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KFデラックスの日記

・人災のため2010年2月2日よりこちらに引越しをいたしました。最近、「なう」も始めました。
・2012年4月7日より、完全な個人ブログとなりました。
・2012年11月15日より、名前をKFに変更しました。
・2013年4月25日より、名前をKFデラックスに変更しました。

こんばんは!!


最近マジメな記事が多く,柄にも無いな・・・と思いつつも,本日はこれから大学生活を迎える人,または大学生活も後半戦にさしかかったばかりの人たち宛てに自分なりのメッセイジを書いていみようと思います。


僕は,慶應大学の法学部を卒業し,そのまま慶應大学の法科大学院に進学して司法試験を受験しました。司法試験に合格し,現在弁護士になるための研修中です。


やっと社会人か・・・という感覚です。


なんだか学生生活がとても懐かしく思えますし,本当に学生時代って何でもできたなーって今更ながら思います。


さて,これから大学生活を迎える人,まだまだ大学生活が続く人いると思いますが,どうか大学生活を120%エンジョイして卒業してもらえたらと思っています。


社会人の末端として活動してもう半年近く経過しますが,思うところを書いていこうと思います。



学生生活とは何なのか?どういう時間なのだろうか?


それは


「人格形成の基礎固めをする時期であり,社会人になるための準備期間」


なのではないでしょうか。



おそらく大多数の人が社会に出て社会人になると思います。

馬車馬のように働くと思います。


学生生活は,このように社会人になるための助走期間・準備期間なのであり,将来を見据えた生活を送れれば,振り返ってみて思い出に残る有意義な大学生活になると思います。



さて,自分の体験談や周りを見て思うところをまとめていこうかなと思います。


ポイントは以下の3つです。


🔴勉強,部活,遊び,バイトはどれも本気でやろう!

🔴あらゆる分野に取り組み,あらゆる人と出会おう!

🔴自分がやりたいことは極力全部トライしよう!


上記について,以下それぞれ説明しようと思います。


1 勉強,部活,遊び,バイトはどれも本気でやろう!


(1)大学生活は本当に短いです。気を抜いていいるとあっという間に終わってしまいます。こうした短期間で自分のモノにするためにはどれも本気でやらないとダメだと思います。


 学生の本業はやはり「勉強」だと思っています。特に大学では自分の専門を見つけ,その専門を深めていくことがとても大切だと思っています。大学での「勉強」なんてしたって,将来意味無いじゃんーー】なんて思っている人もいると思います。僕も高校時代そう思っていました。


 しかし,上記【  】の内容は2つの点で大きく誤っています。


1)学問の本質から


 学問の本質は真理の探求であり,自分の頭で真剣にある物事について考えることが大切です。高校までの勉強は公文式と言いますか,ベルトコンベア式に与えられたマテリアルについて処理していく勉強が大半だったと思いますが,大学は違います。自分の頭で真剣に考え,自分で結論を出していく作業がとても大切になります。


 難しい問題直面した時,どこから考えるのか?どうやって考えていくのか?こういった苦悩を乗り越えて結論を出して行きます。これを繰り返すことで思考停止から脱却し,自分の頭で考える癖が付いていきます。これがとても大事だと思っています。

 なぜなら,生きていく上で考えたことのない問題に直面することが往々にしてあるからです。そんな時,「考えること」を放棄した瞬間もうそこで停滞してしまいます。先に進むために,考え続けなくてはいけません。


 そういった意味からやはり学問を通じて考える力を養うべきなのです。


2)人格のバックボーン形成から


 どんな学問をしてきたかはその人の人格のバックボーンとなると思います。世の中にはたくさんの学問があります。僕は法律学を専攻していましたが,アメリカ文学,教育学,政治学・・・。


 どれも全く違う思考パターンが求められると思います。


 人間やはり一貫している人が僕は良いなって思います。軸足が無い人はどうも接していて不安になります。「不安」という意味は教育的観点ではなく,接していて手のひらを返されたりされて,安定感が無いので不安という意味です。


 人格って先天的なものと後天的なものがあると言われていますが,後天的なものの代表としては家庭教育があります。僕はやはりこれに加えて本人が取り組んだ学問も要素としてあると思います。


 「リーガルマインド」という言葉がありますが,これは法律家として備えていなくてはならない思考パターンといいますか,態度といいますか,法律家としての物の見方という程度の意味です。やはりどの学問をやるかでその人の思考パターン,広い意味での人格形成に一定程度寄与しているものだと思います。


 司法試験に合格し,物産に就職した同期がいましたが,リクルーターから


「君は他の学生に比べて極めて論理的であった。」


と言われたそうです。


 これはおそらく,日頃から条文・原理原則から論理の飛躍無く順序立てて考える癖が付いていたのでしょう。司法試験ではまさにそういった論述が求められているため,それが反映された結果なのだと思います。


 このように,学問をやるということはその人の人格形成をするということです。そういった意味でも真剣に勉強することはとても大切だと思います。


 自分は法学部で法律学を学び,そのまま司法試験を受けました。ゼミでは民事訴訟法を学び,学士論文1本,法務博士論文1本を執筆しました。末端中の末端ではありますが,自分の学生時代の専門は民事訴訟法です。



(2)勉強だけではありません。遊びやバイトだって本気でやるべきです。バイトだって単なる小遣い稼ぎ程度とは思わず,その営みから何か学べることはないか等を考えたり,真剣に取り組んでみると振り返ってみて収穫が多いかなと思います。

 遊びで旅行に行く場合でも,真剣にプランを考えてみる。

 部活をやるにしても,真剣に取り組んでみる。


 真剣にやれば必ず面白くなってくるし,面白くなればより真剣に取り組めると思います。こうやって本気で,真剣に取り組むことで見返りも多いと思いますし,振り返ってみて一生懸命やったという記憶は本当に尊いものになっていると思います。


 「本気で」やることはとても大変です。時には大変すぎて投げ出しそうになると思います。


 思えば自分のTAのアルバイトや家庭教師のアルバイトなどが週4-5回入っており,本当に日々自分のキャパではとても対処しきれず苦しい時がありましたが,今振り返ってみると思い出になってますし,真剣に取り組んだ結果あらゆる収穫があったと思います。


 真剣に生徒に体当たりして接したこともあり,多くの生徒さんとも出会うことができました。そのうちの一人がKERの後藤拓だったりします。


 おそらく僕がテキトーに業務だけやってたら決してそんな出会はなかったと思います。



 以上より,勉強,遊び,アルバイトどれも本気でやると良いと思います!


2 あらゆる分野に取り組み,あらゆる人と出会おう!


 これは1の内容と重複するかもしれませんが,「勉強」「遊び」「バイト」「部活」含めあらゆる分野にチャレンジすることが大切だと思います!!


 一度経験したことはやはり忘れないですし,やったか,やってないかの差はとても大きいと思います。


 弁護士業でも一度特定の分野についての案件を経験したかどうかで,その後のスムーズさが全然違うと同様,どんな分野でも一度経験することはとても大切だと思います。


 いくら本で読みかじっても,人から聞きかじっても,一度やってみないことには始まりません。どうかあらゆる分野にチャレンジし,自分のデータベースをどんどん大きくして行ってもらいたいと思います。


 同じぐらい大切なのは,あらゆる分野で人と出会うことです。コミュ障の僕が言うのもおかしいですけど,一定の環境に偏らず,あらゆる角度の人と出会うことは自分のデータベースを更に大きくします。


 ゼミの友達,部活の友達,バイト先の同期・・・同じ友達でも全く違う種類の友達と出会うことが大切です。友達に限らず,先輩・後輩も含みます。


 僕の場合,ずっと慶應で育ったので大半が慶應関係者ですが,レフリー協会の人間だったり,弁護士事務所の先生だったりと本当にあらゆる環境の人と出会うことで物の見方が無限なのだと感じました。


 もっとミクロ的に言えば,法学部の友人と教職時代に出会った文学部の友人とでは全く人としてのカテゴリーが違います。これは学問の人格形成とも関わってくる話だと思います。


 あらゆる人と出会うことで人間性が豊かになっていくのだと思います。


 これは何も苦手な人と付き合えということまで求めるものではありません。あらゆる分野の人達と一度でも良いから接点を持ってみることが大切なのだと思います。


 僕は性格的に色々な人と出会うのが苦手で,友人からのコミュ障と言われていますのでまったく説得力が無いのですが,コミュ障なりにあらゆる人と出会い本当に良い経験となっているので,ここで書いてみました。


 



3 自分がやりたいことは極力全部トライしよう!


 大学生活はあっという間です。あっという間なのだからやりたいことは何でもトライすると良いと思います。「やりたいこと」から少しでも妥協してしまうとその時は楽ですが,後になって後悔することが多いです。


 「やらずの後悔よりも,やっての後悔」


 いつもこう思いながら過ごしています。


 やって失敗だなと感じたら止めてしまえば良い。もちろん全力で取り組んでみることが前提ではありますが,何かあったら撤退するルートも保証されている訳ですから,恐れないでやってみると良いと思います。


 今年卒業したA作ですが,


・法学部法律学科に入り

・KERのキャプテンをやり

・三木ゼミ代表をやり

・家庭教師をやり

・中学校のラグビー部のコーチもやり


本当にあらゆることにチャレンジしていました。彼は自分の大学生活を振り返って本当に満足していると言っていました。


僕も後輩にはA作のような満足できるぐらいあらゆることにチャレンジしてもらいたいと思っています。



自分を振り返ると


・法学部法律学科へ入り

・KERへ入り

・レフリーの資格を取り

・家庭教師をやり

・普通部の英語のアルバイトをやり

・教職課程を履修し教員免許をとり

・法科大学院へ入学し

・司法試験を受け

・法務博士論文を執筆し


と自分にとってどの経験もプラスになっていると断言できます。


法科大学院を受験するなら教職課程なんて不要でしたが,どうしても両方やってみたかったという思いがありました。


唯一後悔しているのは,アメリカ地域研究の副専攻を取りたかったことです。民訴のゼミの他,もう1つアメリカ研究のゼミに入り論文を1本書いておけば良かったと悔やんでいます。


もちろん,当時の能力では無理と判断したからですが,なぜそこで自分で限界を作ってしまったのだろうと自分を責めています。



僕もこれ以外は後悔ありません。

あらゆることにトライして良かったと思います。


もちろん,あらゆることにトライさせてくれた両親にも感謝しています。




このように自分のやりたいことには欲張ってトライするぐらいの気持ちでいると良いと思います。省エネの活動は何も生み出しません。もちろん,健康には留意して下さい笑。




上記1~3を考える上で1つ大事な事があります。

それは,「大学生活は自分のまとまった時間が取れる人生で最後の期間」であると言うことです。


社会に出て(また半人前ですが・・・・.半分ですらないかも)思いましたが,学生時代ほど自分で時間をコントロールできる時間はありません。午前中病院に行くのだって容易です。働き出せばそう簡単に休めません。低俗ですが,平日の優雅なランチすらできません。友達にもなかなか会えません。


本当に自分がやりたいことをやりたいだけ取り組める最後の時間です。

就職してからじゃないとイメージ持てないかもしれませんが。


ゆとりのある今だからこそ上記1~3を本気で考えてもらいたいのです。



学生生活の1年は社会に出ての1年よりも遥かに重要です。

(GTOでも似たようなセリフがありました)


人間としての基礎を作る最後の期間です。どうか絶対にムダにしないよう,大学生活を送ってもらいたいと思いっています。



説教じみた記事になってしまい大変恐縮です。僕なんかがこんなことを述べる立場にはないと重々承知していますが,老婆心ながらこのような記事を書いてみました。



では,明日も頑張りましょう!!






こんばんは!!


4月1日より弁護修習が始まり,家族のような温かな事務所に配属となりとても幸せな毎日を過ごしています。

ボス弁も幅広く活躍している方ですし,自分の指導担当も若手女性弁護士でバリバリ働いています。


食事も毎日ご馳走になっており大変恐縮しております・・・。


事務所での仕事ですが,なぜか裁判修習からリサーチ系の仕事が多く,今回もリサーチをして報告書にまとめるという感じでやっています。

独禁法を初めて本格的に勉強しましたし,国際条約関係のリサーチもしています。


分からないことばかりで,日々右往左往しておりますが,なんとか頑張っています。




さて,司法試験の全国模試も終わり,そろそろ結果が返って来る頃でしょうか。



伊藤塾,辰巳,LECどれかで受験した人がほとんどだと思います。



さて模試の結果はどうだったでしょうか。



模試の結果に一喜一憂し過ぎるのも良くないですが,本試験の合格率と強い相関関係を有しているので,一定程度の参考値にはなると思います。

どのような点で評価を落としているのかしっかり分析する必要があります。


なお,短答で最低ラインを切ってFが付いてしまった人は残り1ヶ月短答の猛勉強をしないと厳しいと思います。


1 総合評価のイメージ



🔴総合A評価だった人(上位15%前後)


合格圏内だと思います。ただし,本試験での合格率は80%,逆を言えばA評価でも5人に1人は落ちてしまうので気が抜けません。


原則合格すると思いますが,以下の人は注意が必要です。


・知識を多く有し論点積み重ねでAになっただけで,日本語が不明瞭だったり,法的三段論法が不完全な人


知ってればできるような知識問題が予備校の問題では多いので,その恩恵に預かってAだった人は注意が必要です。本試験では一読了解の答案を書くことがとても大切だと思うので,心当たりがある人は注意して下さい。


安心させる趣旨ではありませんが,精神的ゆとりも必要なので指摘しますが原則合格するので,今まで通り抜かりなくやって下さい。


🔴総合B評価だった人(上位16~30%程度)


もう少しでAだった人や,もう少しでCだった人色々いると思います。

相関関係的には合格率60%ぐらいでしょうか。


半分近く落ちる訳ですから,残り1ヶ月奮起する必要があります。


総合Bともなれば,失敗した答案も数通あると思うので,何が失敗したかをちゃんと分析して下さい。


・知識不足?

・時間配分?

・問題文誤読?


自分のエラーの癖を把握しておかないと,本番で必ず同じことをします。


僕は問題文の誤読が多かったので,本番「良く読む!!!!!」と自分にメッセージを書いていました。


論文がBでも短答がC以下になってくると短答も気が抜けないので,バランスを考えて取り組んで下さい。


🔴総合C評価だった人(上位31%~50%程度)


相関関係だと本試験の合格率は40%前後でしょうか。

C評価だと論文で大きなミスを複数犯しているはずです。かつ特段良好な答案もあまり書けていない感じぐらいでしょうか。


まず大きなミスの原因を探しましょう。

誰だって大きなミスをするものですが,C評価にもなると大きなミスを必ず複数やっているはずです。


規範忘れたとかそういうレヴェルのミスではないと思うので,必ず分析して下さい。


時間配分で途中答案を連発している場合も注意して下さい。

いくら力があっても途中答案だと点数が入りません。配点を自ら失うことになるので最後まで書ききって下さい。


1ヶ月あれば必ず盛り返せます!!

40%受かってるわけですから。


🔴総合D評価以下の人(51%以下程度)


危険水域に達してきている数値です。

いくら1回きりの模試とは言え,総合D評価ですとそう簡単に改善できない瑕疵が必ずあります。


・根本的な理解不足


これが挙げられます。


ヘタすると法文の体裁すら成していない可能性があるので,採点者のコメントのみならず合格者はできる友人に見てもらった方が良いと思います。




2 残り1ヶ月


 さて,残るは弱点をひたすら潰して本番を迎えて下さい。


僕は模試の採点者のコメントで自分の弱点と感じたのは


・商法で出訴期間に検討を怠ってしまったこと

・民訴で按分説の計算を間違えたこと

・刑法で「一種の誤想防衛」か緊急避難かみたいな論点の処理に失敗したこと

・刑訴で被告人と被疑者両方の身分を有している場合の接見の論点を理解していなかったこと

・著作権法で「引用」の抗弁を落としたこと


の5点でした。


これらを特に強く意識して本番に望みました。



自分の弱点は本番でも必ず露呈してしまうので,気をつけすぎるぐらい気をつけると良いと思います。



3 他の予備校の全国模試について


 これは入手して解いたほうが良いと思います。なにせ大人数が受験して解いているわけですから,触れておいた方が良いです。

 ただ,思考パターンそのものまで深入りする必要はなく,どんなトピックが出たか?みんなはどの程度復習するか?ぐらいを意識してやると良いと思います。

 

 たとえば,昨年はクロロホルム判決は弾劾証拠などがLECでは出たわけですが,クロロホルムの規範や弾劾証拠の最高裁判例,有名な論点ぐらいは復習しないと相対的に劣ってしまうことになるでしょう。


 予備校の出題論点はいくつか当たるので必ずやっておきましょう。ただし,今述べたように思考パターンまで暗記してしまうと,本番全く違う事案なのにそれに引きつけて考えてしまい明後日の方向のことを書いてしまう危険性が十分あるのでこれは注意して下さい。


 なお,選択科目については予備校の予想論点が概ね当たります。知財も当たりました。わりと普通に。


 出題論点は復習する!けど引っ張れないようにする!


 これが大切。



4 本記事の締めくくりとして


 偉そうなことを述べてきました。予備校の全国模試は一定程度有益だと思うので,来年以降受験する人は受けてみると良いと思います。


 僕は2年次から受験して合計3回受験しました。初めて2年生の12月に受験した時に,奇跡的に合格推定だったので(上位10%程度),勉強の方向性はそんなに間違っていないと言い聞かせて頑張りました。


 良かった場合には励みになるし,悪かった場合にも早めの健康診断と思って受け止めて改善できるため,早い時期に受けておいたほうが良いと思います。


 2年次なんて出来ないのが当たり前です。僕だって商法,行政法の半分が授業で終わっておらず,著作権法だって授業でも終わっていませんでした。短答がギリギリ足切り通過したため採点対象となったまでです。


 模試で大切なのは「問題が解けたか?」もそうですが,「本番と同じ環境で受験する」ことの方が大切です。いかに本番が辛いか。これが分かるだけでも他の受験生と差別化が図られます。


 残り1ヶ月,弱点を潰していき健康コンディションも最高の状態で本番を迎えて下さい。「当たり前のことを,当たり前のようにやる。」この姿勢を忘れずに!


 皆さんが最高のパフォーマンスで受験できることを,一合格者として心よりお祈りしています。



 では,明日も頑張りましょう!!



こんばんは!!



さて,最近司法試験シリーズが妙に続いておりますが,今日も司法試験シリーズにしようと思います。


本日のテーマは『演習』です。


おそらく司法試験受験者は指導者から耳にタコができるぐらい


「条文の趣旨が大切!」「制度趣旨!」「基本が大事!」と言われ続けていると思います。


合格して思うのは,確かにその通り。本当に条文をその制度趣旨に遡って解釈する姿勢はとても大切です。が,抽象的に分かっていも意味がありません。



それでは全く条文を「使える」ようになっていません。



そんな時,条文等の基本的知識の使い方を学べるのは『演習』です。


あくまでも愚見ですが,司法試験を遠回りせず短い期間で受かるためには演習は必須だと思います。基本的知識が仮に不完全だとしても,演習を通じてより完全に近づいて行くと思います。


アウトプットはインプットの最たる手段と僕は考えており,良質な演習書を通じてより精度の高いインプットができるようになると思います。



『演習』の最高の素材は言うまでもなく司法試験の過去問であり,これに取り組まないという選択肢はまずあり得ません。


しかし,司法試験のレヴェルが高かったり,問題数がまだ蓄積されていなかったり

(とは言ってももう平成18年度~平成25年度まであり相当程度ある)とするので,司法試験の過去問と並行して行う演習書が必要となります。


今日は,僕が取り組んでいた演習書について書こうと思います。



1 憲法


 僕が使っていたのは,宍戸『憲法 解釈論の応用と展開』です。

 

憲法 解釈論の応用と展開 (法セミ LAW CLASS シリーズ )/日本評論社

¥2,916
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個人的にはこの本で憲法が好きになりました。


今や当たり前となった法令審査と処分審査の峻別はもちろん,具体的事案に則した審査密度の調整の方法,憲法判例の援用の仕方などが少し理解できるようになると思います。


この本は生徒Aと生徒Bの会話形式でなされており,生徒Aは視野の狭いコテコテ悪しき受験生で,生徒Bは従来の悪しき考え方から少しでも脱却しようとする姿勢のある生徒です。



生徒Aのような思考では司法試験の憲法は点数が伸び悩むと思います。


この本を通じておそらく自分の憲法観は一度破壊されると思います。破壊され混乱すると思います。しかし,そこで歯を食いしばりこの本の戦ってみてください。光が少しでも見えてくるはずです。


大切なのは従来のドクマから脱却して,宍戸先生的な憲法的な思考方法を少しでも吸収しようとすることです。個々に書かれている内容を覚えるというよりは,どのような事実に着目し,どのように審査密度を調整していくのかという部分の思考パターンです。


「憲法はあてはめ重視」とどこかの大手予備校が言っているみたいですが,大きな間違えだと思います。


審査基準(審査密度)を出すまでがとても大切なのです。


規範→あてはめ の流れが法解釈の基本ですが,憲法でも同じです。審査基準が規範であり,この規範を導くまでがとても大切です。



学問の自由が想定している典型場面は「思索」ですが,遺伝子研究とはまた毛色が異なります。この毛色の違いをどう審査密度に盛り込むのか?

短絡的に「遺伝子研究は学問の自由で保障されるため,厳格な基準・・・」と論証していては不合格答案です。


なぜ学問の自由が重要なのか?

その重要とされている根拠は遺伝子研究にも妥当するのか?

妥当しないとしたら,審査密度はどうチューニングされるのか?


この思考を踏めるかが大切です。



こういった思考を訓練してくれるのが,宍戸先生の本だったと思います。


2 行政法


 行政法は特に演習が必要かもしれません。単に教科書を読んでいただけではなかなかわかりにくいですし,答案も書けるようにならないのではないでしょうか。


 司法試験における行政法は大きく分けて


1)訴訟要件の問題,訴訟選択の問題

 ー処分性,原告適格,訴えの利益等

2)本案の問題

 ー実体審査・手続審査


 という構成です。


1)については判例法理のロジックを正確に学習していくことで一定程度の点数が取れると思います。


一方で2)についてはなかなか難しいところがありますので,感覚を掴むためにも演習は必要じゃないでしょうか。


定番なのはまずこれでしょうか。

事例研究 行政法 第2版/日本評論社

¥3,996

これは恐らく最もシェアの高い演習書ではないでしょうか。


実際に期末試験で出題済みの問題も含まれており,採点者の採点実感などもコラムで書かれているため大変参考になります。学生の間違えやすいポイントなど指摘されています。


本案問題の考え方をこの本で学べると良いと思います。


行政活動形式は様々であり,それぞれの行政活動形式の特徴から演繹的に考えてみたり,条文の文言がどうなっているのか,どのような不利益が課されるのかなどをふまえて裁量の有無,広狭等を考えたりします。


そういった思考パターンを鍛えることが大切です。


行政法―事案解析の作法/日本評論社

¥3,024
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この本もわりと利用されているかなと思います。


いずれにせよ,上記2冊のうち1冊は取り組んだほうが良いと思います。多くの受験生が取り組んでいると思うので,取り組んでいないとそれだけで不利益になるレヴェルだと思います。


3 民法

 

 民法については個人的にほとんど演習をしなかった,と言うより自分に合った演習書がなかったです。


Law Practice 民法II 債権編〔第2版〕/商事法務

¥3,456
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Law Practice 民法I 総則・物権編〔第2版〕/商事法務

¥3,456
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強いていうならこの2冊でしょうか。


本来はロースクール入試レヴェルの問題集ですが,僕としてはこの程度で丁度よかったと思っています。



民法を純理論的に解いているのがこれかもしれません。

基本事例で考える民法演習 (法セミLAWCLASSシリーズ)/日本評論社

¥2,052
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問題文は大して長くなく,旧司法試験程度ですが,本当に深く基礎理論を理解していないと歯がたたない問題かもしれません。

頭の訓練にはとても役立つと思いますが,長文問題の現在の司法試験に向いているかどうかは分かりません。


事例から民法を考える (法学教室ライブラリィ)/有斐閣

¥3,240
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最近出ましたね!


僕の受験時代はまだ連載の頃でしたが,使っている友人もいました。

「頭を使う」パターンの問題みたいです。


受験の時に出ていたら買っていたかもしれません。



4 商法


 商法は論点論点している傾向があるので,演習を通じて一定程度のパターンをストックしておくことが重要かもしれません。特に商法の演習書はクオリティが高いと感じていますので尚更。


 まず鉄板な2冊のうち1冊がこれ『事例で考える会社法』

事例で考える会社法 (法学教室ライブラリィ)/有斐閣

¥3,672
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僕の周囲では人気が高かったです。というより,慶應の商法の出題の素材にもなっていたというのもあるかもしれません。


大変高度な演習書ですし,中にはとても複雑高度な解説(特にS藤先生)がありますが,それ以外の先生の解説は基本的に明快であり有益です。


特に利益供与,組織再編(詐害的会社分割,合併無効)あたりの問題は司法試験にも出そうな感じで勉強になりました。



もう1冊がこれ。

会社法事例演習教材 第2版/有斐閣

¥3,132
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オーソドックスな問題と応用問題とがうまい具合に混合しておりこれもシェアが高いと思います。ただ,解説が付いていないため,授業で取り扱うか,優秀な解説を手に入れたりしないと厳しいかもしれません。



個人的にLPシリーズで一番好きなのは商法です。

Law Practice 商法/商事法務

¥3,240
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演習というより読み物的に使っていました。

ある論点についての思考パターンをそのまま覚えてしまう感じで使っていました。

大体の分野を網羅しており,解説も分かりやすく良かったと思います。


『事例で考える』が難しく感じる人はまずこれからやってみるのが良いと思います。もっとも,僕は『事例で考える』とLPを同時並行でやっていました。



ロースクール演習 会社法/法学書院

¥3,996
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そんなに使われていないけど,効果的な演習本としてはこれがあります。問題自体はオースドックスですが,判例の射程などの検討も必要であり頭のトレーニングにもなりますし,そのまま回答をストックしても良いと思います。


「答案作成のポイント」がどの問題にも書かれており大変参考になります。



商法は直前まで伸びると思いますので上記のうち1,2冊は徹底的にやりこんでおくと良いと思います。



5 民事訴訟法


 民事訴訟法についてはまず三木ほか『ロースクール民事訴訟法』が鉄壁としてあります。

ロースクール民事訴訟法 第4版/有斐閣

¥5,724
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まずはコレでしょうか。もっとも,解説が無いので授業で教科書指定されていないと厳しいかなと思います。幸い僕は指導教授が編者である三木先生だったので有効活用できたと思います。


この教材を使う学校の学生であればまずこれと格闘すべきです。


この教材のメリットは民訴の基礎的知識を利用し発展的な問題まで分析させようとする問題があることや,有力な反対説などを学べることにあると思います。


司法試験を受ければ分かりますが,民訴は「判例だけで良いのですか?」という暗黙のメッセイジをとても感じます。判例・通説を(上っ面だけ)理解していてもなかなか難しい問題が多くあります。



判例に対してどのような反対説があり,議論の対立点はどこにあるのかをしっかり探る必要があると思います。もっともこの姿勢は他の教科にも当てはまりますが,とりわけ民訴が顕著であると思います。



僕は上記ロー民訴以外にこれを。

基礎演習 民事訴訟法 第2版/弘文堂

¥3,240
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とても使いやすい教材でした。何度か取り組みました。

学部生対象かのように書いてありますが,司法試験受験生にとっても良質な教材であると思います。


判例通説をそもそも使いこなすことができるかを主眼に置いていると思います。複雑訴訟等は全体的に出来が悪いと思うので,演習を通じてしっかり自分のモノニしておくと本番精神的に楽になると思います。


民訴は元々理論性の高い科目であり,司法試験科目の中でも最も難関と言われていますが,抽象的な理論だけではイメージを掴めないので,演習を通じて「使える」知識とすることがとても大切だと思います。



事例演習民事訴訟法 第3版 (法学教室ライブラリィ)/有斐閣

¥2,916
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これは司法試験8位で受かった友人が使っていました。僕は使っていませんでした。試験直前に民訴を復習したいときに便利な教材だそうです。


6 刑法


 刑法の演習書もこの二大巨塔じゃないでしょうか。


刑法事例演習教材/有斐閣

¥2,808
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これはとても良い問題集だと思います。これをやり狂えば司法試験は十分対応できます。司法試験はこの中の問題の2~3を組み合わせたような感じなので。


 1~40までの問題を何度も何度も解いて,論点落としがないように鍛えると良いと思います。


 僕は刑法は本当に基本的知識とこの演習書で足りると思います。


 あと,僕が個人的に取り組んだのは旧司法試験の問題です。問題文は短いですが,理論面などは旧司法試験の問題で鍛えました。

事例から刑法を考える 第3版 (法学教室ライブラリィ)/有斐閣

¥3,456
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 僕は取り組みませんでしたが,これも名著だと友人が言っておりました。

 若くして亡くなられた島田総一郎先生の本ですね・・・・。


事例研究 刑事法 (1) 刑法 (事例研究 )/日本評論社

¥3,240
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刑訴ほどではないですが,この本も一応使っていました。

事例演習があれば足りると思いますが,窃盗の保護法益論の本質や放火などはこの本が大変参考になりました。


とにかく刑事は演習勝負なので,必ずやるべきです。



8 刑訴


 

 僕はこの本に出会えたから刑訴がそこそこ安定して点数が取れたんだと思います。


事例演習刑事訴訟法 (法学教室ライブラリィ)/有斐閣

¥2,700
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 本当に感動的な本でした。おそらく刑訴の体系書を1回通読し判例もそこそこ読んでいる人が取り組むと効果的だと思います。


 刑訴理論の本質に遡り,理論的な見当がされているし,判例の射程なども説明されています。この本を読んで初めて刑訴の舞台に立てるのではないかと思っています。


 捜査の基本的な理論や訴因変更の要否,自白法則と違法収集証拠の部分は特に良かったと思います。


 是非一読を薦めたい。演習書というより読み物です。 


 

事例研究 刑事法 (2) 刑事訴訟法/日本評論社

¥3,240
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基本は上記古江・演習で良いのですが,伝聞法則についてはこの本で補う必要があると思います。伝聞法則は司法試験との関係でもほぼ毎年出るので事前準備に時間をかける必要があります。


この本の伝聞の説明は明快ですし,とくに弾劾証拠については古江本には書いていないのでこの本を参照する必要があります。



8 知財


 知財も二大巨塔の演習書があるという感じです。

 選択科目の出題は基本的に素直であり,見たことあるような論点が本当にそのまま出たりします。そういう時に演習書を通じたストックは威力を発揮します。そのまま考え方などを覚えてしまうと良いと思います。

知的財産法演習ノート―知的財産法を楽しむ23問 第3版/弘文堂

¥3,240
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司法試験のネタ本的な感じになっていると思います。この問題集を網羅的にやっておけば,必ず似たような出題があると思います。

ただ,解説の毛色が担当者によって全然違うので注意が必要です。

論点解析 知的財産法/商事法務

¥3,672
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これもやっておくと良いです。余裕があれば上記の本と両方やった方が効果的です。論点解析には司法試験の過去問が問題として所収されているのが特徴的です。


また筆者は一人なので、解説も一貫しています。


ただ,田村先生の独自説が時折あるので注意する必要がありますし,模範解答も受験生目線的には微妙なので。


 知財は簡単な基本書,特許については百選を読むことが必要ですが,やはり問題集でしょう。



上記はあくまで一合格者の僕が使っていたものに説明を加えただけなのでどこまで有益なものとなるかは分かりませんが,僕から切り離した一般論を言うとすれば,司法試験において演習はとても大切です。ある種の公文式のような。

インプットの成果をアウトプットを通じて測り,その結果をインプットのあり方につなげていくのが良いと思います。


司法試験まで残り1ヶ月となりましたが,どうか身体に気をつけて最後までがんばってください!


では,明日も頑張りましょう!!

こんばんは!!


最近平成26年度司法試験も迫っているので,柄にもなく司法試験関係の記事を積極的に書こうと努力しています。別にトップクラスの合格者でも無いですし,僕が何かを書いたところで大して有益なアドバイスにもならないと思いますが,ほんの少しぐらいは参考になると信じて書きます笑



過去の傾向から何となく落ちる人の特徴が分かってきた気がします。本当に大きく分けると以下の人たちです。



1 基本的な勉強量・方法に誤りがあること

2 日本語が下手な人=文書作成能力が極めて低い人

3 メンタルが弱い人




では,特に1が問題となりますので具体的に考えて行きましょう。


1 基本的な勉強量・方法に誤りがあること


 「努力は裏切らない」という言葉がありますが,「司法試験合格」こそゴールであると考えた場合,努力は裏切る可能性があります。なぜなら,努力の方向性があさっての方向であればいくら勉強しても合格には至りません。もちろん,根性が付くとかその他副産物は手にいれられるかもしれませんが,本記事では度外視します。


(1)絶対的な勉強量が少ない人


 「量より質」と言いますが,「量は質を作る」と僕は考えています。試行錯誤して多くの時間を勉強に費やせば,質も向上すると思います。


 少なくとも毎日数時間程度しか勉強しない場合,当面合格できないと思います。司法試験と言うのは短答8科目,論文7科目と範囲はとても広く,一朝一夕でどうにかなるものではないからです。


 授業を受けている時間も「勉強時間」に含めるとして,1日8~12時間は勉強するのが合格者の標準だと思います。それでも学部時代から受験勉強していると考えると,5年前後は合格するまでかかると思います。



(2)法律解釈学の基礎を体得していない人


 司法試験の合否は基本的に論文のパフォーマンスで決まります。短答:論文=1:8という割合絡みても肯定できると思います。


 司法試験では当然法律文書の作成が求められるわけで,エッセイのような答案を書いていては絶対に受かりません。エッセイのような答案を書いてしまう人の原因は法文作成の基礎,すなわち法解釈とは何かが理解できていない事が考えられます。


 すなわち,法的三段論法の理解の問題です。


 数学的な物の言い方をするとすれば,


「公式」に「数値」を代入して「解」を導く。


 「公式」たる法規範(原理原則,条文,判例など)に「数値」たるナマの具体的事実を代入して「解」たる結論を導く。


 「公式」の部分は抽象的な規範部分であり,そこにナマの事実は一切出てきません。「公式」を示した上で,そこに初めて「数値」たるナマの事実を当てはめて結論を導くわけです。


 このように規範部分と当てはめ部分を明確に分けて考えられないと,およそ法文としての体裁をなさなくなり不合格への近道となります。


 更に,法文解釈→当てはめの基礎ができていないと,勉強していても誤った勉強をする可能性があります。



(3)過去問分析が甘い人


 これも落ちやすいと思います。司法試験の過去問をやらず,予備校の答練問題ばかり手を付けている人は落ちる傾向にあります。


 自分が備えておくべき能力の到達点は過去問が示してくれているのであり,最重要な演習素材であることには争いないと思います。


 過去問,出題趣旨,採点実感,ヒアリング等の公式文書を通じて「何が問われているのか」「何を書けば点数が貰えるのか」を肌で感じる必要があります。ここを怠っている人は厳しい結果となっています。


 全科目共通したエッセンスを感じ取るのも当然大事ですが,各科目毎にも特徴があり,当然それも分析すべきです。


 憲法で言えば,【原告】【反論】【私見】のバランスについて


 行政法は,具体的に個別法を引用して検討する姿勢について


 民法は,総花的に展開するのではなく,争点中心に説得的に論証する姿勢について


 商法は,責任追及においては任務懈怠,因果関係,損害等について具体的に特定し検討することの大切さ,株主総会決議取消訴訟と組織に関する訴え(形成の訴え)との関係,目的物を第三者に譲渡している場合の取引の安全の考慮など特に特徴的です。過去問のフレームがそのまま使える年があります。


 民訴は,基本的概念の重要性,「本件」具体的事実に着目した論証のあり方


 刑法は,構成要件要素の解釈と当てはめの重要さ


 刑訴は,令状主義などの本質に遡った論証のあり方,伝聞の処理フレームなど。特に刑訴が一番出題傾向が似ていると思います。特に,伝聞の処理フレームはそのまま使えます。


 上記分析が正しいかどうかはさておき,自分なりに各科目の特徴を体得することは必要不可欠であると思います。予備校の瑣末な問題をやるならまず本試験の過去問に体当たりすべきでしょう。


(4)妙に拘っている人


 司法試験は一部の分野についてのマニアを輩出する試験ではありません。法曹実務家としての素養を備えているかどうかを判断する実務家登用試験であり,どの分野についても満遍なく回答することが求められています。


 これは配点から考える受験戦略でもありますが,試験である以上全ての問題に一定水準の回答をすることが求められています。上記バランスを失し一部の分野にだけ力を注ぎ,それ以外の分野について手薄になれば合計点で必ず損をします。


 全ての問題で60%の水準を目指す(もちろん理想を言えば100%の気持ち)つもりでやるのが良いと思います。配点30:40:30で最後の30を落としたらそれでもう70点スタートとなってしまいます。


 変なコダワリを持たず,時には諦めて進むことも必要です。


(5)素直になれない人


 これも厳しいです。素直になれないとなかなか突破できない試験だなと感じました。司法試験は問題文を素直に読めない人,人のアドバイスを素直に聞けない人が落ちている傾向にあります。


 つまり問題文も都合の良いように解釈したり,人のアドバイスにも一切耳を傾けないような人は厳しい結果になっている印象です。


 司法試験の答案は出題者への文章を通じた「お返事」なのであり,まさしくコミュニケーションの一貫なのです。「君はどんな料理が好きなのですか?説得的に説明して下さい。」という問題なのに「あぁ,おれは野球が好きでさ・・・」みたいなことをいくら書いても点数が付きません。


 問題文をよく読むと,出題者からのメッセージが目白押しです。そうしたメッセージを受け取り,お返事を書く。こういった当たり前の事を当たり前にこなすことが大切です。もちろん基礎的知識が無いと出題者のメッセージなんて読み取れません。


 我流を貫くのもとても大切ですが,まだまだヒヨコである以上,先生のアドバイス,合格者のアドバイス,優秀な友人のアドバイスなどを素直に聞いたほうが良いです。もちろん,合わないと思う部分は排斥しても良いですが,およそ聞く耳持たない人は危険です。素直さが足りない。


 逆に僕なんかは自分に自信が無いので,ひたすら先生や先輩,友達に聞いて吸収させてもらいましたし,問題文も丁寧に読みました。誤読もあったけど・・・。



(6)スピードが遅い人(≒完璧主義の人)


 司法試験は時間との戦いです。短答も論文も。


 論文は1科目2時間ですが,正直何時間あっても足りません。「時間が足りない!」と嘆くのはナンセンスであり,「2時間で書けるだけ書く」という姿勢が大切です。


 当局だって完全解を求めているわけではありません。長時間検討した学者の答案例だって誤りが含まれていることだってあります。それにも関わらず2時間で受験生ごときが完全解を書こうなんて思ってはいけません。


 2時間で書けるように,すなわち2時間で重要な事項から順に書いて行く手際の良さが求められます。全ての設問に配点がある以上,途中答案なんて論外です。事前に2時間与えられているのは分かっているのですから,間に合わせるようにしなきゃいけません。


 したがって,計画性がない人や処理するスピードが異常に遅い人は厳しい結果になっています。ある程度要領よく,全部の問題に一定水準以上の回答ができるスピーディーさがとても大切です。


 僕の例ですが,120分で書かなくてはいけないものを,110分で設定して書いていました。普段110分でやることで,当日少しゆとりが出ます(現実問題として当日は緊張していてギリギリですけど,10分短縮してなければもっとギリギリになっています)。


 「私,読むスピードとか書くスピードが遅いんで・・・」と言っている人がいますが,大部分は合理性の無い言い訳です。確かに物理的な速記力に一定の差がありますが,書くスピードは脳みそにどれだけ法的知識が染み付いているかに比例するのであり,まさに日頃からの鍛錬の結果が出る部分です。手を動かしているのは脳からの命令であり,その脳を鍛えておけば,書くスピードも速くなります。


 また読むスピードだって,日頃から基本的知識を受け込み,判例などを読み込んでいれば何が重要な事実かなどある程度分析しながら読めます。


 このように,スピードの遅さは日頃からの鍛錬不足に由来する所が多いのであり,インプットの精度を再検討すると良いと思います。


(7)演習が足りない人


 司法試験の勉強はインプットとアウトプットの両輪が必要であり,どちらかが欠けてしまっている場合,厳しい結果となると思います。持論は「インプットの最たる手段こそがアウトプットである。」ですが,感覚的に両輪と表現しても良いと思います。


 単に基本書や判例を読むだけでなく,問題演習を積むことでより精度の高いインプットが期待できます。


 漫然と読み物をこなしていても効率は悪いです。


2 日本語が下手な人


 法曹とは「言葉を命とする職業」(by田中豊)である以上,説得的に文章を書くスキルが無いと厳しいです。優秀な人でも落ちてしまうことがあるのはココに原因があると思います。


 どんなに知識があろうとも,分かりやすく説得的な文章が書けないと評価されません。特に司法試験では一読了解な答案が求められます。なぜなら試験委員の先生は膨大な答案を採点するため,読み返す時間が無いですし,読み返しても間違いが見つかるだけなので応試者に不利益なだけだからです。


 分かりやすい日本語,それは第三者に見てもらう他ありません。勉強会の意義はこういう所にあるのでしょう。


3 メンタルが弱い人


 当日,自分の持っている力をどれだけ発揮できるかが大切です。70の力があるのに,メンブレして30の力しかでなかった場合厳しい結果となります。一方で50しかなくても50発揮できれば可能性があります。


 受験者はみんな苦労しながら問題を解いています。誰だって泣きそうになります。自分だけじゃないです。


 決して自分だけ心が折れることないよう,最後まで「以上」と答案に書いてきて下さい。




【総括】


以上からすると,司法試験の舞台に乗れる程度の基本的知識を習得した上で,過去問分析などを通じて司法試験の「心」を掴み,演習を繰り返し,分かりやすい日本語で問題文に平常心で答えられる人が合格します!!



では,明日も頑張りましょう!!




 











こんばんは!!


今日は急に暖かくなりましたね。

僕の大嫌いな夏に向かっているようで複雑な気持ちです。


一年中スーツ着用なので8月あたりが思いやられます。


昨晩は,先日ガイダンスを担当した慶應LSの2Fの飲み会に出席させて頂きました。

昨年の2Cと比べると大人しいかもしれませんが,穏やかで良いクラスになりそうな印象を持ちました。



一次会はラッキーな事に女子テーブル^^

ハーレムですな。

二次会は末っ子君と眠たそうな子

若い。


さて,今日は


訴状・答弁書・準備書面の起案方法を学びました。

やはりこれらのリーガルライティングをする上で必要なのは要件事実的思考であり,司法試験時代の勉強が活きてくるのだと思います。


仕事を終え,KER3年のヤスと新宿へお買い物!

その後寿司!!




KERヤス。

タケノコの天ぷら!

美味しい!

最後に少し握りを食べて。


ヤス,お買い物のお付き合いありがとうございました。






さて,巷では小保方さんの論文問題が話題となっていますね!

本件小保方事件で捏造や剽窃があったかどうかはまぁどうでも良く(本来は深刻だけど),論文を書くにあたり捏造やコピペをする意味・メリットがどこにあるのかと真剣に思います。


そういった人たちは論文を書く意味というか,喜びを分からないまま執筆しているのではないかという疑問を持たざるを得ません。



僕自身,(半人前ながらも)人生で3回論文を書く機会がありました。



高校3年の時の卒業論文

大学4年の時の卒業論文

司法試験後のリサーチペーパー



です。



高校時代は

『日本が導入すべき世界の教育 ---フィンランドの学力の謎--』

というテーマで執筆しました。

3万字程度。


17歳の僕が書いたものであり,文献の引用方法等の基本的作法がなっておらず,エッセイに近いものだったと思います。


教育に興味があった僕は,PISAという世界共通試験のようなもので1位となったフィンランドの教育のあり方に着目し,日本にどの程度導入可能なのかを検証した論文です。


「教師」の質にこだわり続けたフィンランドの教育について理解を深めることができました。


指導担当のサポートもあり,優秀論文賞を学校から頂くことができました。




大学時代は

医療訴訟におけるカルテの証拠保全


について執筆しました。

2万字程度。


初めての法律論文の執筆であり,なんとか完成させたものです。


『白い巨塔』というドラマで病院にカルテの証拠保全をしに行くシーンがありますが,あれを見て,この社会学的事実は法的にはどのような手続に従って行われているのだろうという疑問を持ったことがきっかけでした。


司法試験後は

『類似必要的共同訴訟における当事者の手続関与権の濃淡』

というタイトルで執筆しました。

8万字程度。


この論文は決して主流とは言えない類似必要的共同訴訟という訴訟類型に着目し,あらゆる紛争類型ごとに整理したものです。


現在,2名の最終選考に残っており,今月雑誌への掲載の可否が決まります。

ここまで来たら最後まで残ってもらいたいです。



以上のように自分の浅い人生の中で3本論文を書きました。



たかが3本ですが,3本の論文を執筆して,論文を書くということのメリットは何なのかを考えたので今日の記事にしようと思います。


1 自分の頭で考え,悩むことは人間の美徳であること


 アルバイトをしたりする時,確かに事務処理のような単純作業の方が楽だと思います。しかし,途中で飽きたりしてしまうのではないでしょうか。


 司法試験でも短答プロパーの勉強は暗記ばかりで苦痛でしたが,論文の勉強はそのような苦痛はありませんでした。もちろん,楽という趣旨ではありませんけど。


 仕事をする上でも,自分に裁量があり,その範囲内において自分の頭で考え,悩み,結論を出せるからこそやりがいがあるのではないでしょうか。


 それと一緒で論文を執筆している最中は本当に考えます。考えて,考えても答えがなかなか出ないことがあります。確かに大変かもしれませんが,その瞬間こそが自分の成長の機会となるし,人間が持つ美徳を享受している時間なのではないでしょうか。


 もっと狭い話をすれば,司法試験の勉強をする時,一定の結論のみを覚えることは簡単です。しかし,なぜそのような結論に至るのかを自分の頭で考えることが一番大切であるし,自分の頭で考え抜いたことは簡単には忘れません。


 このように論文を書くということは自分の頭で考え,悩める貴重な機会となります。



2 自己表現手段の1つであること


 なぜ論文を書くのでしょうか。それは,自分の頭で考えたことを文章にし,世に発表をし,それが「承認」されることを通じて喜びを感じるためではないでしょうか。


 ノーベル賞等,世界的に権威のある賞はもちろん,学校内におけるクローズドな空間における賞であったとしても,自分の表現物が評価され承認された瞬間というのは嬉しいのではないでしょうか。なぜなら,自己表現を受け入れて貰えたからだと思います。


 人間は演説などの言語的手段はもちろん,服装,髪型などの非言語的手段を通じた自己表現を行います。これらの自己表現が他者から承認されることはとても嬉しいことだと思います。「その服かっこいいね。」「その髪型かっこいいね!どこで切ったの?クレアトゥール?」みたいな事を言われると嬉しいはずです。


 こういった自己表現―承認という形が論文という形に変わっただけです。


 およそ都知事になれないような人が多額の供託金を積んで立候補しますね。あれに何の意味があるだろうと考えました。僕はあれはある種の自己表現なのではないかと思います。適法に演説ができ,テレビでも放映され,ビラも貼れます。これは一般人が真似しようとしてもできない表現手段です。多額のお金をかけてまでも,自分を表現したいからではないでしょうか。


3 苦労して自分の足跡を残せること。


 これは2とリンクするかもしれませんが,成果物という形で足跡を残せることはとても有意義なことではないでしょうか。


 学生生活を振り返って「ラグビー部で主将を務めて,良い結果を出せた!」「留学に行けた!」というのも素敵な足跡です。目に見える物理的な足跡としてはまさに論文が挙げられるでしょう。「大変だったけど,執筆した論文に賞を貰えた。」というのは思い出にもなるし,形にも残ります。


 苦労したことなんて,過去を振り返る時点まで時が経過すれば思い出話になります。楽だったことは振り返ってみても何も残りません。苦しかったからこその足跡なのです。


 自分の中で「司法試験に合格した。」というのは自分の人生にとって大きな足跡を残せたと思っています。自分の能力を考えると,勉強はとても大変でした。泣いたこともありました。けど,大変だったからこそ苦労話として思い出に残っています。


 論文を書くということは苦労して自分の足跡を残せる貴重な手段です。


4 執筆した分野に詳しくなることでチャンスを広げられること。


 ある一つの分野について執筆するということは,周辺部分を含めて相当程度リサーチすることとなります。そうすれば自ずと,当該分野について詳しくなります。


 当該分野に詳しくなることは,一般論から言っても有益だと思いますし,それを公開することで,仕事の依頼を受けたり新たなチャンスがやってくる可能性が高まります。


 チャンスなんてそう転がっていません。自らチャンスを呼び寄せることが大切なのではないでしょうか。論文執筆は自己の能力を高め,新たな可能性を創出する貴重な活動ではないでしょうか。


5 プロから直接指導を受けることで,文書作成能力が向上すること。


 言うまでもなく,文書を作成する訳ですから,文書作成能力は一定程度向上すると思います。文書は実際に書いて,プロに見てもらうのが鍛えるのに一番の手段だと思います。


 僕の後輩で,ESを僕に送って貰い,僕が添削して返却するということを何回も繰り返していた人がいました。最初は淡白な文章でしたが,徐々に迫力があり,心に入ってくる文章に変わってきました。それがどこまで影響したかは不明ですが,ES段階では結構通り,内定も出たみたいです。


 僕はプロでも何でもないので,当てはまりませんが,社会に出たらプロから直接指導を受けられる機会ってあまり無いと思います。論文を書くことを通じてプロの指導を受けますが,それ自体貴重な機会ですが,それを通じて文書作成能力が向上することにもメリットはあります。


 法曹は「言葉を命とする職業」なので当たり前として,仕事をする上で文書を作成する機会は決して少なく無いと思います。その際に良い文書が作成できるというのはメリットなのではないでしょうか。


6 (即物的なメリットとして)留学等のプラス材料になること


 これは自分の指導教授の三木先生が仰っていたことです。三木先生の文章をそのまま転載したいと思います。


「卒論は、将来における重要な「財産」になる。ここにいう「財産」には、人間としての成長というような抽象的な意味を含めてもよいが、もっと即物的かつ実利的な意味での「財産」という意味もある。毎年、9月頃になると、官庁・企業に就職したり弁護士・裁判官になったりした卒業生から、アメリカのロースクールなど、外国の大学に留学するので推薦状を書いて欲しいという依頼が数多く舞い込む。こうした留学のためには、推薦状が必須である場合が多く、しかも合否の判定にあたって推薦状の占める比重は重い。こうした推薦状であるが、その卒業生が学生時代に卒論を書いているかどうかで、大きな差異が生じる。その卒業生が卒論を書いていない場合には、教師として売り込むべき業績や個性が見出せないからである。欧米の大学では、日本の大学時代に受動的に教室で授業を聞いていたというだけの出願者は、かりに学生時代の成績がよくても、あまり評価されない。また、創造性や独創性などを具体的に示すエピソードが必要である。学生時代における学問分野での積極性・創造性・独創性などをアピールする素材としては、卒論のほかに適当なものは少ないのである。もちろん、法科大学院の入学試験や公私の機関の採用において推薦状が要求されることもあり、こうした際にも卒論は威力を発揮する。 」



7 まとめ


 このように論文を書くメリット・喜びはとても大きなものだと僕は考えています。これは別に研究者になる人だけでなく,それ以外の多くの層に当てはまるのではないかと思います。


私見として上記のような効能があると思っているので,論文を捏造したりすることは考えられません。


 積極的に論文を書けとまでは言いませんが,「卒論があるゼミには行かない。」と言う発想だけは持たず,少なくとも大学生活で1本思い出に残る論文を書いてみたらいかがでしょうか。




こんばんは!!


今日は雨でレフリーも中止になり,ノンビリとした日曜日になりました。


名古屋修習の友人と立川修習の友人と僕の3人で夜集まってご飯食べました!

慶應LS時代の大切な同期です。


そうそう,先日ガリガリ君のナポリタン味を購入して食べてみました!!!

文字通り「衝撃」的な味です。これ以上のことは申し上げませんが,興味がある方は是非お手にとって見てください!!




同期会は渋谷のイタリアンで開催しました。今回の幹事は僕。

次回は誰になるのかしら。


友人が食べてみたいと言った生ハムメロン。


3人で1枚!



さて,平成26年度司法試験まで残り45日となりました。

『直前期』と言って異存の無い時期に差し掛かってきたと思います。



この時期はどの受験生も共通して全国模試を受ける頃です。僕の記憶だとこの全国模試に向けて一生懸命勉強した記憶があります。



今日は自分の直前期の勉強を思い出してみたいと思います。


1 模試の成績との相関関係


 だいたいどこの模試もA~F評価がつきます。上位15%程度がA,上位15~30%程度がB,30~50%程度がC,50~70%程度がD,以下E,Fと言った感じでしょうか。正確には覚えておりませんが。


 模試でA評価が付けば司法試験で受かる確率は統計的に80%ぐらいです。この統計はどこの予備校も出していると思うので,A評価だった人はその調子で安心し過ぎること無く頑張れば大丈夫だと思います。


 模試の段階で択一が200超えない場合危険水域なので,残り択一を勉強しないと足切りされる可能性が高いです。


 自分を振り返ると司法試験受験の1年前に受けた時が上位10%でA(択一C,論文A),直前の模試が上位3%でA(択一A,論文A)という経過でしたので,多少は肩の荷を抜いてやっていました。もちろん不安は払拭できないですけど。


 一緒に模試を受けた友人は皆上位数%でA評価で,その人達は全員受かりました。


 なので統計学的に模試の成績は一定程度信じてやれば良いと思いますが,安心し過ぎず,過度に不安になりすぎずやれば良いと思います。


 なお,伊藤塾・辰巳・LECの全国模試の問題は目を通しておいた方が良いと思います。みんなその周辺は書いてくるので。



2 直前期の勉強(総論)


 のこり45日前後。僕は模試が終わって正直だらけてしまいました。あまり身を入れて勉強すること無く,友人と食事会に行ったり,後輩たちの指導をしたり,新入生の飲み会に行ったりしていました。


 この時期の勉強は

・基本部分を何度もやること

・弱点を補うこと

・択一の追い込みをすること

・答案を書き続けること


 が大切だと思います。


 勉強時間も一日10時間前後で良いのではないでしょうか。


 この時期僕はリズムとして5時30分の起床し7時か7時過ぎに学校へ行って,21時には学校を出て帰宅すると言う感じでした。


 間延びもしていたので1日10時間確保していたら良い方だったと思います。


3 直前期の勉強(各論・主題予想)



 直前期まで伸び易いのは

・選択科目(俺は知財)

・行政法

・商法

・刑事


です。


(1)憲法


 今更あがいてもしょうがない感がありますが,基本的な人権の意義,判例のロジックの確認(いかなる事実をどのように評価し審査密度を調整しているか),反対意見や有力な学説など三つ巴で使えるようなフレーズのストックなどすると良いと思います。


 そろそろ財産権出そうじゃないですかね?証券取引法判決をベースに,森林法判決のロジックなどを見ておくと良いと思います。


 あと田中真紀子関連で学校の許認可関係なども怪しい気もします。


(2)行政法


 行政法は結構頑張ったと思います。判例のロジックを意識して勉強しました。なぜ処分性が肯定されたのか?どのように根拠法規を解釈して原告適格を導いたのか?どのような法律構造から訴えの利益を肯定したのか?


 訴訟要件論は点数が伸びやすいですし,あと訴訟類型(取消訴訟?義務付け?差し止め?公法上の当事者訴訟?)は的確に選べるようにしておきましょう。もちろん訴訟要件も。この意味では君が代判決など読んでおくと良いと思います。あと非申請型義務付け訴訟など。もちろん国賠もそろそろ。


(3)民法


 民法はほとんどやれませんでした。択一対策と論文対策をほとんど一緒にやっていた感覚です。基本書も読みだすと長いので判例百選程度にしていました。


 民法は出題範囲も広いため予想が難しいですが,賃貸借契約正面というのも有りかなと思います。特に転借人が絡んでくると複雑になります。最近では契約解釈もホットなのでサブリースを読み解かせるのも出るかもしれません。サブリースの場合賃貸人と賃借人との事業の共同執行性がポイントになるかもしれません。あと類型別程度の要件事実の知識は復習を。


(4)商法


 商法はわりと条文・論点的であるので直前頑張れば伸びると思います。リーガルクエスト,百選,問題集を復習すれば良いと思います。特に条文はすぐに指摘できるように。

 また過去問の出題傾向が似ているので確認を。


 今年は取締役の責任論,株主代表訴訟,組織再編あたりかなと思っています。事業譲渡あたりも含めて。組織再編が出た場合対価が金銭が株式か等ちゃんと確認しましょう。「損害」の考え方が変わってくる可能性があります。

 組織再編は本番条文が引けるよう練習しておくと良いと思います。


(5)民訴


 民訴はやはり定義・原理原則などをしっかり覚えること。また具体的場面でどの原理が作用するか頭に入れておく必要があります。リーガルクエストを読みなおしたりすると良いと思います。百選ももちろん。


 処分権主義や自由心証主義関係はあまり出ていないので引換給付判決,証拠法あたりは再度見直すと良いと思います。また複雑訴訟も出た時に焦らないよう要件→あてはめができるようにしておいた方が良いです。個人的には類似必要的共同訴訟がそろそろ出ても良いのではと思っています。上訴との関係で。

 あとは昨年出そうと思っていた相殺関係も。


(6)刑法

 

 刑法は構成要件要素の確認,判例の確認だと思います。この時期は週に1回の答案作成にしか刑事の勉強に充ててませんでした。


 今年は詐欺,強盗あたりではないでしょうか。とりわけ2項系が危ない気もします。経営権獲得の意図での殺害,預金口座の番号を聞き出すための暴行行為の事案など。またゴルフ場の詐欺判決(消極)が出たので「欺く」こととは一体何のかを改めて考えても良いと思います。

 強盗のついでに正当防衛や緊急避難なども。


(7)刑訴


 刑訴もほとんどやりませんでした。百選と古江を読んで終わった気がします。


 今年は物件の差押え系なのでしょうか。逮捕に伴う捜索差押えで第三者の身体に行けるかなど整理しておくと良いかもしれません。接見も危ない。

 証拠法では伝聞ももちろんあり得ると思いますが,自白の任意性やそこから派生した証拠なども整理しておくと良いと思います。




 こんな所でしょうか。何ら役に立たない情報かもしれませんが,少しでも参考になればと思い書いてみました。



 では明日も頑張りましょう!!

 


 

 









おはようございます!!

今日は朝の更新です。


 平成26年度司法試験までもう2ヶ月を切りましたね。昨年の今頃は全国模試の受験の最中で一番ピリピリ(とは言っても性格的にはノンビリしていた方)していたかもしれません。やはり模試の成績が悪いと不安ですし,良かったとしても別に何らの保証がされるわけでもないからです。


 昨年残念な結果だった同期や多くの後輩が今年受験するので先輩として少しでも応援してやれたらなと思っています。


 自分が司法試験の勉強をしている最中は本当に辛くて,いつ止めてやろうと毎日思っていました。けど,ここまで来たから引き返せないなどと自分で言い聞かせて頑張りました。もっとも頑張れた動機は他にあるのでそれはまた後述します。


 

 今日の記事では実際に司法試験を受け,受かって良かったことを改めて考え,記事にします。



 まず当たり前のメリット,これは形式的メリットではありますが,司法試験に合格し,その後司法修習を終え最後の二回試験に合格することで法曹三者(裁判官,検察官,弁護士)になれる資格が与えられたことです。法律分野においてほぼ独占的に業務を行うことができます。もちろん,これから多くのプラクティスを積んで実務家になっていくわけですが,独占業務にチャレンジできるということはそれ自体魅力的です。

 

 また司法試験を受かり弁護士登録をする事を通じて,税理士・弁理士・司法書士・行政書士も付随して登録が可能となり幅広い業務が可能となります。もっとも,税理士登録したとしても司法試験に受かり弁護士登録しただけでは基本的に税務関係のプラクティスを積んでいないのでほぼ使い物にはならないと思いますが・・・。


 このように司法試験を受け合格し,更に二回試験に合格することで弁護士登録が可能となりますが,そうすると弁護士業務が行えるという本来的意義に加え,このような付随的な資格も取得できるという形式的メリットがあります。



 ただ,これは司法試験を受験しなくてもある程度予想できるメリットであり,ここで特段論じる必要も無いかなと思います。僕は司法試験を受験して上記以外のメリットを特に享受したように感じたので以下述べていこうかなと思います。


1 合格した時人生で一番の喜びを感じたこと


 まずこれを挙げたいと思います。僕は器的には小さい男ですので,他人から見た小さな喜びでも,比較的大きな喜びに感じてしまいます。「外食が続いたのに体重が変わらなかったこと」「薬局でいつも使ってる商品が割引商品となっていること」「信号がギリギリで渡れたこと」「なかなか会えない友達と食事のアポが取れたこと」「ちょっと可愛い女の子からメールの返事をもらえたこと笑」などなど。


 しかしながら,司法試験に受かった時の喜び,これは言葉では本当に説明できないぐらい嬉しかったです。父にずっと「キツイ坂を登った後の頂上の景色は格別だ。ロープウェイに乗った場合では訳が違う。」と言われていました。本当にその通りだったと思います。


 発表当日,あまりにも怖くて,後藤に一緒にいてもらいました。ていうか,彼に発表を見てもらいました。あと垣下も。「あった!!」と言われた時の喜びは今までの人生にないものでした。思わず涙が出ました。その様子を見ていた後藤も一緒に喜んでくれ,彼の目には少し涙が溜まっていました。それほど僕が喜んでいるように見えたのだと思います。


 人生に一度でもあの喜びを感じられたこと,それ自体とてもプラスだったと思います。人間喜びを味わうとまた頑張ることができる。そう思えました。






2 自分自身に少し自信が付くこと(受験したことがないという自分のコンプレックスに打ち勝てたこと)


 自分にとって一番大きなことはこれだと思います。自分は慶應幼稚舎という付属校からの進学者であり,人生でほとんど勉強したこともありませんでしたし,受験経験もほとんどありませんでした。ロースクールの受験はしたものの,あれは気づいたら受かっていた所があるのでノーカウントにしています。


 父からも「受験をし,それに打ち勝って初めて男としての1歩を歩める。」と言われていました。周りの友達は中学・高校・大学どこかしら受験をしており,受験に打ち勝って慶應に来ています。にも関わらず,自分だけ受験経験がなく,甘い環境で育ってきたため少し負い目に感じていました。世間からも「無能なお坊ちゃん」と思われていることは分かっていたので,少しでも見返してやろう・・・なんて思っていました笑。


 司法試験は世間的にも実質的にもやはり難関と言われている試験であり,これに通れば最低限「おれ頑張った!!」と言えるかなと思い,それを強いモティベーションとして頑張りました。

 

 モティベーションに関連して,もう1つ僕が頑張れた源があります。それは僕のことを「尊敬しています。」と言ってくれている後輩の存在です。僕なんか能力面,人格面共に劣っていることは昔から自分でも把握しています。こんな自分をお世辞でもそう言ってくれる後輩のために頑張らないと尊敬してくれている後輩に申し訳ないと思ったのが大きいと思います。先日も後輩に「尊敬と信頼の先輩」と言って頂き,ますます頑張ってよかったなと思ったのを思い出しました。



 司法試験は以前に比べて合格率は上がったものの,学部時代からの勉強を考えると5年前後は平均して受験勉強をしないと合格できない試験です。とりわけ僕のような能力的には凡人ないしそれ以下の人にとってはそれでも足りないぐらいの試験です。


 こういう試験にチャレンジし合格できたことは,自分自身に自信を持てるきっかけとなりました。僕自身既に述べたバックグランドから自分の能力面については特に恥ずべき点だと思っておりましたが,今でも原則としてその点についてはあまり考えは変わらないものの,少しは自信が付いたかなと思います。こんな僕でも頑張ればできる!!こう思えるようになったのはとても成長した点だと思います。


 自分に自信が付けば,新たな1歩を歩めやすくなると感じました。




少しでも多くの後輩に司法試験に受かってもらいたいために,拙いながらも講義を・・・・。



3 貴重な友人に出会えたこと


 これも自分にとって大きかったと思います。自分は小学校,中学校,高校,大学それぞれでとても大切な友人たちに出会えました。こんな僕を相手にしてくれる友人もでき,ロースクールでは新しい友人を作ろうなんて一切考えてもいませんでした。


 しかし,ロースクール生活で本当に新たな貴重な友人と出会うことができました。今の自分の生活を見てみると,ロースクールで出会った友人がいない生活なんて本当に想像できないほどです。


 N卓,カズ,堀,大石,A子,M子,S井などなど・・・


 たくさんの先生,先輩,後輩,生協のおばちゃん,警備員さん,学事のスタッフの方・・・。多くの人と出会うことができました。








また僕が(そんな大したものではないけど)司法試験の勉強の指導(と言えるほどの代物じゃないけど)をしていた後輩から卒業時にこんな素敵なものを頂きました。

「KF研究会」と書いてあります笑


大した指導ができたわけではないのに,このようなことまでして頂いて大変有り難かったです。時には厳しい講評もしたかもしれないですけど,司法試験の答案なんて厳しいこと言われないと伸びない所があるからまぁご愛嬌で・・・笑



司法試験というのは決して楽な試験では無いかなと感じました。僕の能力の問題もありますけど。

このようにキツイ司法試験を共に勉強する友人っというのはどことなく部活の友達のような感覚になります。


そんな多くの友人(もちろん先生,先輩や後輩なども含む)と出会えたことが良かったと思える点です。


4 事務処理能力が付いたこと


 ここからは若干枝葉の部分になってきますが,司法試験を受けて仕事・作業スピードが速くなった気がします。


 司法試験というのは論文7科目,短答8科目と極めて範囲が広い試験であり,しかも1科目2時間という時間で論文(最大)8頁を手書きで書かなくてはいけません。この業界に入った人は身体で感じると思いますが,司法試験の問題を2時間で書くのはほぼ不可能であり,だいたいの人が「分かってても書かない」等の対策を講じて最後まで書き上げます。


 問題文も長く,重要でない部分と重要な部分とをすぐに察知し,取捨選択する必要があります。司法試験に受かる上で必要な能力としてやはり事務処理能力があります。


 100点の答案を書く必要はない。60点の答案を全部揃えれば合格できるようになっています。もっとも僕みたいな人の場合60点を狙うと30点ぐらいになりかねないので注意で・・・笑。


 したがって,普段の勉強からスピードを意識せざるを得ない試験でもあります。


 以前の僕は読み書きが大変遅い人でした。今でも速い方ではありませんが,人並みのスピードで読み書きできるようになりました。ある程度速く読み書きできないとこの業界では厳しいのかなと感じます。


 このように作業スピードが上がったことが良かったと感じました。



ある日の自習室の机。

1日2~3教科をスピードつけてやります。


5 論理的思考能力が少し付いたこと,説得するという発想が身に付いたこと。


 「法律学を勉強すると論理的思考力が身に付く」と言われてはいましたが,当初あまり理解できていませんでした。「ほんとかよ??」と思うばかりで。


 司法試験を通じて思ったことは,物事を順序立て,反対意見をも考慮しつつ,バランスの良い結論に導ける能力が一定程度養われるのかなと感じました。


 論理的と言っても理系のように100%の論理ではないのですが,ある程度体系性を持っている学問なので体系的に考え,一定程度自分なりの価値観を交えつつ,けど説得力を持たせて物事を考える力が司法試験では必要です。


 なぜ損害賠償責任が発生するのか?なぜ傷害致死罪ではなく殺人罪なのか?


 これを体系性を持った一定のルール(条文・基本原理,判例,学説)に用いて自己の見解を説得的に展開します。


 「説得的」であると言えるためには論理性が求められるであろうし,「説得的」であるためには具体的な根拠を示すことも求められるだろうと思います。


 これは何も司法試験のみで必要な能力ではなく,社会一般で求められる力ではないかと思います。リーズニングこそ命と指導されますが,何事も具体的な根拠を示して自己の見解を述べ,相手方を説得する。こういう力,姿勢が身に付いたかなと感じました。




新入生ガイダンスも「説得的」に!?笑




このように,司法試験を受けて良かったことを考えてみました。もちろん試験なのですから受かったこそ価値があると思われる人もいると思います。確かに受からなかったら受かる喜びも味わえないと思いますし,効能は減ってしまうと思います。しかし決して自分が成長しないことはないという側面もあります。


試験直前で大変だと思いますが,このように受けて良いこともあるのでどうか最後まで頑張ってもらいたいと思います。


では,本日も頑張りましょう!!