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Kierkegaard
(遊び過ぎて、時間が足りなくてシンプルになってしまった)

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「閑話休題」

ゆらゆらと噴水の水面が揺れる、光が反射し、プリズムが見える。

熱い、熱い夏、マヤは、木陰でぼんやりとしていた。

「あ、暑い。この暑さなんだろう。あー、涼しいところに行きたい、あ、そういえばヘレンの稽古で行った軽井沢の別荘は、涼しいのかな」

「ちびちゃん、稽古は終わったのか?」

「あれえ、速水さん、忙しい仕事人間がどうして?」

「たまたま通りかかったら、天女がぼけらとしているのが見えたから」

「はあ」

真澄くんの嘘つき、ちゃっかり、忙しい聖くんに頼んで、リサーチしていたくせに、人はそれをストーカーという。

「行こうか、軽井沢、今すぐにでも」

「へえ!」

マヤは、真澄に拉致られ、もとい強引に車に押し込まれ、一路軽井沢の別荘に向かった。

濃い緑、澄んだ空気、奥軽井沢の別荘に到着した二人は、一緒に夕ご飯の支度をして、一緒にご飯を食べて、星を見るために、一緒に散歩に出かけるのだ。

繋いだ手、草を踏みしめる音、降りそうな星空、真澄が夏の星座の話をする、マヤはのんきに耳を傾ける。

マヤの瞳に夏の大三角形と呼ばれる星が映る。

手を上にあげて、指と指の隙間から星を眺める。

「マヤ、おいで」

真澄がマヤを案内したのは、ちいさな川だった。黄色いほわんとした明り、ホタルだ。

地上の星をマヤは瞳に映した。

「きれい」

「ああ」

夏の夜の散歩は、耳にも楽しい、鈴虫が鳴いている。

ほーほー、梟、それとも、ミミズク?

別荘に戻って、真澄くんは心も体も満足した、マヤは、未明に自分の涙で目を覚ました。

「また・・・」

マヤは、真澄を起さないように、そーとベッドを抜け出して、窓辺に立った、白い月が浮かんでいた。

マヤには、棘が刺さっている。

その棘が抜かれる日が来るのだろうか?

続く その7