「Woman」第５話～誰にも言えない、母の覚悟

「Woman」



第５話

誰にも言えない、母の覚悟

 

精密検査の結果、再生不良性貧血と診断された

小春（満島ひかり）。医師の澤村（高橋一生）と
藍子（谷村美月）からは、命にもかかわる病気だ
けに治療について真剣に考えるようにすすめられ
る。しかし小春は仕事を休むわけにもいかず、誰
にも病気のことを打ち明けられないでいた。せめ
て子供たちには悟られまいと努めて明るく振舞う
小春だった。そんな折、小春のアパートにエアコ
ンが配達される。健太郎（小林薫）からのプレゼ
ントだと察した小春だったが、健太郎に電話をす
ると送り主は紗千（田中裕子）ではないかと聞か
される。そのうち病気の症状が出はじめ、不安が
高まる小春は、ある決意をし、望海（鈴木梨央）と
陸（髙橋來）を連れて植杉家へ向かうのだったが。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

（回想）

信）　家族って、
　　　さよならを言わない人たちなのかなあって。

小春）　さよならを言わない人たち？

信）　あっ、ほら、家族の言葉には、さよならって

　　　ないじゃないですか。
小春）　はい。

信）　さよならって言いたくない人に出会った時、

　　　人は結婚するのかなあって、思うんです。

　　　いってきます、いってらっしゃいって、言え
　　　る家族をつくるのかなあって。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
 

望海）　望海ね、重なってるお布団の上に乗るの
　　　　が好きなの。

小春）　気持いいよね。

望海）　あとね、掃除機のボタンのね、電気のが
　　　　ヒュ～って引っ込むのが好きなの。

小春）　うんうんうん、ヒュ～。

望海）　お母さんは？

小春）　お母さんはね、かくれんぼしてる時にジ
　　　　～っとするのとかぁ、あと、帰り道とかの、
　　　　電車とかバスで、１個か２個前の駅で降り
　　　　て歩いて帰るのが好き。

望海）　わかる。

小春）　わかる？

望海）　望海ね、好きなものが多過ぎて困るの。

小春）　好きなものはね、多いほうがいいよ。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

望海）　あのさ。
小春）　ん？
望海）　お母さんのお母さん、何で怒ってたのかな？
小春）　・・・忙しかったのかなあ？
望海）　お母さん、悲しかった？

小春）　フ・・・悲しくないよ？

望海）　我慢しないでいいよ。我慢しないでね。
　　　　悲しい時は相談してね。助け合おうね。
小春）　フフッ。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
 

小春）　私、死ねないんです。ダメなんです。死ぬ
　　　　のダメなんです。今死ぬと・・・今死ねないん
　　　　です。絶対死んだらダメなんです。絶対ダメ
　　　　なんです。何でかっていうと、お話したかど
　　　　うかわかりませんけど、子供がいます。２人
　　　　います。上の子が女の子で、小学校に入っ
　　　　たばかりで、１年生です。下の子が、来年か
　　　　ら幼稚園で、男の子です。７歳と４歳です。
　　　　子供達の父親は、４年前に事故で亡くなり
　　　　ました。なので、私が、いなくなってしまった
　　　　ら、子供達２人だけに・・・あの子達２人だけ
　　　　になってしまいます。だから死ぬのダメなん
　　　　です。絶対死んだらダメなんです。はぁ・・・。

　　　　あの子たちが大人になるまで、まだ、まだま
　　　　だず～っとかかります。２人きりになっちゃう
　　　　んで、死ねません。生きなきゃいけないんで
　　　　す。小さくて、まだ・・・小さい命なんです。私
　　　　が守らなきゃいけない命なんです。ごめん
　　　　なさい。帰ろうとしてたのに、すいません。

澤村）　青柳さん。
　　　　今から医者にあるまじきことを言いますね。

小春）　はい。

澤村）　約束してください。青柳さんが今話してくだ
　　　　さったお子さんへの思い、それは、どんな
　　　　薬より、どんな治療より、あなたの命を救う
　　　　糧になります。その思いを忘れないでくださ
　　　　い。あなたがお子さんを思うその気持があ
　　　　れば、病気は治ります。僕は全力で治療に
　　　　当たります。覚悟なさってください。死ぬ覚
　　　　悟じゃありませんよ？ 生きる覚悟です。

　　　　よろしいですか？ 青柳さん。・・・お母さん。
 

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

さよならを言わない、言わなくていい人たちが家族。
なるほどね～。確かに、さよならって言わないなあ。
出かけたり、ちょっと離れる時も、さよならとは言わ
ない。「いってらっしゃい」と「ただいま」が基本かも。
さよならって言いたくなくて、ずっと一緒にいたくて、
結婚したくなったかもしれないなあ。（遠い目・・・）

健気に頑張る望海の姿を見ていると、大人の事情
で、子供を子供でいさせてあげられない、子供が
大人になるしかないってことがあるなあと。仕方が
ないんだけど、子供には、子供でいられる時間が、
甘えられる時間が少しでも長くあってほしいと・・・。
仕事を休んで子供たちと一緒に遊ぶ小春のように。
ただグルグルするだけでも、みんなが笑えて、楽し
むことができる。そこに、大好きな人がいるだけで。

紗千の態度はあまりに大人気ないと思うけど、栞
があんな風だと、あれぐらいの姿を見せてあげな
いと、栞はもっと捻くれてしまいそうだし・・・。でも、
どこかで歪な関係は止めにしないと。小春の生き
たいと思う気持ちが、否が応でも関わらずにいら
れない親子関係に変化をもたらしてくれそう・・・。

それにしても、澤村先生・・・静かに静かに、地味
にかっけえ。あんな先生に、診てもらいたいです。


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