2014W杯炎のレビュー「俺よりでかい奴はたくさんいた」 敗者編 part5 | picture of player

2014W杯炎のレビュー「俺よりでかい奴はたくさんいた」 敗者編 part5

さて、今回は小刻みに刻んでいくよ!!
どうせお前ら決勝までヒマなんだろ?わかってんだよ。俺もだけどな!!

というわけでpart1part2part3part4 に続いていくぜ!
こんなにpartを続けたのは初めてさ・・・!



■ブラジル
やややややややややややっやっやっやってしまった!!おうふふふふ(過呼吸)。王国の威信を賭けた自国開催の結末はこれ以上ない悲惨なものとなってしまった。全国民の期待を一身に背負って臨んだグループリーグは順調。まずはクロアチアを3-1で一蹴。ただ、この試合は主審Nishimuraの助力なしではどうなったかはわからなかったものだ。そのあとはメキシコというかオチョア相手にスコアレスドローに終わったものの、チームの体をなしていないカメルーンをボコボコにして、危なげなく首位通過。初戦は怪しかったものの、さすが王国ブラジル。「硬い時のブラジルは強い」「男は長さよりも硬さだ」「この薬で10代の硬さを取り戻そう」ということを証明。かと思いきや、決勝トーナメントからはいきなり苦難。捨て身のプレスを仕掛けるチリ相手にPKまでもつれ込む大苦戦。PK戦ではなんとか勝ったが、PK戦の最中に神に祈るやつは出始めるし、五体投地のように体を地面に投げ出す者もいた。いや、運に任せすぎだろ。何か異常なメンタル状態に陥っていることが感じられる一場面だった。そして次は強豪コロンビア。ここはフェリポンに今大会の殺し屋を命ぜられたでザ・退場するかしないかは主審の匙加減次第・フェルナンジーニョをキーマン・ハメスにぶつけ、運よく退場しなかったことでなんとか勝利。ただ、この試合でチアゴ・シウバは累積イエローで次戦出場停止。ネイマールはスニガに往年の故ジャンボ鶴田氏を彷彿とさせるジャンピングニーパッドによって腰椎骨折という大けがで大会終了。スーニガ!オー!スーニガ!オー!勝ったものの、攻守の要を失ったのは痛恨だった。そんないろんな意味で背骨を抜かれたブラジルだったが、特に工夫もなくそのまま選手を変えただけ。準決勝で当たったのは、最悪の相手であるドイツ。「空気?うまいよね」と空気を呼吸のため以外に使うことを知らないドイツは、「もうちょっと花持たせてやれよ」と見てるこっちが思うくらい最初からフルスロットル。ご存じのとおり30分で試合を決められてしまいあばばばばば。元々、チアゴ・シウバの超人的な守備能力に守備は依存し、攻撃はネイマールの持ち上がりに依存していたブラジルになすすべはない。7失点という史上最悪に近い敗戦で、これにてゲームオーバーとなってしまった。ともかく、今回の代表は硬かったがでかくなかった。もちろんサッカーの話である。対スペイン用というかそれしか人材がいなかったのだろうが、ショートカウンターに特化したチームであり、それ以外の攻撃はネイマール突撃しかなかったので、彼がいなくなれば点は取れなくなるのは必然。オスカルは頑張っていたが、チームにアンドレもいないし、そもそもボールがこないので下がって組み立てをしなければならず、彼一人では限界がある。そして、なにしろ、前線はフレッジである。何の冗談かと思う。たぶん「千葉の夏からの新ブラジル人」とか紹介されても「へえ、けっこういいの獲ったな」くらいに思ってそのままそうめん食べ続けるくらいの選手である。控えのジョーもまた然りであり、フレッジ&ジョーのおとぼけ探偵コンビ感ハンパない。彼らに繋ぐボランチも行ってこいが基本のパウリーニョと潰し屋しかおらず、繋げる選手がいない。また守備も硬いとは言われるが攻撃に破壊力がないのでマルセロが頻繁に上がらねばならず、大会を通してその裏は狙われ続けた。それをカバーしなければいけないダビド・ルイスは羅針盤をなくした船のようにピッチ上を漂流し続けた。チアゴ・シウバの代わりに入ったダンテもアフロだったし、最終ラインに3人アフロを並べるのはさすがにラスタ感が強すぎて、故ボブ・マーリィ氏激賞。つるっぱげマイコンの肩身も狭かっただろう。結局、レベルは全然違うが、日本と同じでプランBがなかった。「硬い時のブラジルは強い」というが、結局2010年も今回もそれで失敗した。この格言は徐々に効果を失っており、これからは「硬さに加えてテクニックも」「前も後ろもぐちゃぐちゃだ・・・」「おいおい口では嫌がっても体はベルナルジじゃないか」というキャッチフレーズで王国復活を目指して頑張っていただきたい。もちろんサッカーの話である。ただ、人材はいるのかね。特にトップとボランチ。


・chinkokatakatta ネイマール
自国開催&優勝候補というこれ以上ないプレッシャーを一身に背負い続けた若きアタッカーは無念の負傷で大会を終えた。実際、彼はやれることはやっていたと思う。バルサにいるときと比べて全然いい形でボールが入らないのだが、それをスピードとテクニックでなんとか前線に運び、時には回転数がちょっと多すぎるネイマールロールでファウルをゲット。トップのフレッジはフレッジなので頼りにならず、サイドのフッキさんは筋肉でボールを運ぶシングルタスクマシーンだし、オスカルは組み立てで下がってしまうしで、文字通りの孤軍奮闘を続けた。彼自身も初の欧州移籍後であり、怪我上がりということもあって、コンディションはよくなかったが、それでも才能は見せられたのではないだろうか。ただ、最後の虐殺の現場にいなかったことで「ネイマールがいたら」という期待感がますます強まってしまっているのも事実。実際あの試合にネイマールがいたところで焼け石に水どころか焼け石にガリガリ君だったと思うのだが、それでも彼の不在が一つのエクスキューズになってしまった。怪我がそんなに深刻じゃなくてよかったが、次のW杯で彼にかかるプレッシャーはハンパないものがあるだろう。ただ、彼のキャラクターならそれさえも乗り越えられるかもしれない。とりあえず養生して、手始めに次の南米選手権で再びジャンピングニーパッドで襲ってきたスニガをそのままパワーボムで叩きつけて復讐をするところから始めるといい。もしパワーボムの練習がしたかったら、全日本プロレス、ノア、井筒部屋、福岡県警などいくつかいいジムを知っているのでネイマールくん連絡ください。


・chinkoshobokatta ダビド・ルイス
今回の惨劇の戦犯のようになってしまったダビド・ルイスくん。出場停止のチアゴ・シウバからキャプテンマークを渡されたが、王国の門を閉じることはできなかった。1点を取られたところで本来は落ち着かせなければいけない立場なのに、なぜか一番頭に血が昇ってしまい、突然頻繁にドリブルで持ち上がりを始めるというよくわからない人。当然守備を統率できるはずもなく、2点目、3点目と同じようなパターンから失点。必ずしも彼だけに責任があるわけではないが、誰もが「チアゴ・シウバがいたら」と思ったに違いない。つなんかモウリーニョから全くセンターバックとして信頼されない理由がわかった気がする。対人の強さ、スピード、足元などは折り紙つきなのだが今のところは「チアゴ・シウバが隣にいないとただの血の気の多いアフロ」であり「顔の怖いブライアン・メイ」であることを全世界に証明してしまった。チアゴ・シウバもそろそろ三十路だし、いい加減一人立ちしてもらいたいものだが、いかんせん来シーズンはチアゴ・シウバのいるパリSGに移籍することが決定済み。パリSGのDFは強化されていいだろうが、ダビド・ルイスの知力が向上することはなさそうである。もうこうなったらいっそのことチアゴ・シウバもアフロにしてよりシナジーを生み出すことにしてはどうだろうか。たぶんチアゴ・シウバ超嫌がるけど、あの準決勝で被ってた小学生みたいな帽子よりましだと思う。このいかつい2人のおんぶにだっこな関係は見ていて別に楽しくないのだが、それでもサッカー系腐女子は薄い本を書けたりするのだろうか。詳細求む。作品は送ってこなくてよい。





■オランダ
ヨーロッパを統帥する4672戦無敗ダイヤモンドの名将(自称)ルイス・ファン・ハール監督に率いられたオレンジ軍団はベスト4で散った。大会まえにチームの中盤の要であるストロートマンが怪我でアウト。また、ファン・デルデルゼルダの伝説・ファールトも怪我でアウト。DFラインは若手だらけ、中盤も面子が落ちるということで全然手駒が足りない状況に、ファン・ハールは5バックを選択。これがピタリとはまった。苦戦を予想された前回王者のスペイン相手にサッカーをさせなかった。フラール、デ・ヨング師範代を中心とした守備が素晴らしく、特にデ・ヨング師範代はシミュレーションをしたトーレス師匠に説教するなど絶好調。空飛ぶファン・ペルシーの活躍もあり、5得点で文字通り粉砕。完全にスペインの息の根を止めてしまった。続くオーストラリア戦はケーヒルに手を焼くものの勝ち抜き、最後のチリ戦は消化試合ながらも2-0で勝ち、グループ首位で通過した。ただ、決勝トーナメントに入ってからは苦戦続き。メキシコ相手には後半終了間際になんとかスナイデル砲で追いついた上に、位置、回転、飛距離、演技点全て10点満点の必殺ロッベンロールによりPKをゲット。グーチャンネジャドロールなどとは年季が違うことを見せつけた。そして次は同じように引いてくるコスタリカ相手に大苦戦。オフサイドの山を築き、120分でスコアレスドロー。ただ、PK戦を前にまたも七つの海を制覇した8721戦無敗オリハルコンの名将(自称)の奇跡の采配が炸裂する。なんとPK戦を前にしてキーパーの交代を命じたのだ。その日まで相手のPKの癖をインプットさせていたというクルルを送り出したが、これが大成功。クルルは蹴る前に相手のキッカーに一言何か囁いていくという抜群の性格の悪さを見せ、2本のPKをストップ。見事に勝利をもぎ取った。正GKシレッセン「・・・」。そして迎えたアルゼンチン戦。ブラジルVSドイツのアホっぽい試合とは打って変わった神経戦となった準決勝らしい試合。守備を固めてメッシにすべてを託すアルゼンチンの用心深い戦い方を前にして、今回ばかりは全銀河を駆け巡る20700戦無敗ダークマターの名将(自称)も打つ手はなかった。ていうか、もう選手は疲れ切ってるわ、手駒はないわで、ない袖は振れない状態。前半でマルティンス・インディが壊れてしまったのも、痛かった。ただ、大会を通してこの戦力でよくやったのではないだろうか。若手が並ぶDFラインはフラールが鬼神のような働きで統帥し、不安が多かった中盤もナイジェル・デ・ヨング師範代がなんとか保ち続けた。アウトサイドでもブリント息子のフィードは美しかったし、「なんか役に立つだろう」と連れてったカイトが途中からスタメンを張ると、目に見えて安定感を増した。そして、前線。ロッベンは期待通りの活躍で、ナイスダイブ。スナイデルは衰えを指摘されていたが、出れば出るほどよくなっていき、ほぼフル出場。唯一、ファン・ペルシーだけが、怪我の影響もあったのか、2戦目以降はまるっきり何の役にも立たなかった。これにストロートマンがいれば、と悔やむ方もいるだろうが、もしいたらたぶんファン・ハールは別の選択肢を取っていたのかもなあと思うので、どっちがよかったかはもうifの話である。ただ、まだ元気だが、ファン・ペルシー、デ・ヨング師範代、スナイデル@嫁がアレ、ロッベンあたりはそろそろ後釜を考えたいところ。レンスとかデ・パイとかいかにも小粒感が否めないのだが、大丈夫なのだろうか。ただ、いざとなったら200騎で10万の兵を蹴散らした50373戦無敗賢者の石の名将(自称)ルイス・ファン・ハールを呼び戻せばよいのである。死んだら、クローンを作って(以下STAP細胞はあります!)


・chinkodekakatta ディルク・カイト
「あれ?なんでメンバーにいるの?」というのが大方の人の感想だったはずだ。リバプールで最強のDFWとして一世を風靡した後はトルコに渡ったので、その後若干行方不明扱いになっていた。ただ、しっかりフェネルでは主力として活躍していたようなのだが、いかんせんヨーロッパトップレベルとは違って認識されにくい。で、俺もなんか「もしものときのため」と「主にベンチのまとめ役」だと思ってたら、消化試合の3戦目で出場したら具合がよかったのか、そこからは最後までスタメン。衰えたとはいえ、いまだに健在の恐怖の運動量を生かしてサイドを駆け回り、絶対に頭の悪い失い方をしない経験を存分に発揮してサイドに安定を与えた。特にメキシコ戦では最初左のウイングバックからスタートし、途中から右に移り、最後のパワープレーではFWまで上がってロングボールを競るという酷使っぷり。次のコスタリカ戦、準決勝のアルゼンチン戦でも左右入れ替えて使われ、さすがオランダ!ゼンデン現象の発生地!ウイングからサイドバックどころか左右も入れ替えたぜ!と思ったが、カイトは元々ウイングではなくFWだったので、この現象をなんといったらいいかと思ったのだが、普通に「フィリップ・コクー」ですべて説明できることに気付いた。ただ、稀代のマルチマン・コクーも左サイド限定だったため、カイトはその上を行くとも言えるかもしれない(CBはやってないが)。しかし、久々にカイトを見たのだが、やっぱりうまい。特に足元の技術に優れているわけではないし、なんか若干ドタバタしているのだが、浮き球の処理とかを間違うことはないし、体の入れ方などで工夫してボールを変な失い方をしない。こういう「うまい」選手が労働者をするところが、オランダの強みなのだろうな。日本こねえかなあ。是非カイトには2年後のユーロにも出場して、CBとして相手のボールを弾き返し、シレッセン退場に伴ってキーパーもこなし、なぜか監督の座に収まっているクライファートをクーデターで追い出して監督までこなして、是非コクー越えを果たしてもらいたいものである。


・chinkogachigachi ルイス・ファン・ハール
開幕前には「主力いねえし、もう心はマンチェスターなんじゃねえの」とか言われいたし、俺もそう思ってたのだが、甘かった。この性格の悪い男が「強豪をボコボコにして自尊心をずたずたにする」機会を逃すはずがない。がっちがちのぎっちぎち。最初5バックでいくといったときにはついに暑さにやられたかと思ったが、それは周到に準備された罠だった。まんまとスペインを撃破し、これで波に乗った。その後も打つ手がズバリ。カイトのマルチロールも当たったし、クルルンPK投入の富山第一高校メソッドもピンポイント。散々内容が悪いと批判しながらも「あのキーパー交代はよかった」あのくちと言わしめて、ツンデレさせてやった。やりたい放題やり尽くしたところで戦力の限界がきたので、ここまでやればもう大満足の大会だっただろう。ルイス・ファン・ハールの強みでもあり弱みでもあるところは「傲慢さ」である。自らの考えに絶対的な自信を持ち、それを何があっても変えはしない。今大会もおよそオランダらしからぬ(と思われている)守備的な戦いをしたので、負けていれば大批判を受けただろう。実際、前回のオランダ代表、バルセロナ第2期ではうまくいかず、追われるようにして監督の座を降ろされた。だから、今回のようにうまくいっている時は選手の人心掌握も完璧だし、やることなすことうまくいく。ただ、駄目になった時はとことん駄目であり、そういう時は選手ともうまくいかず、リベリをして「生きる喜びなんてかけらもなかった」と言わしめるほど嫌悪される。しかし、この男は全く気にしない。なぜなら傲慢だからである。傲慢だから、失敗して致命傷になるほどの傷を負いながら、そのたびに不死鳥の如く蘇り、また表舞台に帰ってくる。ゾンビ系監督の大家と言えるだろうし、ジョージ・A・ロメロ監督は生きているうちにスタジアムを舞台とした「フットボール・ゾンビ」の映画を撮るべき。さて、成功の後には次の仕事が待っている。香川のいるマンチェスターユナイテッドである。おそらくファーガソン時代からこびりついた汚れを一掃してくれることだろう。成功するか失敗するかはまだわからないが、クラブそのものも破壊しかねない諸刃の剣だということは知っておいたほうがいいかもしれない。香川はなあ・・・使われねえだろうなあ。まあそれはともかく、是非近い未来、ヘスス・スアレス、モウリーニョ、ベンゲル、クライフ、アラーダイス、マガト、ホジソン、そしてファン・ハールの錚々たる面子で「朝まで生サッカー」の対談をして欲しいものである。たぶん、最終的には殴り合いになるけど、殴り合いだとファン・ハール強そうだな。恥も外聞もなくメリケンサック使いそうだし。



次がたぶん最後だ!
覚悟しろ!!