「わたしを離さないで」第5話~ついに見えた希望!!提供の"猶予"が導く波乱の恋 | 日々のダダ漏れ

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「わたしを離さないで」

 
第5話
ついに見えた希望!!提供の"猶予"が導く波乱の恋


結局…
自分には美和しかいないのだ
という事に気付いた私は、
それ以来、
美和と穏やかに暮らせるよう、
工夫をするようになった。
美和の好きな食べ物を作ったり、
好きそうな本、DVD…
私たちは、うまくいきそうに思えた。

嫌な思い出ばかりではないのだ。
美和はひどい女だけど、時々…
とてもかわいらしいことをする。
そして、私は時々…
時々、ひどいことをする。


**********

あれから…
浩介さんとつきあいだした私は、
おかげでスムーズに
みんなの仲間に入ることができた。

浩介さんはいろんな意味で、
私の防波堤だった。
だけど、3ヵ月前、
浩介さんは介護人を始めねばならなくなり、
私はまた一人に戻った。
これから、また前のような美和との日々が、
始まるんだろうか。


**********

恭子) 私たちは、ルーツが提供した細胞の中から
    つくられる、その人のコピー。そういう欲求が
    強いってことは、もとになった私のルーツも、
    そういう人なんじゃないかって。
美和) ああいう雑誌に出てるからって、そういう
    欲求が強いってわけじゃないと思うけど。
恭子) そっか…そうだよね。
美和) でも、私たちのルーツってさ…。


**********

龍子) 土井君。お久しぶりです。
    実はこの間、恵美子先生にお会いしました。
    そこで私は、陽光が、ある驚くべき秘密を持っ
    ている事を教えられました。詳しくは書けない
    けれど、それは、あなた達にとって、決して悪
    い事ではありません。私は昔あなたに、陽光
    の教育方針に否定的なことを言ったけど、考
    えが、浅かったかもしれません。やっぱり、絵
    は描いておいた方がよかった。今からでも遅
    くはないです。絵を描いて。そして、陽光に持
    っていって。それは、あなたにとって絶対いい
    ことだから。陽光は、あなたたちが思うより深
    く、あなたたちを守る計画を、持っています。
    堀江龍子」。

恭子) 私たちを守る計画?
友彦) あのさ、これって、あの…
    猶予のことじゃないかな?
    自由な時間がもらえるっていう…。
恭子) でも…それと絵の、何が関係があるの?
友彦) 絵を見て、判断するんじゃないかな?
恭子) 判断?
友彦) だって、愛し合ってますって宣言したって、
    本当かどうかなんて判断つかないじゃない?
    作品は作り手の魂をさらけ出すとよく言われ
    てたじゃない? 俺たち。
恭子) でも…その人がどういう人かまでは分かった
    としても、2人が愛し合ってるかなんてことは、
    判断できないんじゃないかな。
友彦) 細かいことは分かんないけど、とにかく、
    その猶予ってのがもらえたら、その間に何か、
    やりたい事ができるかもしれないじゃない。
恭子) 龍子先生今、どんな状態なんだろうね?
友彦) 信じないか、恭子は。
恭子) 「あるかも」って思ってたものが、
    「やっぱりない」ってのは、もう嫌かな。
友彦) じゃあ…恭子はこれからもう、
    何にも期待しないってこと?
恭子) ああ…でも…。


**********

恭子) こんなことってあるんだね。
    こんな嘘みたいなこと。
友彦) 俺さ、夢って、かなわなくてもいいんじゃない
    かなって思うんだよ。こないだテレビ見てたら、
    サッカー選手になりたかったって人が出てて。
    その、どうも…外の人だって、夢が必ずかなう
    わけじゃないみたいで。でも、自分に夢があっ
    たことがすごくよかった。夢なんて夢なんだか
    ら、かなわなくてもいいんだって言ってて。
    そのだから…夢ってどうも…かなうから持つも
    んじゃないっていうか。かなうかかなわないか
    分かんないけど、持つわけで。持ってることが
    たぶん、幸せなことで。その…だったら、俺達
    も持ってた方がいいんじゃないかなって。
    ごめん…。ごめん。
    俺、何か…ひどいこと言った?
恭子) いいなあって…。
    私…そんなふうに考えたことなかったから、
    びっくりして。私…やっぱり、トモのこと好き
    だなあって…。変な意味じゃなくてね。


**********

美和は時々、
とても、かわいいことをする。
そして、私は時々…
ひどいことをする。

私たちは、歩み出したのだ。
あるかもしれない自由に向かって。
それが、それが…
すべての崩壊への、
スターとだったとは知らずに。

 
**********

いまさら…いま頃?って感じなんですが、モノローグ
のあるドラマが意外と好きだったんだなぁ自分って…。
モノローグの、小説を読んでいるような感覚が好きな
のかも。特にこういう一文。かなり好みだったりするw
 
美和は時々、
とても、かわいいことをする。
そして、私は時々…
ひどいことをする。

自分でも、こういう文章を書いてしまいそうだし、こう
いう微妙な人間関係も嫌いじゃない。美和と…恭子。
愛憎入り混じった、離れたくても離れられない、切り
たいのに切れない、そんな関係から目が離せない。
時々かわいいことをする美和と…時々ひどいことを
する恭子。傷つけたり傷つけられたり、不平等にも
見える2人の関係は、絶妙なバランスで…保たれる。

それにしても、不思議なのは、このドラマの世界観。
原作を読んでいないので、ドラマから受ける情報で
しか判断できないのだけれど、提供者のルーツとな
る細胞の提供者は、まともな人間ではないと推測さ
れるような設定なの? セレブというか、お金持ちか、
重要と思われる人物のクローンが優先的に作られ
ているのかと思っていたのだけれど…。普通に誰で
も利用できる「臓器」の提供者として、彼らは作られ
ているのでしょうか?セレブのクローンは、彼らとは
別な場所で、特別に生かされているのでしょうか?
何にしろ、ろくでもない世界であることには違いない
けれど…。自分のためのクローンだとしても、相当
気持ち悪いし、臓器を提供するためだけに自分とそ
っくりな人間を作り出すなんて悪趣味な事は問題外。
そう考えれば、細胞を提出する人間はロクデナシ?
ろくでもない世界でも、ルーツを知りたいと思ってし
まう彼らがあまりに人間らしくて、切なくなってしまう。

小説なら、もう一気読みして結末を読まずにいられ
ない、いわゆる待てないさんの私ですが、我慢して、
ドラマで明かされる結末に泣かされたいと願いつつ、
この薄気味悪い架空の世界を、楽しもうと思います。

 
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第1話~愛しく儚い命の果ての希望とは
第2話~因縁の再開・・・20年前の嘘が今、3人の運命を動かす
第3話~初恋の行方は・・・閉ざされた未来に見た儚い夢と希望
第4話~開かれた扉・・・新たな恋は希望か絶望か
第5話~ついに見えた希望!!提供の"猶予"が導く波乱の恋
第6話~求めた愛と希望の行末は・・・永遠の別れ
第7話~再会の夢近づく終末に望むのは許しと愛
第8話~友との別れ…解ける因縁、託されたのは最期の希望
第9話~未来を取り戻す!!最後の希望の行方・・・
第10話~生きること愛することそして生まれてきた意味とは?

●「わたしを離さないで」HP


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