしたソース。
Cucchiaio)雲丹のクッキアイオ
エゾバフンウニのワンスプーン。雲丹はミョウバンを使わない海水にプカプカと浮いたまま来た海水雲丹。これをレモン果汁、ニンニク、イタリアンパセリでマリネしスプーンへ。上にはビスコッティ、ホースラディッシュ、ミント、レモンのマルメラータに粒のままのピンクペッパーが3粒です。
雲丹らしい甘みある味が舌に広がり、上に乗っているものの食感と香り、味が次々に現れては消えていく構成。長く嚙んで味わいが最後まで続く食材がないので効果時間が短いひと品です。その方がむしろインパクトを残しているように思えます。
Golozo)豚フィレ肉のコットレジェーロ
樋口シェフが得意とするパン粉とピスタチオを振りかけて焼くインパナータを再構築したひと皿。
土台はふわりと柔らかなリコッタチーズのフランで、その上に59度1時間で低温調理した豚フィレ肉を薄くのばして薔薇の花びらのように組み上げています。お肉はロゼの色合いでレアチックですね~。
上にはローストしたピスタチオ、ディル、刻んだマグロのからすみです。
ソースはシブレットと白ワインを豚のブロードでソースにしたもの。周辺には茹でたアスパラです。
Pasta Fresca)トレネッテ カルチョーフィと仔羊のラグー
トレネッテは平打ちで厚みのあるガッツリ系パスタ。ソテーしたアーティチョークのペストにパキーノトマトと羊肉をラグーに。上にかけらているのはリコッタチーズにレモン果汁の酸味のあるソース。この羊の肉をパスタに混ぜ込まず、上にのせているのは今までと違うアプローチ。それでいて、このラグーソースの根本の味は長年親しんできたサローネのそれです。
上からお皿の周辺にふられている粉末は無農薬で育てた岡山県のレモンの皮とローズマリー。これを絡めながらいただくのです。
Pietanza)コーダ ディ ブエとフォアグラのパートフィロ包み
牛テールです。骨ごと赤ワイン煮して骨を抜き、その部位にほうれん草を詰め込んで、さらに焼いています。下はキクイモのペースト。土の味が濃く、風味はゴボウに似ていました。上にはぱりぱりのパートフィロ、それに濃厚な味わいのフォアグラのパテです。ローストしたクルミとタイムの葉をさらに上に。
右手前にはカラブリアはトロピアの赤玉ねぎのソテー。
周辺のソースは牛テールを煮込んだ赤ワインにエスプレッソとカカオを加えたソース。甘みの他にカカオの苦みと香りが。ソースは樋口シェフの色合いが濃く残っていて良かったかも。
Dolce o Formaggio)6クベッティまたは、本日のチーズ
チーズから。右のスプーンはいつものルーラルカプラ牧場の山羊の乳のフトマージュブラン。上にはほぼ砂糖みたいなオレンジの花のハチミツ。
中央の白カビチーズはパリエリーナという牛、羊、山羊の乳から出来たもの。外側はややビターな味わいで、中はとろりとやわらかい。クリーミーさとビターさを併せ持ったチーズ。その手前はいつものオリーブです。
左はアプリコットのジャムと長期熟成されたペコリーノチーズ。
デザートは6種類の盛り合せ。
左下のピンク色のキューブは酸味が美味しいフランボワーズのセミフレッド。
真ん中の下にはザクロのゼリーのキューブです。アルケルメスと言う美しい赤色のリキュールにぐれな傳シロップを使っているそうです。なかにはさらにダークチェリー。上にはミントです。
右下は桃の味わいが口に広がるマシュマロのキューブ。
右上はカシスのムースのキューブ。これにチョコとグラッパが使われていたかな? 上にはセルフィーユ。
真ん中上にはズブリゾローナというマントバ・クレモナのお菓子。ポレンタを使うお菓子らしいです。苺ジャムを挟んでいます。
左上はブリオッシュにブラッドオレンジを染みこませたサヴァラン。上には生クリーム。
最近のお洒落な提供の仕方で一つ一つはイタリアのお菓子が原型ですので面白いと思います。ただ、後の小菓子と重なるので通常のお皿と同じように一つのデザートにした方が好みかな。
Caffe o Te)カフェまたはティー
最後はカプチーノをいただく。
小菓子にヨーグルトムースを巻いたクレスペーレがでました。
帰りは10時45分くらいに。
樋口シェフがいなくなったことでこの店の料理の味や独創性が落ちてはいないことが確認できて良かった。そして、それが維持されるのか。来月もまた楽しみです。