司法試験に落ちやすい人の特徴 | KFデラックスの日記

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こんばんは!!


最近平成26年度司法試験も迫っているので,柄にもなく司法試験関係の記事を積極的に書こうと努力しています。別にトップクラスの合格者でも無いですし,僕が何かを書いたところで大して有益なアドバイスにもならないと思いますが,ほんの少しぐらいは参考になると信じて書きます笑



過去の傾向から何となく落ちる人の特徴が分かってきた気がします。本当に大きく分けると以下の人たちです。



1 基本的な勉強量・方法に誤りがあること

2 日本語が下手な人=文書作成能力が極めて低い人

3 メンタルが弱い人




では,特に1が問題となりますので具体的に考えて行きましょう。


1 基本的な勉強量・方法に誤りがあること


 「努力は裏切らない」という言葉がありますが,「司法試験合格」こそゴールであると考えた場合,努力は裏切る可能性があります。なぜなら,努力の方向性があさっての方向であればいくら勉強しても合格には至りません。もちろん,根性が付くとかその他副産物は手にいれられるかもしれませんが,本記事では度外視します。


(1)絶対的な勉強量が少ない人


 「量より質」と言いますが,「量は質を作る」と僕は考えています。試行錯誤して多くの時間を勉強に費やせば,質も向上すると思います。


 少なくとも毎日数時間程度しか勉強しない場合,当面合格できないと思います。司法試験と言うのは短答8科目,論文7科目と範囲はとても広く,一朝一夕でどうにかなるものではないからです。


 授業を受けている時間も「勉強時間」に含めるとして,1日8~12時間は勉強するのが合格者の標準だと思います。それでも学部時代から受験勉強していると考えると,5年前後は合格するまでかかると思います。



(2)法律解釈学の基礎を体得していない人


 司法試験の合否は基本的に論文のパフォーマンスで決まります。短答:論文=1:8という割合絡みても肯定できると思います。


 司法試験では当然法律文書の作成が求められるわけで,エッセイのような答案を書いていては絶対に受かりません。エッセイのような答案を書いてしまう人の原因は法文作成の基礎,すなわち法解釈とは何かが理解できていない事が考えられます。


 すなわち,法的三段論法の理解の問題です。


 数学的な物の言い方をするとすれば,


「公式」に「数値」を代入して「解」を導く。


 「公式」たる法規範(原理原則,条文,判例など)に「数値」たるナマの具体的事実を代入して「解」たる結論を導く。


 「公式」の部分は抽象的な規範部分であり,そこにナマの事実は一切出てきません。「公式」を示した上で,そこに初めて「数値」たるナマの事実を当てはめて結論を導くわけです。


 このように規範部分と当てはめ部分を明確に分けて考えられないと,およそ法文としての体裁をなさなくなり不合格への近道となります。


 更に,法文解釈→当てはめの基礎ができていないと,勉強していても誤った勉強をする可能性があります。



(3)過去問分析が甘い人


 これも落ちやすいと思います。司法試験の過去問をやらず,予備校の答練問題ばかり手を付けている人は落ちる傾向にあります。


 自分が備えておくべき能力の到達点は過去問が示してくれているのであり,最重要な演習素材であることには争いないと思います。


 過去問,出題趣旨,採点実感,ヒアリング等の公式文書を通じて「何が問われているのか」「何を書けば点数が貰えるのか」を肌で感じる必要があります。ここを怠っている人は厳しい結果となっています。


 全科目共通したエッセンスを感じ取るのも当然大事ですが,各科目毎にも特徴があり,当然それも分析すべきです。


 憲法で言えば,【原告】【反論】【私見】のバランスについて


 行政法は,具体的に個別法を引用して検討する姿勢について


 民法は,総花的に展開するのではなく,争点中心に説得的に論証する姿勢について


 商法は,責任追及においては任務懈怠,因果関係,損害等について具体的に特定し検討することの大切さ,株主総会決議取消訴訟と組織に関する訴え(形成の訴え)との関係,目的物を第三者に譲渡している場合の取引の安全の考慮など特に特徴的です。過去問のフレームがそのまま使える年があります。


 民訴は,基本的概念の重要性,「本件」具体的事実に着目した論証のあり方


 刑法は,構成要件要素の解釈と当てはめの重要さ


 刑訴は,令状主義などの本質に遡った論証のあり方,伝聞の処理フレームなど。特に刑訴が一番出題傾向が似ていると思います。特に,伝聞の処理フレームはそのまま使えます。


 上記分析が正しいかどうかはさておき,自分なりに各科目の特徴を体得することは必要不可欠であると思います。予備校の瑣末な問題をやるならまず本試験の過去問に体当たりすべきでしょう。


(4)妙に拘っている人


 司法試験は一部の分野についてのマニアを輩出する試験ではありません。法曹実務家としての素養を備えているかどうかを判断する実務家登用試験であり,どの分野についても満遍なく回答することが求められています。


 これは配点から考える受験戦略でもありますが,試験である以上全ての問題に一定水準の回答をすることが求められています。上記バランスを失し一部の分野にだけ力を注ぎ,それ以外の分野について手薄になれば合計点で必ず損をします。


 全ての問題で60%の水準を目指す(もちろん理想を言えば100%の気持ち)つもりでやるのが良いと思います。配点30:40:30で最後の30を落としたらそれでもう70点スタートとなってしまいます。


 変なコダワリを持たず,時には諦めて進むことも必要です。


(5)素直になれない人


 これも厳しいです。素直になれないとなかなか突破できない試験だなと感じました。司法試験は問題文を素直に読めない人,人のアドバイスを素直に聞けない人が落ちている傾向にあります。


 つまり問題文も都合の良いように解釈したり,人のアドバイスにも一切耳を傾けないような人は厳しい結果になっている印象です。


 司法試験の答案は出題者への文章を通じた「お返事」なのであり,まさしくコミュニケーションの一貫なのです。「君はどんな料理が好きなのですか?説得的に説明して下さい。」という問題なのに「あぁ,おれは野球が好きでさ・・・」みたいなことをいくら書いても点数が付きません。


 問題文をよく読むと,出題者からのメッセージが目白押しです。そうしたメッセージを受け取り,お返事を書く。こういった当たり前の事を当たり前にこなすことが大切です。もちろん基礎的知識が無いと出題者のメッセージなんて読み取れません。


 我流を貫くのもとても大切ですが,まだまだヒヨコである以上,先生のアドバイス,合格者のアドバイス,優秀な友人のアドバイスなどを素直に聞いたほうが良いです。もちろん,合わないと思う部分は排斥しても良いですが,およそ聞く耳持たない人は危険です。素直さが足りない。


 逆に僕なんかは自分に自信が無いので,ひたすら先生や先輩,友達に聞いて吸収させてもらいましたし,問題文も丁寧に読みました。誤読もあったけど・・・。



(6)スピードが遅い人(≒完璧主義の人)


 司法試験は時間との戦いです。短答も論文も。


 論文は1科目2時間ですが,正直何時間あっても足りません。「時間が足りない!」と嘆くのはナンセンスであり,「2時間で書けるだけ書く」という姿勢が大切です。


 当局だって完全解を求めているわけではありません。長時間検討した学者の答案例だって誤りが含まれていることだってあります。それにも関わらず2時間で受験生ごときが完全解を書こうなんて思ってはいけません。


 2時間で書けるように,すなわち2時間で重要な事項から順に書いて行く手際の良さが求められます。全ての設問に配点がある以上,途中答案なんて論外です。事前に2時間与えられているのは分かっているのですから,間に合わせるようにしなきゃいけません。


 したがって,計画性がない人や処理するスピードが異常に遅い人は厳しい結果になっています。ある程度要領よく,全部の問題に一定水準以上の回答ができるスピーディーさがとても大切です。


 僕の例ですが,120分で書かなくてはいけないものを,110分で設定して書いていました。普段110分でやることで,当日少しゆとりが出ます(現実問題として当日は緊張していてギリギリですけど,10分短縮してなければもっとギリギリになっています)。


 「私,読むスピードとか書くスピードが遅いんで・・・」と言っている人がいますが,大部分は合理性の無い言い訳です。確かに物理的な速記力に一定の差がありますが,書くスピードは脳みそにどれだけ法的知識が染み付いているかに比例するのであり,まさに日頃からの鍛錬の結果が出る部分です。手を動かしているのは脳からの命令であり,その脳を鍛えておけば,書くスピードも速くなります。


 また読むスピードだって,日頃から基本的知識を受け込み,判例などを読み込んでいれば何が重要な事実かなどある程度分析しながら読めます。


 このように,スピードの遅さは日頃からの鍛錬不足に由来する所が多いのであり,インプットの精度を再検討すると良いと思います。


(7)演習が足りない人


 司法試験の勉強はインプットとアウトプットの両輪が必要であり,どちらかが欠けてしまっている場合,厳しい結果となると思います。持論は「インプットの最たる手段こそがアウトプットである。」ですが,感覚的に両輪と表現しても良いと思います。


 単に基本書や判例を読むだけでなく,問題演習を積むことでより精度の高いインプットが期待できます。


 漫然と読み物をこなしていても効率は悪いです。


2 日本語が下手な人


 法曹とは「言葉を命とする職業」(by田中豊)である以上,説得的に文章を書くスキルが無いと厳しいです。優秀な人でも落ちてしまうことがあるのはココに原因があると思います。


 どんなに知識があろうとも,分かりやすく説得的な文章が書けないと評価されません。特に司法試験では一読了解な答案が求められます。なぜなら試験委員の先生は膨大な答案を採点するため,読み返す時間が無いですし,読み返しても間違いが見つかるだけなので応試者に不利益なだけだからです。


 分かりやすい日本語,それは第三者に見てもらう他ありません。勉強会の意義はこういう所にあるのでしょう。


3 メンタルが弱い人


 当日,自分の持っている力をどれだけ発揮できるかが大切です。70の力があるのに,メンブレして30の力しかでなかった場合厳しい結果となります。一方で50しかなくても50発揮できれば可能性があります。


 受験者はみんな苦労しながら問題を解いています。誰だって泣きそうになります。自分だけじゃないです。


 決して自分だけ心が折れることないよう,最後まで「以上」と答案に書いてきて下さい。




【総括】


以上からすると,司法試験の舞台に乗れる程度の基本的知識を習得した上で,過去問分析などを通じて司法試験の「心」を掴み,演習を繰り返し,分かりやすい日本語で問題文に平常心で答えられる人が合格します!!



では,明日も頑張りましょう!!