2014W杯炎のレビュー「俺よりでかい奴はたくさんいた」 敗者編 part3 | picture of player

2014W杯炎のレビュー「俺よりでかい奴はたくさんいた」 敗者編 part3

決勝トーナメントで負けても!敗者は敗者だ!!敗北はみなに平等だ!!
part1part2  から続く!!



■チリ
前回王者スペインを屠り、王国ブラジルを最後の最後まで追い詰めた最強のチャレンジャー。無尽蔵の体力を生かして継続するプレスにスペインもブラジルもたじたじ。スペインは全く形を作れず粉砕され、ブラジルもギロチンの下で目をつぶるまでに追い込まれた。前線からの機能的なプレスが素晴らしく、ブラジル相手には両サイドを高い位置から嵌め込んでマルセロ、アウヴェスのサイドバック兼ウイングを上がらせず、また2列目にも強烈なプレスをかけてオスカルとネイマールを試合から消し去った。また、守備だけではなくヴィダルサスーン、アレクシス・サンチェスを中心としたカウンターも素晴らしく、フィニッシャーのバルガス、彷徨うチリ人のバルディビアとともに相手を苦しませるに十分だった。結局は丁半博打によってベスト16で姿を消すこととなったが、今大会でも上位に位置するテンションの高いチームだった。サンパオリ監督は前任者ビエルサが植え付けた戦術をうまく消化し、チームを機能させたと言えるだろう。ただ、このサンパオリ監督は狂信的ビエルサ教信者らしく、指導者になりたての頃は「ビエルサの記者会見を録音して何度も聞いていた」とか「ビエルサは神だ」と言ったりとか、かなり重度のビエルサ中毒者らしい。あまり一つの神に仕えると視野が狭くなってしまうので、少しバカンスに出て多様な考え方を学んできたほうがいいのではないだろうか。オススメはロシア代表かイングランド代表であり、その想像を絶するシュールなサッカー観を学び、「こ、これが世界か・・・」と驚愕していただきたい。


・chinkodekakatta ガリー・メデル
今大会チリの躍進を支えた小さいけどでかかった男。3バックの中央に位置してバックラインでのパスワークの中心となって堅実なテクニックを披露したが、見ごたえがあったのは守備。公称171㎝の小さな身長ながら、競り勝つ競り勝つ。なんで競り勝ってんだかよくわかんないので、きっとジャンピングシューズを履いていたか、「ジャンプがすごく高くなる」スタンド使いなのだと思う。ブラジル戦では故障を抱えてテーピングをしながらも最後まで戦い抜き、男を見せた。「チリのガットゥーゾ」の異名はダテじゃない。所属のカーディフでは身長のせいもあって基本はMFとして扱われているようで、そもそも競技違いなんじゃないかという疑いもあるので、早めにスペインに復帰したほうが幸せになりそうである。また、プレビューでは「チリ人のは小さそう」という誤った認識をしていましたことを陳謝いたします。ガリー・メデルのようにでかい男もいることがわかったので、今後は「チリ人にはでかい奴もいるが、基本的には国土同様細長い」という認識を持ち、内外にアピールしていきたい、そう考えております。



■ウルグアイ

今大会最大のお笑いチームとなってしまった前回4位。初戦は低調な内容に終始し、伏兵コスタリカに完敗してしまったものの、2戦目のイングランド戦では満を持して悪魔スアレス降誕。先制点をヘッドでお見舞いし、ルーニーに同点に追いつかれた後には裏抜けからあっさりと仕留める大活躍でイングランドを沈没させた。さすが俺たちのスアレス!!そして、運命のイタリアとの第3戦目が始まってしまうのである。ここから先はみなさんご存知のとおり。引き分けでは敗退決定なウルグアイは終盤まで無得点。スアレスもほとんど封じられていいところがなく、イライラを募らせてキエッリーニの首元にがぶり。1年ぶり3度目のおイタが功を奏したのか、直後のCKからゴディンがヘッドでズドン。見事グループ勝ち抜け。こう着した状況を常識破りの方法で覆す!さすが俺たちのスアレス!!このまま世界制覇や!!Vやねん!!となるわけもなく、あっさりとお縄となりました。抗議むなしく判決は覆らず、そしてチームは決勝トーナメント1回戦でスアレス抜きでコロンビアと対決。地力に勝るコロンビアに対して、フォルランが衰え、スアレスがいない中、カバーニが1人3役こなす仕組みは無理があった。当然のようにハメス・ロドリゲス改め羽鳥くんにスーパーボレーを叩き込まれ、轟沈させられた。ただ、チームとしてはここらへんが潮時だったかもしれない。4年前からほとんど面子が変わってないチームは、フォルランに象徴されるように随所に衰えが見られ、前大会の迫力はまるでない。ここらへんでリストアすべきだろう。ただ、「スアレスは何もやってない!むしろ犠牲者だ!」とルガーノが意味不明な供述をするなどしており、どうも審判とキエッリーニのせいにしてるっぽい。そういう風に敗戦の理由を外因に求めちゃうと素直に出直せないと思うんだけどね。適度なところで締めたほうがいいと思うよん。というわけで、スアレスに国としてお仕置きをするところから始めよう!!ウルグアイと言えばやはり牧畜。今回おイタをした歯に浄化の意味も込めて焼印を(以下ウルグアイ式焼き土下座)


・chinkodekakatta ルイス・スアレス
やるぞやるぞと思われていながら、本当にやってしまうというのはもうなんつうか逆スーパースター。まじで噛むとは思わなかった。そんなにうまそうだったかキエッリーニ。適度に熟成されてたのかキエッリーニ。俺もちょっと食べたくなってきたぞキエッリーニ。しかし、やった後に歯を抑えて苦しがるとかしちゃってもう爆笑。少しは隠せよ、お前!!てな感じなので隠し通せるはずもなく、4ヶ月間の一切のサッカー活動禁止という重い罰が下された。なお、この「一切のサッカー活動」については線引きがどこからというのが重要であり、「ウイニングイレブン」はサッカー活動に入り、「ファミコン版初代キャプテン翼」はコマンド式だからぎりぎりオッケーになると思われるので、余っている人はファミコン版キャプテン翼をモンテヴィデオに送ろう!!まあ、4ヶ月サッカー禁止しようが、足を切り落とされようが、この男の辞書に「反省」という二文字はないので、ビタイチ改心する気はないだろう。そこがこの男の魅力でもあるのだが、絶対に金とか貸したくないし、もし娘がスアレスを彼氏として紹介してきたらすぐさまショットガンで撃ち殺すくらいには信頼していない。移籍先として噂されるバルセロナができることは、まずおっきな病院に連れてって頭に電極とか刺して強力電流をかぶっ放すことだと思う。たぶん効かないけどな!!!それかクラシコでペペと悪魔合体させてカオス×カオスでロウになったりするかと思いきや外道ができてがっかりだこの野郎!!




■メキシコ
ブラジル相手に驚異のドローを演じたメキシコは、いつもどおりベスト16で散った。初戦はカメルーン@戦う前から絶賛崩壊を相手に楽勝だったが、ブラジル相手にはそうもいかず、押し込まれた。しかしそこを救ったのがGKオチョア。雨あられと降り注がれるシュートをすべて弾き返してドローに持ち込んだ。そして勝負の3戦目はかるーくクロアチアを料理し、すべて予定されていたかのようにベスト16に進出。さすがグループリーグの達人。ただ、またもやベスト8の壁に跳ね返された。オランダは運動量が少なく、前半から押し込んだのだが、山のようなチャンスを築きつつも結局はドス・サントス兄者の一発のみ。こういう展開だと当たり前のように罰を受けるわけで、運動量も減ったこともあってオランダのカイト大作戦によって押し込まれ、終了間際にスナイデルの問答無用の一発で同点。そして、ロスタイムにはロッベンオランダ潜水部隊長による巧妙なダ○イブによりPK献上し、それをフンテラールに決められた上に、ストⅡキックまで見せられて敗退。またもベスト8を逃す形となった。いろいろベスト8の厚い壁!などの意見もあるだろうが、予選落ち寸前のチームをなんとか建て直し、ここまでの状況にもってきたアミーゴ手倉森ことミゲル・エレーラ監督の手腕と体脂肪には素直に拍手を送りたい。ただ、どう見てもコーラ飲みすぎでタコス食いすぎのため、痛風になるから気をつけて。個人で気になったのはドス・サントス兄者。なんだかバルサで燻ってたのが遠い昔のようだが、いまだに25歳である。時空がねじ曲がっている。相変わらずフルタイムは持たないが、爆発力はワールドクラス。このまま体力がつくとは思えないのでビッグクラブの主力は難しいだろうが、中堅クラブのエースとして今後も活躍するのではないだろうか。ちなみに、弟はどうなったと思ったらバルサでまだ飼い殺されてるっぽい。いらないなら(千葉に)ください。そして、代表でも、マンチェスターでも、ひたすらに無視され続けたチチャリート・・・。そのとんでもない才能を生かすためにさっさと移籍しなさいな。いらないなら(千葉に)ください。


・chinkodekakatta ギジェルモ・オチョア
ブラジル戦で見せた神がかり的なセーブと、爆発アフロな髪型でで一躍時の人となった守護神。反応がすさまじく、なんかよくわからない至近距離のシュートを弾き飛ばしたりしていて、どうも脳を通して反応してるのではなく脊髄で反射しているのではないかと思うほど。その止め具合があまりにもすごいので、きっと今なら地球温暖化やイスラエル・パレスチナ問題も止められるし、魔法少女が陥った運命の輪廻も止められるはず。今大会もっとも株を上げたGKの一人ではないだろうか。そんなオチョあだが、現在無所属なので、すなわち肩書は無職。今一番熱い無職としてハローワークのポスターに起用されるという話も(未確認)。「職なんて、いらない」。次のクラブが決まってるのかどうかわからないが、この活躍はいい就職活動となったのではないだろうか。逆に言えばキーパーがアレなチームはオチョアをタダで取れるチャンスでもあるので、心に傷を負ってしまったキーパーがいるレアル・マドリー様、移籍金かからないなら誰でもいいACミラン様、組み立てとかややこしいことは言わないからとにかく弾き返すキーパーが欲しいニューカッスル様など、多数の応募をお待ちしております。




■ギリシャ
今大会最もよくわからない決勝進出チームだったが、ベスト16で散ることとなった。グループリーグはいきなりコロンビア相手に爆死。こりゃやばいと巻き直した日本戦ではカツラニスがあっさりと前半で退場し、絶体絶命。しかし、そこからが素晴らしかった。守り倒すというシングルタスクになると強い。日本の攻撃も拙かったが、それでもドローに持ち込んで中国製靴下クラスのペラペラの可能性を残す。そして、最終戦、ミトログルもゲカスも使い物にならないので、なんとここで俺たちのサマラスを1トップに起用。基本は守備を固めるものの、サマラスの謎のキープを生かした速攻を繰り出し、相手のパスミスからサマラスのスルーパスにサマリス@紛らわしいんだばかが先制点。その後はがちがちに守り倒したもののコートジボワールに追いつかれてまたもや絶対絶命。しかし、終了間際に俺たちのサマラスが地球を蹴ってPK獲得(ほんとはその前に足引っ掛けられてた)。これを見事に俺たちのサマラスが決めて、奇跡の決勝トーナメント進出となった。コスタリカにも先制されるものの、またもや終盤の有耶無耶からソクラテス・パパスタソプーロスがW杯史上最も長い名前の選手のゴールという死ぬほどどうでもいい記録で追いついた。しかし、結局点を奪えず、最後は寒冷殺人拳ハゲカスがPK失敗でジ・エンド。優位に立つと途端にプレーがはちゃめちゃになるという徹底したドマゾ体質は、天然ドSのドイツとかにしては債務不履行とかで苛めたくてしょうがないだろう。たぶん、ギリシャはベスト16中個人能力は最下位だろう。ただ、その意思の統一性は素晴らしかった。特に数的不利に陥った後の日本戦などはもう徹底して守ると決めたら、そこからは固い固い。個人能力で負けてても集団で勝てばよい。意思の統一があまり感じられなかった日本との差はそこだった。そこまで持ってきたフェルナンド・サントス監督は男だった。この後だが、特に目立った若手もいないので、まあ特別強くなる感じもしないのだが、毎回こんな感じでだらだらと出たり出なかったりするだろう。


・chinkodekakatta ゲオルギオス・サマラス
でかそうだと思ってはいたが、ほんとにでかかった。1戦目は空気。2戦目もたいしたことはできなかったのだが、3戦目に1トップに据えられて急遽覚醒。ロングボールは相変わらず胸トラできる高さにしか食いつかなかったが、そのよくわからないキープ力でなんとか攻撃を構築。同時に起用された異様に名前が長いドリブラー・クリストドゥロプロスとともにグループ突破の原動力となった。PAOK勢とオリンピアコス勢の微妙な緊張感の中、中立者としてその得体の知れない存在感を発揮。コートジボワール戦で偶然転がってきたボールでアシスト、そして、PK獲得&PK決めるともうMOM級の活躍を見せた。ただ、そこまでいってもギリシャ国内では「サマラスwwww」らしく、クレタ島生まれの島国差別を感じてしまう・・・と言いたいところだが、やっぱりプレー自体は何考えてんのかさっぱりわからず、あっちをふらふらこっちをふらふら、気合も入ってんだか入ってないんだか不明で、まああれだけネタにされる理由があるなと。ただ、俺たちはもうサマラスが大好きであり、ギリシャは名誉代表としてマスコット的にずっと扱っていけばよいのではないだろうか。っつうか、髪切れ。




■ナイジェリア
実はフランス戦しか見てない。なので軽い印象で言うと、やっぱりユニフォームが緑色だった。アルジェリアも緑なので、そこは差別化をはかってもいいのではないだろうか。あと付け加えるなら、堅い守備と攻撃はいつものナイジェリアン。ムサ、モーゼスという知力低めの元気印が単発で仕掛けるのが基本。オデムウィンギーは頭はいいと言っても、それは比較の問題であり、宇都宮家の大関高増というか、陶謙のところと陳登というか。お前らは人材でも探しとけ!評判のオナジくんもこの試合ではよくすごさがわからず。ミケルが鈍重な分、がんばってはいたけれどね。なんというか、いつものナイジェリアだったし、ハチャメチャな感じは年々薄くなっているような気がする。あ、唯一なんか右サイドバックのアンブローズはやばそうな感じがした。190cmでごりごり上がってくのは見ててけっこう楽しい。クロスもいいのをけっこう上げてたしね。現場からは以上です!!


・chinkoNigeria




■アルジェリア
感動的な敗戦だった。グループリーグではロシア、ベルギーなど曲者ぞろいのグループをなんとか潜り抜けた。大きかったのは韓国への勝利。おそらく相手も一番勝てると思ってきたはずだったが、その出鼻を思いっきり挫いてやった。特に規律正しい守備はどこを相手にしても破綻することがなく、相手を常に苦しめた。そして決勝トーナメントでは優勝候補のドイツ相手に奮戦。積極的なプレスでドイツのパスワークを寸断してカウンターを繰り出し、プレスがかからなくなってくると帰陣して静かにチャンスを窺い続けた。結局90分間ではスコアレスドロー。延長ではさすがに力尽きてシュールレに決められたが、それでも諦めずに何度もチャンスを作った。そして、延長終了間際、エジルにとどめを刺された後も力尽きず、ジャブがゴールを叩き込んで一矢を報いた。ドイツをここまで追い詰めたのは組織力。守備もさることながら、1トップのスリマニへの単調なカウンターだけではなく、じっくりと個人技を生かしたボール回し、スリマニに当ててからの2列目のフェグリ、ジャブなどのフォローは素晴らしかった。またボランチのブラヒミとベンタレブは普通にこのコンビでヨーロッパ中堅でやれるのではないかというほどうまく、舵を取るベンタレブとそれをフォローするブラヒミというグッドなコンビだった。特にベンタレブは19歳にしてこの落ち着きという末恐ろしさ満点だったが、こんなんがトッテナムに長くいるわけもないので、2、3年したら上位クラブに買われるだろう。さて、このコンビを見出したのも、組織を作ったのもすべてはハリルホジッチ監督。割と自由奔放であったろうチームに規律とスピリットを植えつけたその手腕はお見事。4年前はコートジボワールを理不尽に解任されてW杯の舞台には立てなかったが、今回は十分にリベンジを果たしたことだろう。こういう監督に是非日本を任せたいと思うのだが、まあーこねえだろうなあー。しかし、最後120分戦いながらも得点のために炎のオーバーラップを見せたCBのブゲラをにはかなりぐっときた。そうだよな、こういう試合をしたかったんだよ。


・chinkodekakatta イスラム・スリマニ

イスラムってすげえファーストネームだな。恥ずかしながら全く知らない名前だったのだが、いい選手だった。スピードがあって裏を狙えるので、常に事故の可能性を相手に付きまとわせる。また、競り合いにもそこそこ強く、テクニックも水準以上。なによりワンタッチでの落としがよく、再三アルジェリアのカウンターの基点となった。これだけだとまあちょっといいFWなのだが、ドイツ戦で見せた献身性はかなりぐっとくるものがあった。両足がつっても最後まで走り、一発を狙い続けた。実際そうなりかけたけど、エネルギーが残ってなかったね。この献身性は元からのものなんだろうか、それともハリルホジッチ監督が植えつけたものなんだろうか。さて、そんな彼はスポルティング・リスボン所属。今年は先発10試合で8得点とそこそこの結果を残している。そして、リスボンと言えば日本の田中順也の移籍先。TJはこんなの相手にしなきゃいけないんだなあ。でも左足だけは絶対勝ってるぜ。TJとスリマニの2トップが見たい。




■アメリカ
今大会最高の名勝負メーカー。4年前はダイハード・ドノヴァンによって劇場サッカーを展開したが、今大会でもいつの間にかスリリングな試合展開となっており、ハリウッドで培ったエンターテイメント精神が役に立ったと言えよう。スタジアム爆発がなかったのが不思議なくらい。逆境パワーをため込めばため込むほど力を発揮するというトム・クルーズもびっくりのエンターテイメント体質は、死のグループに入ったことでますます燃え上がった。初戦は強国ガーナ相手にいきなり先制するものの追いつかれ、そして終了間際に大逆転というジェットコースター展開。この試合でエース・アルティドールを失い、以降はシャブ&USAのデンプシーが最前線を務める非常事態も、それでまた逆境パワー追加。2戦目のポルトガル相手には今度は先制されて逆転するものの、後半ロスタイムに同点に追いつかれるという展開。そして、最後のドイツ戦はお互いドローでいいにもかかわらず、ゲルマン魂とフロンティアスピリットがそんな生ぬるい茶番を許すわけがない。「最初は強く当たって、それからもっと強く当たって、男と男の勝負だこの野郎!」と熱くなってしまい、激しいゲームを展開。結局「シャレの効かないドイツでも最もシャレの効かない男」ことトーマス・ミュラーに決勝点を決められてしまうが、善戦。得失点差でなんとか決勝トーナメントに残った。そして迎えたベルギー戦。圧倒的にボールを支配され、シュートを雨あられのように撃たれながらも、この大会で聖人へと進化したハワードが水際で得点を許さず、90分はスコアレスドロー。延長開始直後に得点、さらには追加点を奪われるが、それでへこたれる男たちではない。延長後半にグリーンが点をもぎ取ると、そこからはUSAコールに乗って不屈の反撃を見せた。結局、力及ばず負けたが、逆にすがすがしいほどの敗戦だった。サッカー的にはそれほど緻密な戦術ではない。オートマチックな約束事をいくつも設定し、それを足がもげようが実践するという歩兵突撃スタイル。個人技が優れた選手はシャブ合衆国のデンプシーとブラッドリーくらいで、その彼らにしても頑張ることが前提としてあるタイプ。とにかく走って戦うスタイルは、誰が見ても応援したくなる。対戦相手が割と単細胞系というかまともにやるチームが多かったのも、名勝負メーカーとしてはよかったのかもしれない。下手でもあほでもやれることはある。いつだって俺たちはアメリカに教わることは多いのである。是非次の大会では、試合終了10分前にはニコラス・ケイジがスタジアム内をテロリストを探して走り回り、トム・クルーズがヘリコプターでスタジアムに墜落し、ピッチ横ではシュワルツネッガーとスタローンが取っ組み合いをし、観客席でサミュエル・L・ジャクソンがスティーブ・ブシェーミにくどくど説教をするいうシーンを作り、名勝負力を高めてもらいたいものである。


・chinkodekakatta マイケル・ブラッドリー
スキンヘッドの誰よりも走るアメリカの心臓。基本的にチャンスのほとんどは彼を経由して作られた。アメリカの中ではかなりパスを出せるほうであることもあるが、相棒のジャーメイン・肉体・ジョーンズが基本的にフェライニのような単細胞のため、中盤は基本的に彼頼みであった。長短のパスの精度もけっこういいものを持っているのだが、驚くべきはその走行距離だ。中盤の底までパスをもらいに来て、サイドに振り分けたあとはなぜかフィニッシュにまで絡んでいるという驚異的運動量で、最後のベルギー戦では延長があったとは言え、16.69㎞を記録。なお、現人神メッシが今シーズン最も走らなかった試合は6.8kmです。もはやそれは競技が違うのでは?と思わざるをえない。アメリカの終盤の底力はチームの心臓が最後まで動き続けていたから。USAコールが鳴り響く終盤には、もうブルース・ウィリスにしか見えなかった。なんか試合中見てて誰かに似てるな、と思ったんだけど、あれだ、元デンマーク代表のグラベセンだ。まだ26歳という驚愕の事実を知ってしまったので、是非次の大会でもアメリカの魂としてがんばっていただきたい。そして、間違いなくでかいものはきっと星条旗のパンツに包まれている。




■スイス
今大会最初のぐっとくる試合を見せてくれたスイス。1戦目でエクアドルに先制されながらも後半開始早々に追いつくと、ロスタイムにドラマ。ボールを奪ったベーラミのバカが持ち上がるもごっついファウルで止められて一回転。しかしベーラミはそれでプレーをやめずに、すぐさま立ち上がってアドバンテージゲット。素早く展開したボールから、決勝点が生まれた。これがほとんどラストプレーだったので、ほぼベーラミの得点といってもいいだろう。この試合で乗っていくぜ!と思ったのだが、フランスには虐殺されました。センデロスが悪いのとベーラミのバカがポカったのが悪い。ベーラミの髪型もひどい。あと、最高のベンゼマが最高すぎたのも悪い。そして、3戦目はホンジュラスおいしいです。で、結局トーナメントではアルゼンチンを90分押さえ、最後の最後まで苦しめるも延長残り2分で現人神メッシ降臨により終了。惜しかったが、ベスト16の壁を破ることはできなかった。ただ、非常にいいチームだった。叩き込まれた攻守の切り替えの速さは非常に現代的。キーパーのベナリオは安定してるし、DFはこんないいジュルー見たことないってくらいよかったし、フォン・ベルゲンとのコンビはかなりよい。サイドバックはリヒトシュタイナーとロドリゲスは共に攻守共に安定。中盤もインレルとベーラミのバカは安定だし、攻撃的なところも釈迦とシャキリが違いを作る。4年前よりも全体的に選手のクオリティが上がってる感じであり、そりゃ強くなるよな、と。じゃあ、どうして勝てないのってなるとやっぱりストライカーかなあ、と。セフェロビッチは悪い選手ではないが決めきれるわけではないし、歯車系のFW。その分シャキリが張り切っていたが、ここにもう1枚強烈なのがいれば次のラウンドに進めるのかなーと。まあスイスにあんまり詳しくないのでそんな選手がいるのかどうかもよくわからないが。とりあえず、アルプスで牧童やってる子供の中には絶対ボールと山羊しか友達がいないサッカージャンキーがいるはずであり、アルプスの険しい山々をリフティングしながら登れるはずなので、スイスサッカー協会はそのスカウト網を重点的にアルプスに向けて欲しい。スイス人よ、勝ちたいのなら、まず山へ登れ。


・chikodekakatta ジェルダン・シャキリ
初見のプレーヤーだったが、いい意味でスイスっぽくないわがままさを持っていた選手。長短のパスが性格で、足が短いので重心の低いドリブルは中々推進力があり、何より破壊的な左足のキックが持ち味。その突拍子もなさと闘争心はどことなくルーマニアのハジを思わせる選手で、かなり好き。スイスっぽさ全然ない。ノーヨーデル、ノーハイジ。でかくないわけがない。ただ、ボールを長く持ってなんぼの選手なので、バイエルンで使われなかったのもなんとなくわかる。守備もそこそこするし、バイエルンじゃなければ活躍できるんじゃないだろか。はよ移籍しろ。千葉でもいいぞ。しかし、この選手今年バイエルンでほとんど出てないのにこの活躍ってのは、選手のコンディションについて色々考えさせられる。終盤まで出ずっぱりだったスペインの選手がカスカスになってたり、逆にあまり出番がなかった本田や香川が全然フィットしてなかったり、メンタルも含めてコンディション調整ってのはほんとに難しいんだなあ、と。おそらくシャキリは素敵なヨーグルトをたくさん食べさせてもらったはずである。ほら、ヨーグルトなら白い粉も目立たな(以下ヨーロレリヒーーーー)


次も敗者だよ!! ベッキーだよ!!