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Kierkegaard
(旦那の仕事で落書きの時間がないのである。ぺ、ペンで描きたかったのに)

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「彼は途方にくれる」

いちめんのなのはな

いちめんのなのはな

マヤの瞳は、菜の花でなくて真澄を映していた。

「ごめんなさい、もう少しだけ、もう少しけ考えたいの」

「どうして・・・と聞くのもダメか」

「うん」

「・・・お腹すいたろう、この近くに美味しい家庭料理の店がある」

真澄は、手を繋いで近くに抱き寄せる、菜の花畑を二人はゆっくり歩いた。

マヤは振り返り、遠くにゆりかもめが鳴いているの聞いた、こんなに暖かいのに、あの渡り鳥は、まだ飛び立たないのだろうか?とマヤは思った。

帰る場所がある・・・、私の帰る家は・・・。

真澄が案内したところは、古民家を改装した落ち着いた店だった。

「いらっしゃいませ、あら、速水のぼんじゃない。久しぶりね、あら、恋人?」

「ご無沙汰しています、春を頂きにきました。恋人のマヤです」

「こんにちは」

「かわいいひとね。腕によりをかけるは、ゆっくりしていってね」

真澄は、窓際の席に、海を臨める場所へマヤを促し、座った。

「やさしそうな女将さんですね」

「ああ、亭主は朴訥だが腕もよくて、優しい人だ。ここは学生時代の友人に連れて来られたんだ」

「速水さんにも、悪友がいたんですね」

「まあな、この間までは連絡が取れたが・・・」

真澄くんは、窓から海を眺め、悪友を思い浮かべるのである。(彼にも悪友がいたのだ、某・・・、単行本の何巻か忘れた)

美味しい料理に舌鼓と、仲の良い夫婦と和やかな時間が流れる。

「ごちそうさまでした」

「今度は、夏においで、一面のひまわりを見に」

「はい」

真澄は都心に向け車を走らせた、先ほど携帯をチャックしたら、所属事務所のスキャンダルめいた報告があって、とりあえず社に行かないとまずいらしい、チッと思ったが、仕方ない。

数時間足らずのドライブだが、マヤと二人でいるのは退屈しない、くるくる変わる表情、ツッコミどころ満載の受け答えに、笑うしかない。

楽しい時間はあっというまで、マヤのアパートに着いた。

「お仕事頑張ってください」

「マヤ?」

ドアを開け車から出ようとしたマヤに真澄は、おねだりである。

マヤは真澄の頬に口づけて、まあ、お返しをもらった。

マヤは、真澄を見送ると、トントンと階段を駆け上がり部屋に入った。

一緒にいるのは楽しい、嬉しい、幸せだと思う、でも、それは、続くの?

キッチンのテーブルの一輪挿しの青い薔薇の花弁が一枚落ちていた。

あり得ない青い薔薇、昨日出かける前はもっと瑞瑞しかった、マヤは掌にその花弁を乗せた。

変わらないものはあるの?

続く その6